看護師が腎臓内科に転職する4つのポイント。内情暴露まとめ

転職を考えている看護師のみなさん、こんにちは!
腎臓内科といえば、透析ですよね。

透析と言えば……
・残業が少ない、夜勤がない
・身体が楽
・給料が高い
・転職・復職しやすい
と言ったメリットが思い浮かびます。

将来の事を考えて、腎臓内科で透析ができるようになっておくと良さそうです。

でも、腎臓内科ならではのデメリットもあります。
やりがいが見つけにくかったり、クセのある患者さんが多かったり、スキルが偏ってしまったり。
「勤務待遇が良いから」と入職しても、すぐに辞めていく看護師もいるんです。

では、腎臓内科への転職に失敗しないためには、どうしたら良いのでしょうか。

腎臓内科の仕事内容について、詳しく知りましょう。

ここでは、腎臓内科の看護師が語る生々しい話をもとに、やりがいや仕事内容だけではなく、特殊すぎる患者さんの実情やトラブルの異常な多さ、腎臓内科のヤバい人間関係まで、しっかりご紹介します!

この記事を読めば、腎臓内科の実情がバッチリわかりますよ。

腎臓内科の仕事とは?

まずは、腎臓内科での看護師の仕事について詳しく見ていきましょう。

腎臓内科の疾患はイロイロあります

G.Yさん(28)
看護歴:2年
転職先:腎臓内科

私は、腎臓内科に転職して2年目の看護師です。
勤めている病院は450床と、地域の中核となる総合病院です。

入った当初は、どんな仕事をするのかわかりませんでした
でも1~2年も経つと、だいたいわかってきます。
先日看護師の友人に聞かれた内容と、ほぼほぼ同じ内容にはなりますが。
ここで語ってみたいと思います。

まず、腎臓内科ってどんな科という話から。
文字通り腎臓を扱うのが腎臓内科です。
外科だと腎臓以外の臓器も総合的に見たりしますが、腎臓内科では基本、腎臓のみですね。
腎臓一つで科があるって!
それぐらい奥深いってことです。

腎臓内科で扱う疾患について。
検尿の異常、ネフローゼ、慢性/急性腎炎、慢性腎臓病(CKD)、透析療法の必要な慢性腎不全、IgA腎症までと幅広いですね。

特に、患者数が多いのが「慢性腎臓病(CKD)」です。
かんたんに言うと「腎臓に何らかの障害がある」ってこと。
慢性腎臓病は、一度悪くなるとどんどん進行します。
その割には自覚症状があまりないので、気がつくとかなり進行している場合もあります。
進行すると、心臓血管障害や脳卒中といった合併症があるのも特徴ですね。

さらに重度の疾患でいうなら「末期腎不全」の患者さんもいらっしゃいます。
薬物療法や生活習慣の改善だけでは対処できず、一言でいうと「腎不全」の状態です。
つまり腎臓が機能していないということ。
だから腎臓の代わりとなる治療が必要になってきます。
治療の選択肢としては主に3つ。
いわゆる透析といわれる「腹膜透析」「血液透析」そして「腎移植」です。
医師は、患者さんの状態をみつつ、患者さんやご家族と相談し、どの選択肢を選ぶか?
といった流れで進めていきます。

次に、患者さんの年齢層について。
これも幅広い世代の人がかかっています。
検尿で異常が出たらまず受診することになる科でもあるため、4~5歳の子供もいれば、会社の検診でひっかかる30~50代の方もいます。
前にも言ったように、腎臓の異変は気付きにくく、一見健康そうに見えるけど実は腎臓の値が悪いなんてこともよくある話です。高齢者に限らず、健康そうな若い世代の方も多いですね。

男女比も同じぐらいですね。
そもそも腎臓は、糖尿病や高血圧といった生活習慣病が引き金で悪くなることが多いので、男性女性は問わずです。
それと、意外と多いのが妊婦さん。
妊娠中に血圧が高くなる「妊娠高血圧」は、腎臓にも影響があります。なので腎臓内科にかかってもらいます。

そういういこともあり、老若男女イロイロな科です。

腎臓一つで一つの科ができるように、腎臓内科は疾患も患者さんも幅広いです。
軽度~重度もさまざま。
たかが腎臓、されど腎臓!
幅広い知識がないとたちうちできない科だって思っています。

透析専門の職場もあるの?

病院によっては、透析を中心にしているところもあります。
透析を中心にしている病院の仕事内容を詳しく見てみましょう。

腎臓内科は検尿と透析ばかり

T.Aさん(27)
看護歴:5年
転職先:腎臓内科

私は、都内の腎臓内科専門クリニックに転職して1年目の看護師です。
うちのクリニックでは透析を中心に行っています。

透析中心っていうこともあって正直マンネリを感じてます。
一日の仕事をみても、ただただ同じ作業の繰り返しなんです。

まず基本的なところから。
投薬、点滴、注射、そして検査の介助ですね。
極めつけが尿検査。尿検査に明け暮れる日もあります。
あまりにルーティン過ぎて、ボーっとしてたら患者さんの検体を間違えそうになることもしばしば。
その度に、自分に喝!で乗り越えてます。

これに、透析の業務が加わります。
こんなことを言ったらやってる患者さんには申し訳ないのですが・・
これがやたら時間がかかります。

人工透析って、腎臓の代わりに血液を浄化することが目的。
だから、必ず患者さんとスケジュールを組んで定期的に行っていただかなければなりません。
腎不全の患者さんが人工透析しなかったら、尿毒症になってしまいます。
腎臓の病気は、異常があると他の器官にも影響を及ぼす怖い病気なんです。
それだけ透析は大切だってことを、看護師なら認識しておくのが当たり前ですね。

では、実際の人工透析の流れについて。
まず、人工透析といっても患者さんによって方法が違います。
大まかにいうと、血液透析と腹膜透析の2つ。
ほとんどの場合は血液透析です。
医師と看護師でどちらが行うか、透析内容について確認しておきます。

次に、透析前に患者さんの体重を測定します。
これは血液をろ過するのにどれぐらいの水分を取り除く必要があるか確認するためです。

そして、人工透析を実施します。
患者さんの腕や手首にハリを指し、チューブをつなげて透析機械に血液を送り、ろ過した後、再び体内に戻すといった仕組みです。

時間にして3~4時間。

この間に患者さんはじっとしていなければなりません。
本を読んだり、音楽を聴いたりして過ごしてもらっています。

終わると、再び体重測定。
血液内の水分量が患者さんにとって適切かどうかチェックするためです。
これがかなり重要な仕事。
透析を受ける患者さんは、ほとんど尿を排出できません。
だからその分体重は増える一方です。
この透析をすることには水分を外に出してあげるという意味もあります。
だからきちんと水分が排出できているかを判断する、体重測定がキーとなるわけです。

これで人工透析は終了です。

時間は長いけど、看護師はちょこちょこモニターをチェックするぐらいなので、業務量としては少な目です。
でも繰り返しの作業ばかりで。
患者さんはこの透析を、だいたい週に3回もやっていただいています。

正直、刺激が欲しい・・・

明日も何人の患者さんの透析を行うのか。
考えるだけで気が重たくなります。

腎臓内科でも、透析メインでないところもあると聞きます。
今は、別の病院に転職することを考えています。

看護師の役割とは?

腎臓内科では、看護師はどのような役割を求められているのでしょうか。
詳しく見ていきましょう。

腎臓内科の看護師は患者さんの相談役!

A.Kさん(28)
看護歴:消化器内科5年
転職先:腎臓内科

私は、消化器内科で5年勤めた後、転職して今は腎臓内科にいます。
250床の総合病院に勤めて2年目の看護師です。

仕事が落ち着いてくると、考える余裕があるせいか、出てくる疑問ってありますよね。
私にもあります。

「腎臓内科での看護師の役割って何だろう?」

今これで頭の中がモヤモヤしてますね。
モヤモヤしながらも3つかな~って思ってます。

その1:痒み対策
透析患者さんの痒み対策です。
うちの病院は透析患者さんも多くて。

人工透析をしている患者さんは、一般の人が効くような痒みを抑える薬が効きません。
痒くても薬に頼れず、食事制限や肌を乾燥させないといった対処療法しかありません。
だから「指導することが私の役目だ」って思っています。
特にリンの取り過ぎは要注意!
血中にリンが溜まると、肌がカサカサしはじめ、やがて強い痒みを感じさせます。
通常なら腎臓からリンは排出されるのですが、透析患者さんの腎臓はリンをほとんど排出できません。
摂取した分だけ体内に溜まってしまい、痒みだけじゃなく、高リン血症や動脈硬化といった恐ろしい病気にもつながっていきます。
とにかくリンを多く含んだ乳製品や加工食品はとらないようにこまめに指導してますね。

その2:痛み対策
人工透析は、行うたびに腕や手首に針を刺すため、痛みがあります。
透析自体に痛みはないのですが、この「針を刺す」痛みが週に3~4回、数時間以上続くとなると、誰だって辛いですよね。
痛みに対するやりようのない気持ちを、丁寧に受け止めるのも看護師の役割の一つ。

3~4時間×週3回~

やっぱり長いですよね・・・

患者さんには、できるだけリラックスしてもらいたい!
なので私は、透析室では用事以外、患者さんの近くまで立ち入らないように距離感を大切にしています。
患者さんに「透析に来るのが嫌だ。」と思われない雰囲気作りも大切ですよね。

その3:固定の患者さんとの付き合い
腎臓内科に通う患者さんは、だいたい固定です。
人工透析を受ける患者さんは、数年~数十年。転院しない限りずっと通い続けるので。
しかも週に3~4回来院するため、同じ顔触れになりますね。

患者さんの方も気さくに話しかけてくれたりするので、メチャクチャ仲良くなることもありますね。
ここに来た当初は、新米看護師だってからかわれたり、クレーム入れられたりと、悩んだこともありました。
今は、これからもずっと病気と付き合っていかなければならない患者さんにとって、気持ちいいクッション材になれたらと思っています。

腎臓内科は、透析患者さんが多いところ。
患者さんは、透析ならではの悩みをかかえがちです。
その患者さんに寄りそうのが看護師の役割なのかな~なんて思うようになりました。

腎臓内科のモンスターペイシェントとは?

循環器科には特殊すぎる患者さんがやってきます。
対応に困る患者さんの実例を聞いてみましょう。

腎臓内科特有のクセのある患者さんたち

O.Bさん(30)
看護歴:一般内科2年 消化器内科4年
転職先:腎臓内科

私は、都内の腎臓内科専門クリニックに転職して2年目の看護師です。
それまでに、一般内科、消化器内科と経験したわけですが、科によって患者さんの特色ってありません?

特にうちは透析患者さんが圧倒的に多くて。
その中でも、何人かはみんな親戚?ってぐらい同じ性格なんです。
あえて2つに分類させてもらうとこんな感じです。
(誤解される前に・・決して全員ではありません(汗)一部の患者さんです。)

まず、はっきりと気持ちを表すタイプの患者さん。
透析をしている最中でも、不快感やイライラを外に出してしまいがちです。
そのせいか、かなりの頻度で暴言を吐いたりします。

透析って、週に数回、1回に4~5時間かかります。
それって本当にストレスだと理解しているつもりです。

ベッドの上で拘束されている患者さん。
最初は穏やかに本を読んだりしています。
でも、突然切れることが多くて。

「もう、あんなたにやってもらいたくない」

このクリニックに来た当初は新顔ということもあってか、何度か言われた言葉です。
今はさすがに慣れました。
ここでは、患者さんと信頼関係がないとやっていけないなと思っています。

2つ目は、気持ちを表せないタイプの患者さんです。
このタイプの患者さんは、決して暴言をはくことはありません。
その分、行動でやっちゃってしまう方が多いです。

とにかく約束を守ってくれません!
透析をする患者さんは、水分や食事制限は絶対なんです。
私もしつこいぐらいに、守っていただくようお願いしています。

それでも、大胆に約束を破る患者さん、数名いらっしゃいます。

なぜわかるかって?

透析前には必ず体重測定をするのですが、だいたい二日おきに透析をするので、体重の変動もわかります。
二日前と比べて5キロ体重増えてる・・・
まずありえません!

聞くと、その患者さんは大好きなアイスクリームを毎日2L近く食べてしまったと。
透析をしても排出できる水分の量には限界があります。
出来る限り引くと、血圧が低下したり、嘔吐してしまったり。
患者さん自身が苦しむことになります。

それに、地味に八つ当たりしてくることもあります。
管理してくれない私や医師にも問題があるんじゃないですか?なんてサラッと言います。
返血に時間がかかり、その分他の患者さんを待たせてしまってるのもわからず、ただただ約束を破っては文句を言うの繰り返しです。

患者さんにとって透析は長い戦いです。
思わず八つ当たりしたり、わがまま言ったり、約束破ったりする気持ちもわかってはいるのですが・・
もっと、私のキャパが大きければ、患者さんの気持ちをやわらげてあげられるのでしょうか。

胃が痛いです・・・

まとめ

イメージ通り、腎臓内科は透析の仕事が多いことがわかりましたね。
ただし、透析以外にも多くの疾患を扱っていることもわかりました。

とくに、透析患者さんのストレスは計り知れません。
看護師は、介助以外に食事や水分の管理、透析の仕組み、そしてメンタルのサポートまで。
幅広く役割を果たさなければなりません。

全国で透析を必要としている患者さんのために、腎臓内科のドアをたたいてみてはいかがでしょうか。

循環器内科で働く看護師の苦悩。5人の転職レポート

循環器内科に興味がある看護師のみなさん、こんにちは。

循環器内科と言えば、
・総合病院の花形!
・スキルアップできる!
・やりがいがある!
看護師として、成長できる環境で働きたい。
そんな強い気持ちをもって働く人が多いです。

でも、循環器内科の仕事はご存知の通り、とてもハードです。
勉強することが多かったり、命に直結する怖さがあったり、急患が多く忙しかったり……。
やる気満々で配属希望をしてきた人たちの中には、現実の辛さを目の当たりにして辞めてしまう人もいます。

転職で失敗しないためにはどうしたらいいのでしょうか?

「仕事がハード」のイメージをもっと具体的にして、理想とのギャップを無くしましょう。
今回は、循環器内科で働きたいあなたのために先輩ナースが内情を暴露してくれました。

この記事さえ読んでおけば、循環器内科の内情もバッチリ。
入職前に知っておいて良かった!と思うこと間違いなしですよ。

循環器内科の仕事内容は?

さっそく循環器内科の仕事についてみてみましょう。

管理に始まり管理に終わる

K.Yさん(28)
看護歴:呼吸器外科3年
転職先:循環器内科

私は、呼吸器外科から循環器内科に転職して3年目の看護師です。
「肺や心臓の疾患を専門とした看護師になりたい」という変なこだわり?もあっての転職でした。

呼吸器は肺、循環器は心臓を扱うんだろうな。
最初はその程度の知識でした。
入ってきづくことって沢山あるんですね。

まず、扱う疾患の多さに驚きました。
例えば、高血圧、高脂血症、不整脈、心不全、狭心症、心筋梗塞、心筋炎、心膜炎。
そして、大動脈弁狭窄といった弁膜症や閉寒性動脈硬化症までとけっこうあります。

加えて最近では、エコノミー症候群で有名な肺梗塞が増えてて。
最初は、「え、肺だから呼吸器内科じゃないの?」と思ってしまいましたが、厳密にいうと肺動脈の塞栓だから循環器なんですよね。

仕事内容は主に2つ!管理と指導です。
循環器の疾患は高血圧や動脈硬化のような生活習慣病の合併症として起きたりします。
代表的なのが心筋梗塞!
なので、日ごろからの食事や水分管理が重要なんです。
その他にも、内服薬や安静にしてもらうことも管理の仕事です。

そしてもう1つが患者さんの指導。
今述べたような生活習慣病が発端になるため、管理ができていない患者さんに対して、指導もしなくてはいけません。
特に慢性心不全は、プライベートで病気の管理がうまくできない患者さんが、結果的に何度も入院を繰り返すことが多いんです。
糖尿病患者さんが甘いものを食べ過ぎて入退院を繰り返すのと似ていますよね。

循環器内科特有の仕事としてまず挙げられるのが、「心電図のモニタリング」です。
循環器病棟には、何台もの心電図モニターがあります。
常に心電図とにらめっこ状態。
アラームの鳴ることが頻繁で、だいたいが電極のはずれだけど、中には危険な不整脈を知らせる場合もあるので、気を抜けないのがモニタリングです。
不整脈は変調の兆し。
急変が起きるのも最初は不整脈だったりします。

あとは点滴が多いですね。
点滴はどこの科でもやりますが、呼吸器内科の点滴はとにかく微量なものばかり。
心臓を助けるカテコラミン類や、血管を拡張させるものは輸液ポンプを使います。
わずかな量の違いで重大事故につながりかねないので、気が抜けません。

そして、インアウトバランスも必須です。
入った水分量と出た水分量の差を意識することです。
特に急性期だと1時間おきに出すので、そのたびに差を確認するのが大変。
だから看護師のポケットには電卓常備です。
計算ミス一つが命に関わります。

循環器内科って細かいんですよね。
心電図から点滴や水分量の管理まで。
ちょっとした気の緩みがミスになりやすい。
その分、専門性は身につくので、しばらくはここで働きたいと思っています。

循環器内科はこんなところ

H.Bさん(27)
看護歴:循環器外科2年
転職先:循環器内科3年

私は、循環器内科病棟に転職して3年目の看護師です。
元々、循環器外科で2年働いていたのですが、内科も経験してみたいっ!ていう気持ちが抑えられなくなっての転職でした。

結果として、循環器の外科と内科、両方経験しちゃったわけです。

循環器内科ってどんなところ?
よく看護大学時代の同期からも聞かれます(笑)

循環器内科は、循環器外科と分かれている病院もあれば、2つをまとめて循環器科となっている病院もあります。
転職活動しているときに知りました。

具体的な話をすると、循環器っていうぐらいだから、とうぜん「心臓」全般を扱います。
心臓から送り出された血液や血管、血圧まで意外と幅広いんですよね。

疾患の例は・・・
心筋症、狭心症や心筋梗塞といった虚血性心疾患
弁膜症、先天性心疾患や不整脈
高血圧症、大動脈疾患、末梢血管疾患
他にもイロイロとあります。

これらの疾患の窓口が循環器内科です。
医師が患者さんと治療方法を相談し、その治療内容によって、循環器内科か外科に分かれていく感じです。

一般的な仕事内容は?
日常の業務は、他の科とあまりかわりません。
バイタルのチェックや、点滴、採血や清潔ケア、服薬管理に診察補助といった感じです。

特徴的な仕事といえばカテーテル治療です。
カテーテルの技術が進歩したこともあって、内科でもカテーテル治療はあります。
カテーテルって、血管やカラダに管を入れて治療するから、いちいち開胸しなくて済みます。
患者さんに負担が少ないこともあってうちの病院でも積極的にやってます。

私はなにしてるかって?(笑)
もちろん、心カテ検査の介助です。
検査は、大腿制脈からカテーテルを挿して心臓まで通します。
基本は検査目的だけど、冠動脈形成術といった治療目的で心カテをすることもあります。
治療の場合、特にスピードが要求されるので、医師についてテキパキと動き回ってます(汗)

あと特徴的なのが、薬物療法です。
心カテと併用して薬物療法も治療の一つに含まれことがあります。
いつもは薬物療法をしつつ、心カテで治療を行います。その後も、薬物療法を併用し、合併症や再発を防ぐのが目的です。

なので私も、心カテの薬物療法覚えるのに必死でした!

心臓って一歩間違えたら命に関わる臓器。
だから、開胸はしなくても、心カテする医師にも手術と同じぐらいの緊迫感はつきもの。
当然、私のような看護師もみな常にスイッチON状態ですね。

心疾患の知識は、場数をこなしていくことで自然と身に付いていきます。
開胸がないだけ外科より内科の方が、ある意味ラクなのかもしれません。

循環器内科の仕事はかなりハイレベルで複雑でしたね。
次は、その中でも大変だと感じる点についてみていきましょう。

働く看護師の悩みとは?

扱ってる器械が苦手!

I.Gさん(27)
看護歴:5年
転職先:循環器内科

私は、循環器内科に勤めて5年になります。
250床の総合病院で、循環器外科は隣に併設しています。

1度「苦手かも~」と思ったことってずっと引きずりますよね。

例えば、胸腔ドレーンの管理がその一つ。
うちでは、ごくたまーにある業務。
だからなおさら嫌で嫌で。
誰がやるかもめるぐらいみんなが苦手意識持っちゃってます。

うちにあるのは、普通のドレーンバッグと吸引機を使うタイプのもの。
ていうか、ドレーンのチューブが太すぎ!
ホント固定しづらいし、苦労して固定してみたものの、挿入部からの染み出しに悩まされてます。
感染兆候がないかドキドキしながらやってます。

機械の扱いだけならまだしも、結構細かいところも気を使わないといけなくて。
呼吸性変動がなくなったとか、エアリークがどうのこうのと、覚えることが多すぎて頭の中はゴチャゴチャ。
さらに苦手意識がついちゃうんですよね。

極めつけが患者さん。
ドレーンバッグを倒してしまう患者さんや、トイレから戻ってきて、吸引をつなぎ忘れる患者さん。
何かとりついているんじゃないかってぐらい、胸腔ドレーンには振り回されっぱなしです(汗)
「ドレーンバッグは患者さんの肺の延長だ!」って思うようにはしているんですけどね。
それでも苦手意識は取れません。

あとは、輸液ポンプですね。
これは、胸腔ドレーンと違って、ほぼすべての患者さんが輸液ポンプか、輸液ポンプ+シリンジポンプを使っています。

使っていただく分には問題ないのですが・・・
とにかく苦手なのがランプの点灯です。

動作確認用のランプがまぶしくて、夜間は特に「まぶしくて眠れない!」とクレームがバンバン来ます。

あまりにもクレームが多かったので、機器を最新のものに総入れ替えしました。
ところがです!
以前の輸液ポンプは動作中ランプは点きっぱなし。
入れ替えたポンプのランプは点滅。
「点きっぱなしの方がまだよかった。点滅は余計気になる!」
患者さんのクレームは倍増しました。

動作確認のランプだけにふさいでしまうわけにもいかず。
正直どうしようか解決していません。

循環器内科で扱う機械は独特で、ちょっとしたところで使いにくいと感じたりします。
そんな些細なこと!
最初はそう思ってたけど、日に日に苦手意識は高まるばかりです。
どうにかならないでしょうか・・・・

そして、どこでもあります、人間関係のゴタゴタ。
循環器内科にはどんな人がいるのでしょう。
みてみましょう!

