病気持ちの看護師が転職した話【追記・後日談あり】

鈴村さん(28歳・女性)
最初に入職した大学病院で体を壊す。今は都内の私立病院でチームリーダーとして働きつつも、雑誌への寄稿や、転職で悩む看護師のサポート活動をしている。

これは私が新卒で病んでから、転職するまでの体験談です。

私は病気が理由で、露骨な不採用を受けたこともあります。
それを隠して入職し、自暴自棄になったこともあります。

この記事は「転職の過程」と「その失敗から学んだこと」を書きました。
同じように病気で悩んでいる方のお役に少しでもなれば幸いです。

病んだ私が転職するまで

私は人と関わるのが苦手なタイプだった。
精神的にもそう強くはない。

結果として新卒後に病んでしまった。
心療内科に通院した。

「絶対にやめたくない」と思い踏ん張り続けた。
でも睡眠薬でも眠れなくなり3年で退職した。

少し休んでから仕事を探した。
病気のことを隠して入職した。

でも病気がバレないよう頑張りすぎた。
よくなりかけていたのに悪化した。
また辞めるしかなかった。

それからは面接で病気を打ち明けるようにした。

だけど反応は悪かった。
「なるほど…」
「うちは激務な方だし…」
「働くのは難しいかもですね…」

何度も不採用になった。

無職は色んな意味でプレッシャーだった。
早く仕事を見つけたかった。

また隠して入職した。
でも結局辞めることになった。
これを3回も繰り返してしまう。

伝えれば、仕事が見つからない。
伝えなければ、さらに悪化する。

引きこもった。

家族は静かに見守ってくれた。
でも「普通に働かなきゃ」というプレッシャーがあった。
働かない罪悪感があった。
妹の結婚式に出席できなかった(人生最大の後悔…)
肩身が狭かった。
負い目を感じ、家族と話すのも辛かくなった。
この先何十年も苦しまなければいけない。

絶望しかなかった。
そんな時期が5ヵ月ほど続いた。

でも転機があった。

転職サイトに登録した。
雑誌でもよく見る有名なサイト。

転職サイトの事務所はキレイなオフィスだった。
若い子たちが何人かいた。
みんな転職予定の看護師。
「若い人ほど希望する条件も多く、転職サイトに登録する傾向がある」と、あとで教えてもらった。

転職エージェントの担当者さんに会った。
30代の女性の方だった。
優しそうな方でホッと安心した。

(転職エージェントのTさん。笑顔が素敵なキャリアウーマン。)

個室に入り希望条件を聞かれた。
その時に、病んで辞めたことも相談した。

担当者さんも過去に同じような経験があったらしい。
親身になって聞いてくれた。

それからいくつかの病院をピックアップしてくれた。
気になる病院は一緒に見学に行ってくれた。
印象が良かった病院は、色々と情報を集めてくれた。

面接をすることになった。
病気のことは事前に伝えてもらった。
それでも良いという病院に面接に行った。
理解していただける面接官の方ばかりだった。
話もスムーズだった。

それでも職場は慎重に選んだ。
1か月もかかってしまった。

でもその結果、ずっと働きたい場所が見つかった。

持病は伝えるべきか?

伝えた方が良いと思う。

しかし、ケガや病気と言ってもさまざまある。
その中で伝えるべきものと、そうでないものがあるらしい。

ではどうやって分けるのか?
求職中の病気には2つに分類されるそうだ。

・仕事に影響しない(しずらい)
・仕事に影響する

「仕事に影響しない」のであれば、伝えないのもあり。
例えば一時的なケガや病気。
または慢性的であっても、持病を自分でコントロールでき、万が一症状が出ても対処方法を持っているようなケース。

「仕事に影響する」のであれば、伝えた方がいい。
精神的な疾患、慢性的な腰痛、後遺症のあるケガなど。

隠すあまり無理をして体を壊すことになる。
後でバレれば信用問題にもなる。
周りのスタッフからは「なぜ隠していたの?」と反感を買うことにもなる。
採用を決めてくれた面接官の方にも大きな迷惑がかかる。

面接で不利にならないのか?

