整形外科は楽だけど忙しい!?矛盾を徹底検証。転職5事例

看護師の皆さんこんにちわ。
メディカル調査員の川田です。

先日、整形外科で働く人たちと話をしてきました。
整形外科は急変がない、精神的に楽、仕事も楽、夜勤が無い、残業が無い、若い人が多い、出会いがあるなど、色んなメリットがあるようです。

しかしその一方でデメリットも多いようです。
特に多かったのが「忙しい」と言う意見です。

あれ?
けどメリットには仕事が楽って?
「楽だけど忙しい」ってどういうこと!?

そこで今回は「整形外科への転職」をテーマに、その内情を徹底調査してみました。
実際に整形外科で働いている看護師の方々に、話を聞いてきたのでご覧ください。

「整形外科は楽だけど忙しい」の謎が分かると思いますよ!

整形外科の「楽だけど忙しい」事例集

プレッシャーから解放されて仕事が楽しい

U.Oさん(20代)
看護歴:6年目
転職先:整形外科

私は6年目の看護師です。
呼吸器内科に勤務していましたが、整形外科病棟へ異動になりました。
整形ってこれまでの経験も活かせないし、勉強にもならないんじゃないかって思っていました。

それが今では、「自分は整形外科が向いている!」と自信をもって言えるようになりました。
とにかく今は仕事が楽しいんです。

まず整形の患者さんは基本元気な人がほとんどです。そのため病棟全体の雰囲気が明るいんです。
以前働いていた呼吸器内科では、酸素マスクをしていたり、呼吸困難のために長くは話せない患者さんが多くいました。
それに比べて整形では体に疾患やケガがあっても、話せる人ばかりです。
患者さんとの会話がとても楽しいですね。

また、初めてみるギプスの方法や、包帯の巻き方を覚えるのも楽しいです。
先輩が練習台になってくれたり、時にはドクターも混じって練習に付き合ってくれることもありました。
そのおかげで「早く覚えなきゃ」という苦痛はありませんでした。

偶然かもしれませんが、整形のドクターは穏やかな人が多いように感じます。
私が出会ってきたドクターは、患者に対して傲慢だったり、看護師の意見もきかないような自己中なドクターばかりだったので・・・
整形外科にはドクターが4人いますが、どのドクターも優しく、穏やかです。
さらには、レントゲンを一緒にみながら、見方や疾患の説明をしてくれます。
おかげで勉強するのが楽しくて仕方ありません。
それに、今まで身につけたスキルも、麻酔看護や周手術期の看護で活かせていますしね。

整形にきてからは死亡退院や急変でバタつく感じもほとんどなく、精神的なプレッシャーからは解放されました。
ただ、これまであまり勉強してこなった筋肉や骨格の解剖整理なんかも、ほんとうにたくさんのことを覚えなきゃいけません。
他にも良肢位や危険肢位、牽引、部位によって違う包帯の巻き方、退院後の指導やフォローなど覚えることは沢山あって大変です。
それでも楽しいと思えるのは、わからないことがきける恵まれた環境のおかげかもしれません。

出会いを期待するが・・・

I.Rさん(20代)
看護歴:新人
転職先:整形外科病棟

私は学校卒業後、強い希望で整形外科病棟へ入職しました。
というのも、整形外科と言えば患者さんの年齢層が低いため、ぶっちゃけ出会いが一番ある診療科だと思ったからです!
仲の良い看護師の先輩が整形外科で働いており、そこで出会った患者さんとめでたく結婚したというではないですか。私もあわよくば・・・

しかし、出会いなんてありませんでした。
比較的年齢が高い患者さんばかりで、独身の男性なんてほとんど入院してきません。

そもそも、うちの病院の主治医が得意とする手術は置換術なので、高齢の患者さんがメインになります。
20代の若い人がスポーツ障害で入院してくることはめったにありません。
患者さんのトイレ介助や食事介助、夜間の不穏患者の対応に追われ、休憩がとれないこともしょっちゅうです。
骨折で入院してくる若い患者さんもたまにいましたが、運命的な出会いとはいきませんでしたね。
新人は覚えなきゃいけないことは盛りだくさん。
毎日の業務をこなすのにいっぱいいっぱいで、楽しい雑談なんてしている余裕はありませんからね。

整形外科は患者さんの平均年齢が低いイメージです。
だからといって、患者さんに出会いに期待するのは間違っていました。
新人看護師の私はそんな余裕もないくらい毎日目の前の業務に必死です。
しかも、整形外科は他の病棟に比べて噂になる程忙しいみたいで・・・
それでも休日は積極的に合コンに参加して女磨きに励んでいます(笑)

希望の科とはほど遠い

K.Iさん(20代)
看護歴:新人
転職先:整形外科病棟

新人の看護師です。
私は看護学生のころからずっと、緩和ケア病棟で働くことを目標にしてきました。
緩和ケア病棟への配属を強く希望していたのに、結果は整形外科。正直がっかりして泣きました。
緩和ケアには程遠いといっていいくらいです。もう絶望しかありませんでした。

しかし働くうちに、気持ちも落ち着き、前向きになることができました。
整形外科にも緩和ケアにも通じる看護があるとわかったからです。

患者さんの中には、単純に骨折や腱を切るなどのケガだけでなく、原発性の骨腫瘍や、内臓の癌から転移した転移性の骨肉腫などもみえました。
そこで必要になる「疼痛の緩和の看護」は、緩和ケアでも役立つ知識です。
大きなケガを負って長期に渡り入院を余儀なくされた患者さんには、精神的なフォローも必要です。
また、家族も大変ショックを受けています。このような精神面の看護もとても大切です。