人間関係のトラブルもイロイロあります。

N.Tさん(28)
看護歴:5年
転職先:循環器内科

私は、大学病院の循環器内科に配属されて5年目の看護師です。
5年もいると、色んな人に出会います。
患者さん、ドクター、ご家族。千差万別です。

その中でもかなり手こずったお三方がいらっしゃいました。
ある意味、そのお三方のおかげで私も強くなれた!なんて今なら思えます。
当時は地獄でしたけどね!(汗)

まず1人目は患者さん(Tさん、60歳)
禁煙必須だったのに、辞めてもらうまでに大変でした。
喫煙は症状を悪化させるだけ。
だからって、いきなり喫煙はできないのもわかります。

でも、Tさんは全く禁煙やる気なし!
1人で拒むならまだしも、周りを巻き込むところが厄介でした。
病棟内でお友達をいっぱい作って、集団で外の喫煙所までぞろぞろと移動してはプカプカ。
遠慮どころか、美味しそうに、どうどうとふかしてましたね。

Tさんの仲間のお一人に、歩行困難で車いすに乗った患者さんまでいました。
彼は、ポータブル酸素マスクを片手に、同室の患者さんに押してもらいながら、喫煙所に向かってましたね。
おそらく、タバコを吸って苦しくなったら、手に持ってる酸素マスクを装着する計画なんでしょうけど。
何度も注意をしましたがダメでした。

禁煙できない患者さんはTさん以外にもいます。
だいたいは、罪悪感を感じたり、陰でこそっと吸ってたり。
Tさんみたいな喫煙推奨派が一人でもいると、周りもまきこむリスクもあるので、正直病院全体が困り果てました。

そんなTさんはというと、病室に戻ると途端に「呼吸が苦しい!」って訴えてくるんです。
何度、「自業自得だろ!」と言い放ちたかったか。
そこは看護師。
ぐっとおさえて、「タバコ、控えましょうね。」と言いながらネブライザーとインヘーラーを出すことしかできませんでした。

「辞めてくださいね」とひたすら指導をしつつ、じっくりと待つことにしました。
やがて、Tさんは症状が少し悪化したこともあり、自分からタバコを辞めることになりました。
自分で「辞めよう!」と思わなければ、なかなかタバコを絶つってできないです。
見守ることも大切だと感じています。

2人目はセクハラする患者さん(Yさん、52歳)
セクハラする患者さんはうちの科に限ったことじゃないと思います。
でも、結構な頻度でいるんです。
特に、心筋梗塞で入院したけど、状態が落ちつき自立度の高い患者さんにありがち。

清拭や軟膏の塗布を頻繁にお願いしてくる人はセクハラ兆候アリです。
なぜか必要以上に服を脱いだりします(汗)

あとは、血圧を測るのにマンシェットを巻くときは要注意です。
わざと胸に手を伸ばしてきたリするので、胸が当たらないようにテーブルに腕はのせない状態で測定するようにしたりとチャンスを与えないよう必死でした。

3人目はドクター(循環器内科専門 Kさん、56歳)
偏見かもしれませんが、循環器の内科のドクターって神経質な人が多い気がします。
カテーテルや微量の点滴でもそうだけど、扱うものがデリケートな分、ちょっとしたことで看護師はすぐ怒鳴られたりします。

あとは、うちの病院だけかもしれませんが、循環器のドクターってだけで偉いらしくて。
以前は、心臓外科医が大学病院では幅をきかせてたらしいですが、心カテが主流になってからは循環器内科のドクターってだけでちやほやされてます。
そういう歴史もあってか、外科と内科の仲が悪い悪い!
循環器内科と胸部外科の合同カンファで、手術適応ありかカテで対応するか。
これはよくあるケース。
表向きは淡々と話し合うのですが、裏ではお互いにディスリ合いの確執だらけです。

ま~やりにくい!
これがホンネですね。
でも慣れてくると、自分の科のドクターの話をうんうん聞いておけばいいんだ!ってことに気づきます(笑)

看護師として働いている以上、いろいろな患者さんやドクターに出会います。
対処の仕方がわからないから悩むのです。
でも、コツをつかめば案外乗り越えられたりしますよね。
多少、クセのある人と出会っても今の私ならなんとかやれそうな気がします。

内科に共通する特徴とは?

最後に、内科共通の特徴について話してもらっています。
循環器内科も内科に所属する診療科の1つ。
同じ内科の看護師として話を聞いてみましょう。

内科を渡り歩いて感じたこと

K.Tさん(29)
看護歴:9年
転職先:循環器内科

私は、恥ずかしながら内科の中だけで転職を3度繰り返している看護師です。
元々内科に興味があって、結果的に内科ばかりを渡り歩いている感じです。

「内科」といっても沢山あります。
「循環器内科」「神経内科」「呼吸器内科」「消化器内科」「血液内科」・・挙げればきりがないぐらいです。
ちなみに、私が経験した内科は「循環器内科」「神経内科」「呼吸器内科」の3つです。

3つの内科を経験して、共通してわかった特徴についてお話してみたいと思います。

まず患者さんの特徴から。
ほとんどが慢性期の患者さんです。
中には急性期の患者さんもいますが、もともと慢性的な疾患を持っておられ、それが引き金で急性期になることはあります。

例えば、心筋梗塞だと、元々は動脈硬化を患っている慢性期の患者さんです。
それが、狭心症を発症し、やがて心筋梗塞といった急性期の患者さんに変わっていくこともあります。
なのでほとんどが慢性期ですが、中には急性期になっていく患者さんも混在しているというのが実態です。

あとは、高齢者が多いです。
一度この科にかかると完治するケースは少なく、長期にわたって治療することになります。
長い年月をかけた分、患者さんはご高齢になっていくわけです。
例えば、心筋梗塞の患者さんは、急性期の治療が終わったら完治ではありません。
そのあとも長く治療を受けながら疾患と付き合っていくことになります。

次に、仕事の特徴についてお話ししますね。
内科の看護師の仕事は、一般的な業務ばかりです。
バイタルのチェック、内服薬の与薬、点滴、食事や排泄介助、清潔ケア、診療補助そして検査介助です。

先ほども言いましたが、患者さんのほとんどが高齢者なので、寝たきりやADLが自立していないかたが多いです。
診療補助よりは、体位交換や食事補助、排泄の介助といった日常生活の支援が業務のほとんどですね。

最後に、内科で働いていて感じた特徴についてお話しします。
とにかく内科は、長期にわたって患者さんとじっくり関われる場所です。
もともと急性期で治療を受けていた患者さんがそのまま慢性期に移行してくるのもよくあるパターン。
さきほども言いましたが、その分在院日数が伸びて、長いと数カ月の入院になることもあります。

逆に、在院数が短いと、患者さんの気持ちを汲み取る事よりも看護師主体の看護になりがちです。
でも、在院数が長いと、患者さんと話し合いながら看護計画を練ることができます。

安心しきった表情でケアを受けてる患者さんを見ると、「信頼してもらってる。看護師やっててよかった!」と思えたりします。
大きな病院だと急性期だけを扱う内科もあるらしいですが、うちの病院は、急性期と慢性期どちらの患者さんもいたので、回復していく姿が見届けられてよかったなと思っています。

内科の診療科はいっぱいあるけど、共通する点も沢山あります。
だから私は転職できたのかも!今気づいてしまいました(爆)

まとめ

いかがでしたか?

循環器内科は、心臓をとりまく専門性を身につけられる場所でしたね。
点滴一つをとっても、デリケートなのがわかる話でした。
細かい知識と、高度な技術。
そういったところがインテリを感じさせるのかもしれません。
その反面、機器の扱い方や人間関係の悩みもある場所でしたね。

一つひとつ乗り越えながら、循環器内科で看護師人生の幅を広げてみてはいかがでしょうか。

消化器内科の看護師の仕事内容まとめ。内情・悩みを暴露!

消化器内科では、多くの臓器を対象としています。
食道、胃、小腸、大腸、肝臓、胆のう、すい臓……他の診療科と比較して、扱う臓器がダントツです。
また、消化器系はがんの発生率が高いため、がん患者さんと接する機会も多くなります。

・ターミナルケアをしたい
・化学療法に興味がある
・内視鏡の知識を身につけたい

消化器内科は、そんな看護師にオススメしたい診療科です。

ただし、精神的に辛くなってしまうことも多い職場です。
具体的には、「看取り」が多かったり、時間に追われたり、患者さんやご家族とのコミュニケーションが難しかったりします。
特に、がん告知や再発転移をお伝えする時は辛いですね。

それでも、消化器内科で働きたいと思う魅力とは?

あなたが知りたい消化器内科の看護師の役割、仕事内容、やりがい、悩みを全て、現役の消化器内科ナースの生々しい体験談でご紹介します!

リアルな消化器内科の実情と魅力を見てみましょう。

 

看護師の役割とは?

消化器内科の看護師が求められること

A.Uさん(29)
看護歴:消化器外科3年
転職先:消化器内科3年

私は、消化器外科から消化器内科に転職して3年が経ちました。
最近は、内科の看護師としてようやく周りのことが見てきたところです。

外科と内科、両方経験してわかった「内科の看護師としての役割」について話してみたいと思います。

まず第1に、内科はアセスメント力が大切です。
「患者さんの体の中で起きている異変に気づけるか?」
まずこれに気づくことで、確実に患者さんを救えます。
特に、高齢者や認知症の患者さんが多いと、患者さんは異変を訴えなかったり、訴えられないこともあります。
ちょっとした言動や視線の動きから、異変を敏感にキャッチする力が求められるのが内科の看護師だと感じています。

2つ目は「改善を常に心がけること」です。
「患者さんの居心地がよくなるかどうか?」
これは、看護師がただルーティンをこなすだけでなく「患者さんがもっと楽に!もっと安全に!」と考えられるか次第だと思っています。
体位交換、清拭、おむつ交換、口腔ケアや食事介助。
慣れれば誰でもできる仕事かもしれません。
でも、一つ一つのケアに対して「もっとよく!」ができる看護師さんだと、その分患者さんは楽になれたりします。

3つ目の役割は「患者さんと家族のメンタルケア」です。
ターミナルの患者さんのケア、その家族のケアなど、やらなければいけないことは沢山あります。
私自身、外科では忙しくてそこまで時間がさけませんでした。

でも、内科にはちょっとだけ時間の余裕があります。
この余裕は、仕事が暇とか、休憩時間とかではなく、患者さんとコミュニケーションをとるための時間という認識です。

患者さんやその家族のメンタルのケアも、内科の看護師の役割の1つです。
入院は、患者さんにとって、非日常的な出来事。
たとえ誤嚥性肺炎の治療や胃潰瘍の手術のためだとしても、日常から切り離され、病院のベッドの上でじっとしていることは、大きなストレスです。
さらに、慢性期や終末期なら、なおさら精神的な負担は大きくなります。

正直、外科に比べて時間に余裕がある分、内科の看護師だから求められる役割もあると思います。
それが、一つ一つの業務に時間をかけてやることなのかもしれません。
今の私にできる事!
それは、さらにアセスメント力をつけこと。
やがて患者さんの精神的な苦痛も和らげられる看護師になれればと考えています。

仕事内容は?

消化器内科は上から下まで幅広い!

U.Dさん(27)
看護歴:4年
転職先:消化器内科

私は、整形外科で2年働き、消化器内科に転職。看護師4年目です。
「内科も経験してみたい。」という単純な理由でしたが、気づけば丸1年経ってましたね。

消化器内科の仕事って意外と幅広いことに気づきました。

まず、消化器ってなに?っていう話から。
一言でいうと、「体の上から下まで」です。

つまり、食道、胃、小腸そして大腸といった消化器官。
これに、肝臓、胆のう、脾臓までみるのが消化器内科です。

けっこう幅広いですよね~。

患者さんの内訳は、圧倒的にがん患者さんが多いです。
医師の話によると、がん患者さんの6割ぐらいが消化器系らしいです。
消化器系って、がんの発生率が高い臓器。
だからうちの病院でも半数ぐらいの患者さんが、がんを患っています。

具体的な仕事内容はというと、だいたいが医師の介助と、検査の介助です。
1日のうち、半数以上この2つの業務をひたすら繰り返している感じです。
あとは、症状を観察、報告したり、点滴や診察の補助も入ってきますね。

最初は、「え、楽じゃない?」なんて余裕をぶっこいてました。
でも、慣れてくると、だんだんと仕事は増えますよね。(当たり前ですが・・)

特に、大変なのが、化学療法や放射線療法の看護です。
つまり、がん患者さんに対する仕事ですね。
消化器内科は、外科的手術はしないのですが、そのかわり、化学療法や放射線治療があります。
私はといえば、内視鏡治療も含めて、何一つ知らなかった!
しばらくは猛勉強しましたね。

一人ひとり、患っている部位が違ったり、症状も違うので、看護していくうちに知識の答え合わせもできるような。
そんな感じでなんとかやってきました。

消化器内科は、いろいろな疾患を患った患者さんが来る場所。
その分、知識や経験もいるけど、確実に手ごたえを感じられています。
がん患者さんに対するケアがもっとできたらな~と今は思っています。

内視鏡は1つじゃない!

I.Mさん(25)
看護歴:4
転職先:消化器内科

私は、消化器内科に転職して2年目の看護師です。
内科も併設されたクリニックに勤めています。

今では、「内視鏡といえば私!」というぐらい内視鏡の知識と看護には自信アリです(笑)

内視鏡といっても、種類がいくつかあるんです。
ぶっちゃけ最初、私は1つだけだと思ってました(恥)

内視鏡は、先端に小型カメラ(CCD)を内蔵した細長い管を消化管に挿し込み、食道、胃、十二指腸から大腸まで内腔を直接観察する装置。
ただ観察するだけでなく、生研や止血、ポリープの切除といった治療や処置もできる優れものです。
元々知ってはいたけど、見たい場所によって種類を使い分けるところまではちょっと・・・といった感じでした。

そして、検査方法もいくつかあります!
口からと、鼻から、そして肛門からもあります。
どこを見るかによって変わってきます。

例えば、食道や胃、十二指腸を見るときは、口か鼻から。
大腸や小腸は下半身に近いので、肛門から。
胆のうや胆管、脾臓の場合は、検査方法自体ががらっと変わったりします。

かかる時間もイロイロですね
胃、十二指腸、大腸、小腸はだいたい日帰りで5分~15分ぐらいですね。
でも、胆のう、胆管、脾臓は、入院が必要になったりします。
造影剤のアレルギー反応が起きることもあったり、出血や胆管炎といった合併症の起きるリスクも出てきます。

「内視鏡」といっても、扱う部位によって検査方法も違えば、かかる時間も違うってことですね。

最初は、全然知らなくて、医師に怒られたものです。
でも今は、部位だけ聞いたら、何がどれぐらいかかるか、一瞬で段取りできるようになりました。
何事も経験が解決してくれると実感しています。

内視鏡のことを知っていれば、たとえ今勤めている病院を辞めたとしても「他でも通用する!」と自信を持って言えます。

やりがいとは?

内視鏡検査って大変だけど奥深い

R.Mさん(28)
看護歴:6年
転職先:消化器内科

私は、300床規模の総合病院で消化器外科で5年経験し、消化器内科に転職1年目の看護師です。
どちらも消化器ってこともあり、意外とスムーズにやってこれた感じです。

その中でも私が一番やりがいを感じる仕事が、内視鏡検査の介助です。
病院自体、内視鏡に力を入れていることもあって、内視鏡検査が山ほどあります。
おかげで看護師の仕事の大半も内視鏡。
これにはホント詳しくなりました。

患者さんには少なくとも2回来院していただきます。
事前検査と、当日の内視鏡検査です。

まず、事前検査。
内視鏡検査の約10日前ぐらいにあります。
血液検査、心電図、問診といった流れで患者さんを介助します。

このとき、医師は患者さんに当日までの過ごし方の説明もしておきます。
特に重要なのが、検査前日から当日までの食事制限。
細かく言うと、ハードな運動、アルコール、出張や旅行も基本NGです。
あとは、服薬している薬があれば、その一部が制限されたりします。
そういうこともあって、内視鏡は予約制。当日いきなり内視鏡検査ってできません。

ほとんどの場合、当日までスムーズに進みます。
でも患者さんの中には、制限ばかりで窮屈に感じる方もいらっしゃいます。
そんな患者さんの気持ちを感じとり、説得するのも看護師の仕事ですね。

そして当日。いよいよ内視鏡検査です。
検査の前に、前処置室で準備があります。
時間でいうと5分ぐらいですね。

胃、十二指腸の内視鏡患者さんに対しては、麻酔や鎮静剤の投与と、消泡剤の服薬の介助があります。
小腸、大腸、胆のう、胆管、脾臓の患者さんに対しては、下剤服用の介助があります。
排便するのに3時間ぐらいと、検査までに少し時間がかかります。
大抵の患者さんは、食事制限がかかっている分、「早く検査を終わらせたい」と思っていらっしゃいます。

その反面、不安がる患者さんもいます。
内視鏡検査とはいえ、患者さんの中には初めての方もいらっしゃいます。
この前準備のときに、不安な気持ちを漏らしたり、どれぐらい時間がかかるのかの確認をする方は多いです。

そこで私たち看護師の出番です。
一つ一つ丁寧に質問に答えることで、こわばった表情が和むあの瞬間。
正直一番やりがいを感る瞬間ですね。
ちょっとした看護師の一言で、患者さんの気持ちって全然ラクになれたりします。
逆に、何の気なしの一言で、患者さんを不安にしてしまうことも。
無神経な看護師にだけはならない!って決めてます。

困った患者さんたち

B.Aさん(30)
看護歴:10年
転職先:消化器内科

私は、消化器内科に転職希望して、実際に配属されたクチです。
きづけば8年。ほぼベテランナースとして働いています。

自称ベテランの私にも、厄介な患者さんはまだまだいます。

最近対応した3人の患者さんについてお話しさせてください。

まず一人目のTさん(60歳)のケース
彼は、胃の疾患で、胃カメラを医師に進められていました。

ところが・・です!
とにかく胃カメラを拒否ってばかり。
誰がいっても全然ダメで、正直、病院全体が途方にくれました。

消化器内科の医師ですら、患者さんの希望に反して胃カメラを強要することはできません。
かといって、点滴治療だけでは退院できず・・
医師もお手上げ状態。
私はといえば、自分の経験上、「患者さんと時間をかけた分だけ信頼関係は作れる」という変な自信がありました。
医師にそれを伝えたら、私に任せる!とおっしゃってくれました。

そんなわけで、Tさんが納得するまで待つことに。
もちろん、胃カメラの説明や、かかる時間など合間に伝えながら、日常のたわいもない話を続けました。

その結果、Tさんは胃カメラをやってくれました。

最後の方は、「納得はできないけど私が言うなら」という理由でした。
微妙な理由ですが(汗)
でも、そんなところに看護師のやりがいはあると思っています。
患者さんとの信頼関係。
大切ですよね。

そして二人目のKさん(55歳)のケース

Kさんは、「とにかく退院したくない!」の一点張りでした。
実際、検査入院だったので、結果が出て治療をすれば退院という予定でした。

病院を追い出すことはNG。
とにかく話を聞くことにしました。

最初は、理由を言ってくれませんでした。
でも話していくうちに、自宅で自分が邪魔者扱いされているという理由がわかりました。
これが、意外とよくあるんです。
「自宅より病院のほうが居心地がいい」と感じる患者さん、結構いたりするんですよね。

結局、患者さんの気持ちを私が病院に代弁し、地域包括に入ってもらい、退院後は自宅ではなくいったん施設に入ってもらうようになりました。

最後に三人目のYさん(75歳)のケース

Yさん自身は温厚で寡黙なジェントルマン。
でも、ご家族が胃瘻造設に慎重で、ことあるごとに私に相談しまくってきました。
とにかく、家族の判断を否定することだけは絶対にしないよう慎重に話をしてきたつもりです。

ところが、実際に胃瘻を始めると、カラダに穴をあけて長生きさせることに罪悪感を感じるのか、後悔する方が多いんです。
患者さん本人ではなく、ご家族が。です。
挙句に「あなたならどうしてた?」と問われることも多くて。
言葉に詰まってしまいました。

「あのとき、どんな言葉を返せばよかったのか」今でも答えは出せていません。

3人の患者さんや家族に出会って、考えることは沢山ありました。
病気をかかえた患者さんは、孤独をかかえているということ。
何かを拒むには理由があるということ。
看護師は、患者さんの抱えているものに耳を傾けることが大切だと今は思っています。
これからは、患者さんや家族の疑問に少しでも答えられるような看護師になりたいと思っています。

消化器内科の悩みとは?

消化器内科を辞めたい・・・

Y.Gさん(29)
看護歴:7年
転職先:消化器内科

私は、総合病院から転職後、大学病院の消化器内科病棟に勤務して4年目の看護師です。
大学病院で働くのが私の夢でした。

でも、今。辞めたいと思っています。

きっかけは、麻薬の取り扱いミスでした。

約2カ月前。

主任が、ある一人の患者さんに、服薬する麻薬の錠剤を手渡しました。
その患者さんは、誤って錠剤を床に落としてしまったので、たまたま近くにいた私が薬を拾い上げ、とっさに水で洗いました。
洗っている最中に麻薬を排水溝に流してしまうというインシデントを起こしてしまいました。
今思うと、どうして洗ったのか・・・焦っていたとしか考えられません。

そもそも、その患者さんに配薬したのは主任でした。
「麻薬は患者さんが口に入れるところまで確認すること」がルール。
患者さんが口に入れずに床に落としたこと自体、主任は気付かず、代わりに気づいた私が、インシデントを発生させてしまったわけです。

消化器内科は、医療用麻薬を扱うことが多く、取り扱いはかなりシビア。
患者さんが麻薬を口にするところまで見届けなかった主任にも非はある。
でも、排水溝に流したのは私。
そのあとのカンファでは、なぜか私だけに非難が集中しました。
それ以来、麻薬扱いから除外されています。
今思えば、麻薬を洗うこと自体、素人の考えでした。
拾った時点で主任に報告すればよかった・・・と後悔しています。
ちょっとした判断ミスが、大きなインシデントにつながるのも、麻薬を取り扱う消化器内科にはありがちです。

それに、吐血や下血を見るのがもう嫌なんです。
緊急入院をする患者さんのほとんどが、吐血や下血を伴います。
入りたて頃は、おろおろするだけで何もできませんでした。
食道静脈瘤の患者さんが吐血することもあれば、胃潰瘍の患者さんが吐下血することも普通にあります。
大腸憩疾出血、ESD後の方の下血も頻繁にあるのが消化器内科です。

吐血や下血の対応は消化器内科の看護師にはマストです。
バイタルの確認、出血量の確認、意識レベルの確認、顔色、抹消循環・・・
看護師としてやるべきことは明確。
それでも、目の前で大量の吐血を見ると、頭が真っ白になることがいまだにあります。
シミュレーションはしているし、経験もあるのに、ホント情けないと感じています。

他にもあります。
消化器病棟は、とにかくイレギュラーなことだらけ。
緊急手術もその1つ。
手術だしに翻弄しつつ、検査も多くてバタバタ。

とくに夜勤当番への引継ぎのときは最悪です。
翌日の指示を受けようと、夜勤当番の人たちと先生を待っていても、大量の検査で遅れるのは日常。
引継ぎのギリギリの時間に先生がやってきては、指示を山ほど出したら去っていく。
そのあと残って、夜勤当番の代わりに私が指示内容をこなすという日々を送っていました。
イレギュラーだし、先生は忙しいし。
3時間程度の残業はあたりまえです。

あとはシリンジポンプの交換が意外ときついんです。
シリンジポンプの交換を知らせるアラームの音がうるさすぎて。
特に夜間だと、患者さんから怒られまくります。

ちなみに、輸液ポンプのアラーム音は「ピピピッピピピッ」ですよね。
でも、シリンジポンプの場合、「ピーーーーーッ」ってなり続けます。
この音は病棟中に響き渡ります。
聞くだけで、ゾッとします。

さらに、残量が少なくなると予備アラームも鳴ります。
予備アラームとアラーム。
毎回たたき起こされる患者さんのことを考えると、怒鳴るのも仕方ないなって思います。
正直、夜勤で仮眠中の私も何度も起こされてます。

他の科だったら、前もって1日1回交換することもできると思います。
でも、消化器内科はまず不可能なんです。
シリンジポンプを使う人ってだいたい麻薬だから。
麻薬の取り扱い上、残破棄するわけにもいかず、麻薬の返却や保管の手間を考えると、予備アラームの前に先に交換してしまうわけにもいきません。

辞めたい・・・

日に日に気持ちは増すばかり。
きっかけは麻薬を扱うインシデントでした。
吐血や下血。イレギュラーな業務によって発生する残業。そして、アラーム音に対するクレーム処理。
ツライことを挙げればきりがない。

他の科にはない独特な業務によって私の心は今折れかけています。
もうすぐ、違う科に異動願いを出そうと思っています。

まとめ

いかがでしたか?
想像以上に、消化器内科特有の仕事がありましたね。
内視鏡検査やがん患者さんの対応など、一般的なスキルではやりこなせないのが消化器内科。
やった分だけスキルアップできる科です。
その反面、麻薬の扱いや、患者さんの苦しむ姿に悩む看護師も多いことがわかりました。

誰でも最初からパーフェクトにはできません。
一つ一つ、消化器内科でしかできない経験を、積み重ねてみてはいかがですか。

看護師の呼吸器内科への転職ポイント。先輩6人の体験まとめ

看護師の皆さん、こんにちは。

呼吸器内科って、比較的新しい診療科ですよね。
最近は対象となる疾患が増加していることもあって、呼吸器内科が増えています。

呼吸器内科は、
・患者さんは子どもからお年寄りまで幅広く、コミュニケーションスキルが身に付く!
・慢性期の患者さんが多く、生活指導など寄り添った看護ができる!
というのが魅力です。

ただ、急変が多くピリピリしがちだったり、呼吸が苦しい患者さんを見るのが辛かったり、感染のリスクが高かったりと呼吸器内科ならではの大変さもあります。
仕事の忙しさ、精神的な辛さ、患者さんとのコミュニケーションなど、辞めていく看護師の理由は様々です。

では、呼吸器内科への転職を成功させるにはどうしたら良いのでしょうか?

