実録!消化器内科の真実。転職した看護師たちの告白

消化器内科では、多くの臓器を対象としています。
食道、胃、小腸、大腸、肝臓、胆のう、すい臓……他の診療科と比較して、扱う臓器がダントツです。
また、消化器系はがんの発生率が高いため、がん患者さんと接する機会も多くなります。

・ターミナルケアをしたい
・化学療法に興味がある
・内視鏡の知識を身につけたい

消化器内科は、そんな看護師にオススメしたい診療科です。

ただし、精神的に辛くなってしまうことも多い職場です。
具体的には、「看取り」が多かったり、時間に追われたり、患者さんやご家族とのコミュニケーションが難しかったりします。
特に、がん告知や再発転移をお伝えする時は辛いですね。

それでも、消化器内科で働きたいと思う魅力とは?

あなたが知りたい消化器内科の看護師の役割、仕事内容、やりがい、悩みを全て、現役の消化器内科ナースの生々しい体験談でご紹介します!

リアルな消化器内科の実情と魅力を見てみましょう。

 

看護師の役割とは?

消化器内科の看護師が求められること

A.Uさん(29)
看護歴:消化器外科3年
転職先:消化器内科3年

私は、消化器外科から消化器内科に転職して3年が経ちました。
最近は、内科の看護師としてようやく周りのことが見てきたところです。

外科と内科、両方経験してわかった「内科の看護師としての役割」について話してみたいと思います。

まず第1に、内科はアセスメント力が大切です。
「患者さんの体の中で起きている異変に気づけるか?」
まずこれに気づくことで、確実に患者さんを救えます。
特に、高齢者や認知症の患者さんが多いと、患者さんは異変を訴えなかったり、訴えられないこともあります。
ちょっとした言動や視線の動きから、異変を敏感にキャッチする力が求められるのが内科の看護師だと感じています。

2つ目は「改善を常に心がけること」です。
「患者さんの居心地がよくなるかどうか?」
これは、看護師がただルーティンをこなすだけでなく「患者さんがもっと楽に!もっと安全に!」と考えられるか次第だと思っています。
体位交換、清拭、おむつ交換、口腔ケアや食事介助。
慣れれば誰でもできる仕事かもしれません。
でも、一つ一つのケアに対して「もっとよく!」ができる看護師さんだと、その分患者さんは楽になれたりします。

3つ目の役割は「患者さんと家族のメンタルケア」です。
ターミナルの患者さんのケア、その家族のケアなど、やらなければいけないことは沢山あります。
私自身、外科では忙しくてそこまで時間がさけませんでした。

でも、内科にはちょっとだけ時間の余裕があります。
この余裕は、仕事が暇とか、休憩時間とかではなく、患者さんとコミュニケーションをとるための時間という認識です。

患者さんやその家族のメンタルのケアも、内科の看護師の役割の1つです。
入院は、患者さんにとって、非日常的な出来事。
たとえ誤嚥性肺炎の治療や胃潰瘍の手術のためだとしても、日常から切り離され、病院のベッドの上でじっとしていることは、大きなストレスです。
さらに、慢性期や終末期なら、なおさら精神的な負担は大きくなります。

正直、外科に比べて時間に余裕がある分、内科の看護師だから求められる役割もあると思います。
それが、一つ一つの業務に時間をかけてやることなのかもしれません。
今の私にできる事!
それは、さらにアセスメント力をつけこと。
やがて患者さんの精神的な苦痛も和らげられる看護師になれればと考えています。

仕事内容は?

消化器内科は上から下まで幅広い!

U.Dさん(27)
看護歴:4年
転職先:消化器内科

私は、整形外科で2年働き、消化器内科に転職。看護師4年目です。
「内科も経験してみたい。」という単純な理由でしたが、気づけば丸1年経ってましたね。

消化器内科の仕事って意外と幅広いことに気づきました。

まず、消化器ってなに?っていう話から。
一言でいうと、「体の上から下まで」です。

つまり、食道、胃、小腸そして大腸といった消化器官。
これに、肝臓、胆のう、脾臓までみるのが消化器内科です。

けっこう幅広いですよね~。

患者さんの内訳は、圧倒的にがん患者さんが多いです。
医師の話によると、がん患者さんの6割ぐらいが消化器系らしいです。
消化器系って、がんの発生率が高い臓器。
だからうちの病院でも半数ぐらいの患者さんが、がんを患っています。

具体的な仕事内容はというと、だいたいが医師の介助と、検査の介助です。
1日のうち、半数以上この2つの業務をひたすら繰り返している感じです。
あとは、症状を観察、報告したり、点滴や診察の補助も入ってきますね。

