看護師が呼吸器内科に転職する6つのポイント。仕事内容とメリット、デメリット

看護師のK美
K美 45歳(女性)
看護師
総合病院急性期外科勤務
職歴:腎臓内科3年、消化器内科5年、呼吸器内科6年、循環器内科5年

こんにちは!
ベテラン看護師のK美です。
今回は、働いてみないとわからない呼吸器内科の内情についてお話しします。
呼吸器内科ってどんなとこ?といった素朴な疑問から、そこで働く看護師にとってのメリットデメリットまで。
呼吸器内科に転職したいあなたに知っていただければ幸いです!

では、さっそく。
扱っている疾患から、お答えしましょう!

呼吸器内科で必要な知識

呼吸器内科は、呼吸器(鼻、喉、気管、気管支、気道、肺、胸郭)を対象に治療する科です。
中でも、肺の疾患である「肺がん」や「肺炎」はまず押さえておかないといけません。

他にどんな疾患を扱ってるのかも知っておきましょう。

呼吸器内科の疾患

疾患は主に以下の通りです。
・かぜ症候群(咳や息切れ)
・インフルエンザ
・気管支炎
・アレルギー性喘息
・間質性肺炎
・感染症
・睡眠時無呼吸症候群
・COPD(慢性閉塞性肺疾患)
・肺がん

うーん。
馴染みのある疾患が多いですね。
症状の軽いものから肺がんまでと幅広い!
でも、どれもスムーズに頭に入ってきそうな疾患ばかり。
ちょっと安心しますよね。

では、少し視野を広げて。
呼吸器内科の特徴をつかんでみましょう。

呼吸器内科の特徴

特徴はズバリ3つ!

1.患者さんの年齢層が幅広い

とくに多い患者さんは、肺炎、気管支喘息、COPDの3タイプです。
まず肺炎の患者さんから。
一般的に高齢者がなるイメージが強いけど、実際はインフルエンザをこじらせてもなる病気。
だから、子供からお年寄りまでと、患者さんの年齢層は幅広いです。

次に、喘息の患者さん。
アレルギー疾患ってこともあって、年齢層はさまざまですね。

最後に、COPDの患者さん。
喫煙習慣が原因。具体的に言うと20年以上吸っていると罹る可能性が上がる病気。
だから、その分年齢層はちょっと高くなります。

2.緊急対応がある

呼吸器疾患の中でも、肺炎や喘息は急変が多いです。
看護師の対応に時間がかかると、悪化させるだけでなく命に関わります。
とくに喘息の患者さんが呼吸困難になると、ずっと苦しみ続けなければなりません。
だから看護師は一秒でも早く対応して、苦しむ患者さんを楽にさせてあげることが大切ですね。

3.ターミナルケアがある

呼吸器内科の疾患はどれもよく耳にするものばかりと申し上げました。
中でも肺がんは、男性のがんの死因第1位、女性でも2位と高く、患者さんも多いです。

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そのためターミナルケアがあります。
最近はどこの病院でも看取り対応を積極的に行っているので、看取りの知識も必要になってきます。
ほかには、治療の一つに放射線治療があるので、放射線科と連携する機会もあります。

ここまでで、だいたいの特徴はつかめましたか?
次はいよいよ、呼吸器内科でどんな仕事をするのか?
さぐってみましょう。

仕事内容

呼吸器内科の通常業務は、一般的な診療科と大きな違いはありません。
バイタルチェック、点滴、注射、採血、内服管理、医師の診察介助、検査介助、食事、 衛生ケアが主な仕事です。

ただし!
呼吸器内科特有の仕事も4つあります。

1.感染対策

看護師は常に消毒や換気をして、飛沫感染や空気感染の予防に徹します。
呼吸器内科は、インフルエンザ、ウィルス性の風邪や肺炎、肺結核など、感染リスクにさらされることが割と多い場所です。
その中でも、とくにインフルエンザは要注意!
患者さんの数が多く、爆発的な感染力があるので、看護師はスムーズに患者さんを隔離することが大切です。
そのほか、院内感染予防のため患者さんやスタッフにマスク、消毒、手洗いを促します。