まずは、呼吸器内科の仕事内容を具体的に調べましょう。
「こんなはずじゃなかった」を無くすことが、転職成功への秘訣です!

ここでは、呼吸器内科で働く先輩看護師のリアルな声を紹介します。
実際に先輩が経験した仕事から、自分の将来を具体的に想像してみましょう!

呼吸器内科のメリットは?

同期にも教えてあげたい。呼吸器内科はいいことばかり!

E.Iさん(29)
看護歴:6年
転職先:呼吸器内科

私は、循環器で4年、ICUで1年働いて来ました。
もっと楽なところで働きたいと思い、呼吸器内科に異動して1年経過したところです。

やっぱり、内科っていいですね。
ICUの元同期は、いつも「辞めたい。辞めたい」ばかり。
そのたびに私は、「内科はいいよ~。」と言っているのですが・・
呼吸器内科に入ってわかったのは、メリットがいっぱいてことかな。
その中でも3つありました。

メリット1.当たり前ですが、呼吸器に関するスキルが身に付くことです。
患者さんの呼吸をスムーズにするために酸素療法を行います。
酸素マスク、ナザール、ベンチュリーマスクや人工呼吸器を必要に応じて使い分けつつ行います。
最初は使い分けるだけでも大変。その上、サイズの違いも気を付けなければいけません。
ナザール一つをとっても、患者さんごとにサイズの違いがあるため細かい部分まで覚える必要もあります。
そうやって覚えた酸素療法は、他の診療科でも行うため、呼吸器内科での知識はそのまま応用できます。

メリット2.患者さん一人ひとりに対する臨機応変力がつきます。
呼吸器の疾患は、患者さんの生活習慣が原因になることが多いです。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)がその一つ。喫煙や受動喫煙が原因と言われています。
看護師が患者さんに対して、生活習慣を見直すように働きかけることで改善できたりもします。
対応した分、患者さんの症状が目に見えて良くなっていくと、「アドバイスして良かった!」と思えたりします。

以前勤めていたICUや他の循環器外科では、医師のサポート役がほとんどでした。
でも呼吸器なら、患者さんの禁煙プログラムを提案したりと、直接患者さんに働きかけることができます。
それがやりがいになったりするので、呼吸器にいて今のところ充実感を感じています。

メリット3.病室が明るいってことですね。
内科って高齢者のイメージが強いと思われがちですが(少なくとも私はそう思っていました)、呼吸器は若い患者さんもいます。
喘息は高齢者に限らず、お子さんも含め若い人もなる病気。その分病棟の雰囲気は明るく感じられます。
高齢者には申し訳ないですが、患者さんの年齢層が幅広い分、メリハリがあって明るいのも呼吸器内科の良いところです。

呼吸器なら患者さんとも関われるし、身に付いた知識は内科系ならどこでも応用がきくと実感しています。
最初は不安でしたが、今では本当に異動して良かったと思っています。

呼吸器内科のデメリットは?

転職してわかった呼吸器内科のデメリット!

R.Kさん(27)
看護歴:5年
転職先:呼吸器内科

私は、総合病院の呼吸器内科に転職して3年が経ちます。
病院は3号館に分かれていて、私のいる1号館は最近リニューアルされたばかり。
新しくて気持ちの良い職場で働かせてもらっています。

建物は気持ちよくても、仕事はそうはいかないものですね。
実は、いくつか悩みがあります。
悩みながら気づいたデメリットについてまとめてみました。

まず、急変が多いことです。
呼吸器は酸素を送り込むところです。ちょっとしたことがすぐに命に関わってしまいます。
急変が起きると、もう現場はピリピリモード。
とにかく素早く!正確に!
これができない日は本当に落ち込みます。
酸素不足で苦しむ患者さんの顔が夢に出てきたりします。
呼吸ができないってどれだけ苦しいか・・想像できますよね。

あと、残業が多いことですね。
急変が多いこととも関係しているのですが、急変が起きるとその分残業もあるということです。
喘息の発作は時間に関係なく起きるので、そのときにいた看護師がそのまま対応します。
脳に酸素が行かなくなると数分で障害が残ることもあるため、1分でも早く対応しなけばなりません。

「定時だから、はい、交代!」なんてありえません。

それと、スキルがあまり身に付かないことです。
呼吸器の専門的な知識を身につけたくて、総合病院を選んで転職したわけですが。
実際、高度な治療を行っている病院はごく一部だけだと入ってから知りました。
もっと調べてから転職すべきでした。
でも、ここで経験を積めば、今度転職するときは即戦力で採用されるのかな?と思ったりしています。

急変や残業は多少しかたないかもしれませんが、やっぱりスキルは身につけたいです。
次は、もっと最先端の治療をしている大学病院を狙っています。

仕事内容は?

呼吸器内科ってどんなところ?

B.Tさん(28)
看護歴:5年
転職先:呼吸器内科

私は都内呼吸器内科専門クリニックに勤めて5年になります。
呼吸器専門ということもあって、肺の細かな変化も見逃さない3Dの最新の16列マルチスライスCTなんかも置いてあります。

最初は、呼吸器内科ってどんな仕事があるのか・・
全くわからずにスタートしました。
でも、今ならわかることも沢山あります。

呼吸器って肺だけじゃないんです。
入職当初の私は、ぶっちゃけ「呼吸器」の知識が曖昧でした。
(私以外のナースはみな知ってるかもしれませんが)
鼻、喉、気道、肺、胸郭これだけあります。
これだけの器官で起きる疾患をみるのが、私の勤める呼吸器内科なんですよね。

正直、呼吸器内科と呼吸器外科の違いも、わかっていませんでした。
もう恥ずかしい限りです。
外科は、肺がん、自然気胸、胸部外傷、転移性肺腫瘍といった外科処置を伴う疾患。
内科は、風邪や上気道炎、急性気管支炎、肺炎や気管支炎。
さらに、COPD、肺がん、間質性肺炎まで呼吸器の外科的処置を伴わない疾患を扱います。
また、病院によって、外科と内科がMIXした「呼吸器科」というのもあることも初耳でした。

ちょっと驚いたのが、呼吸器内科は歴史の浅い科という院長のお話でした。
元々は、内科で扱っていたけど、呼吸器の病気、その中でも内科処置だけを切り離して呼吸器内科ができたらしいです。
院長の話は長いけど、歴史まで聞けたりするのでホント勉強になります。

呼吸器内科にくる患者さんの疾患はアレルギー疾患(喘息など)と、COPDが多いです。
もちろん風邪や気管支炎の方もいますが、それ以外はこの2タイプがほとんどです。
COPDは、ここにきてから詳しくなりました。
慢性期気管支炎や肺気腫とよばれてきた病気の総称ですが、タバコの煙みたいな有害物質を長く吸い込むと起きる疾患です。
喫煙習慣が多い中高年の患者さんが多いですね。
院長の話だと、喫煙者の10人に1人か2人がなる病気らしいです。
病院の階段上がってきただけでゼーゼーしている人を見ると、「COPDかな?」と思ってしまいます。

呼吸器内科に来る患者さんは子供から高齢者までさまざまです。
小児喘息のお子さんも多いし、今いったようなCOPDの中高年、肺がんを患う高齢者まで幅広いです。
特に高齢者は、他にも疾患を患っていたり、認知症の方もいらっしゃいます。
呼吸器だけでなく、常に全身の状態を気にしておかなければなりません。

「薬をきちんと飲んでる?」
「医師の話、理解できてる?」

といった感じで、いつもよりちょっと気にしてみたりしますね。
理解できていなさそうなときは、待合でもう1度わかりやすく説明しなおすことも大切だと感じています。

呼吸器内科にいればいるほど、「奥深いな~」とかみしめています。
患者さんもイロイロ。その分、看護師の役割は意外と大きいなとも思っています。
よし、もっと自分の腕を磨くぞ!

呼吸器内科の仕事は沢山あった!

R.Eさん(26)
看護歴:3年
転職先:呼吸器内科

私は、外科から呼吸器内科に転職してきました。
患者さんと深く関わりたいという気持ちが強くなり、念願かなっての転職です。
350床ぐらいの、アレルギー疾患を専門にみる総合病院です。

呼吸器内科って酸素療法ぐらいかな?なんて甘く見ていましたが、意外と仕事は沢山あります。

その1つが、COPD患者さん対応です。
COPDはタバコが大きな原因なので、禁煙指導や、生活指導が看護師の仕事になります。
正直、喫煙愛好家が多いので、なかなかハードな仕事です。
一人ひとりの患者さんの信頼を得るために、長い時間かかります。
患者さんが本気にならないと、正直私自身もスイッチが入らなくて。
だからお互いに本気モードになるまで、じっくりとお付き合いする気持ちが大切だと思ってます。
慣れてくると、本当にタバコをやめているか、こっそり吸っているか患者さんの様子だけでわかってしまうようにもなります。
たとえ禁煙できていないとわかっても、すぐに結果を求めてはいけません。
看護師の過度なプレッシャーは、患者さんを追い込んでしまうだけ。
少しずつ、本数を減らし、禁煙の習慣作りをサポートすることでようやく病状は回復の兆しを見せてくれます。

あとは、酸素療法も大切な仕事です。
酸素マスク、人工呼吸器を使うため、器械の使い方や種類を把握しなければいけません。
呼吸器内科の患者さんは、慢性期の患者さんが多く、劇的に回復することはなかなかありません。
その分、長くお付き合いすることになります。
投薬、採血や検査、注射や点滴といった基本的な仕事をこなしつつ、患者さんと会話をしたり、生活習慣の把握をすることが大切だと感じています。

呼吸器内科の仕事は、一般的な仕事のほかに、喫煙指導や、酸素療法など特殊な仕事も入ってきます。
今の私は、1人でも多くの喫煙愛好家を説得して、ちょっとでも改善できたらと思っています。

特に大変な仕事は?

呼吸器内科で大変なこと

T.Gさん(28)
看護歴:6年
転職先:呼吸器内科

私は、総合病院の呼吸器内科につとめて6年になります。
毎日、COPDや喘息の患者さんの対応しています。

6年間はあっという間だったけど、大変なことばかりでした。
何が大変かって?

まず、ウィルスや細菌の感染率が高いことです。
呼吸器内科特有なのかもしれませんが、疾患の中には感染性のものが多いというのが理由です。
ウィルス性の風邪や肺炎もそうですが、中にはマイコプラズマ肺炎や肺結核まで常に感染のリスクにさらされています。
咳やくしゃみみ1つで、飛沫感染や空気感染をします。
なので、神経質なぐらい院内感染予防を徹底しなければなりません。

すべての患者さんにマスク着用を義務付けるのは当たり前。
自分もマスクをし、うがいを日に10回ぐらい行います。
手洗いや消毒は患者さんごとに行い、とにかく感染=自分の責任です。

あとは、呼吸に苦しむ患者さんの対応が大変でした。
喘息もそうですが、呼吸ができない=死につながるため、苦しがる患者さんを前に、呼吸介助をしても収まらず、どうしようもできないことがあります。
常に緊迫した中にいながら何もできず、苦しむ患者さんの前に立っているときが、一番ツライですね。
私と一緒に働いていた先輩看護師のSさんは、「患者さんが苦しむ顔を見たくない」と言いながら辞めてしまいました。
それぐらい、苦しむ姿を見るのはツライですね。

そして、食事ですね。
食事ぐらい!とお思いになるかもしれませんが、もともと呼吸がスムーズにできない患者さんにとって、食事をとることがリスク。
NPPVで換気しなかったらSPO2は酸素が何リットルあれば維持できる?
カニューレで流量が足りないのなら、ベンチュリーマスクをかませる?
食事中のバイタル変動、食事時間はどれぐらいかけられるか。
酸素療法を行いつつ食事をとってもらうという行為はとても大変なことです。

リスクがある。大変だから。という理由だけで、患者さんの行動を制限することはあってはならないと思っています。
呼吸の安定と生活のバランスを保ってあげることが看護師の役割だと感じています。

呼吸器内科は荷が重い

T.Nさん(26)
看護歴:3年
転職先:呼吸器内科

私は昨年1年間、大学病院の整形外科で働いていたのですが、このたび欠員が出て呼吸器内科に異動してきました。
現在は、呼吸器内科に勤める看護師2年目です。

呼吸器内科は初めての経験ばかりでした。
その中でも大変だったことが3つありました。

1つ目は、急変や緊急が多いことですね。
日常的に、人工呼吸器の患者さんを看ていることもあり、頻繁に急変します。
そのかたわらで、緊急入院の対応も入ったり、やることが山積みになる日々でした。

2つ目は、夜勤です。
まだ入って数カ月でしたが、部屋の担当を任され、夜勤もありました。
喘息は夜中に発作が起きることが多く、私はといえば、てんぱってばかり。
隣の部屋の看護師に助けてもらうことしかできませんでした。
それにラウンドが遅くて、同じぐらいの年の看護師と比べられる始末。
そのたびに先輩の指導も入ったりするので「情けない。」と凹んでましたね。
今思えば、自分の精神的なキャパを超えていました。

それに、呼吸器の夜勤は、結構な頻度で急変があります。
ペーペーの私が部屋を任せられているだけでも気が遠くなりそうでしたが、先輩に叱られ呆れられてるのを知るとさらに落ち込むばかり。
それでもなんとか、乗り越えてきたつもりです。

最後に、インシデントや事故対策が異常に細かいことですね。
カニューレの事故抜去による窒息事故は、全国で年に数例起きています。
だからうちの病院でも事故対策なのか、厳しいルールがあります。
去痰目的じゃない気管カニューレの留置は抜けたら命に関わります。
だからカニューレの紐の結び方が重要!
ちょうちょむすびはNG。かた結びが必須です。
カニューレが外れないことが大前提です。

「細かいな~。」

最初はそう思っていましたが、今では患者さんの命を守るなら当然だと思っています。

大変なことは沢山あるけど、ある意味自分が試されているような気がしています。
とにかく、ルールを守って、やり続けることで自信になるとそう思いながら働いています。

まとめ

呼吸器内科ってどんなところでしたか?
呼吸器内科は特有の疾患も多く、生活習慣の指導もあるため、幅広い知識が身につく場所でしたね。
苦しむ患者さんのケア。健康維持のサポート。
突き詰めていくことで、やりがいを感じれる場所だということもわかりました。
そして、呼吸器内科で身に付けた知識は別の内科でも生かすことができます。
スキルをUPの場所として選んでみてはいかがでしょうか。

オペ室に転職したい看護師のためのパーフェクトガイド

オペ室に転職したい看護師のみなさん、こんにちは。

オペ室って、テレビドラマや映画で見かける場面が多い、憧れの職場ですよね!
テキパキと動き回る、できる看護師……
オペ室に転職して、そんなカッコイイ看護師になりたいなぁ。

でも、オペ室で働く看護師には辛い事もたくさんあります。
オンコール当番があったり、ハードワークだったり、患者さんと関われなかったり……
それに意外と、掃除や在庫管理といった地味な仕事も多いんですよ。

イメージしていたのと違う!とギャップに耐えきれず、辞めていく看護師もいます。

オペ室への転職を失敗しないためには、どうすれば良いのでしょうか?

それには、オペ室の事をちゃんと知る事です。

この記事では、オペ室の仕事内容や給料事情、転職のポイントまでをお伝えします。
なかなか聞けない「オペ室看護師の実態」を、オペ室で働く先輩ナースのリアルな声でご紹介します!

これさえ読めば、オペ室のことが丸わかりです。

手術チームとは?

オペ室に転職するなら、まず大前提として手術チームのことを知っておきましょう。

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引用:東北大学病院 Webマガジン「へっそ」より

オペ室では1つの手術ごとにチームを組んで働きます。

チーム構成は、執刀医と呼ばれる外科医、助手と呼ばれる介助医、麻酔専門の麻酔科医、臨床工学技士、そして看護師です。
※助手の数は手術の規模や病院によって異なります。

それぞれの役割は以下の通りです。

●外科医(執刀医)

手術の中心的存在となる医師。手術中、必要に応じて他のスタッフに指示を出す。その他、術前のカウンセリングや適性検査なども行う。

●介助医(助手)

執刀医が作業しやすいようにサポートする。

●麻酔科医

術前に、患者さんに麻酔薬を導入し、手術完了まで麻酔薬の維持を担当する。その他、患者さんの呼吸や循環機能の管理も行う。

●臨床工学技士

医療機器の専門医療職。主に、生命維持装置の操作などを担当する。

●看護師

直接介助である「器械出し」と、間接介助である「外回り」の2つを担当する。その他、オペ室のチームと他部署の連携を担う重要な役割も担う。

オペ室での看護師の仕事とは?

それでは次に、オペ室に転職したら必須の仕事である「器械出し」と「外回り」をジックリ見ていきましょう。

器械出し=直接介助

器械出しは、手術に必要な器機や器材を医師に手渡す作業を言います。「直接介助」「直介」や「手洗い」とも呼ばれています。

ドラマでは、執刀医に「メス!」と言われて看護師が差し出すシーンをよく目にしますが、まさにそれが器械出しの仕事です。実際は、手渡しは危ないため、「置き渡し」(メスを置いて渡す)をしています。

器械出しは、医師や先輩看護師の目が届く場所で行うため、新人看護師の登竜門的な業務でもあります。

その器械出しで1番大切なのがタイミングです。器機や器材を医師にタイミングよく手渡せると、その分手術時間が短くなり、患者さんへの負担を減らせるからです。

メスやペアン、セッシ、開創器や持針器といった器機だけでも数十種類あり、最初は覚えるだけで精一杯です。

でも慣れてくると、術野を見ながら医師の動きだけでタイミングよく機器を差し出すことができるようになります。

全科を担当すると、医師ごとに扱う機器も違えば、差し出すタイミングも異なることがわかります。

例えば、ハサミ一つをとっても長さや先端の細さ、曲がり具合はさまざまです。一つひとつ地道に覚えていかなければなりません。

よって、手術で一通りの器械出しをこなせるようになるのに、約2~3年はかかると言われています。

外回り=間接介助

外回りは、器械出し以外のすべての業務です。進行中のオペを客観的に見つめ、オペがどのように進行していくかを予測して、次に備える能力が求められます。

そのほか、術前~術後の患者さんのケアもします。業務の範囲が広いため、ある程度オペ室で経験を積んだベテラン看護師が行うことが多い仕事です。

具体的には・・・

手術中は、麻酔導入の介助にはじまり、術中のバイタルの変動観察、術野を見ながらのライト調節、準備したガーゼの枚数のカウント、そしてこれから不足しそうな器材をあらかじめ足しておきます。

手術後は、患者さんを回復室でケアし、手術室を退室するまでの看護を行います。

術中の医師は手術に集中しているため、器械出しに指示はできても、外回りの看護師まで手が回りません。

外回りは執刀医や麻酔科医の指示をもらわなくても、自分で先回りして動ける看護師にしかこなせません。

また、急変時は他部署とも連携を素早くとり、手術全体の進行をスムーズにする重要な役割も担っています。

そのため定期的に勉強会を開いたり、院内で他の部署(ICU,臨床工学士、医師や薬剤師、病棟看護師)と意見交換をすることもあります。

オペ室の業務の流れは?