最初は、「え、楽じゃない?」なんて余裕をぶっこいてました。
でも、慣れてくると、だんだんと仕事は増えますよね。(当たり前ですが・・)

特に、大変なのが、化学療法や放射線療法の看護です。
つまり、がん患者さんに対する仕事ですね。
消化器内科は、外科的手術はしないのですが、そのかわり、化学療法や放射線治療があります。
私はといえば、内視鏡治療も含めて、何一つ知らなかった!
しばらくは猛勉強しましたね。

一人ひとり、患っている部位が違ったり、症状も違うので、看護していくうちに知識の答え合わせもできるような。
そんな感じでなんとかやってきました。

消化器内科は、いろいろな疾患を患った患者さんが来る場所。
その分、知識や経験もいるけど、確実に手ごたえを感じられています。
がん患者さんに対するケアがもっとできたらな~と今は思っています。

内視鏡は1つじゃない!

I.Mさん(25)
看護歴:4
転職先:消化器内科

私は、消化器内科に転職して2年目の看護師です。
内科も併設されたクリニックに勤めています。

今では、「内視鏡といえば私!」というぐらい内視鏡の知識と看護には自信アリです(笑)

内視鏡といっても、種類がいくつかあるんです。
ぶっちゃけ最初、私は1つだけだと思ってました(恥)

内視鏡は、先端に小型カメラ(CCD)を内蔵した細長い管を消化管に挿し込み、食道、胃、十二指腸から大腸まで内腔を直接観察する装置。
ただ観察するだけでなく、生研や止血、ポリープの切除といった治療や処置もできる優れものです。
元々知ってはいたけど、見たい場所によって種類を使い分けるところまではちょっと・・・といった感じでした。

そして、検査方法もいくつかあります!
口からと、鼻から、そして肛門からもあります。
どこを見るかによって変わってきます。

例えば、食道や胃、十二指腸を見るときは、口か鼻から。
大腸や小腸は下半身に近いので、肛門から。
胆のうや胆管、脾臓の場合は、検査方法自体ががらっと変わったりします。

かかる時間もイロイロですね
胃、十二指腸、大腸、小腸はだいたい日帰りで5分~15分ぐらいですね。
でも、胆のう、胆管、脾臓は、入院が必要になったりします。
造影剤のアレルギー反応が起きることもあったり、出血や胆管炎といった合併症の起きるリスクも出てきます。

「内視鏡」といっても、扱う部位によって検査方法も違えば、かかる時間も違うってことですね。

最初は、全然知らなくて、医師に怒られたものです。
でも今は、部位だけ聞いたら、何がどれぐらいかかるか、一瞬で段取りできるようになりました。
何事も経験が解決してくれると実感しています。

内視鏡のことを知っていれば、たとえ今勤めている病院を辞めたとしても「他でも通用する!」と自信を持って言えます。

やりがいとは?

内視鏡検査って大変だけど奥深い

R.Mさん(28)
看護歴:6年
転職先:消化器内科

私は、300床規模の総合病院で消化器外科で5年経験し、消化器内科に転職1年目の看護師です。
どちらも消化器ってこともあり、意外とスムーズにやってこれた感じです。

その中でも私が一番やりがいを感じる仕事が、内視鏡検査の介助です。
病院自体、内視鏡に力を入れていることもあって、内視鏡検査が山ほどあります。
おかげで看護師の仕事の大半も内視鏡。
これにはホント詳しくなりました。

患者さんには少なくとも2回来院していただきます。
事前検査と、当日の内視鏡検査です。

まず、事前検査。
内視鏡検査の約10日前ぐらいにあります。
血液検査、心電図、問診といった流れで患者さんを介助します。

このとき、医師は患者さんに当日までの過ごし方の説明もしておきます。
特に重要なのが、検査前日から当日までの食事制限。
細かく言うと、ハードな運動、アルコール、出張や旅行も基本NGです。
あとは、服薬している薬があれば、その一部が制限されたりします。
そういうこともあって、内視鏡は予約制。当日いきなり内視鏡検査ってできません。

ほとんどの場合、当日までスムーズに進みます。
でも患者さんの中には、制限ばかりで窮屈に感じる方もいらっしゃいます。
そんな患者さんの気持ちを感じとり、説得するのも看護師の仕事ですね。

