看護師に多い燃え尽き症候群 あなたは大丈夫?

moetsuki

看護師のみなさんこんにちは!
普段から何かとお悩み相談を受けている中堅看護師の私です。

歳食った分だけ後輩から頼られるようになった私ですが、 先日久しぶりにLINEを送った後輩からこんな返信がありました。

おひさしぶりです。姐さん。
連絡ありがとうございます。
元気でやってますか?
私はというと、最近まったくダメダメです。

自分で言うのもなんですが、以前はもう少し向上心というか知識欲があって、研修に参加したり勉強したりしていましたが、今はもうどうでもよくなってしまっています。
看護師という仕事に対して興味がわかなくなってしまって…。
どうしたらいいんでしょうか?

仕事中は 「とにかく1日ミスがなければそれでいいや」くらいの気持ちでいます。
正直、患者さんに対してこれまで抱いていた真剣さが、まったく抜け落ちてしまっている状態です。
酷い時には、「どうせ私なんかが何かしたところで、この人にとっては何の意味もない」とか思ってしまうことさえあります。
自分の弱さが原因なのに、いつもイライラした気持ちが消えなくて、同僚の態度や行動にもいちいち腹を立てています。

家に帰っても無気力で何もする気が起きません。
少し前までは美味しいものを食べてストレス解消してたりもしてましたが、ここ最近は食べることにも疲れてしまって、適当なものを少し口に入れたら、あとはお酒を飲んで横になってばかりです。
私本当にどうにかなってしまったんでしょうか?

こんなことではいけないと思ってはいるんですが、どうしたらいいかまったく分かりません。
自分には看護師の資格くらいしかないし、でも看護師の仕事自体にやりがいが見出だせなくなってて…。
こんな無力で無気力な私なんかに看護されるなんて、患者さんに申し訳ない気持ちでいっぱいです。

うわー!!!!!

燃え尽き症候群だよそれ!!!!!

返信の言葉を考えるよりも先に、通話ボタンを押してました。

燃え尽き症候群とは?

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実は私も燃え尽き症候群の経験者です。
この後輩のメッセージを見て昔の自分がフラッシュバックしました。

こういう定義

看護師であれば、燃え尽き症候群が何かは知ってると思いますが、ここで一度おさらいしてみましょう。
燃え尽き症候群は、アメリカの精神分析学者であるハーバート・フロイデンバーガーという人が定義したそうです。

持続的な職業性ストレスに起因する衰弱状態により、意欲喪失と情緒荒廃、疾病に対する抵抗力の低下、対人関係の親密さ減弱、人生に対する慢性的不満と悲観、職務上能率低下と職務怠慢をもたらす症候群。
出典燃え尽き症候群 – Wikipedia

もう少し噛み砕いた表現にすると、「日常的な仕事が原因のストレスで、心身ともに疲れ果ててしまったことから、すべてのことに対し無気力になってしまっている状態」でしょうか?

後輩からのメッセージにも「無気力」「何もする気が起きない」「どうでもいい」といった言葉が含まれていたように、以前の自分では考えられないくらいの無気力感に苛まれるのが燃え尽き症候群です。

こういう症状

燃え尽き症候群になると、以下のような症状が現れます。

○気持ちや思考・行動に関する症状

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  • 仕事への意欲が極端に低下する
  • 仕事を辞めたい気持ちが強くなる
  • 前向きな感情が枯れ果てる
  • 「わたしなんか」という気持ちや言動が増える
  • 周りへの怒りや不信感が増えてイライラしている
  • 人と関わることが嫌になって人を避けるようになる
  • アルコールの量や衝動買いが増える

後輩からのメッセージの中にも、

  • 以前はもう少し向上心というか知識欲があって、研修に参加したり勉強したりしていましたが、今はもうどうでもよくなってしまっています
  • 看護師という仕事に対して興味がわかなくなってしまって…。
  • 仕事中は 「とにかく1日ミスがなければそれでいいや」くらいの気持ちでいます。
  • 正直、患者さんに対してこれまで抱いていた真剣さが、まったく抜け落ちてしまっている状態です。
  • 酷い時には、「どうせ私なんかが何かしたところで、この人にとっては何の意味もない」とか思ってしまうことさえあります。
  • 自分の弱さが原因なのに、いつもイライラした気持ちが消えなくて、同僚の態度や行動にもいちいち腹を立てています
  • 家に帰っても無気力で何もする気が起きません
  • ここ最近は食べることにも疲れてしまって、適当なものを少し口に入れたら、あとはお酒を飲んで横になってばかりです。

といった、典型的な症状が出ています。

これらは共通して心の自己防衛本能であり、「ストレスをどうにか回避しようとした結果」の思考や行動だったりします。
心の奥底にストレスをどうにかしたいという気持ちがあっても、気力を失ってしまっている状態のため、積極的にそれをどうにかしようという気持ちを持つことが出来ず、消極的な対応策としてこういった思考や行動が現れてくるようです。

なお、うつ病との違いとされているのが、自分を責めるよりも周囲への不満が強く出てくるといった部分だそうです。
ただ、燃え尽き症候群を放置してしまうと、うつ病を併発することもあるらしいので、注意しましょう。

○身体的な症状

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  • 慢性的な疲労感
  • 頭痛
  • 肩こり
  • 不眠
  • 胃腸の不調(下痢や便秘)
  • 食欲低下

まさにストレス性の体調不良です。
精神的な負荷が許容範囲を超えると、こういった身体症状として目に見える形で現れます。
個人差はあると思いますが、身体症状は思考や行動としての症状が出た後に出ることが多いようです。