それでは次に、オペ室看護師の業務の流れを見ていきましょう。
「手術前日、手術当日、手術中、手術後」に分けてみました。

手術前日の業務

手術前日は、外回りが中心です。術前訪問や情報収集などを行っています。

術前訪問は、患者さんを手術前に訪問して、リラックスしてもらうのが目的です。手術は誰でも緊張しますからね。食欲不振になったり、睡眠不足になったり、血圧が上がったりしてしまいます。だから術前訪問は、手術を成功させる意味においても結構重要な業務なんです。

情報収集は、担当医や担当ナースから引継ぎやヒアリングをします。アレルギー等の確認も含め患者さんの状態を把握しておくのが目的です。

手術当日の業務

手術の当日は、器械出しも外回りもフル回転します。

まず当日の器械出しは、器械の準備、滅菌の確認が中心になります。
細かな流れは以下の通りです。

  1. 手術で使用する器機や器材を確認
  2. 器機や機材の滅菌処理が完全か確認
  3. 手術時手洗い法に基づく手洗い(患者入室後)
  4. 滅菌されたガウンの着用
  5. 滅菌手袋の着用
  6. 滅菌されたシーツのかかった器械台に、滅菌処理された器機と器材をセッティング(数、破損、欠損がないか確認)

次に当日の外回りは、麻酔の準備、患者さんのサポートが中心になります。
細かな流れは以下の通りです。

  1. 麻酔方法を確認して医療機器と薬品をそろえておく
  2. 患者さんの年齢や術式に応じて室温や湿度、手術台の温度の管理を行う
  3. 患者さんの本人確認を行う(入室時に、患者自らに氏名を名のってもらう)
  4. 病棟看護師から引き継ぎを受ける
  5. 患者さんにモニター類を装着。麻酔導入の介助を行う
  6. 患者さんの体位を固定。圧迫部位の保護や保温を行う

麻酔を投入すると、患者さんの体温が急激に下がるケースがあります。低体温症にならないためにも、あらかじめ適温にしておくのが大切です。

手術中の業務

さて。
ついにオペ室の最重要ミッションである「手術中の業務」についてです。

まず手術中の器械出しから解説していきます。

手術中の器械出しは、その名の通り「器械出し」がメイン業務です。その時のポイントをジックリ見ていきましょう。

  • まず術野全体と執刀医が見渡せる位置に立つ。
  • 正確で的確な器械出しを行う。そのために、進行状況を常に把握し、展開を先読みしておく。器械を受け渡しする際は、執刀医の視野や操作の妨げにならないように気を付ける。
  • 手術に使用する器機や器材の使用方法を理解し、安全に取り扱う。
  • 切除した組織がある場合、名称と処理方法を執刀医に確認する。その後、迅速に外回り看護師に手渡す。
  • 急変時(予測外の出血、臓器の損傷、術式の追加や変更など)には臨機応変に対応。執刀医に指示を仰ぎ、必要な物品や人を要請する。
  • ドレーンを留置する場合、挿入部位や数量を執刀医に確認する。その後、迅速に外回り看護師に伝える。
  • 手術終了前、体内異物遺残防止に努める。具体的には、外回り看護師と協力し、針、ガーゼなどの数をカウントする。その際に、数があっているかどうかだけでなく、形状に欠損がないかも入念にチェックする。

続いて手術中の外回りを解説します。

チームの支援、患者さんのサポートがメイン業務となります。
順番にポイントを見ていきましょう。

  • 手術の進捗と患者さんの状態を把握。チームの支援を行う。
  • 出血量や尿量の測定。水分出納バランスを把握。
  • 出血量の報告(執刀医、麻酔科医)出血量が多い場合、輸血部から輸血用血液製剤を取り寄せる。
  • 他部門と連携。正確な情報の伝達や調整を行う(他部門とは、臨床工学技士、輸血部、病棟、薬剤部や病理などがあります)
  • 無影灯の調整をし、手術部位の視野を確保する。
  • 手術の進行を監視し続け、優先度を考えながら必要な器械や物品を補充しておく。
  • 切除組織の保存。器械出し看護師から手渡された組織を、名称と処理方法を確認して保存する。
  • 針、ガーゼなどの器械をカウントし、記録する。(器械出し看護師と協力して行う)
  • 手術中の看護記録を、素早く正確に書く。

手術後の業務

最後に術後業務の話です。

まず術後の器械出しは、片づけがメイン業務です。患者さんが手術室を出た後、スタンダードプリコーションに従って、器機や器材の後片付けを行います。

次に術後の外回りは、患者さんの術後ケアがメイン業務です。ある意味、最重要業務とも言えるためポイントを列挙してみました。

  • 手術体位の解除。創部の被覆。ドレーンの固定。
  • 気管内チューブ抜管操作の介助
  • 看護記録をもとに病棟またはICUの看護師へ申し送りをする。
  • 患者さんが手術室を出た後、スタンダードプリコーションに従って、器機や器材の後片付けを行う。未使用のものは返却。
  • 患者の退室を病棟かICUへ連絡(全身状態が落ち着くまで回復室で15~30分観察を行う病院もある。)
  • 患者さんの状態の観察。ヒアリング(術後の変化や傷の痛みなど)(術後訪問は大切で、病院も必要なケアと考えていますが、実際は余裕がないためできていない病院もあります)

身に付く看護スキルは?

オペ室では、他の診療科では身に付かない特殊なスキルが身に付きます。
どんなスキルが身に付くのでしょうか?まとめてみました。

  • さまざまな科の器機や器材、術式、解剖の知識が身につく。
  • 手術の進行を予測して先回りする力が身につく。
  • 他部署とのコミュニケーションスキルが身につく。
  • 患者さんだけでなく、執刀医や麻酔科医とやりとりを行うため、状況把握と判断力が身につく。
  • 言葉を発することができない患者さんからの訴えを聞き分ける力が身につく。
知識 技術
術式
消毒や滅菌処理
病理や生理
治療薬
麻酔
感染の扱い方
輸血の扱い方
麻酔薬の薬効
手術の流れ
術前の処置内容
体温調節の内容
合併症について
必要な検査項目
器機の取り扱い
器材の取り扱い
無菌操作の仕方
体位の取り方
手洗いの手技
ガウンテクニック
カニュレーションの方法
挿管介助の仕方
体温調節の仕方
申し送り

さらに言えば、診療科や執刀医によって「術式」「器械の名称」「器械の使い方」が微妙に違ったりするのも結構大変なんです。

1つひとつ覚えなければいけませんからね・・・。

オペ室の看護師は患者さんの「代弁者」

オペ室ナースの花形といえば、やはり器械出しですよね。

でも実は、それ以外にもオペ室で一番経験の差が出る仕事があります。何か分かりますか?

そうです!それが患者さんの「代弁者」としての仕事です。

オペ室の患者さんは全身麻酔をしていることが多いため、話ができませんよね。看護師が患者さんと会話ができるのは、術前訪問や入室直後、そして手術が終わって退室までのわずかな時間だけです。

患者さんは覚醒後は意識が朦朧としているため、しっかりと話すことはできません。

外来の患者さんは、血管迷走神経反射が起きても、「気分が悪い」「頭がくらくらしてきた」など言葉で症状を伝えられます。

でも、オペ中はそうはいきません。オペ中の患者さんの体は絶えず変化しています。寒さや痛み、そして不快感を体中で感じています。

看護師は、「患者さんがしゃべれないから仕方ない」ではなく、言葉以外の状態から、患者さんの訴えを読み取らなければなりません。

実は、言葉以外にも訴えを読み取るサインはあります。

例えば、モニターや血圧、心拍数がそれにあたります。

「あ、痛みを感じてる。」
「迷走神経刺激が起きてる。」

といったことを読み取れます。

顔色、体温、尿量、発汗具合からは、不快気分や体調の変化が読み取れます。さらには出血量、輸液のinから、心拍数の変化の判断ができる場合もあります。

このように患者さんは、たとえ言葉は発せなくても、常に生命兆候が変化していることを体全体で訴えています。

また、全身麻酔中の患者さんは、「恥ずかしい」という気持ちを表せません。意識はなくても、恥ずかしいと感じています。

そういった人間の倫理観を大切にして、患者さんに配慮することも、オペ室の看護師は求められています。

オペ室は人気がないの?

オペ室は看護師なら誰もが、多少なりとも憧れを感じていますよね。
でも実は、オペ室って人気がないんです。
え?それって本当なの?
はい、本当です。

コチラをご覧ください。

オペ室の人気の無さを物語る資料
引用:看護roo!「緊急アンケート(2)「配属どうなった?」|新人看護師特集【Vol.8】」

まず左側の「配属部署」ランキングにご注目ください。
オペ室は7位ですよね。

次に右側の「第一希望」ランキングをご覧ください。
オペ室はランク外で16位です・・・。

そうなんです。オペ室は配属される人は多いのに、希望する人が少ないのです。この差はオペ室に人気がないことを物語っています。

では、いったいなぜオペ室は人気がないのでしょうか?

それには4つの理由があります。

人気が無い4つの理由とは?

1.オンコールがあるから人気が無い

オペ室は、月に数回オンコール当番がまわってきます。

実はこのオンコールが地味にいやらしいんです・・・。

オンコール当番とは、呼び出しに備えて、自宅や周辺で待機する仕組みです。緊急手術などで電話がかかってきたら、ダッシュで病院に直行しなければいけません。

でも呼び出しが無かったら楽勝じゃない?

いえいえ・・・。

オンコール当番中は、想像以上に精神的な負担を感じるんです。飲酒はダメ、遠出もNG、行動の制限はあたりまえ。

さらに入浴中や睡眠中も常に「いつ呼び出されるだろうか?」と思い続けなければならないからです。

(入浴中に電話があり準備もそこそこに急いで病院に行って、スッピンを晒してドン引きされたトラウマが私にはありますけどね!)

そのうえオンコールの待機手当は、夜勤と比べてかなり少額です。行動に制限をかけられ、精神的な負担を負いながら、手当が激少ない。

この3拍子揃った悪条件が、オペ室の人気を無くす理由となっているのです。(オンコール手当はぜひとも改善していただきたい!!!)

2.ハードワークだから人気が無い

オペ室の仕事は大変だと聞いたことがありませんか?私はオペ室で働きだして7年たった今でも、仕事がキツイと感じることがあります。

ではなぜオペ室の仕事はハードワークになるのでしょうか?

それはオペ室の看護師が不足しているからです。

高齢化で手術件数は激増する一方、看護師の数はわずかしか増えていません。その差を埋められずに、看護師の数が追いついていないのが現状です。

実際に、手術件数は平成8年から18年の10年間で1.5倍に膨れ上がっています。

にもかかわらず、看護師の数は、1,250人→1,500名と1.2倍の増加にとどまっています。

でも看護師不足は、オペ室以外の一般病棟でも同じじゃない?

確かにその通りです。しかしオペ室と一般病棟、どちらが優先的に看護師が配置されると思いますか?

それは一般病棟です。

一般病棟の場合、看護師の配置数と診療報酬が直結しているからです。看護師の数が多いほど、診療報酬がアップし、利益となりますからね。

その中でも特に利益になるのは、7対1看護です。

1日の点数だけを見ても「7対1=1,591点」ですから、「15対1=960点」と比べてのその差は1.6倍と歴然です。

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ただし7対1看護には大きな問題がありますよね。

そうです。
看護師が大勢必要になる点です。

その一方でオペ室は、病棟とは違い、看護師をいくら増やしても報酬は変わりません。適切な数も特に決まりがありません。

むしろ看護師の人数が増えると、人件費も増え、オペ室単体で見ると赤字になることもあります。そのため、一般病棟とオペ室どちらも数が不足した場合、病院の利益に直結する一般病棟が優先されるわけです。

つまり病院としては、一般病棟の7対1を優先し、オペ室は後回しになるという訳です。

病棟の看護師不足の解消のために、オペ室の看護師を異動させることすらありますからね。そうなればオペ室の看護師はますます不足し、ハードワークになっていくと・・・。

これがオペ室の人気を無くす理由となっているのです。

3.転職で不利だから人気が無い

「オペ室で働くと、将来転職するときに困る」って聞いたことありませんか?

確かにその通りだと思います。

というのも、オペ室で身に付く看護スキルは、オペ室でしか使えないからです。一般の外科や内科では、使わないスキルばかりが身に付きますので。

でも、またオペ室に転職したらいいじゃないの?

まあそうなんですけど、違う仕事がしたくなる時ってあるじゃないですか。「オペ室はもう嫌!転職したい!」という感じで。

そんな時にオペ室しか選べないのはどうなのかな・・・と。

4.患者さんと関われないから人気が無い

患者さんと接する時間は、オペ室の看護師の場合、とても限られています。

術前訪問のとき、術中に麻酔がかかるまでの時間、そして術後訪問くらいでしょうか。数時間~2日間隔で激しく患者さんは入れ替わるため、1人の患者さんとじっくり関わることはほとんどできないんですよね。

看護師にとって患者さんとの関係は、仕事の醍醐味の1つですよね。それがほとんど無いという点において、オペ室の人気が薄い理由となっているようです。

確かに私も病棟からオペ室に来たときは、物足りなく感じた記憶があります。今は慣れましたけどね!(強がり!)

オペ室の悪評を書いてきましたが・・・

さて、オペ室の悪い点ばかりを見ると「やっぱりオペ室やめておこうかな・・・」って思いますよね。

でもオペ室は良いところなんです!(嘘くさい!)

冗談はさておき、オペ室の実情を知れば、看護師なら「やっぱりやってみたい!」って感じてもらえると、わりかし本気で思ってます。

そこで次は、オペ室の実情をご紹介します。

やりがいとは?

「オペ室ナースのやりがい」って何があるか分かりますか?
日本看護研究学会に書かれていたのでチョット紹介してみます。

オペ室のやりがいトップ10

  1. 意識のある患者さんへの声かけ、タッチングで不安をやわらげてあげる
  2. オペ中、意識のある患者さんに対してラクな体位を提供する
  3. 患者さんの体位固定をするときに、皮膚の損傷がないようにする
  4. 術前訪問で、患者さんや家族の不安の内容を把握する
  5. 意識下で、オペを受ける患者さんの表情を観察する
  6. 術前訪問で、患者さんや家族の不安に対してそれぞれ対応する
  7. オペ中、器機や器材を安全に医師に手渡す
  8. 器械やガーゼが体内に残っていないように観察する
  9. オペ中、器機や器材をすばやく医師に手渡す
  10. 患者さんの体的な状態を申し送る

いかがでしょうか?

うーん。皆さん優等生ですね!

ランキング1位~6位までが、患者さんと直接関わることにやりがいを感じているようです。私だったら「カッコいい!」とか「同期に自慢できる!」とか「夜勤が無い!」とかですね(クズです!)

では次に「オペ室の嫌な仕事」も書かれていたので紹介してみます。

オペ室の嫌な仕事トップ3

  1. ME器機の点検・保管
  2. 器械の点検・保管
  3. 摘出した組織類を手順に沿って処理する

わかります。わかります。

点検系はとても面倒だし、面白くないし、なんでここまで点検が必要なんだよ!って思うくらい、念入りにやりますからね。

患者さんの命に直結するってのは重々理解しております。それでも面倒なんです!(クズ!)

私はこんな感じですが、他の優等生な方々は、おそらく患者さんと直接かかわらない業務にやりがいを感じないのでしょう。

先輩ナースが語るやりがいとは?

それではここで、ネットで見つけたオペ室の先輩たちの「やりがい事例」を紹介してみます。

下関医療センター 手術室2年目 先輩看護師の声

手術室に所属して2年目の看護師です。

希望していた部署に配属されることになり嬉しい反面、手術室看護は6年のブランクがあり不安もありました。

次々と導入される最新の機械に奮闘する毎日ですが、先輩看護師のご指導と他スタッフのフォローにより、緊急手術にも対応できるようになりました。

手術は緊迫した雰囲気ですが、スタッフの年齢層は幅広く、大変アットホームな環境で楽しく働いています。

手術時間が長時間に及ぶと、集中力体力共に限界に達しそうになることもありますが、所属長の配慮とスタッフの協力により、ゆっくり休暇も取れワークライフバランスは充実しています。

手術室看護で大切なことは、患者さんの安全と苦痛や不安の緩和であると考えます。術前訪問で患者さんの情報を聞き入れ、個別性のある看護ができるよう日々努力しています。

術後訪問で患者さんが回復されている様子を拝見することで手術室看護のやりがいを感じています。

引用:下関医療センター 手術室 先輩看護師の声

患者さんの不安と苦痛を和らげることを大切に、患者さん一人ひとり、個別に対応する姿勢が素敵ですね。私も見習いたいです・・・。

千葉県がんセンター 手術室 高山梓さん

私は手術室で働いています。

手術室看護師は、術前診察や麻酔導入までの限られた時間の中で患者さんとコミュニケーションをとらなければなりませんが、限られた時間の中でも患者さんが安心して手術に臨めるような説明や声掛け、雰囲気作りを心掛けています。

また、麻酔で眠っている患者さんが安全に手術を受けられるよう、看護だけでなく、麻酔や手術に関する知識も深めるようにしています。

手術室でしか学べない看護が多くあり、やりがいや楽しさにつながっています。

千葉県がんセンター手術室は、手術室経験が初めての看護師も安心して技術を学べる教育体制となっており、スタッフ全員が質の高い手術看護を提供できるよう計画的に勉強会を行って、知識を深められる機会を増やしています。

また、育児と両立しているスタッフも多く、それぞれの働き方を理解し合い、ワークライフバランスが実現しやすい職場だと感じています。これからも、手術室看護師としての知識を深め、患者さんへ安心・安全な手術看護を提供していきたいと考えています。

引用:千葉県がんセンター 手術室 先輩看護師からのメッセージ

患者さんと会話できる時間が限られてるからこそ、麻酔や手術の知識を深め、自分を高めることで、患者さんの苦痛を読み取ろうとする姿勢が素敵です。

市立豊中病院 手術室 岡田藍子さん

市立豊中病院では各診療科の手術を、年間約6,000件行なっています。

新人でも経験者でも、全ての手術介助が行なえるように、基本的な技術から各科特有の技術まで、認定看護師を中心に丁寧に指導を行なっています。

手術室看護師窓口(術前外来)も開設し、早期より積極的に患者様に関わることで、質の高い周術期看護の提供をめざしています。

また、仕事と家庭を両立しているスタッフも多く、私自身も子育てしながら在職10年目になります。

これも、周囲の協力と理解があってのものです。ぜひ、一緒に頑張りましょう。

引用:市立豊中病院 手術室 先輩メッセージ

オペ室の教育体制がとても充実していることがわかります。周囲との協力体制もしっかりしていると安心して働けます。

香川大学医学部附属病院看護部 手術室5年目 田中陵さん

緊張感があるからこそやりがいも感じられる。私たちと共に成長しましょう。

私が手術室看護師を希望した理由は、手術を必要とする患者さんの手助けをしたいと思ったからです。

ここにはさまざまな疾患を持つ患者さんが入院されているため、手術の内容はその時々で違いますが、どの手術を担当しても細心の注意を払って対応することに変わりはありません。

緊張感のある職場ではありますが、さまざまな手術を受け持つようになるとやりがいも増えていきます。

手術を無事に終えたという達成感もあります。サポート体制も万全です。安心して入職してください。

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引用:香川大学医学部附属病院看護部 先輩からのメッセージ

オペ室はナースマンも多いです。

術式を覚えた分だけ、より多くの患者さんを担当できることにやりがいを感じてらっしゃいます。オペが終了したときの達成感は、オペ室ならではですね。

市立病院 手術室2014年入職 豊岡あかねさん

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入職した時は病棟希望だったので、手術室所属に決まった時は「絶対に無理!」と思いました(笑)。

手術室の看護は特殊性が高く、働きはじめた時は分からないことばかりでした。

そんな私を先輩方がやさしく、時には厳しく指導してくださったおかげで、少しずつ手術看護が分かってきたように感じます。

手術室特有の技術指導はもちろんのこと、病棟の経験がある先輩はそこでの看護についても教えてくださるので、患者さまの回復の経過を知ることができ、毎日の看護実践に役立っています。

看護の基本については、中央研修で学ぶことができます。認定看護師さんによる研修や勉強会も開催されます。私の場合は特に感染管理についての勉強会が、手術室での看護と深い関わりがあるため勉強になりました。

今は、手術を行う医師のサポートに加え、術前訪問などを行っています。

術前訪問では、患者さまに手術の説明したり、少しでも不安が和らぐようお話を聞いたりしています。そこで患者さまの要望を聞いて、できる限り治療や看護に反映できるよう、スタッフのみなさんと共有するように努めています。

最初は自信がなかった手術室の看護も、今はやりがいを感じるようになり、これからもここで成長していきたいと思っています。

手術室のもうひとつの特長は、スタッフの仲が良いことです。

イベントも開催され、看護師間だけでなく医師との交流も図っているので、チームワークは抜群です。先輩にはプライベートでも食事に誘っていだくことも。

いろいろ相談にのってくださり、励ましてくださるので本当に心強いです。

引用:市立伊丹病院 看護部サイト 先輩メッセージ

病棟希望でも、オペ室に配属になるケースはよくあるようですね。

最初は戸惑うこともありますが、先輩看護師の指導や、研修、勉強会と学べる場所が整っているため、少しずつスキルを身につけられる場所だということがわかります。

オペ室は看護師だけでなく医師との交流もあるため、チームワークが大切なのもよくわかるお話です。

求められるスキルとは?

オペ室ナースは「手術室」というある種の聖域的な場所で働きます。そんな場所で働くには、特殊なスキルが必要だと思いますよね?

オペ室に転職したいけど未経験だし・・・・。
自分なんかがやっていけるだろうか・・・。

では実際にオペ室ナースには、どんな能力が求められるのでしょうか?まとめてみました。

1.集中力

集中力は必須です。オペ室でのミスは命取りになります。

2.チームワーク力

オペは、執刀医、介助医、臨床工学技士、そして看護師のチームで行います。

もちろん1人ではできません。自分は何をやるべきか?常にチームの一員としての役割を意識できなければなりません。

3.コミュニケーション力

オペ室の看護師は、多くの人とかかわります。

患者さんや家族への連絡、執刀医や麻酔科医のサポート、他部署との連携をとるなどコミュニケーション力も必須です。

オペ室の看護師はこんな人が向いている

  • チームでやりとげることにやりがいを感じる人
  • 術前や術後の看護をもっとしっかりとやりたい人
  • 解剖生理について知りたい人

こんな人が向いていない

  • 患者さん一人ひとりを長くゆっくりと看たい
  • 一定の業務をしっかりとこなしたい
  • 緊急性の高い業務が苦手
  • プレッシャーに弱い

※特に患者さんとじっくりかかわりたい方は、病棟で働いた方が実現できるかもしれません。

オペ室の認定看護師とは?

オペ室では「手術看護認定看護師」が取得できます。

日本看護協会が認定する看護師(全21領域)の1つです。平成28年現在、全国に474人います。

認定看護師の役割は3つあります。

認定看護師の役割
  • 個人、家族及び集団に対して、熟練した看護技術を用いて水準の高い看護を実践する。(実践)
  • 看護実践を通して看護職に対し指導を行う。(指導)
  • 看護職に対しコンサルテーションを行う。(相談)
習得する知識と技術(一部)
  • 手術侵襲を最小限にし、二次的合併症を予防するための安全管理(体温・体位管理、手術機材・機器の適切な管理等)
  • 周手術期(術前・中・後)における継続看護の実践

参考:日本看護協会「認定看護師」制度について

では、実際に手術看護認定看護師として働ている、先輩看護師のお話を聞いてみましょう。

足利赤十字病院 手術室 認定看護師

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わたしは、手術室経験13年目、手術看護認定看護師として働いています。

手術医療は日々進化していて、新しい器械や手順を覚えるのは大変ですが、とてもやりがいのある部署だと思っています。

経験年数を重ねる程、手術看護の難しさや奥深さを感じています。患者さんにとって、予定通り無事に終わる手術を目指して、毎日の実践を確実に行っていきたいです。

また、認定看護師としては、業務改善や手術部門電子カルテ導入など、手術室内での活動をしています。

今後は、術前術後の患者支援ができるよう、周手術期看護に携わっていくことが目標です。手術という侵襲の大きい医療を受ける患者さんに少しでも安心してもらえるような手術看護を目指したいと考えています。

引用:足利赤十字病院 部署紹介 手術室紹介

飯田市立病院 手術看護認定看護師  近藤 美穂さん

手術治療を中心とした一連の期間を「周術期」と言います。

手術看護認定看護師は、この周術期にある患者さんの支援を主な役割として担っています。

麻酔科医師や外科医師とは違う立場で、術前からの患者様の準備状況や、麻酔・手術を行う上で問題となることがないかなど確認を行い、必要があれば医師や他職種と情報共有し問題解決を図るなど、調整役としても活動します。

手術室勤務の為、直接患者様と関わる時間は少ないですが、患者様が安心して周術期を送ることができるよう、医療チームと連携してサポートさせて頂きます。

引用:飯田市立病院 認定看護師 インタビュー

オペ室のキャリアパスとは?