そして当日。いよいよ内視鏡検査です。
検査の前に、前処置室で準備があります。
時間でいうと5分ぐらいですね。

胃、十二指腸の内視鏡患者さんに対しては、麻酔や鎮静剤の投与と、消泡剤の服薬の介助があります。
小腸、大腸、胆のう、胆管、脾臓の患者さんに対しては、下剤服用の介助があります。
排便するのに3時間ぐらいと、検査までに少し時間がかかります。
大抵の患者さんは、食事制限がかかっている分、「早く検査を終わらせたい」と思っていらっしゃいます。

その反面、不安がる患者さんもいます。
内視鏡検査とはいえ、患者さんの中には初めての方もいらっしゃいます。
この前準備のときに、不安な気持ちを漏らしたり、どれぐらい時間がかかるのかの確認をする方は多いです。

そこで私たち看護師の出番です。
一つ一つ丁寧に質問に答えることで、こわばった表情が和むあの瞬間。
正直一番やりがいを感る瞬間ですね。
ちょっとした看護師の一言で、患者さんの気持ちって全然ラクになれたりします。
逆に、何の気なしの一言で、患者さんを不安にしてしまうことも。
無神経な看護師にだけはならない!って決めてます。

困った患者さんたち

B.Aさん(30)
看護歴:10年
転職先:消化器内科

私は、消化器内科に転職希望して、実際に配属されたクチです。
きづけば8年。ほぼベテランナースとして働いています。

自称ベテランの私にも、厄介な患者さんはまだまだいます。

最近対応した3人の患者さんについてお話しさせてください。

まず一人目のTさん(60歳)のケース
彼は、胃の疾患で、胃カメラを医師に進められていました。

ところが・・です!
とにかく胃カメラを拒否ってばかり。
誰がいっても全然ダメで、正直、病院全体が途方にくれました。

消化器内科の医師ですら、患者さんの希望に反して胃カメラを強要することはできません。
かといって、点滴治療だけでは退院できず・・
医師もお手上げ状態。
私はといえば、自分の経験上、「患者さんと時間をかけた分だけ信頼関係は作れる」という変な自信がありました。
医師にそれを伝えたら、私に任せる!とおっしゃってくれました。

そんなわけで、Tさんが納得するまで待つことに。
もちろん、胃カメラの説明や、かかる時間など合間に伝えながら、日常のたわいもない話を続けました。

その結果、Tさんは胃カメラをやってくれました。

最後の方は、「納得はできないけど私が言うなら」という理由でした。
微妙な理由ですが(汗)
でも、そんなところに看護師のやりがいはあると思っています。
患者さんとの信頼関係。
大切ですよね。

そして二人目のKさん(55歳)のケース

Kさんは、「とにかく退院したくない!」の一点張りでした。
実際、検査入院だったので、結果が出て治療をすれば退院という予定でした。

病院を追い出すことはNG。
とにかく話を聞くことにしました。

最初は、理由を言ってくれませんでした。
でも話していくうちに、自宅で自分が邪魔者扱いされているという理由がわかりました。
これが、意外とよくあるんです。
「自宅より病院のほうが居心地がいい」と感じる患者さん、結構いたりするんですよね。

結局、患者さんの気持ちを私が病院に代弁し、地域包括に入ってもらい、退院後は自宅ではなくいったん施設に入ってもらうようになりました。

最後に三人目のYさん(75歳)のケース

Yさん自身は温厚で寡黙なジェントルマン。
でも、ご家族が胃瘻造設に慎重で、ことあるごとに私に相談しまくってきました。
とにかく、家族の判断を否定することだけは絶対にしないよう慎重に話をしてきたつもりです。

ところが、実際に胃瘻を始めると、カラダに穴をあけて長生きさせることに罪悪感を感じるのか、後悔する方が多いんです。
患者さん本人ではなく、ご家族が。です。
挙句に「あなたならどうしてた?」と問われることも多くて。
言葉に詰まってしまいました。

「あのとき、どんな言葉を返せばよかったのか」今でも答えは出せていません。

3人の患者さんや家族に出会って、考えることは沢山ありました。
病気をかかえた患者さんは、孤独をかかえているということ。
何かを拒むには理由があるということ。
看護師は、患者さんの抱えているものに耳を傾けることが大切だと今は思っています。
これからは、患者さんや家族の疑問に少しでも答えられるような看護師になりたいと思っています。

消化器内科の悩みとは?