こういう性格の人がなりやすい

燃え尽き症候群には3つのパターンがあるとされています。

1:熱狂型

仕事での成功を強く望んでいて、極度の疲労状態になるまで働き続けてしまう「熱血努力家タイプ」。
職場の組織や体制に対する不満を吐き出すことでストレスを解消する傾向があり、自分がうまくいかないのは周りのせいだと感じている人が多い。

2:挑戦不足型

失敗により仕事への関心を失い、徐々に毎日の仕事が単調なものに感じるようになる「挫折を引きずってしまうタイプ」。
仕事や対人関係を避けることでストレスに対処する傾向にあるため、物事を損得で判断しやすかったり、見返りが少ない仕事を避ける人が多い。

3:疲れ果て型

報われない努力だと感じるようなことがあると、その困難から目を背けてしまう「無駄あきらめタイプ」。
達成したい目標があっても、そのために努力しようという意思が欠けている人が多い。

どのパターンにも共通して言えることは、「真面目で頑張りやさんで、他人の眼や評価を非常に気にするタイプ」の性格の人です。
今回メッセージをくれた後輩がまさにそうであり、かつての私自身がそうでした。

あなたは大丈夫?

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燃え尽き症候群になってしまうと、極端に視野が狭くなり、人を頼るという思考が出来なくなって、自分からアラートをあげられなくなるんです。
メッセージをくれた後輩は、私が送ったメッセージに反応してくれたから良かったですが、症状が進行してしまうと本当に孤立してしまって非常に危険な状態だったと思います。

この記事を読んでくださっているあなたは大丈夫ですか?
以下の簡易チェックリストを使って、燃え尽き症候群になっていないか?なりそうな兆候はないか?を確認してみてください。

簡易チェックリスト

  • 頻繁に仕事を辞めたいと思うようになった
  • 患者さんや同僚などと接するのが苦痛
  • 頭痛や肩こり、胃腸の不調などがしばらく続いている
  • イライラすることが多くなった
  • 無気力で何もしたくない
  • アルコールの量や買い物の量が増えた

 ※1個ならまだ大丈夫
 ※2-3個ついたら要注意
 ※4-5個ついたら危険
 ※全部ついたらアウト

燃え尽き症候群かもしれないと少しでも感じたら?

燃え尽き症候群にかかっている状態で仕事を続けるのはとても危険です。
慢性的な疲労と体調不良に加え、精神的にも常にイライラしていたり、業務に対して無気力な状態では、いつ医療事故やミスに繋がるか分かりません。
取り返しのつかないことになる前に、健全な状態を取り戻しましょう。

すぐに心療内科を受診

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もしも自分が燃え尽き症候群かもしれないと感じているなら、すぐに心療内科を受診しましょう。

燃え尽き症候群から脱するには、心身ともに充分な休養をとって、まずは気力を回復させることが必要です。
ですが、自分では燃え尽き症候群だと思っていても、そうでなかったら対処の仕方はまた違ってきます。
まずは、専門家に意見を聞くことで、自分の状態を把握しましょう。

心療内科で燃え尽き症候群と診断されれば、診断書を書いてもらうことも出来ます。
業務の都合や立場上休みが取りにくい方も多いんじゃないかと思いますが、診断書があれば休養の時間を必ず確保出来るはずです。

勤務先を変えるのも一つの選択肢

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心療内科を受診して、燃え尽き症候群であると診断された場合、何をおいてもまずは仕事から離れて休養する必要があります。

いざ休むといっても、休職に対する後ろめたさや経済的な不安、同僚からの心ない誹謗中傷が気になりますよね?
ですが、燃え尽き症候群からくる無気力は、頑張りすぎた反動からきていますので、むしろ無理矢理にでも休まなければいけないんです。
もしも、あなたが燃え尽き症候群で休職することに対して、現在勤めている職場が非協力的な態度なのだとしたら、このタイミングで職場を変えることも選択肢の一つだと思います。

休養して燃え尽き症候群から脱することがまず第一ですが、回復した後は再び燃え尽き症候群にならないことが大切です。
充分に気力を回復させた後にはまず、自分のストレスがどこにあったのかを掘り下げて考えてみましょう。
私の場合は、職場を変えることで再発を防止出来ました。

まとめ

電話に出た彼女は泣いていました。

 どうしたらいいか分からない。
 どうしてこんなになってしまったか分からない。

真面目で一生懸命で優しい子です。
他人の眼をとにかく気にして必死に頑張った結果、自分を見失ってしまったようでした。
しばらく彼女の話を聞いた後、私にも同じ経験があることを話すと、とても驚いていました。
そして、少し安心したようでした。

電話を終えた彼女は、その後すぐに心療内科を受診し、燃え尽き症候群と診断されました。
診断書を提出して、今は休職中です。
元通りの元気な彼女に戻ってくれることを願います。

看護師という仕事は、本当にストレスが多いです。
心と身体が万全な状態で仕事に臨むことが出来ることはなかなかありません。
どこかに無理をしながら、何かを我慢しながら働いています。
それでも、医療に携わる立場にいる以上、他人の健康状態に対して責任ある立場にいるわけですから、万全とはいかないまでも、仕事に支障がでないような自己管理は必要です。

私がつらかった時に力になってくれた先輩が言ってました。

 取り返しのつかないことになる前に、休息をきちんととろう。
 誰かに迷惑をかけることを気にする前に、大切な自分自身を取り戻そう。
 患者さんの健康状態を考える前に、自分の健康状態を考えよう。

燃え尽き症候群でつらい思いをしている人が、少しでも楽になってくれたらうれしいです。

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