もちろん面接ではマイナス点になる。
実際に私は何度も不採用となった。

しかし、それでも雇ってくれる職場は、やはり理解が得られやすい。
理解がある職場は、働くのがグンと楽になる。

私は転職エージェントのTさんを通じて、病気のことを事前に伝えてもらった。
面接には配属先の師長さんも出てきてくれ色々と聞いてくれた。
「シフトは配慮することある?」
「こんな業務があるけど大丈夫?」
「できない仕事ある?」

私は「月2回の通院日がある」「責任が重すぎると潰れやすい」「内気な性格であり職場になじむのは時間がかかるかも」と正直に伝えた。
その上で師長から「大丈夫じゃないかな」という評価を頂け、無事に内定となった。

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(職場で誕生日を祝ってもらった時の写真。右横の方がお世話になった師長さん。)

転職エージェントのTさんは大はしゃぎで喜んでくれた。
泣いてしまったら一緒に泣いてくれた。

私が働くには色んな条件があった。
条件にマッチする病院はほとんどなかった。
自分では見つけられなかった。
だから私の転職サポートは本当に大変だったと思う。
(Tさんありがとう。この場を借りて再度をお礼を申し上げます)
m(__)m

職場が病歴を知りたがるワケは?

これには複数の理由があるらしい。

まずは仕事への影響。
たいていの病院はギリギリの人数でやりくりしている。
その中で休職したり、できない業務があると死活問題となる。

また労災の保険料にも影響がある。
労災は利用者が増えれば、翌年の保険料が上がる。
誰かひとり使っただけでも、職場全体の保険料が上がる。
大きな病院ほど金銭コストが増えやすい。

さらに休職の影響もある。
休職期間中も給料が支払われる(約6割)
その給料は病院が負担しなければいけない。
働いてないのに給料を支払うのは、経営にとってやはり大きな負担になるらしい。
休職期間中は、代わりのスタッフを雇うコストも出てくる。
治療して復職できても「じゃあどこに配属させる?」「また休職するかもしれないのに担当を任せられない」という問題が出てくる。

また評判にも影響がある。
2018年の厚労省の発表によると「医療、介護」は、精神障害の労災が突出している。
こういった労災認定が続けば、企業はその名を公表される。
この悪評は非常に大きいらしい。
求人にも集客にも影響する。
だから企業は「労災隠し」をする。

病院側が病歴を知りたいのはこういった理由がある。
それゆえに採用には、かなり気を使っているらしい。

隠してもバレないのでは?

バレないこともあると思う。
しかし、バレると思っておいた方がいい。

面接では、休職歴や無職期間があれば突っこまれる。
もちろんウソを付くこともできる。
ただそういったウソは、不自然な矛盾が出やすく「嘘臭い…」と、何となく伝わる可能性が高い。
ウソを付きとおす話術があればよいかもしれない。
でも罪悪感は残ると思う。

また内定時の健康診断でバレる可能性もある。

働きだしてからは、業務中に症状が出て、バレる可能性がある。
もちろん自分では大丈夫だと思っている。
対策も練った。
けどイザその場面になると症状を抑えきれないことが出てくる。
そういったちょっとした違和感はすぐに伝わってしまう。
無理をしても隠し切るのは難しい。

転職エージェントには言うべきか?

言った方がいい。
もちろんコンプレックスを強く感じているようなときは無理する必要はない。

ただ伝えた方が楽になれる。
彼女らは、慣れている。
私のような「働くのに制限がある人」をよくサポートしているらしい。
相談しただけで気分も楽になる。

制限があっても働ける職場を見つけてもくれる。
病院との調整もしてくれる。

もちろん彼女らが「病気はお持ちですか?」と聞いてくることはない。
こちらから「実は…」と切り出すしかない。
勇気がいる。

でも言ってしまえば後が楽になる。

転職を振り返って

持病を抱えて働くのは辛い。

働ける職場も限られてくる。
周りの理解を得るのも難しい。

それゆえに転職活動は、かなり困難なものになる。

私は何度も失敗した。
同じように苦しむ人は大勢いると思う。

でも自分だけではどうにもならない時もある。
そんな時は誰かに頼ってみてほしい。

私は看護rooという転職サイトにお世話になった。
面倒見の良い担当者さんに出会えた。
感謝している。

もし本当に悩んでいるなら一度相談してみるといい。
登録するだけで手厚く面倒を見てくれる。
色んな相談にも乗ってくれる。

ハンディキャップがあっても、私のようにいい職場に恵まれる人が増えてくれると嬉しい。
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