消化器内科を辞めたい・・・

Y.Gさん(29)
看護歴:7年
転職先:消化器内科

私は、総合病院から転職後、大学病院の消化器内科病棟に勤務して4年目の看護師です。
大学病院で働くのが私の夢でした。

でも、今。辞めたいと思っています。

きっかけは、麻薬の取り扱いミスでした。

約2カ月前。

主任が、ある一人の患者さんに、服薬する麻薬の錠剤を手渡しました。
その患者さんは、誤って錠剤を床に落としてしまったので、たまたま近くにいた私が薬を拾い上げ、とっさに水で洗いました。
洗っている最中に麻薬を排水溝に流してしまうというインシデントを起こしてしまいました。
今思うと、どうして洗ったのか・・・焦っていたとしか考えられません。

そもそも、その患者さんに配薬したのは主任でした。
「麻薬は患者さんが口に入れるところまで確認すること」がルール。
患者さんが口に入れずに床に落としたこと自体、主任は気付かず、代わりに気づいた私が、インシデントを発生させてしまったわけです。

消化器内科は、医療用麻薬を扱うことが多く、取り扱いはかなりシビア。
患者さんが麻薬を口にするところまで見届けなかった主任にも非はある。
でも、排水溝に流したのは私。
そのあとのカンファでは、なぜか私だけに非難が集中しました。
それ以来、麻薬扱いから除外されています。
今思えば、麻薬を洗うこと自体、素人の考えでした。
拾った時点で主任に報告すればよかった・・・と後悔しています。
ちょっとした判断ミスが、大きなインシデントにつながるのも、麻薬を取り扱う消化器内科にはありがちです。

それに、吐血や下血を見るのがもう嫌なんです。
緊急入院をする患者さんのほとんどが、吐血や下血を伴います。
入りたて頃は、おろおろするだけで何もできませんでした。
食道静脈瘤の患者さんが吐血することもあれば、胃潰瘍の患者さんが吐下血することも普通にあります。
大腸憩疾出血、ESD後の方の下血も頻繁にあるのが消化器内科です。

吐血や下血の対応は消化器内科の看護師にはマストです。
バイタルの確認、出血量の確認、意識レベルの確認、顔色、抹消循環・・・
看護師としてやるべきことは明確。
それでも、目の前で大量の吐血を見ると、頭が真っ白になることがいまだにあります。
シミュレーションはしているし、経験もあるのに、ホント情けないと感じています。

他にもあります。
消化器病棟は、とにかくイレギュラーなことだらけ。
緊急手術もその1つ。
手術だしに翻弄しつつ、検査も多くてバタバタ。

とくに夜勤当番への引継ぎのときは最悪です。
翌日の指示を受けようと、夜勤当番の人たちと先生を待っていても、大量の検査で遅れるのは日常。
引継ぎのギリギリの時間に先生がやってきては、指示を山ほど出したら去っていく。
そのあと残って、夜勤当番の代わりに私が指示内容をこなすという日々を送っていました。
イレギュラーだし、先生は忙しいし。
3時間程度の残業はあたりまえです。

あとはシリンジポンプの交換が意外ときついんです。
シリンジポンプの交換を知らせるアラームの音がうるさすぎて。
特に夜間だと、患者さんから怒られまくります。

ちなみに、輸液ポンプのアラーム音は「ピピピッピピピッ」ですよね。
でも、シリンジポンプの場合、「ピーーーーーッ」ってなり続けます。
この音は病棟中に響き渡ります。
聞くだけで、ゾッとします。

さらに、残量が少なくなると予備アラームも鳴ります。
予備アラームとアラーム。
毎回たたき起こされる患者さんのことを考えると、怒鳴るのも仕方ないなって思います。
正直、夜勤で仮眠中の私も何度も起こされてます。

他の科だったら、前もって1日1回交換することもできると思います。
でも、消化器内科はまず不可能なんです。
シリンジポンプを使う人ってだいたい麻薬だから。
麻薬の取り扱い上、残破棄するわけにもいかず、麻薬の返却や保管の手間を考えると、予備アラームの前に先に交換してしまうわけにもいきません。

辞めたい・・・

日に日に気持ちは増すばかり。
きっかけは麻薬を扱うインシデントでした。
吐血や下血。イレギュラーな業務によって発生する残業。そして、アラーム音に対するクレーム処理。
ツライことを挙げればきりがない。

他の科にはない独特な業務によって私の心は今折れかけています。
もうすぐ、違う科に異動願いを出そうと思っています。

まとめ

いかがでしたか?
想像以上に、消化器内科特有の仕事がありましたね。
内視鏡検査やがん患者さんの対応など、一般的なスキルではやりこなせないのが消化器内科。
やった分だけスキルアップできる科です。
その反面、麻薬の扱いや、患者さんの苦しむ姿に悩む看護師も多いことがわかりました。

誰でも最初からパーフェクトにはできません。
一つ一つ、消化器内科でしかできない経験を、積み重ねてみてはいかがですか。

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