1.オペ室でさらに経験を積んでスペシャリストになる!

オペ室で一人前に育つには4~5年かかると言われています。

しかしオペ室の看護師は、配属されて3年ぐらいすると「病棟も経験してみたい!」と思うようになり、実際に異動してしまうことが多いです。

オペ室は、中堅の看護師はいてもそれ以上の指導者やスペシャリストが育たないという大きな問題を抱えています。

だからこそ、スペシャリストは必要とされています。

越谷市立病院 手術看護認定看護師 渡部みずほさん

手術室ってどんな印象がありますか?

手術室の看護師には、手術を受ける患者様の精神的・心理的背景を理解し、心身ともに手術を受ける準備ができるようサポートする役割があります。
術前訪問にカウンセリングの方法や危機理論を用いると、より効果的な看護介入ができます。

認定看護師には、臨床の看護の質を底上げする役割があり、手術室看護師のスキルアップのために必要な技術やコーピング理論などの勉強会を行っています。
危機管理としては、急変時の対応はICLSを学んでいるスタッフにシュミレーショントレーニングを毎年行ってもらい、悪性高熱症などの各論は私が行っています。

今年は病棟からの要望があり、手術室だけでなく術前・術後の看護に関する勉強会を麻酔科医と共に行いました。
主に自施設の看護師を対象に勉強会をしたり、業務の見直しを行っていますが、今年は、手術看護認定看護師センターの講師として「体内異物残存」と「臨床での心理的支援」の講義を行います。
出版社より時々執筆依頼もあり、看護学雑誌には「知っておきたい麻酔の知識」オペナーシングでは「認定看護師ダイアリー」の執筆をしました。

今まで埼玉県には手術看護研究会がありませんでしたが、12月より自施設と他施設の師長たちの働きかけにより手術看護研究会が立ち上がります。
他施設との情報交換や学習会を行い地域の手術看護の底上げに協力していきたいと思います。

引用:越谷市立病院 手術看護認定看護師 認定看護師の声

2.オペ室の経験を他部署で発揮する

オペ室での経験は他部署に行っても役に立たないと言われています。

そう考えられる理由は2つあります。

一つは、病棟とオペ室の業務が全く違うからです。

実際、オペ室から病棟に異動すると、病棟では新人扱いされることが多いです。

もう1つの理由として、勤務体制の違いがあります。

オペ室では日勤がほとんどでしたが、病棟は夜勤があります。夜勤経験がない看護師にとって、夜勤は大きなハードルになります。

その反面、オペ室での経験や知識が他でも役に立つという意見もあります。

術前や術後のケアや、術式や薬剤の知識は、病棟にいる患者さんに通じるものがあります。これからオペを控えている病棟の患者さんにとって、オペ室上がりの看護師というだけで心強い存在だということ知っておいてください。

次は、オペ室での経験について先輩看護師からのメッセージを紹介します。

日本医科大学多摩永山病院  看護師歴8年目 Y.Sさん

  • 病棟と手術室の連携強化を目指して
  • 整形外科病棟で6年間勤務し、中央手術室に異動して現在3年目になるSさん。
    今後は病棟勤務での経験を手術室のスタッフに、手術室の経験を病棟のスタッフに伝えていくことで、病棟と手術室の架け橋としての役割を担っていきたいと言うSさんに、異動のきっかけや、仕事への想い、病棟・手術室それぞれの仕事の印象などを聞いた。

  • 現在の所属先ではどのようなことをされていますか?
  • 最初は整形外科の所属で、病棟看護師として勤務していました。病棟では、通常の看護業務に加えて新人看護師の指導や育成を担当するメンターもやらせていただきました。

    整形外科は手術の多い病棟なのですが、病棟看護をしていた私には、担当していた患者さんが手術室でどのような状況なのかがほとんど分からなかったので、手術室の看護には興味がありました。

    また、整形外科以外の病気に関する知識が足りないという思いもあり、解剖生理からしっかり勉強したいと中央手術室への異動を決意しました。

    手術室での仕事は、大きくは器械出しと外回りの二つがあります。

    器械出しは、手術中に執刀医に必要な器械を渡す仕事ですが、手術前の準備も大事な仕事です。

    以前、私が間違った準備をしてしまったことで手術開始が遅れてしまったことがありました。

    その時先輩に『手術室の看護は準備の時から始まっているんだよ!目の前に患者さんがいなくても、準備を怠ると、結果的に患者さんに影響が出てしまうんだよ』と言われ、自分の甘さを痛感しました。

    それ以来、全ての業務が患者さんの安全に通じていると意識して業務にあたっています。

  • 病棟看護と手術室看護の経験と知識を生かして
  • 「印象的だったエピソードを教えてください 」

    以前病棟で担当していた患者さんが再入院された時、私が異動したことを聞いて、わざわざ会いに来てくださったことがあり、とても嬉しかったです。

    また手術室でも『手術中に側にいてくれて安心』『病棟でも手術室でも知っている看護師さんがいるから心強い』と顔見知りの患者さんから言っていただいた時は、この仕事をしていて良かったと心から思いました。手紙をいただいたこともあり、今でも私の大切な宝物です。

    当たり前のようにやっていたことが患者さんの看護へとつながっていたんだと思うと、また頑張ろうと明日への活力につながります。

    手術室では患者さんの意識がある時間が短いので、限られた時間の中で患者さんの不安や緊張が和らぐようにお話することを心がけています。心配して待っているご家族のためにも、少しでも早く、無事に帰室させてあげたいと思っています。

    事前の入念な準備と状況を先読みして動くことが手術時間の短縮につながり、それが結果的に患者さんの早期回復につながるとの思いで、手術室の看護にあたっています。

    参考: 日本医科大学 多摩永山病院 ナースのメッセージ

病棟の経験と、オペ室の経験があるからこそ、疾病の知識も深まり、それぞれに身を置く患者さんの気持ちもわかるのかもしれません。オペ室の経験があると、患者さんからの信頼が厚いこともわかるお話でした。

給料事情は?

さて。話は変わって。
オペ室の給料がどのくらいか知っていますか?

高そうなイメージがありますよね。特殊な専門職だし、大変そうだし、カッコいいし(関係ない)

でも実は、オペ室の看護師って安月給なんです!(爆)
というのもオペ室は、日勤ばかりで夜勤手当が付かないからです。

でもオンコール手当てがあるんじゃね?

はい。そうですよね。オペ室にはオンコール手当てがありますよね。

でもオンコール手当って激安なんです(泣)1回につき1000円~2000円ぐらい、月に8回当番しても2万円弱にしかなりません。

ふつうの夜勤なら3交代制で1回5000円程度、2交代制で1万円手当がつくため、月平均6万円ほどが給料に上乗せされますよね。

だから病棟からオペ室に転職した人は、たいてい給料が下がります。(うちの病院の場合、病棟からオペ室に転属で月4万円ほど下がるようです)

でもオペ室は高給取り?

さて。
病棟からオペ室に転職すると、たいてい給料ダウンすると書きました。

でも夜勤病棟から日勤のみのオペ室に転職したら、安月給になるのは当たり前じゃない?

はい。確かにそうです。ご指摘の通りです。それを物語っているのがこちらの表です。

  日勤のみ
年収平均
夜勤あり
年収平均
特殊手当
オペ室 約450万 約490万 手術手当、オンコール手当、危険手当
病棟 約400万 約480万
外来 約400万

オペ室は、日勤のみであれば、病棟や外来に比べて50万円も高くなっています。夜勤ありで見ても、病棟より10万円高くなっています。

オペ室はオンコール手当以外にも、手術手当や危険手当などが付きますからね。

先ほどは「オペ室は安月給」と言ってしまいましたが、それはあくまでも夜勤病棟から日勤オペ室に転職したケースです。

日勤のみで比較するならば、そこそこ良い給料をもらっています!(テヘ)さらに言えば、夜勤をやっている高度医療のオペ室であれば、500万円近い年収となるでしょう。

ただし注意も必要です。

オペ室であっても病院によっては、危険手当がなかったり、手術手当が少額だったり、逆にオンコール手当が1回4000円とやたら高額だったり、緊急時の対応でさらに上乗せされたりもするからです。同じオペ室であっても病院が違えば、年収で100万円近い差になったりもします。

転職するなら、病院選びは慎重にしておきたいですね。

転職の7つのポイントとは?

オペ室の勤務体制や手当は、病院によって全く違います。

入職してから、「手当がない」「夜勤がある」「全然看護師が足りない・・・」と後悔したくないですよね。
確実に押さえておきたいポイントについてお話しします。

1.病院で実施している手術の種類

まず、病院の外科系の科の種類と数を確認しておきましょう。

外科系の科は、外科、婦人科、整形外科、脳神経外科、消化器科、皮膚科、眼科・・と沢山あります。

<幅広い知識と経験を積みたい人>
外科系の科が多く、手術件数の多い病院がオススメです。

「科」が多ければ、手術件数も多いということです。科ごとに術式と使う器機は違うこともあり、科が増えると覚えることも比例して増えます。

最初は覚えることだらけで大変ですが、経験を積むと外科系の幅広い知識を得られます。

<専門性を高めたい人>
科の少ない病院、もしくは単科病院がオススメです。

1つの科で多くの術式や症例に対する経験を積み重ねられるため、専門的な知識が高められます。

2.年間手術件数、手術室の数、看護師の数

まず、手術件数と看護師の数の2つを確認しましょう。この2つのバランスが取れている病院がオススメです。

また、病院の規模は大きいほうがオススメです。

規模が大きいほど、オペ室1室あたりの看護師の数は多いからです。

オペ室看護師の適切な数の算定例によると、大学病院の配置数の平均が3.31人(1部屋)です。対して、一般病院では、2.94人と3人もいないことがわかります。

大学病院のオペ室の数の平均が12.3室に対して、一般病院では平均7.5室となり、約5室少ないです。

つまり、大学病院の方が、オペ室の数も多ければ、看護師の配置数も多いことがわかります。

規模が小さい病院の場合、オペ件数も少なく、看護師も少ないため、病棟にまわされたりと業務が幅広い可能性があるため注意しておきましょう。

3.教育制度の有無と内容

看護師の配置数と同様、規模の大きな大学病院の方が教育制度も充実している傾向があります。

特に新卒、未経験でオペ室への入職を考えている方は確認しておきましょう。

4.オペ室専任か、病棟や外来との兼任か

オペ室やオペ件数の多い大規模な病院では、オペ室専門の看護師として勤務することが多いです。

一方、オペ数の少ない小規模な病院では、病棟や外来と兼務するケースもあります。

5.術前、術後訪問の有無

患者さんと少しでも多く関わりたいなら、術前訪問、術後訪問があるか確認しましょう。

訪問は患者さんと触れ合える場です。

6.勤務体制(夜勤/当直/オンコール待機の有無。月の回数と手当)

病院によって最も差があるのが勤務体制です。

  • 夜間どのような体制をとっているか確認しておきましょう。
  • 夜勤のみ、当直のみ、自宅待機のみ。もしくは、夜勤と自宅待機の変則もあります。

  • 夜勤回数と手当の有無
  • 夜勤の回数、手当の有無は、直接生計にかかわる部分です。確認しづらい部分ですが、あとで後悔して辞めてしまうぐらいなら、事前に遠慮なく確認しておましょう。

7.専任の麻酔科医の有無

オペ室専任の麻酔科医がいない場合、看護師の負担は増えます。

麻酔科医が変わるたびに看護師は、執刀医と麻酔科医の間でコミュニケーションを取らなければならないからです。相性の悪い医師同士だと、ややこしい人間関係のいざこざに巻き込まれるケースもあります。

上記7つのポイントの他に、あえてオススメしたいのが病院の見学です。

可能な限り、オペ室は事前に見学しておきましょう。現場を見て感じる空気や気づくこともあります。

求人を探すには?

実際に求人を探すとき、前述した7つのポイントを自分一人で調べるのはとても大変です。

働きながらだと、調べる余裕すらありません。転職サイトにある無料サポートを利用して、代わりに調べてもらうのも1つの手段です。

利用するメリット

  • 自分の代わりに転職のアドバイザーがやってくれる(転職アドバイザーが求人、病院見学の調整、病院との条件交渉、履歴書の添削、面接の日程調整や聞かれる質問内容など)
  • 職場の内部情報を教えてもらえる(職場の人間関係や有休取得率、離職率など)
  • 非公開求人を紹介してもらえる(一般には出回っていない条件の良い求人)

1度利用してみて、自分の希望するような求人がなければ、無料サポートの利用を終わらせることも可能です。

主な転職サイトのオペ室の求人数ランキングを紹介しておきます。(2016年11月リサーチ)

順位 転職サイト 求人数
1位 看護roo! 701件
2位 マイナビ看護師 502件
3位 看護師ワーカー 381件

まとめ

いかがでしたか?

オペ室は想像通り、執刀医や麻酔科医に囲まれかっこいい職場でしたね。

覚えることは多いけど、その分スキルが身につく場所だということもわかりました。

病棟には、オペ待ちやオペ後の患者さんもいます。オペ室の経験は病棟の患者さんを理解する上でも貴重な経験です。

1度オペ室のドアをたたいてみてはいかがでしょうか。

整形外科は楽だけど忙しい!?矛盾を徹底検証。転職5事例

看護師の皆さんこんにちわ。
メディカル調査員の川田です。

先日、整形外科で働く人たちと話をしてきました。
整形外科は急変がない、精神的に楽、仕事も楽、夜勤が無い、残業が無い、若い人が多い、出会いがあるなど、色んなメリットがあるようです。

しかしその一方でデメリットも多いようです。
特に多かったのが「忙しい」と言う意見です。

あれ?
けどメリットには仕事が楽って?
「楽だけど忙しい」ってどういうこと!?

そこで今回は「整形外科への転職」をテーマに、その内情を徹底調査してみました。
実際に整形外科で働いている看護師の方々に、話を聞いてきたのでご覧ください。

「整形外科は楽だけど忙しい」の謎が分かると思いますよ!

整形外科の「楽だけど忙しい」事例集

プレッシャーから解放されて仕事が楽しい

U.Oさん(20代)
看護歴:6年目
転職先:整形外科

私は6年目の看護師です。
呼吸器内科に勤務していましたが、整形外科病棟へ異動になりました。
整形ってこれまでの経験も活かせないし、勉強にもならないんじゃないかって思っていました。

それが今では、「自分は整形外科が向いている!」と自信をもって言えるようになりました。
とにかく今は仕事が楽しいんです。

まず整形の患者さんは基本元気な人がほとんどです。そのため病棟全体の雰囲気が明るいんです。
以前働いていた呼吸器内科では、酸素マスクをしていたり、呼吸困難のために長くは話せない患者さんが多くいました。
それに比べて整形では体に疾患やケガがあっても、話せる人ばかりです。
患者さんとの会話がとても楽しいですね。

また、初めてみるギプスの方法や、包帯の巻き方を覚えるのも楽しいです。
先輩が練習台になってくれたり、時にはドクターも混じって練習に付き合ってくれることもありました。
そのおかげで「早く覚えなきゃ」という苦痛はありませんでした。

偶然かもしれませんが、整形のドクターは穏やかな人が多いように感じます。
私が出会ってきたドクターは、患者に対して傲慢だったり、看護師の意見もきかないような自己中なドクターばかりだったので・・・
整形外科にはドクターが4人いますが、どのドクターも優しく、穏やかです。
さらには、レントゲンを一緒にみながら、見方や疾患の説明をしてくれます。
おかげで勉強するのが楽しくて仕方ありません。
それに、今まで身につけたスキルも、麻酔看護や周手術期の看護で活かせていますしね。

整形にきてからは死亡退院や急変でバタつく感じもほとんどなく、精神的なプレッシャーからは解放されました。
ただ、これまであまり勉強してこなった筋肉や骨格の解剖整理なんかも、ほんとうにたくさんのことを覚えなきゃいけません。
他にも良肢位や危険肢位、牽引、部位によって違う包帯の巻き方、退院後の指導やフォローなど覚えることは沢山あって大変です。
それでも楽しいと思えるのは、わからないことがきける恵まれた環境のおかげかもしれません。

出会いを期待するが・・・

I.Rさん(20代)
看護歴:新人
転職先:整形外科病棟

私は学校卒業後、強い希望で整形外科病棟へ入職しました。
というのも、整形外科と言えば患者さんの年齢層が低いため、ぶっちゃけ出会いが一番ある診療科だと思ったからです!
仲の良い看護師の先輩が整形外科で働いており、そこで出会った患者さんとめでたく結婚したというではないですか。私もあわよくば・・・

しかし、出会いなんてありませんでした。
比較的年齢が高い患者さんばかりで、独身の男性なんてほとんど入院してきません。

そもそも、うちの病院の主治医が得意とする手術は置換術なので、高齢の患者さんがメインになります。
20代の若い人がスポーツ障害で入院してくることはめったにありません。
患者さんのトイレ介助や食事介助、夜間の不穏患者の対応に追われ、休憩がとれないこともしょっちゅうです。
骨折で入院してくる若い患者さんもたまにいましたが、運命的な出会いとはいきませんでしたね。
新人は覚えなきゃいけないことは盛りだくさん。
毎日の業務をこなすのにいっぱいいっぱいで、楽しい雑談なんてしている余裕はありませんからね。

整形外科は患者さんの平均年齢が低いイメージです。
だからといって、患者さんに出会いに期待するのは間違っていました。
新人看護師の私はそんな余裕もないくらい毎日目の前の業務に必死です。
しかも、整形外科は他の病棟に比べて噂になる程忙しいみたいで・・・
それでも休日は積極的に合コンに参加して女磨きに励んでいます(笑)

希望の科とはほど遠い

K.Iさん(20代)
看護歴:新人
転職先:整形外科病棟

新人の看護師です。
私は看護学生のころからずっと、緩和ケア病棟で働くことを目標にしてきました。
緩和ケア病棟への配属を強く希望していたのに、結果は整形外科。正直がっかりして泣きました。
緩和ケアには程遠いといっていいくらいです。もう絶望しかありませんでした。

しかし働くうちに、気持ちも落ち着き、前向きになることができました。
整形外科にも緩和ケアにも通じる看護があるとわかったからです。

患者さんの中には、単純に骨折や腱を切るなどのケガだけでなく、原発性の骨腫瘍や、内臓の癌から転移した転移性の骨肉腫などもみえました。
そこで必要になる「疼痛の緩和の看護」は、緩和ケアでも役立つ知識です。
大きなケガを負って長期に渡り入院を余儀なくされた患者さんには、精神的なフォローも必要です。
また、家族も大変ショックを受けています。このような精神面の看護もとても大切です。

整形外科は専門性が高くここでのスキルは他で通用しない、みたいに決めつけていました。
整形外科って、患者さんの介助が多くて体力的に大変です。
でもそれと同じくらい精神面の看護や、疼痛緩和の看護も重要なんです。

整形外科で一通り学んでスキルを身につけることは、決して無駄ではないと感じています。
今は整形外科で一生懸命勉強して、いつかは緩和ケアで働けたらいいなと思っています。

認知症患者には気をつけろ

C.Oさん(20代)
看護歴:2年
転職先:整形外科病棟

私は整形外科で働いて2年になります。
整形外科は仕事が楽だと思っていました。

しかし、働き始めてすぐに、めちゃくちゃ大変だということが分かりました。
患者さんは高齢者ばかりで、認知症の方がすごく多かったからです。

うちの病院は毎日のようにオペがありましたが、そのたびに術後せん妄で不穏になる患者さんがいました。
術後歩ける状態じゃないのに、エレベーターの前で立っている患者さんを見たときは焦りました。家に帰ろうとしていたようです。
また、術創部や骨折などの痛みから、昼夜問わず大声で叫び続ける患者さんもいます。
なぜか鎮痛剤が効いてくれないんですよね・・・。
同室の患者さんからクレームがあることもしょっちゅうです。
特に夜勤帯に多いんですが、ベッド上安静の指示が出ていても、安静度が理解できずに徘徊してしまう患者さん。
徘徊防止対策をしていても、上手にすり抜けてしまいます。そして最悪の場合転倒してしまいます・・・もうやだ。
こんな感じで昼夜問わずバタバタしています。

オペが多いので各術式に対するクリニカルパスを使えば、看護師としてやることは決まってくるのでその点は楽だなと感じます。
でも認知症の患者さんが多すぎるんです。イレギュラーなことが多すぎて業務がはかどりません!
せめてもう少し、患者さんの平均年齢が低い整形外科に転職しようかな、と考えています。

ブランク明けですぐに腰を痛めてしまった

H.Nさん(30代)
看護歴:5年
転職先:整形外科病棟

私は地元の総合病院で内科5年の経験があります。
出産、育児のためブランクが3年ほどあり、このたび以前とは違う病院の整形外科へ復帰しました。

実は今、腰を痛めてしまい歩くのがやっとの状態です。
まさか私がギックリ腰になるなんて・・・
自慢じゃありませんが、私、肩や腰って凝ったことなかったんです。
だからとんでもなく過信していました。

はじめは、整形外科って想像上に体使うし、しんどいな~という感じでした。

入職前の説明では、患者さんのADLは比較的高いと聞いていたのに、車いすへの移乗やストレッチャーへの移乗、食事介助やトイレ介助と、介助のオンパレード。
また、清拭や着替えにも介助が必要な人が多く、毎朝の清拭の時間はスタッフ全員で行っても2時間かかっていました。検温に回る前にクタクタでした。
そして忘れられないあの出来事が起こりました。
100キロ近くある患者さんの車いす移乗をするのに、人手が足りず、呼んでも誰もきてくれない状況の中。
まぁできるだろうと、一人で移乗を行った時に、腰をぐきっとやってしまいました。
患者さんは気合で守りましたよ。

もちろん骨折や疾患の部位によってはADLが高い患者さんもいます。
しかしほかの病棟に比べても移乗などの介助が必要な人が圧倒的に多いです。
3年のブランクのせいなのか、年齢的な衰えのせいなのか・・・ギックリ腰にはショックを受けました。

そして先日2回目のギックリをやってしまいました。
もう介助がほとんどないクリニックへ転職することを
決心しました。

人気のクリニックで子供が犠牲に

C.Bさん(30代)
看護歴:8年
転職先:整形外科クリニック

私はシングルで3人の小学生の子持ちです。
この春から整形外科クリニックで働いています。
クリニックなら夜勤もないし、子育てとの両立も可能と考えていました。

しかし、思ったようにはいきませんでした。
人気があるクリニックだったので、仕事が忙しすぎたのです。

入職初日、昼休憩が10分しかありませんでした。
「忙しいから食べたら出てきて!」と言われあわてて食べて、水分もとるのを忘れてしまうくらいでした。
初日でまだ物品がどこにあるかもわからない状態で、ドクターから「ギプスの準備!」と指示されました。
どこにあるのかわからず、さらには聞ける人もおらず、あたふたしていると「できないならあっち行ってて!」とドクターに怒鳴られました。
勤務終了は19時のはずが21時近くになり、家に着いたのは21時半。
3人の子どもたちは、私の帰りを待ちながらおなかをすかせたまま眠っていました。
それを見て泣けてきました。

たしかに、面接でも「うちは忙しいからね」「残業も少しはあるよ」と聞いていました。
でもこれはひどいと思います。
子供が3人いてシングルだということ、子どものためにも残業は1時間以内しかできないともきちんと伝えていました。
了承を得て入ったのに、こんな勤務・・・子供たちの申し訳ない気持ちでいっぱいです。
入職前にもっと確認しておけばよかったと後悔しています。
入って5日経ちますが、もう今週でやめる予定です。やっぱり子供は一番に考えたいので。

「楽だけど忙しい」のまとめ

・整形外科が「楽」と感じる理由にはこんなことがあります。

  • 急変が少なく、精神的に楽。
  • アセスメントが楽。
  • 術式ごとにクリニカルパスがあるから観察が楽。
  • 軽快退院がほとんどで気分が楽。

「忙しい」と感じる理由にはこんなことがあります。

  • は覚えることがたくさんで忙しい。
  • やることが多くて忙しい。
  • 患者さんへの介助が多くて忙しい。
  • 転倒予防で忙しい。

「楽だけど忙しい」の矛盾には、整形外科ならではの理由があったんですね。

看護師が児童福祉施設に転職するための全知識

児童福祉説の風景
看護師の皆さんこんにちわ。
メディカル調査員の川田です。

最近は児童福祉施設で働く看護師が多くなりました。

子どもが心を開いてくれた!
悩みを相談してくれた!
一緒に楽しく遊べた!