整形外科は専門性が高くここでのスキルは他で通用しない、みたいに決めつけていました。
整形外科って、患者さんの介助が多くて体力的に大変です。
でもそれと同じくらい精神面の看護や、疼痛緩和の看護も重要なんです。

整形外科で一通り学んでスキルを身につけることは、決して無駄ではないと感じています。
今は整形外科で一生懸命勉強して、いつかは緩和ケアで働けたらいいなと思っています。

認知症患者には気をつけろ

C.Oさん(20代)
看護歴:2年
転職先:整形外科病棟

私は整形外科で働いて2年になります。
整形外科は仕事が楽だと思っていました。

しかし、働き始めてすぐに、めちゃくちゃ大変だということが分かりました。
患者さんは高齢者ばかりで、認知症の方がすごく多かったからです。

うちの病院は毎日のようにオペがありましたが、そのたびに術後せん妄で不穏になる患者さんがいました。
術後歩ける状態じゃないのに、エレベーターの前で立っている患者さんを見たときは焦りました。家に帰ろうとしていたようです。
また、術創部や骨折などの痛みから、昼夜問わず大声で叫び続ける患者さんもいます。
なぜか鎮痛剤が効いてくれないんですよね・・・。
同室の患者さんからクレームがあることもしょっちゅうです。
特に夜勤帯に多いんですが、ベッド上安静の指示が出ていても、安静度が理解できずに徘徊してしまう患者さん。
徘徊防止対策をしていても、上手にすり抜けてしまいます。そして最悪の場合転倒してしまいます・・・もうやだ。
こんな感じで昼夜問わずバタバタしています。

オペが多いので各術式に対するクリニカルパスを使えば、看護師としてやることは決まってくるのでその点は楽だなと感じます。
でも認知症の患者さんが多すぎるんです。イレギュラーなことが多すぎて業務がはかどりません!
せめてもう少し、患者さんの平均年齢が低い整形外科に転職しようかな、と考えています。

ブランク明けですぐに腰を痛めてしまった

H.Nさん(30代)
看護歴:5年
転職先:整形外科病棟

私は地元の総合病院で内科5年の経験があります。
出産、育児のためブランクが3年ほどあり、このたび以前とは違う病院の整形外科へ復帰しました。

実は今、腰を痛めてしまい歩くのがやっとの状態です。
まさか私がギックリ腰になるなんて・・・
自慢じゃありませんが、私、肩や腰って凝ったことなかったんです。
だからとんでもなく過信していました。

はじめは、整形外科って想像上に体使うし、しんどいな~という感じでした。

入職前の説明では、患者さんのADLは比較的高いと聞いていたのに、車いすへの移乗やストレッチャーへの移乗、食事介助やトイレ介助と、介助のオンパレード。
また、清拭や着替えにも介助が必要な人が多く、毎朝の清拭の時間はスタッフ全員で行っても2時間かかっていました。検温に回る前にクタクタでした。
そして忘れられないあの出来事が起こりました。
100キロ近くある患者さんの車いす移乗をするのに、人手が足りず、呼んでも誰もきてくれない状況の中。
まぁできるだろうと、一人で移乗を行った時に、腰をぐきっとやってしまいました。
患者さんは気合で守りましたよ。

もちろん骨折や疾患の部位によってはADLが高い患者さんもいます。
しかしほかの病棟に比べても移乗などの介助が必要な人が圧倒的に多いです。
3年のブランクのせいなのか、年齢的な衰えのせいなのか・・・ギックリ腰にはショックを受けました。

そして先日2回目のギックリをやってしまいました。
もう介助がほとんどないクリニックへ転職することを
決心しました。

人気のクリニックで子供が犠牲に

C.Bさん(30代)
看護歴:8年
転職先:整形外科クリニック

私はシングルで3人の小学生の子持ちです。
この春から整形外科クリニックで働いています。
クリニックなら夜勤もないし、子育てとの両立も可能と考えていました。

しかし、思ったようにはいきませんでした。
人気があるクリニックだったので、仕事が忙しすぎたのです。

入職初日、昼休憩が10分しかありませんでした。
「忙しいから食べたら出てきて!」と言われあわてて食べて、水分もとるのを忘れてしまうくらいでした。
初日でまだ物品がどこにあるかもわからない状態で、ドクターから「ギプスの準備!」と指示されました。
どこにあるのかわからず、さらには聞ける人もおらず、あたふたしていると「できないならあっち行ってて!」とドクターに怒鳴られました。
勤務終了は19時のはずが21時近くになり、家に着いたのは21時半。
3人の子どもたちは、私の帰りを待ちながらおなかをすかせたまま眠っていました。
それを見て泣けてきました。

たしかに、面接でも「うちは忙しいからね」「残業も少しはあるよ」と聞いていました。
でもこれはひどいと思います。
子供が3人いてシングルだということ、子どものためにも残業は1時間以内しかできないともきちんと伝えていました。
了承を得て入ったのに、こんな勤務・・・子供たちの申し訳ない気持ちでいっぱいです。
入職前にもっと確認しておけばよかったと後悔しています。
入って5日経ちますが、もう今週でやめる予定です。やっぱり子供は一番に考えたいので。

「楽だけど忙しい」のまとめ

・整形外科が「楽」と感じる理由にはこんなことがあります。

  • 急変が少なく、精神的に楽。
  • アセスメントが楽。
  • 術式ごとにクリニカルパスがあるから観察が楽。
  • 軽快退院がほとんどで気分が楽。

「忙しい」と感じる理由にはこんなことがあります。

  • は覚えることがたくさんで忙しい。
  • やることが多くて忙しい。
  • 患者さんへの介助が多くて忙しい。
  • 転倒予防で忙しい。

「楽だけど忙しい」の矛盾には、整形外科ならではの理由があったんですね。

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