2.COPD患者さんへの指導

看護師はCOPDの患者さんに対して、禁煙指導を行います。
長年吸っていたタバコを辞めてもらうのは難しく、ぶっちゃけかなり手こずることもあります。
看護師は、患者さんにただ一方的に「止めてくださいね」と言うだけではダメです(汗)
患者さんと対話しながら進めなければ、禁煙は成功できません。
ときには、ストレスの受け皿や不満の聞き役になることも大切です。

COPD(慢性閉塞性肺疾患)とは

COPDは、タバコを長期間吸入することによって生じる肺の病気です。
ここ数年、注目度の高い疾患です。
2015年厚生労働省の統計によると、COPDで亡くなる患者さんの数は、日本人の死因のトップ10にも入っています。
COPDは、喫煙歴が20年以上になると発症するといわれる病気で、男性女性を問わず増え続けています。
呼吸器内科で働くなら、COPDの治療内容や、生活指導を中心とする知識が必要になります。

3.酸素療法の介助

患者さんの呼吸をおぎなうために、酸素療法を行います。
とにかくスピード重視です。
喘息の患者さんについて述べた通り、呼吸が苦しい患者さんを少しでも楽にしてあげることが大切です。
看護師がもたつくと、患者さんは苦しいだけでなく、血中が酸素不足状態になってしまいます。
そうなると肺をはじめ、他の臓器にも負荷がかります。
その挙句、高血圧や脳卒中、心不全といった合併症を引き起こしてしまいます。
驚かすわけではありませんが、正直スピードは意識してほしいところです。
実際、カラダに送る酸素の量によって、 鼻カニューレ、簡易酸素マスク、オキシアームなどの低流量システム、ベンチュリマスク、ネーザルハイフローなどの高流量システムを的確に使い分けながら対応しています。

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引用:Medical Noteより

4.呼吸器疾患に応じた食事介助

呼吸器内科は、一般の科に比べると食事介助の割合が高くなります。
患者さんは息をするのも難しい状態で、食事をとることはとても大変だからです。
看護師は患者さんが食事をとる間、「十分な酸素を取り込めているか?」
苦しくなりそうなときは、合間にマスクやカニューレをしつつ、バイタル変動や時間に注意しながら介助します。

上記のほかに、肺がん患者さんの疼痛コントロールや、肺炎の患者さんの痰の吸引もあります。

いかがでしたか?
呼吸器に疾患をかかえた患者さんを、看護師はあらゆる面で支えていることがわかりましたね。
では続いて、どんな看護師たちが働いているのか?
みてみましょう。

どんな看護師が働いている?

呼吸器の疾患や酸素療法を学びたい20代~30代の若めの看護師が多いです。
専門性も身に付けつつ、患者さんともじっくりかかわりたい!
この2つの希望を叶える場所として呼吸器内科を選ぶ人が多いです。

働いている看護師のイメージがつかめましたね。
次に、働く上で必ず押さえておきたいポイントに触れておきましょう。

呼吸器内科のメリット

・酸素療法の専門知識が身につきます。酸素療法は他の科でも扱っているので、他の科にいっても役に立ちます。
・一旦、呼吸困難になると、すぐに急変につながります。その都度、判断力やスピード感を養えます。
・禁煙指導や食事介助で患者さんと関わることが多い分、接し方が自然と身につきコミュ力もUPします。

呼吸器内科のデメリット

・喘息の発作、肺炎の重症化により、呼吸ができない=生命の危険性が高いため、緊迫した状態をストレスと感じがちです。
・急変が多い分、残業が増えます。
・呼吸器にまつわる酸素療法以外のスキルが身に付きにくいです。

いかがでしたか?
メリットはデメリットでもあり、またその逆もしかり!でしたね。
いずれにせよ呼吸器内科で働くと、酸素療法や呼吸器の疾患全般が学べることがわかりました。

いよいよ、これで最後になります。
わたしからのメッセージ。
聞いてください(笑)

呼吸器内科に転職したいあなたへ

呼吸器内科は、呼吸をつかさどる疾患が多い分、緊迫した空気になりやすい職場でしたね。
その反面、日常は、禁煙の指導や食事の介助といったように患者さんとじっくりと関わることの多い場所でもありました。
酸素療法の専門的なスキルも身につくため、バランスのとれた診療科です。

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