やっぱり子供の笑顔は一番のやりがいです。

でも・・・。
現実はかなり厳しいです。
想像以上に大変で毎日のように頭を悩ませます。
複雑な感情の子供たち、一癖も二癖もある保護者、虐待するスタッフ・・・。

「転職やめておこうかな・・?」

不安になりますよね・・。

そこで今回は「児童福祉施設への転職」をテーマに、その実態を赤裸々にレポートしてみたいと思います。
実際の生々しい話もありますよ!

児童福祉施設とは?

まずは児童福祉施設について、おさらいしておきましょう。

児童福祉施設は、細分化すると全部で13もの種類があります。
児童福祉施設の細分化マトリックス図

施設名 役割 種別 コメント
児童養護施設 保護者がいない児童の保護 入所 身寄りのない子供のための施設。一般的に児童福祉施設と言えばココ。近年は虐待を受けた子供が6割と突出している
助産施設 入院できない妊婦の受け入れ 入所 産婦人科に近い
乳児院 身寄りのない赤ちゃんの保護。0~3歳ほど 入所 0歳児が約半数。まさに親代わり。看護師に人気の職場。
母子生活支援施設 家のない母子の保護 入所 経済的理由が多かったが、近年はDV被害が6割と急増した。守秘義務は特に厳しい。また知的、精神障害をもつ母も増えている。
保育所 子供たちの保育 通所 併設された児童グループホームと兼務、という保育所もある
児童厚生施設 子供たちの遊び場、学び場。児童館など 通所 看護師の求人は無い
児童家庭支援センター 児童相談所の補助 通所 看護師の求人は無い
児童自立支援施設 非行少年、少女の更生 通所
入所
感化院とも呼ばれていた
情緒障害児短期治療施設 心の障害をもつ児童の保護。後天的な障害。 通所
入所
上記の非行少年とは違うが、その線引きはあいまい。
知的障害児施設 知的障害をもつ児童の保護。先天的な障害。 通所
入所
近年は自閉症に特化した施設が増えている
盲ろうあ児施設 目や耳に障害をもつ児童の保護 通所
入所
施設の数は少ない
肢体不自由児施設 手や足に障害をもつ児童の保護 通所
入所
重症心身障害児施設 肢体と知的障害を同時にもつ児童の保護。重度の子が多い 通所
入所
看護師需要がもっとも高い

児童福祉施設と言えば、「身寄りのない子供が暮らす施設」というイメージですが、実は色んな種類があるのです。
これらを大まかに分けると「障害の有・無」「通所・入所」の4つに分類されているのが分かります。

ただその線引きは、障害のあるなし関係なく一緒に暮らしたり、通所と入所がセットになった施設があったり、実務上は曖昧なことが多いです。

全国の施設数

  • 児童養護施設:603か所
  • 母子生活支援施設:232か所
  • 乳児院:136か所
  • 児童家庭支援センター:119か所
  • 児童自立支援施設:58か所
※2016年厚労省データより

児童福祉といえば、やはり児童養護施設がダントツで多いです。
最近では未婚の出産が増えたこともあり、母子生活支援施設や乳児院が増え続けています。

施設の運営元

児童福祉の施設は、そのほとんどが公的施設です。
国や県のほかにも、行政から委託された、社会福祉法人、NPO法人など様々です。
児童養護施設に限って言えば、約9割が社会福祉法人です。つまりほとんどが業務委託です。行政の直轄は1割もないくらいです。

社会福祉法人と言えば、宗教系が多いことでも知られています。そのため施設にも宗教色が色濃く出ています。特に多いのはキリスト系でしょうか。日曜日にミサがあったり、食事前にお祈りがあったり、スタッフにシスターがいたり。
転職活動では、施設ごとに文化や雰囲気が全く異なるので、運営元や宗教などの背景も事前にシッカリ調べておきたい所です。

最近の動向

国は、児童福祉施設を「大規模から小規模へ」の移行を進めています。
大規模な施設だと「子ども一人ひとりをシッカリ見れない」という問題があるからです。確かに暴力や犯罪、自傷行為、精神疾患など、一般家庭と比べて多いです。
国はその問題を「家庭的な小規模施設」にすることで解決しようとしています。

ただそうなると問題になるのがお金です。
小規模化は確かに有効策ですが、コスト面で現実的ではありません。
特にスタッフの確保は緊急課題です。子供にシッカリとしたケアをするなら、スタッフの人数が必要不可欠です。ただ現状ではかなり不足しています。

その一方で、施設スタッフの役割は増え続けています。
衣食住、心理面のサポート、家庭復帰支援、学習サポート、自立支援。最近では退職後支援、地域の子育て支援、保護者との調整などの仕事も増えました。
にもかかわらず、それに対する報酬は据え置き…。スタッフが増員できず、結果としてサービス残業や休日出勤が深刻化しています。

という背景もあり、最近の児童福祉は「それなりに忙しい仕事」になっています。

現状の施設規模

国は、施設の小規模化を進めています。

では現状として、どのくらいの規模の施設が多いのでしょうか?

  • 定員20人まで:0.7%
  • 定員20人以上:94.1%
  • 定員100人以上:5.2%
平成23年厚労省調べ

20人以下の家庭的な小規模施設は、たったの0.7%です。
そのほとんどが中規模や大規模な施設です。

家庭的な施設の例

さて。
小規模施設が少ない現状がお分かりいただけたと思います。
でも実は小規模化は進んでいます。

え?少ないのに進んでるの?

はい。そのカギがユニットです。
ユニットとは、少人数グループ(10人以下)をひとつの生活単位(ユニット)に分けてケアするシステムのことです。ユニットごとに専用の居住空間とスタッフを配置して、大規模施設でありながら、家庭的な雰囲気を出せるという訳です。
このユニットが多くの施設で取り入れられています。
家庭的なユニット例

また普通の一軒家を使ったグループホーム型もポツポツと増えています。さらにはご夫婦で常駐スタッフをするファミリーグループホームもあります。
こういった小規模な施設では、料理や掃除、防犯、ご近所付き合いなどが学べるため、子供たちの自立にも効果的だと言われています。

大規模施設の例

大規模施設の例
ユニット化は進んでいますが、5割以上の施設はこの大舎制です。

児童福祉施設の基本的な待遇

待遇面は、施設によって大きく異なります。
病院以上に格差が大きいかもしれません。

ただここでは、一般的な児童福祉施設の待遇についてまとめてみました。

項目 評価 コメント
給料 約15万~28万 病院より給料ダウンする。ただそこまで低くもない。公務員扱いの公立施設は高め。民間はピンキリで格差が大きいことも。
福利厚生 公務員なら◎。民間は△。公務員は年金、退職金も良い。
夜勤 施設によっては宿直があることも。ただし病棟のように働き続ける夜勤ではなく、仮眠をとりつつ、見回りなど。オンコール当番があることも(重心など)
シフト 3交代制が多い。ただ病棟の3交代とは違い、子供たちの生活に合わせているため変則的。
例)
早番:7:00~16:00
遅番:11:30~20:30
宿直:15:00~翌9:00
土日出勤 × 365日稼働のため、休みは不規則。
求人数 × 病院と比べてかなり少ない。最近は非正規化も進んでいる。施設によっては看護師不要。
パート・アルバイト パートの募集はそれなりにある
仕事探し 求人情報は、色んな媒体に分散されているため探しずらい。県や市のホームページ、ハローワーク、地域雑誌、求人誌、転職サイトなどで探す。
仕事の難易度 低い 看護度は低い。感染予防、バイタル、通院、服薬など。重症心身障害施設は、看護度が高い
スキルアップ × 看護スキルは身に付きづらい。医療者としてレベルアップしたい方には不向き。
未経験 臨床経験があれば、未経験でもOK。小児科病棟の経験があれば〇。特に急変対応できる看護師は、歓迎される。また精神科の経験も役に立つ。
新卒 × 新卒は難しい。看護師1人の施設も多く、最低限の臨床経験は必要となる。看護経験2年以上などの制約も

給料

まず前提として施設の多くは社会福祉法人です。

社会福祉法人は、国家公務員に準ずる給与体系となっているため、まずまずのお給料となるでしょう。
もちろん病院よりも年収ダウンにはなりますが、補助金を上手に貰っている施設では、スタッフの待遇も厚かったりします。

ただし施設の給料格差はかなり大きいです。
経営者の方針によっては各種手当、ボーナス、昇給に大きな差がつきます。
良い施設と悪い施設を比べると、年収ベースで200万円近くの差になることもあるため、注意が必要です。

休日

休みは暦通りとはいきません。
スタッフが必要なのは、子供が施設にいる時間帯です。つまり学校が休みの土日だったり、連休だったり、夏休みや春休みだったりが一番忙しいのです。
また看護師といえども、スタッフが足りなければ宿直が回ってくることもあります。子供がケガや事故にあえば、夜間でも駆けつけなければいけません。補導された子を警察署に迎えに行ったりもします(汗)
トラブルが起きるのは意外と夜中が多いのです。

このように基本的には平日に休んで、土日出勤というシフトが多いです。
子育て中の方が働くのは、難しい環境かもしれません。

離職率

正直、児童福祉施設の離職率は高いです。
3年以内の退職は50%以上と言われています。実際の体感的にもスタッフの入れ替わりは激しいと感じます。

児童福祉はやりがいのある仕事ですが、人手不足、不安定なシフト、激務などの離職しやすい環境がそろっています。
特に最近は、施設に求められる役割が増えたともあり、激務に拍車がかかっています。
この仕事はやる気に溢れた方が多いのですが、そういった方ほど燃え尽きて辞めていくのもまた事実です。

児童福祉施設の仕事内容

児童福祉の仕事は、施設ごとに幅が広いです。

ただ共通する点も多くあり、まずはその共通点について、お話いたします。
(施設ごとの仕事内容については、後述します)

看護師としての仕事

児童福祉施設における看護師の仕事は「学校の保健室」と似ています。
子供たちの生活や教育サポートを行いつつ、その合間の看護業務となります。

看護業務は例えば、病児の看護や予防です。急病やケガの応急処置や受診判断から予防接種や健康診断の準備や介助、健康管理や健康状態も把握し、保護者から児童の健康相談があれば、アドバイスをします。
通院の付き添いなども看護師が行っています。
また風邪や感染症の予防に努め、施設内の衛生管理、感染症の対応マニュアルや保健だよりなども発行します。

まさに保健室ですね。

施設の看護師は、基本的に少人数です。「看護師は自分1人」という施設もあるでしょう。子供を通院させるときは、運転免許が必要だったりします(車は施設のものを使います)

ただ、看護の仕事はそこまで多くありません。
どちらかと言えば、養育の仕事の方が多いくらいです。
施設側も「看護もできる養育者」を期待しているでしょう。

このように児童福祉の仕事は、病院やクリニックとは全く違い、看護師というよりも養育者です。低年齢の子が多い施設では、保育士に近いです。養育と看護の間に立ち、子供たちの成長をサポートする柔軟性が求められるでしょう。

養育者としての仕事

看護師も養育者としての役割を求められます。
例えば、心理面のサポート、家庭復帰支援、学習、進学が就職の相談、自立支援など、まさに親代わりです。
昔は衣食住を重視する風習でしたが、今は時代が変わり、役割の範囲はかなり幅広くなっています。

ただし看護師は、ユニットを担当する療育スタッフとは違い、施設全体を担当します。
学校でいうと、療育スタッフがクラス担任で、看護師は保健の先生です。
ということもあり、子供ひとり一人とジックリ向き合うというよりは、広く浅くの付き合いとなるでしょう。
長年担当した子どもの卒業を泣いて見送る、という経験はあまりできないかもしれません。

けれども保健の先生だからこそ相談してきてくれることもありますからね。
そういった楽しみがあるのも、看護師の仕事なのです。

とある看護師の1日

  • 出勤
    07:00

    早番のため7時に出勤。宿直スタッフからの引継ぎ。朝の健康チェック。朝食の準備。

  • 登校見送り
    08:00

    子どもたちの登校準備。熱や風邪の子供の出欠判断。インフルエンザの季節はバタバタ。

  • 掃除や洗濯
    08:30

    子どもたちの登校後は、施設内の掃除や洗濯。他の指導員と一緒に行う。

  • 通院
    10:00

    持病を持った子供の通院付き添い

  • 昼食
    12:00

    昼食。就学前の子供たちと一緒に食べる。食後は順番に休憩に入る

  • 事務仕事
    13:30

    健康に関する事務仕事。健康診断の整理、保険だよりの作成、性教育の準備。体調が悪くなった子供を学校に迎えに行ったりも。

  • 子ども達の帰宅
    15:00

    子ども達が学校から帰ってくる。学校からの連絡事項を確認し、おやつを食べたり、一緒に遊んだり、宿題を手伝ったり。

  • 帰宅
    16:00

    朝の出勤が早いため、夕方は早めに終わる。宿直への引継ぎ

  • 残業や遅番
    17:00

    スタッフの出欠具合によっては残業も。夕食の準備、お風呂、就寝準備など。ケンカの仲裁も。なぜかこの時間帯によく起こる。

  • 中高生帰宅
    19:00

    部活を終えた中高生が帰宅。ご飯の準備。

  • 消灯
    21:00

    小学生以下は消灯。中高生はお風呂や勉強。心理的に夜が遅くなるほど本音が聞けるため貴重な時間だったりする。何気ない日常会話から、いじめや恋愛、将来相談などに発展することも。

児童福祉のやりがい

児童福祉は、やりがいの宝庫です。
臨床現場では味わえないような、ほのぼの、波乱万丈、感動、涙など、色んな楽しみがあります。

そんな児童福祉のやりがいを順番に見ていきましょう。

やりがい1:子どもの人生

児童福祉の一番大きなやりがい、それはやはり「子供たちの人生」でしょう!
児童が「里親への引き取られる」「家庭への帰宅」「社会人となり巣立っていく」ときは、スタッフ一同で大号泣、ということもよくあります。

また、生き生きとした子供たちと過ごす時間は、それだけで貴重です。病院は苦しんでいる方たちの看護ですが、児童福祉施設では、元気な子供たちが相手です。自分が落ち込んでいても元気がもらえたり、励ましてもらえたり、何だかんだで楽しい毎日です。
季節によっては、七夕やクリスマスの飾りつけをしたり、運動会をやったり、地域のイベントに参加したり、一飽きない毎日です。

もちろん、子どもの気持ちを読み取るは難しいものです。でもそれがまた楽しいのです。表情やしぐさを観察し、今の気持ちを理解してあげられる。関係を築くその過程は、それだけで大きなやりがいになります。子供たちは何だかんだで素直ですからね。コミュニケーション方法を模索していくことで得る学びも多いです。

児童福祉のやりがいの多くは「子供たち」です。
ここに喜びを感じれる方には、児童福祉はオススメです。
子どもの人生だけではなく、自分の人生までも豊かにしてくれますよ!

やりがい2:地域の一員

児童福祉は、地域のいろいろな方々と連携して働くことが多いです。
役所や病院、児童相談所、警察、保育園、学校、家庭裁判所などなど。

そのため「地域の一員」を感じられる楽しさがあります。
仕事を通して、色んな方と知り合いになれるでしょう。

ニュースやワイドショーでは、児童福祉の負の面ばかりが強調されています。でも実際には、地域や施設の支援体制は、かなり手厚いものです。

子どもたちはどのようにして守られているのか?

これを内部から見ることで、日本の児童福祉の本当の現状が理解できるでしょう。

その最前線に自分が関わっている!
この誇らしさもまた児童福祉のやりがいです。

やりがい3:頼りにされる

児童福祉の現場に、看護師はまだまだ少ないです。
そのため急なケガや事故などで頼られることも多く、必要とされている喜びを感じられます。
ただ生死に関する心理負担は、急変がほとんどないため、臨床現場ほど重くありません。
この辺りも働きやすさの大きなポイントになっています。

デメリット

さて。
ここまで児童福祉施設のメリットを中心に書いてきました。
ただ現実的にはデメリットのほうが多くあります。
そこでここからは児童福祉施設のデメリットを一気に書き並べてみます。

デメリット1:主役じゃない

まず児童福祉には「看護師が主役じゃない」というデメリットがあります。
児童福祉施設は、養育の場です。
養育における中心は教育であり、看護は補助的なものです。

もちろん看護は大事な仕事なのですが、施設の雰囲気的には、看護よりも養育中心ということです。

そうなるとスタッフの力関係も、養育者が強くなります。施設によっては看護師を軽視するところもあると聞きます。
実際に「看護なんて全然ないじゃん」「なんで看護師だけ給料が良いの」「大きな顔しないで」と心無い言動も言われたりします。
看護師が感染予防を提案しても「そこまでやる必要がない」「今のままで大丈夫」「無駄」などと採用されないケースも多々あります。

デメリット2:看護師が少ない

また施設内の看護師は、自分一人だけということあります。
悩みを分かち合う人がいないのはメンタル面で結構な負担だったりします。

さらに一部の施設は「何十年も務めるスタッフばかりで、閉鎖的な雰囲気だった」という話もチラホラ聞きます。

児童福祉に限らずですが、どこの職場も人間関係は大変です。
とくに児童福祉は、体罰、性的虐待、いじめ、暴力など毎年のように問題になっており、病院以上に大変かもしれません。
看護師にはそのケアや仲裁を求められるため、それなりの覚悟が必要です。

デメリット3:スキルが衰える

児童福祉施設は、医療行為がかなり少ないです。
これは精神的にはかなり楽なのですが、「看護スキルが衰える」というデメリットにもなります。

実際に、長年勤めた看護師が、病院やクリニックへ転職したくなっても「お断りされる」ケースが多々あります。
うまく採用されたとしても、まったく役に立てずに早期退職という話もよく聞きます。
医療現場から離れるのが3年や5年ほどであれば、何とかなるかもしれません。でも10年、20年であれば、かなり難しいでしょう。

そのため児童福祉施設に転職する方は、一時的な転職なのか、一生児童福祉でやっていくのか、をハッキリさせておいた方が良いでしょう。

児童福祉の現場で働く方の声

さて。
ここからは実際に児童福祉の現場で働いている方々の話を見ていきましょう

児童養護施設

30代
病棟3年、クリニック2年、児童福祉5年

児童養護施設を看護師目線で語ってみます。
私が働く施設には、結構大きな施設で、スタッフは30名近くで、そのうち看護師は4名。
子どもは3歳から18歳ほど。健常の子が多いですが、数名知的障害の子もいます。

この仕事は子どもの気持ちを理解しするのが大切です。意思表示が苦手な子どももいますが、行動や表情、言動を観察することから気持ちを汲み取っています。
看護師も、他のスタッフや保護者と連携して児童を見守っていきます。そのため、人間関係で落ち込んだり、意見が食い違っても、上手に付き合っていく必要があります。
児童だけでなくスタッフの健康にも気を配ります。季節の流行性の病気に気を付けてもらうように「インフルエンザの予防接種しましたか?」と声掛けしたり、「今日顔色悪いけど、大丈夫ですか。」と積極的にコミュニケーションをとることで、信頼関係を築いていきます。

信頼関係ができてくると、「この子、あまり口に出して喜ばないですけど、こういう表情のときは楽しんでるんです」「元気そうですけど、ちょっと風邪気味なので、何かあったらすぐ連絡ください」など、児童の気持ちや調子についても保護者から聞くことができるようになっていきます。

しかし、頻繁に病児を看るわけではないので「施設の方針が受け入れられない」「施設長の考え方に着いていけない」「看護師としての意味を感じられない」など、イメージとのギャップを感じたり、人間関係に溶け込めず去っていく看護師もいます。

また施設によっては、虐待もやはり根深いものがあり、今まで3つの施設で働いてきましたが、そのうち2つは結構酷い状況でした。
それを見るのも嫌ですが、指摘できない弱い自分も嫌になってしまうのです…。

児童養護施設は、働いてみないと分からないことも多いです。
転職する方は慎重に選んでください。

児童自立支援施設

50代
臨床8年、児童福祉6年

私がこの世界の飛び込んだのは47歳の時です。
子育てがひと段落し「さあまた働こうかな」と思うも、長いブランクのため病院に戻る勇気がなく、福祉の仕事を選びました。

やはり子供の笑顔は仕事の醍醐味です。私の勤める施設はヤンチャな子供たちが多いですが、一緒にバスケットをしたり、勉強をしたり、地域の運動会に参加したり、子供が日々成長する姿は仕事を超えた楽しみです。

ただその一方で、子供の残酷な運命、過酷な社会環境、理不尽な親御さんなどに対して、私たちができることは少ないのも現状です。そこに無力感を感じる毎日でもあります。
自分の人生をかえりみずに子供を守る素晴らしいスタッフもいます。でも自分にはそこまでの覚悟がなく、その劣等感にも悩まされています。

この仕事は自己犠牲が付きものです。
私のような中途半端な気持ちで働くのはあまりお勧めできないかもしれません…。

乳児院

40代
小児科6年、介護施設3年、児童福祉5年

私が勤める乳児院には、産まれたばかりの子から4歳の子まで20人ほどが暮らしています。
看護師は私一人です。
そんな乳児院での仕事を一通り書き出してみます。

予防接種のスケジュール調整(この時期の子は予防接種がとにかく多い!)
通院(何かしらの障害や持病がある子が多いです)
院内の感染予防
服薬管理
健康記録(看護記録のような)

これらは1日の仕事量でいえば3時間ほどです。
あとは他の保育士さんと一緒に子供お世話です。遊んで、食べて、洗って、着替えて、寝る!
まだ衣食が自立してない子ばかりなので、食事や着替え時はバタバタとした忙しさです。インフルエンザの季節はさらに大変!
うちの施設では看護師も夜勤アリなので、授乳や夜泣きなど、久しぶりにお母さんに戻った感じで、嬉しいやら、忙しいやら、懐かしいやら、色んな感情を楽しめています。

ただやはり医療者としてのプレッシャーは感じます。
看護師は私一人だし、医者もいないし、疾患をもった子も多いし、全ての医療判断が集中してきます。
最近は、小児脳性麻痺、ダウン症児、喘息、未熟児の受け入れも多く、児童福祉と言えども医療のレベルは求められます。
小児科の経験が大変役立ってはいますが、この先もずっと看護師としての役割を務められるかは不安があったりします。

乳児院で働きたいという若い看護師さんが多くなったと聞きますが、やはり一度は小児科を経験しておいた方が良いと感じています。

児童福祉施設のQ&A集

児童福祉の将来性は?

将来、児童福祉で食べていけるかは、心配の種だと思います。

結論から言えば、将来もそう困らず食べ行けるでしょう。
国の長期政策を見ても、子育てや福祉に力を入れており、仕事は今後も増え続けていくと推測されています。
社会的なインフラレベルで見ても、児童福祉は必要不可欠です。福祉のインフラが不安的な国は、犯罪率が高くなるため、日本政府としてもここだけは死守していくでしょう。
また需要の面で見ても、日本の経済状況が今後も悪くなり続けるため、経済的なネグレクトによる保護児童が増えていくと予測されています。

ただ心配なのは「施設から地域へ」をスローガンにしたノーマライゼーションの動きです。
障害者向けの施設は、その一部を縮小する傾向があります。実際に成人向けの障害者施設は数を減らしています。

この傾向が、児童福祉の分野にも広がる可能性もあります。
ただし児童福祉に限って言えば、減らせないほどギリギリの状況のため、大幅な変更が行われる可能性は少ないと思われます(推測および、期待ですが…)

このような事情もあり、児童福祉の仕事は「心配な面もあるけど、まあ大丈夫かな」という感じです。

小児科経験は必要?

小児科の経験が無くても大丈夫です。
ほとんどの看護師が小児経験なしで転職してきますし、子供たちは基本的に健康ですから医療行為はほとんどないのが実情です。

ただ緊急事態が起これば、看護師としての対応が求められます。
その時にはやはり小児科の経験が生きてきますし、対応できる看護師が重宝されます。

小児科の経験は必須ではありませんが、あれば役に立つ可能性が高いです。

スキルアップできる施設は?

障害や疾患を持った子が多い施設は、医療行為もあるため、

例えば、訪問看護や重度障碍児の胃婁をするような勤務先ならスキルアップが望めるでしょう。

ただ病院と比べると、どうしても医療業務は少な目です。
スキルアップがしたいのであれば、やはり病院がオススメです。
「でももう病院は嫌…」という方は、病院以外で活躍できる職場を探してみましょう。
参考:看護師の資格を活かした病院以外の仕事

働く看護師の年齢層は?

40代、50代の方が多いです。
最近は60歳の定年後に始める方も増えてきました。

逆に30代の方は、かなり少ないです。
学校が休みの時ほどシフトに入らなければいけないため、家庭との両立が難しいのが大きな要因だと言われています。

また20代の方も少ないです。
やはり看護スキルは身に付きずらいため、敬遠されているようです。
私個人としても、若いうちは看護スキルを身に付けられる職場が望ましいのではと思います。

看護師は補助金目当て?

施設によっては看護師がいると補助金が出ます。
そのため補助金目当てで看護師を雇う施設もあります。そういった施設では看護師としての仕事が少なく、立場もかなり弱いため、働きづらいかもしれません(逆に楽という声もありあますが、汗)
実態を探るには、入職前にボランティアをしたり、働いているスタッフから話を聞いたり、転職エージェントに調べてもらったり、情報を集めて見極めることが大切です。

まとめ

いかがだったでしょうか。
児童福祉施設は、やりがいも多いですが、大変な面も多くありました。
施設によっては、給料が不当に低かったり、スタッフの質が悪かったり、特殊な経営者だったり。

また病院とは環境が大きく違うため「自分がやっていけるのか?」も悩ましいところです。

施設によって当たり外れが大きいため、「思ってた職場と違った」「仕事が合わない」「もう辞めたい」という失敗談をいくつも聞いています。

転職の失敗を無くすには、例えば転職サイトがよく利用されています。
転職サイトに登録しておくと「あそこは経営者が…」「全然昇給しない」「あそこはブラック」など、施設の内情を教えてくれるので、転職の失敗が本当に少なくなります。
地域の給料相場や転職事情も教えてくたりもします。
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転職は人生を左右する大事なイベントです。
転職に詳しい方にアドバイスをもらって、失敗を少しでも減らしたほうがいいでしょう。

しかも料金は無料です(施設からの求人費で運営されている)

実際に最近は、20代30代の若い方に人気があり、登録する看護師が多くなっているそうです。
(特に転職1回目、2回目という方が多いそうです)

その中でも一番人気は、大手で有名な「看護roo」です。
ココは情報量が膨大で、転職がかなり有利になるため、本当にオススメですよ。

児童福祉施設への転職活動の第一歩としてまず登録してみては。
看護rooの公式サイトへ

看護師が小児科クリニックに転職するための全知識

小児科看護師の働く姿

小児科クリニックへ転職したい看護師のみなさん、こんにちは。

「子どもってかわい~!」
「大好きな子どもに囲まれて仕事がしたい~!」
「看護師さんありがとうって言われた~い!」

実際、こんな理想を抱いて転職した看護師をわたしは何人も見てきました。ところが、そのほとんどが1年以内に辞めてしまっています。
それは小児科クリニックの表のイメージだけで転職するからです。ここには、小児科クリニックの表も裏もすべてが書いてあります。すべてを知った上で転職を考えてみてはいかがでしょうか。

小児科クリニックってどんなところ?

転職するなら「待遇」「特徴」「求人状況」の3つを押さえておきましょう。
では、さっそく見ていきますね。

小児科クリニックの待遇

まずは、気になる待遇からです。

項目 評価 コメント
給料 23~28万 他の診療科と比べて、高くもなく低くもなく。ただクリニックがアレルギー科や耳鼻咽喉科など、他の科と一緒になっていると、給料が高くなる傾向にある。
福利厚生 看護師を必要最低限の人数で雇用している施設が多く、急な休みは取りにくい。時期がずれることもあるが、年末年始・盆・GWなどはクリニック自体が休診となるので、長期休暇がとれる。
夜勤 なし
土日出勤 あり 月~土曜は勤務で、日祝休みのクリニックが多い。
残業 ところにより、残業がある。

他のクリニックとほとんど変わらない勤務体系です♪nekonarse-shiji

小児科クリニックのその他特徴

続いては、小児科の特徴です。(あとで詳しく説明しますね^^)

項目 評価 コメント
子供の状態 軽度 予防接種をしたい児や風邪など、軽症の児
仕事の難易度 高くはない ただし点滴、採血があるクリニックだと処置のスキルが必要になる。
スキルアップ 看護スキルは身につきにくい。

クリニックは病状が軽いため、特別なスキルは必要ありません。nekonarse-shiji

小児科クリニックの求人情報

最後に気になる求人状況です。ザックリ確認しておきましょう。(詳しくはのちほど!)

項目 評価 コメント
求人情報 一番情報が豊富なのは転職サイト。求人誌、ハローワーク、病院のホームページでも公開されるが、数は少ない。
求人数 人気のため少ない
正社員 専門性が高いため、経験を考慮し正社員にもなりやすい
パート・アルバイト 正社員より少ないが、パートや派遣の募集もある。
新卒 × クリニックは即戦力が求められるので、新卒採用は少ない。
ブランク ブランク歓迎のところも多数ある。子育て経験者は歓迎される。
小児未経験者 小児未経験であっても、特に問題はない。

求人数は少ないですが、転職にはもってこいですね♪nekonarse-shiji

ザックリわかっていただけたところで・・
もう少し小児科の具体的な部分に触れてみたいと思います。

小児科クリニックの仕事内容は?

小児科クリニックでの看護師の仕事は大きく分けてこの4つ!

  • 診察の介助
  • 保護者の対応
  • 予防接種の調整
  • 雑用

順にみていきましょう。

1.診察の介助

医師の診察介助においては、一般的なクリニックとほぼ同じです。
ただし、相手が子どもという点が異なります。0歳児~12歳ぐらいまでが対象ですからね。
そのため、成人と違い診察が思うように進まないこともあります。

とくに子どもにとって「診察室」は「怖い場所」です。
何をされるかわからない不安から、診察を嫌がることもあります。
・泣き止むまでに30分かかった!
・診察室から逃げ出してトイレに籠って水をジャンジャン流していた!
なんてこともあります。(そりゃイラっとしますよ。でも、許せちゃうんですよね。)

ここは、看護師の腕の見せ所。
さまざまな月齢、年齢の子供の発達段階に応じてプレパレーションします。
4,5歳までの小さな子どもには、おもちゃで注意をそらしたり、手を握ったり。
また、小学生になると、人形を使って丁寧に説明したり。
子どもは素直ですからね。一瞬で涙が笑いに転じますし、そのあとケロッと受診してくれます。
もちろん、「頑張ったね!」「できたね!」と褒めることも忘れてはいけません。
達成感を味わせてあげることで、次回からは意外とすんなり受診してくれたりしますから。(ニンマリ)

とくに最初は、子どもの対応にオロオロすることがあるかもしれません。
でも、何度か経験するうちに自然と慣れます^^
必死になだめて何とか診察を終えた子どもの笑顔には本当に癒されます。小児科の醍醐味ですね。

2.保護者の対応

子どもにはもれなく保護者がついてきます。これは、一人で受診する成人科と大きく違う点でもあります。小児科で働くなら、子どもだけでなく、保護者との関わりも大事な仕事の一つとして理解しておきましょう。

診察前のアナムネは看護師が行いますが、患児が話せない年齢、話せてもうまく伝えられない場合はどうしても保護者から聞き取りをします。
ただ、保護者は子供の体調不良で不安や焦りを抱き、普段より神経質になっていることが多いです。そのため、看護師の何気ない言動が保護者の怒りスイッチを押してしまうことも。
保護者からの話は治療をする上でも重要な情報になるため、看護師は保護者の不安な気持ちを理解し、配慮した関わり方を心がけましょう。

保護者の対応に不安を感じている看護師は多いかもしれません。でも、1度通じ合えると最強の味方にもなってくれます。こちらが丁寧に対応すれば、保護者の方から心を開いてくれるようになりますよ。「子どもを助けたい」という強い気持ちでつながっている分、関係も築きやすいんです。

3.予防接種の調整

小児科では病気やけがの治療以外に、予防接種目的の子どもも受診します。
予防接種は月齢や年齢に応じて接種時期や期間が決められています。1歳~3歳までは特に予防接種のスケジュールが込み合っており大変ややこしく、「次は何を接種したらいいの?」という問い合わせもよくあります。
予防接種の種類や接種時期、回数などをきちんと整理しておく必要がありますね。
また、インフルエンザの予防接種期間(10月~12月)は繁忙期です。予約の受付や、待合室の対応など、慌ただしくなることも把握しておきましょう。

雑用

その他には、雑用業務が意外と多く入ってきます。

・診察受付
・診察室の掃除
・待合室の飾りつけ

小児科クリニックでは、キャラクターのイラストやかわいらしい壁飾りがしてありますよね。
待合室だけではなく、診察室、トイレ、処置室、感染者用の個室に至るまで、あらゆる場所にかわいい装飾が目に留まります。季節ごとに装飾を変えたり、流行りに合わせて作り変えたりもしています。
「それ、看護師の仕事なの!?」と思う方もいるかもしれません。
でも、子供が安心できる雰囲気作りは大事な仕事の一つなんです。それに、看護の合間に飾りつけが入るだけで、意外と気分転換になったりするんですよ。
(ポケモン書くだけで喜んでくれますからね。保育士さん気分で楽しいですよ。)

看護師の仕事には、子どもの対応、保護者の対応、予防接種の調整、雑用まで行うことが分かりました。ではそんな小児科クリニックで働く看護師ってどんな人がいるのか見ていきましょう。

小児科クリニックで働く看護師はどんな人?

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小児科クリニックには子ども好きの看護師が多いと思っていませんか?
そんなことはありません。
実際は、子ども好きというより、「子どもの扱いに慣れている」人が多いです。
にこにこ笑顔の人懐っこい子どもばかりではありませんからね。
むしろ、体調不良で機嫌が悪い子、人見知りでぎゃん泣きの子、初めての場所で怖がっている子がほとんどです。

ところが、「かわいいイメージ」だけで転職してしまうと、「こんなはずじゃなかった・・。」と、ギャップに悩んで辞めてしまうことも。
そのため、育児の経験がある人、子ども相手に冷静に対応できる人が求められますね。
確かに、育児の経験があると、保護者と同じ立場から共感やアドバイスができるため、信頼関係も築きやすくなりますね。
でも、子育て経験がない人も安心してください。子どもの対応は経験と共に身についていくものです。大事なのは、子どもに対して良いイメージだけを持ち過ぎないということです。

さて、次は小児科クリニックで働くメリットをみていきましょう。

小児科クリニックで働くメリットって?

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小児科で働くメリットを3つ挙げてみました。

  • 幅広い知識が身につく
  • 親を味方にすると仕事が楽
  • 子供の死から遠い職場

幅広い疾患の知識が身につく

対象が「小児」のため、取り扱う疾患は幅広いことがわかりますね。診療科が器官別に枝分かれしている成人科と大きく違う点でもあります。
さらには病気だけでなく、ケガや皮膚、目、耳のトラブルで受診する子どももいます。中には離乳食の相談や育児相談で受診する方もいるくらいです。
最近はメンタル面の治療が必要な子どもが増えており、幼稚園や小学校など発達段階に応じた対応が求められます。
子どもは大人に比べて症状が分かり辛かったり、自分で説明できない場合がほとんど。そのため疾患の知識と合わせてアセスメント能力も身に付きます。

親を味方にすると仕事が楽

小児科病棟の場合、点滴の自己抜去やベッドからの転落、転倒ということに非常に気を使います。付き添いが四六時中必ずいるとは限りませんからね。
しかしクリニックでは、どんな年齢の子でも親がぴったり子供に付き添います。もし点滴指示が出ても、「終わったら教えてください」って伝えてあとは親にお任せできちゃいます。もちろん、途中何度か様子は見に行きますけどね!

子供の死から遠い職場

小児科クリニックには基本軽症、軽度の患児しか診られません。
もし重症の患児が受診した場合、医療設備の整った大きな病院を紹介します。その中でも緊急度が高い場合は救急車を呼びます。
子ども好きからしたら、子どもの死なんて想像を絶する辛さでしょう。一般的にも子供の死というのは、例え自分の子でなくても受け入れがたいものです。
クリニックはそういった悲しみから少し遠いところにあると言えますね。

では次にデメリットをみていきましょう。

小児科クリニックで働くデメリット

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続いて、小児科で働くデメリットを3つ挙げてみました。

  • 採血や点滴技術が求められる
  • 残業が多い傾向
  • 転職が難しい

採血や点滴技術が求められる

大人の血管に比べて子供の血管は細いため、その分、穿刺技術が求められます。
とくに脱水の子どもへの点滴は要注意!
血管内の水分が少ない分、更に血管が細くなりますからね。血管を探すのがかなり難しいんです。
その上親の目があるので、やりづらいんですよね。「失敗しないでよ!」と親の不安をヒシヒシと感じながら、必死に血管を探すっていう・・・。
どうしてもプレッシャーが辛いときは、冷静さを取り戻すために、一旦退出してもらうこともあります(汗)
でも、子どもの血管を攻略できれば、もう怖いものはないですよ!大人の血管がめちゃめちゃ太く見えますよ。そのため、デメリットではありますが、乗り越えれば穿刺技術のスキルアップにつながります。

残業が多い傾向

先ほども言ったように、相手は子供ですからスムーズに診察がすすまないこともあります。
暴れる、泣きわめく、かたくなに診察を拒み続ける・・・。
一人に時間がかかりすぎると、次の診察がどんどん遅れてしまいます。
その結果、待合室の子どもはぐずりだし、親もイライラの悪循環。さらに時間が押して残業確実・・・ということになります。

転職が難しい

小児科は他の科に比べて転職が厳しいです。
理由は3つ。

1.求人が少ない
2.求人が出てこない
3.競争率が高い

1.求人数が少ない
小児科求人の全体数が減少しています。
少子化や医師不足により、小児科自体が減りつつあるからです。
住んでいる地域によっては、なかなか求人が見つからないこともあるでしょう。

2.求人が出てこない
小児科に転職した看護師は、なかなか辞めません。
成人科にはない子どもたちの反応や笑顔の魅力を1度味わってしまうと、他の科なんて考えられなくなっちゃうみたいですね。その結果、求人が出にくくなるわけです。

3.競争率が高い
求人数が少ない上に、人気が高いため、自然と競争率は上がります。
そのため、1つの求人枠に対して、複数の応募者がバッティングすることが多く、内定をもらいづらいことも。
確実に転職を成功させたければ、それなりの対策を打っておく必要があります。

けど、転職に興味がある・・どうしたら?

小児科の場合、「転職したい」と思っても、すぐに転職できるとは限りません。
そのため、いきなり転職活動するよりも、小さく動いて様子を見た方が良いでしょう。
ガッツリ転職活動したせいで、職を失うなんてことだけは避けたいですからね。

具体的には、3つステップがあります。

1.転職サイトに登録する
2.待つ
3.吟味する

1.転職サイトに登録する
先ほども言ったように、常に求人があるとは限りません。
実際、不定期に出ることが多く、その数も少ないため、まず登録して様子を見る必要があります。
(宝くじ方式ですね。買わないと当たりませんからね^^;)

2.求人が出るのを待つ
求人が出る時期は、1年で4回あります。
4月(年度の始まり)
7月(夏のボーナス支給後)
9月(期の変わり目)
1月(冬のボーナス支給後)
この他にも不定期に出るため、転職サイトから送られてくる求人紹介のメールを確認しておきましょう。

3.求人を吟味する
送られてきた求人を確認し、希望に合ったものがあるかチェックしましょう。

「あなたの条件は?」
1.給料(手取り○○万以上?)
2.勤務時間(日勤のみ/夜勤OK?)
3.休み(有給取得日数/年間休日120日以上など)
4.職場の雰囲気(師長の性格、人間関係の良し悪し)
5.残業の有無(実質の残業時間は?)

この他にも、気になることがあれば転職サイトにメールで返しておきましょう。
情報収集に専念して、良さそうな求人があるかどうかを探りましょうね。

色々調べた結果、「あ、良さそう!」だと思う求人があれば、その時に転職するかどうかを考えればいいのです。

まとめ

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たしかに赤ちゃんや幼児ってかわいいし、癒されます。
でもクリニックに来る子はそんなかわいい姿ばかりではありません。

看護師はだいたい怖がられるし、診察中はドクターが呼吸音を聴診するだけでも一苦労です。
良い面ばかりでなく、子どもの不安や恐怖からくる行動を理解し、冷静に対応することが大切ですね。
さっきまでぎゃんぎゃん泣いていた子が、診察を終えて帰るとき、最後に手を振ってくれただけでうれしいものですよ。そんなやりがいを感じたい人は、小児科クリニックで働くことをお勧めします。

ただし、小児科への転職は厳しいのも事実。求人数が少ない上に、求人も出にくいですからね。
仮に求人が出たとしても、ライバルが多く内定をもらうのはかなり厳しい状況に。
もし転職に興味が少しでもあるなら、小さく動いてみましょう。
まずは転職サイトに登録して、求人が出るのを待ってみる。出た求人が良さそうなら、そのときに転職するかどうか考えてみてはいかがでしょうか。
素敵な求人との出会いを応援しています!

小児科クリニックに関するコラム集

院内だけが仕事場じゃない??

保育園や幼稚園の指定医療機関だった場合、出張健診をすることもあります。

出張健診では、基本的に元気な子ばかりを相手にするので、普段とは違う雰囲気の中で新鮮な気持ちになれるかもしれません。

入職のコツ&ポイント

  • 耳鼻科やアレルギー科など、他科と一緒になっているクリニックだと、給与が高くなる傾向にあります。
  • 乳幼児のルート確保ができると、他科への転職にも有利になります。

    なぜなら、他科は成人相手が圧倒的に多く、血管は目で見えます。乳幼児の場合、糸より細くて見えない血管を探り当てなければならないので、処置は「神業」なのです。将来、成人の病棟や外来へ行っても、「注射をしすぎて細い血管しか残っていない人」にも処置ができるのです。これは、すごいことです。感動されますし、喜ばれます。

  • ところによっては、医師や先輩看護師が自ら実験台になって手技を教えてくれるクリニックもありますので、入職時に任せてもらえるかを確認しておきましょう。

感染に気を付けて!

インフルエンザやノロウイルスなどの感染症には、子どもだけでなく、大人もかかります。気を付けないと、看護師も感染します。

特に冬場に流行る感染症と言えばインフルエンザ。小児科では秋頃からインフルエンザの予防接種にくる子供が増え、徐々にインフルエンザ患児の受診が増えていきます・・・

さらに冬はインフルエンザだけではありません。ノロを代表とした感染性胃腸炎や、溶連菌感染症などの様々な感染症の患児であふれかえります。

この時期は看護師にとって、一番緊張感がある時期ともいえます。業務が忙しくなる上、自分自身もいつ感染してもおかしくない状況。

他の看護師が一人でも感染してしまえば、休日出勤間違いなし。それが2人、3人看護師が倒れれば・・・どれだけ(私が)大変なことになるか!

これが小児科クリニックの冬の風物詩だったりします。

看護師が小児科病棟に転職するための全知識

小児科病棟って、看護師に人気ですよね。

子どもが大好きだから、
子どもと関わることが楽しいから、
子どもの笑顔が見たいから……
小児科病棟で働きたい!と思います。

でも、どんなに子どもが好きでも、業務が煩雑で同じ仕事の繰り返しに耐えられず辞めてしまう看護師もいます。

小児科病棟で働いていくには、どうしたらいいのでしょうか。

必要なのは、小児科病棟の特徴や仕事をしっかりと理解しておくことです。
小児科病棟で働くために必要な心構えやメリット、デメリットを具体的な仕事内容から考えてみましょう!

きっと、小児科病棟で楽しく働けるようになりますよ。

小児科病棟とは?

小児科病棟の数は全国で約750ありますが、約半数の病院が東京・大阪・愛知・福岡などの大都市部に集中しています。

患児は0~15歳(中学生での初診を除く)が対象で、比較的軽症の短期入院が多いです。また、患児は成人よりも急変が頻繁なことから、看護師は急性期の経験者が望ましいです。

看護師が働く場合は、公立病院と民間病院に分けられます。(一部の独立行政法人は、公務員ではなく、民間病院と同じ非公務員となります)

項目 評価 一言コメント
児の状態 中度 急性上気道炎や喘息、けいれんや髄膜炎、麻痺などの児。
給料 約23万~35万 初任給。大都市と地方でかなり差がある。
福利厚生 公務員は年金払い給付金があり、育休も最大3年まで延長できる。非公務員は雇用保険に入り、育休は最大1年半まで延長できる。
夜勤 あり
土日出勤 あり
求人数 小児科のある総合病院、大学病院に入職して、小児科への配属を出して、異動を待つ。
正社員 ほぼ正社員の募集。
パート・アルバイト バートの募集もある。
求人情報 転職サイト、求人誌、ハローワーク、病院のホームページで公開される。パートの情報は転職サイトが一番多い。
仕事の難易度 中度 他科と比べ、専門性が高い。薬量も体に合わせた計算が必須。
スキルアップ 小児看護専門看護師や小児救急看護認定看護師を目指せる
子育てママ 24時間利用可能な空きがある保育施設を病院が持っており、家族の理解が得られれば可能。
新卒 小児科を目指す看護師は多いため、配属の可否は病院の状況による。
ブランク 小児科経験者なら歓迎されることもある。
小児未経験 専門性が高いため、歓迎されない。ただ、急変対応が必要なので、急性期の経験があれば可能。

小児科病棟の経験はクリニックの転職にも役立ちます♪nekonarse-shiji

小児科病棟の仕事内容は?

小児科病棟の仕事は、急病の子どもたちへ看護です。

急病の子どもたちは、医師の観察が必要なため、入院します。患児の年齢は0歳から15歳くらいまでで、短期入院を繰り返すこともあります。8割近くが5歳未満で、特に乳幼児が多いので、病状を聞くためには、付き添いの母親とのコミュニケーションが必須になります。

主な症状は発熱、呼吸困難、けいれんなどです。入院は平均10日で、短いと3~4日のこともあります。長くても一か月くらいです。深夜の入院が多いので、緊急対応が求められます。

患児は急に病気になりますが、回復も早いので、突然入院して数日で退院となるケースが多いです。

看護内容は、子どもと親へのケア、注射や採血などの処置、回診の介助などです。検査があるときは他部署と連携を取り、患児を検査室まで送迎します。

また、病気に立ち向かってもらうため、子供のストレスや不安の解消にも努めます。

    【主な例】
  • 短い入院期間の中でもできるだけ病室へ行き、患児に顔を覚えてもらえるようにします。信頼関係を築く対応。
  • 患児の好きなキャラクターの話をして和ませます。慣れない病院の生活への恐怖心をやわらげる対応。
  • 短い期間の中でも患児は成長しています。患児が笑顔であいさつしてくれたら褒めたりします。できたことの成長を見逃さない対応。

いずれの場合も、患児だけでなく、母親へのケアも重要です。特に母親は、入院に至るまでの数日間、自分で様子をみているため、疲れ果てています。そのため、患児と共に受診を促すことも珍しくありません。

小児科病棟の看護師とはどんな人?

小児科病棟には、一般科以上に情熱のある看護師が集まってきます。集まった看護師は、基礎的な看護技術を持っており、アセスメントや手技に自信があります。

また、「異動や転職でやっと入職が叶った」看護師が多く、小児看護に対して気合が入る傾向があります。たとえば、成人と小児では医療器具の大きさが全く違い、薬液の量も体重に合わせて計算します。すべてが小さく、細かく感じるものですが、違いをものともせずに意欲的に学びます。

そして、勉強会やセミナーにも積極的に参加し、専門性を高める努力をします。さらに、短期の入院でも「あの病院楽しかったな」「看護師さんとの触れ合いが嬉しかった」と思ってもらえるような対応を心がけています。

その結果として、「小児分野を極めたい」意思が強くなり、小児看護専門看護師や小児救急看護認定看護師を目指す看護師もいます。

しかし、患児と過ごす時間が短いことや、処置の面で現実とイメージのギャップに耐えられずに去っていく看護師もいます。

    【主な例】
  • 患児と接する時間がく、「思ったよりしっかり看護ができない」という理由での退職。
  • 病状の悪化で、重篤になった患児には転院してもらうため、「患児のチカラになれなかった…」と、無力感を感じての退職。
  • 成人とのギャップが解消できず、「細かすぎてインシデントやアクシデントを起こしそう」と、ついてこれない看護師の退職。

このように小児科病棟は「必死に学ぶ看護師」の割合が高いため、入職した看護師もアセスメント能力が高まっていきます。そして、患児にも笑顔を見せる余裕が生まれ、優しい雰囲気になっていく人が多いです。

その一方で、業務が煩雑なうえに同じ仕事の繰り返しで耐えられないと去っていく看護師も一定数います。

小児科病棟のメリットは?

小児科病棟には、優しい看護師が集まってきます。

優しい集団の中で働くと、自分が提供する看護も自然と優しくなってきます。小児科病棟で3年働けば、あらゆる症状を看ることになるため、全身状態の把握ができるようになり、専門的な知識や看護スキルも身に付きます。

そして、月一度の勉強会を通して自ら腕を磨けば、小児看護専門看護師や小児救急看護認定看護師を目指せるようになるので、一層のスキルアップが叶います。

付き添いの母親がいてくれるのも助かります。しかし、一般的に小児科では、母親への対応が難しいイメージがあります。経験が浅いうちは、緊急入院してきた患児のアセスメント面で太刀打ちできないときがあるかもしれません。

ですが、医療処置以外の面では、得るもののほうが大きいです。例えば、食事やおむつ介助をお願いできますし、バイタル測定時に患児が暴れても、午睡に入る時間を教えてもらって再度測定の時間を調整するとか、協力が仰げます。

そして、母親の直感も頼りになります。過去、「なんか変です」と聞いてから、実際に発作が起こったがありました。もちろん、鵜呑みにはしませんが、参考にできます。

小児科病棟では、回復する患児が多く、ステルベンが少ないです。子どもの成長と適応は早いので、驚かされます。初日泣いてた子が次の日笑ってくれたときは成長や適応力の高さを感じます。

このように、専門的なスキルを付けながら、コミュニケーション能力も鍛えられる現場です。将来、転居や結婚などで、転職・復職することになっても、小児科クリニック、小児専門病院、小児病棟、児童福祉施設など、小児に関わるいろいろな場所での勤務が叶います。

小児科病棟のデメリットは?

小児科病棟では、優しい看護が要求されるため「子どもの苦痛は和らげて当たり前」という雰囲気になります。

しかも、看護師の人数が少なくて、時短的余裕がないため、引継ぎのカルテでしか患児がどういう子かを知ることができません。だから、どうしたら苦痛が和らぐのか悩むことが多いです。

また、病棟は不特定多数の出入りが自由なので、誘拐のリスクもあります。共働き家庭も多いですが、付き添いがないと入院が成り立ちません。そのため、家族間で協力をしてもらい、子どもにつきそってもらうように説明することも必要です。

忙しいなかでも、疲れ果てた母親へのケアも怠れません。立ち話だとしっかり話を聞いていないような印象になるので、部屋へ出向きます。お母さんの目線に立って思いを引き出す努力をする必要があります。

患児が一見元気そうになると、「もう退院できるのではないか」と疑問をもつ母親もいます。子供が苦しいのを理解してもらうため、診器で胸の音を聞いてもらい、「こんなにヒューヒュー、ゼーゼー、苦しそうな音がする」と、親に体験してもらうこともあります。

患児は回復が早いですが、悪化するのも早くて急変しやすいため、どうしても激務になってしまいます。入院時は子供が不機嫌で泣くのであまり観察ができません。

そして、入れ替わり立ち代わりの入院があり、細かいところまで看ることもできないです。「点滴がちゃんと入ってる」「呼吸してる」を確認して、ルーティンで終わってしまいます。常に忙しいため、入退院時にしか関われず、退院時に挨拶されても「あの子、だれだろう?」という印象を抱くことも少なくないです。

小児科は専門性が高いため、小児科以外に転職したくなっても、応用が利かず、勤務先が限られてきます。

まとめ

小児科病棟は、コミュニケーションを学びたい看護師にオススメの職場です。

成人を看ていた看護師は、器具から備品まで、あらゆるものの大きさに慣れるための時間がかかるかもしれません。疾患に関しては、急性上気道炎、喘息など、呼吸器性疾患が多いので、呼吸器系から覚えていき、徐々に全身の状態を把握できるようにしていきましょう。

小児科病棟は、流れるように入退院が繰り返されます。どうしても患児や家族と関わる時間が限られてきますし、同じことの繰り返しで充実感も無く、患児を看るにも「呼吸してるからいいか」と、丁寧にケアできない傾向はあります。

できるだけ、母親と上手にコミュニケーションを取って協力してもらい、丁寧なケアを心がけていくと良いでしょう。実践している看護ケアの意味を再確認しながら、より高い看護が提供できるうように頑張ってください。

小児科病棟にあなたのチカラを貸してください。

小児科病棟に関するコラム集

入職のコツ&ポイント

  • 季節によって患児の数の増減が激しいため、総合病院では内科や他科と複合しての配属になることが多いです。
  • 小児科は非常に人気が高いため、新卒でも希望を通すのは難しいと思っていたほうがよいでしょう。
  • 小児科単科で働きたいなら、大学病院の専門科、小児専門病院や子ども病院への入職がおススメです。
  • 未経験で転職したい場合は、求人サイトを使い、公開されていない求人を狙うのが手です。
  • シングルマザーでも寮や託児所が完備されていれば勤めやすいので、病院に問い合わせてみましょう。

転院の判断基準がわからない

看たことのない症例で、医師が家族に、「副作用が出るかもしれない、サイアク死亡もありうる」と説明するとき、「この病院で看れるのだろうか、他へ転院してもらったほうがよいのでは???」と思います。

しかし、判断基準がないので、思っていても言葉に出せないジレンマがあります。

小児科医はどのくらい不足しているの?

いま、小児科医の不足が騒がれていますが、人口10万人に対して医者の数は約11人です。日本の小児科医の数自体は他の先進諸国に比べても、決して少なくないのです。

  • では、なぜ小児科医が不足しているのでしょうか。
    それは、小児科を設置している病院の数が少ないからです。「小児科医」が少ないのではなく、「小児科を設置する病院」が少ない(減っている)のです。
  • では、なぜ小児科を設置する病院が減っていくのでしょうか。
    それは、小児科は赤字部門だからです。まず、子どもの処置をしようとすると、泣くわ、暴れるわで大人の何倍も手間も人件費もかかります。どうあがこうと、赤字になるのは必至なのです。

じつは、勤務医の小児科医は増えていますが、特定の病院にだけ配置しているため、医師が一部の病院に集中してしまい、特に中小規模の病院での小児科医が不足しています。赤字になるために病院の経営が成り立たなくなり、小児科が廃業に追い込まれるなら、診療報酬を充実させる必要があるでしょう。

看護師が介護施設に転職するための全知識

介護施設のお仕事に興味がある看護師のみなさん、こんにちは。

高齢化社会で、介護施設が増えていますね。
その分、介護施設の看護師の求人も多くなっています。
介護施設には、夜勤がなかったり、残業が少なかったり、入居者に向き合った看護ができたりといった良いところがあります。

特に、ワークライフバランスがとりやすいので、働き方に悩む看護師にとって気になる職場です。

でも、介護施設での仕事内容が合わず、病院に戻る人もいます。
介護施設は医師や看護師の数が少ないので、自分の判断で動かなくてはならないことがあります。
そのため、不安やプレッシャーを強く感じて辛くなってしまう人が多いです。
また、看護師としての処置スキルが低下する可能性があります。高度なスキルを使う機会はありません。
そういった面で、物足りないと感じる看護師もいます。

では、介護施設で働くのに向いている人はどのような人なのでしょうか?

それを知るには、介護施設での仕事を調べましょう。
施設ごとに違いがあるところがあります。

仕事と家庭の両立や、目指す看護ができるかどうかなど仕事内容を見ながら検討してみましょう!

介護施設とは?

介護施設は、高齢者の生活全般を見守る場所です。

急性期病棟のように、日々知識をUpdateしながら病院内を忙しくかけまわることはほとんどありません。

その分、介護施設で暮らす利用者さんをじっくりと見守り、一人ひとりの生活に深く入っていく場所です。もっとゆっくり看護がしたい、じっくりお世話がしたい看護師さんにオススメの仕事です。

項目 評価 解説
看護師資格 必要 医療行為があるため、看護師の資格は必須です。
その他資格 不要
臨床経験 3年以上 未経験でも可能。3年以上経験必須のケースあり。急変時の判断力が求められるため経験者のほうがよい。
平均給料 20万~40万 施設によって差がある。特養、有料老人ホームは高め。
福利厚生 有給休暇。リフレッシュ休暇。24時間体制のため託児所完備が多い。退職金制度。保養施設宿泊割引。産休、育休取得率が高め。
教育制度 ブランク可、未経験可が多いため教育制度が充実
シフト体制 2交代制/3交代制 2交代制 8:00~17:00 18時00分~07時00分
3交代制 7:00~16:00、12時00分~21時00分、22時00分~07時00分
※老健のみ。その他の介護施設は日勤が多い。育休明けや、育児中は時短勤務制度を導入している施設もある。
夜勤 24時間体制のため老健、一部の有料老人ホームあり。
※特養や一部の老人ホームでは日勤のみ。介護保険制度上、夜勤は介護士が行っているため。
残業 施設によるが約10時間まで。
土日出勤 あり シフト制で土日もあり。4週8休制をとるところが多い。
オンコール あり、なし両方あり。希望者のみありのケースもあり。特養など夜勤なしの場合はオンコールで対応しているケースあり。
求人数 求人数は全体的に多く特に都市部が多い。今後も増える見込み。
※有料老人ホームは看護師の配置数が多いため求人多。特養>有料老人ホーム>老健の順で多。
グループホームと、ケアハウスは求人数が少。
正社員 パートが多い。大規模な施設の場合正社員もあり。
医療行為 バイタルサイン測定、血糖値測定、胃瘻、留置バルーンの洗浄・交換、ストーマの管理、服薬管理(介護保険適用範囲内)
仕事の難易度 仕事自体は一定であるため難易度は低め、ただし疾患や介護の知識も必要な場合もある。
スキルアップ × 看護スキルは身に付かない。
将来性 10年後、団塊世代が後期高齢者になるため更に増える見込み。特に有料老人ホームの数が増加
病院への復職 医療行為が一定で増えにくいため、時間が経つにつれ難しくなる。
子育てママ 夜勤があるため24時間保育可能な施設を選ぶ必要あり。日勤を希望するママさんには特養がオススメ
新卒 新卒採用は少ない。教育制度は充実しているが急変時の対応や介護士さん、医師との連携など経験必要。

急性期病棟から転職する人がとても多いです!nekonarse-shiji

介護施設の仕事内容は?

ズバリ!介護施設の看護師は「看護もできるヘルパーさん」です。病院では9割以上看護が仕事ですが、施設では看護と介護の割合がハーフ&ハーフ。

中には介護の方がメイン、介護のみもあります。介護施設に入ったら、「看護だけでなく、介護もあるんだ。」という意識を持って働きましょう。

病院では治療が仕事でしたが、介護施設では予防が仕事です。

介護施設の利用者は高齢者が多く、普段は安定しています。

でも、自ら発する力が弱いため、放っておくと便秘や脱水すら命取りになる場合もあります。ケガや病気につながる前に看護師がいち早く気づかなければなりません。それが予防をするということです。

また、介護施設は認知症の利用者も多いです。認知症の利用者は痛みやケガに無頓着になりがちです。

極端な話、ケガをしても痛みを訴えてきません。むしろ傷口をいじって悪化させてしまうケースもあります。そうなる前に、看護師が気づき対処する必要があります。

このように、介護施設の看護師は、「治療ではなく予防が第一」と切り替えて働くことが必要です。

特に、「けがや病気の予防」を行う上で重要なポイントは3つあります。しっかりと押さえておきましょう。

  • 普段からしっかりと利用者とコミュニケーションをとる
  • 利用者のちょっとした変化に気づく
  • 生活全般の相談役になる

これらは利用者が気持ちよく生活するうえでとても大切な仕事です。

次に、具体的な業務は3つあります。

健康管理

カルテ管理、バイタルサインのチェックがメインです。

その他、食事、排泄、入浴介助、施設内の衛生管理があります。介助は介護士のみが行うケースもありますが看護師も行います。

経過観察

高齢者の多い利用者の体調を見守り、変化をいち早く察知すること。

嘱託医との連携

非常勤医師と一緒に診察、服薬管理を行うこと。重篤な利用者は基本いないため、老健を除き、医師は常駐していません。


普段は上記のようなルーティンワークだけです。

しかし老健以外急変時は医師不在のため、看護師が状況判断、処置対応といった的確な一次対応をしなければなりません。

その後、施設で対処できる範囲を超えていると判断した場合、かかりつけの医師や医療機関と連携をとる役割を担います。

その他、施設外への付き添といった診療補助もあります。

介護施設はどんな看護師が働いている?

年配のベテラン看護師が多い

病院で経験を積んだベテラン看護師がもっとも多いです。中でもママさん看護師の割合が50%と高くなります。

平均年齢は45歳で、3割が50代を占め年齢層が高い職場と言えます。利用者が高齢者であるという特徴を考えると年齢層が高めなのも納得です。

託児所といえば子供が利用すると思われがちですが、孫のために利用するおばあちゃん看護師もいます。そのため、「育児ができない」ではなく、「孫の世話ができない。」といって辞めていく看護師もいたりします。

ブランクからの復職者も多い

また、施設で働く看護師のうち、5年以上ブランクありを経験した看護師も50%います。急性期の病院では、新しい知識や技術に追いつくのは大変です。

でも介護施設は、一定の医療行為にとどまる分、介護の占める割合が高いため変化がスローな職場です。看護師であればたとえ長年のブランクがあっても経験でカバーできる職場だと言えます。

そのため、ブランク後の復職(転職)先として考える看護師が多くなるのも納得です。

正看だけでなく、准看も多い

看護師が働く場所としては、病院や診療所に続いて第3位です。

全体の7%が施設で働いており、准看護師は20%近くが働いています。働きやすさをしめすデータと言えます。

施設ごとに年齢層やベテラン度も若干違う

施設には5種類ありますが、働いている看護師の年齢層や経験年数が若干異なります。

5種類の内訳は「特養」「有料老人ホーム」「老健」「グループホーム」「ケアハウス」となっています。

●特養

終末期の利用者もあり、長期の採用を求めています。

介護施設では新卒の採用はほとんどありませんが、特養では、20代~30代の若手の教育、採用も若干名あります。

●有料老人ホーム、グループホーム、ケアハウス

急変時の一次対応、医師との連携が求められるため3年以上看護経験者が多いです。

●老健

医師が常駐しており急変時の判断は医師が行います。そのため経験3年未満の看護師も若干名います。

病院からの転職者も多い

施設で働く看護師は、一定の看護スキル+介護の知識も身に付ていきます。大きな変動やスピード感はないため、経験を重ねるほどに居心地の良さを感じる傾向があります。

そのため、病棟からの転職者も多く、急性期の夜勤病棟で長年バリバリと働いていた看護師が、疲れて施設を選ぶという流れもあります。

介護施設で働くメリットは?

お金

施設で働く看護師の給料は約30万ほどです。共に施設で働く他業種のスタッフより給料は高めです。他業種のスタッフは、介護職スタッフ、PT、STなどが働いています。

介護スタッフの平均は25万です。同様に介護の仕事をしても、看護師は5万以上多くもらえます。PTでも平均28万になるため、もらえる給料は看護師の方が2万~多くなります。

同じ施設で働いていても「看護師」というだけで給料が高くなるということを覚えておいてください。

時間

病院と比べると患者さんの状態は安定しているため仕事量が一定です。そのため定時に上がりやすいです。

残業はあっても10時間以内に収まるケースがほとんどです。その分プライベートな予定が立てやすく育児や家事との両立も可能です。

福利厚生

利用者の福利厚生を充実させる目的で施設が充実しています。

介護=汚いでは利用者はやって来ません。感染症一つをとっても、認知症患者の徘徊で広げやすい上に、高齢者は免疫力も低いため命取りになります。

そのため、施設側も清潔感と利便性を重要視しています。

中にはリゾートホテルのような設備もあります。緑に囲まれていたり、温泉やプールの設備も整っていたりと快適に過ごせます。

仕事内容

施設の利用者さんの病状は比較的安定しています。急性期病院のように緊急事態や、死に直面する確率が少ない分、ストレスも少なくなります。

健康管理が主なため、最新の高度な医療技術や知識を持ち続ける必要性もほとんどありません。そのため、一人一人の利用者さんに対し、じっくり、ゆったりとした気持ちで向き合えます。

施設は利用者さんの生活の場であるため、医療の提供だけでなく日常の関わりも多くなります。

例えば、施設を出て利用者さんを病院まで付き添うこともあります。レクリエーションの材料や準備のため外出も時々あり休憩や気分転換もできたりします。

リハビリをする利用者さんに対して、「家に帰って何ができるようにしてあげたらいいか?」と本人や家族の希望を聞きながら個別のプランを考えるだけの時間が施設にはあります。

実際に自立できなかった利用者さんが、立ち上がるだけでもミラクルです。リハビリを積み重ね、ゆっくりと歩行できるようになり、家に戻って好きなガーデニングができるようになるといった過程を目の前で最後まで見届けられます。そのため達成感が得やすい職場です。

人間関係

病棟より看護の割合も低い上、看護師の人数も少なく他の業種の人もいるため、横の関係を重視しています。そのため、上下関係が発生しづらく、看護師特有のドロドロとした関係に悩むこともありません。

上司や同僚の陰口やいじめにも遭いにくいです。むしろ他業種のスタッフから頼られる存在になれたりします。

その他

高齢化にともない、施設はこれからも増え続ける見込みです。看護や介護の一定スキルを身に付ければどこでも通用しやすい職場です。

その上、求人も多いため辞めても転職がスムーズです。「辞めても次がある!」と思いながら働くことができます。

給料UPしたい場合はケアマネージャーの資格が身近です。ケアマネージャーはもはや介護の専門職です。施設で働く看護師は、看護よりも介護寄りになりやすく、実際ケアマネージャーの3分の1は看護師出身です。

介護施設で働くデメリットは?

お金

老健は夜勤があるため給料は病院と比べて同等程度です。老健だけでなく、”病院併設の施設”の場合、病院と同等の給料設定になっていることが多いです。

しかし、一般的な特養や有料老人ホームは基本夜勤がありません。その上小規模な施設の場合、基本給が5万~10万下がります。ボーナスも病院に比べると少なくなるため、年収で100万ほど下がる場合もあります。

時間

特養の一部、有料老人ホームの一部も含め老健は夜勤があります。夜勤病棟よりも仕事内容は軽いですが、夜勤がダメな場合はオススメできません。

でも、一部の施設では育児中は夜勤除外制度を設けているところもあります。施設を選べば夜勤なしも可能でしょう。

また、夜勤がなくてもオンコールがあります。介護士も常駐しているため病院に比べると夜勤やオンコール率は低くなります。

仕事内容

施設によって看護だけではなく介護の割合が8割以上と極端に高いケースがあります。「看護師」としてこだわりが高い人にはオススメできません。

「介護」と「看護」の線引きはグレーです。線引きにこだわり過ぎると、介護職 VS 看護職で仕事の押しつけ合いになります。「介護もありだ」と念頭において介護職スタッフと関わる必要があります。

利用者さんからすると、みな同じ施設スタッフです。看護師だから、介護士だからといった差別化はありません。

病院とは違いスピード感はなく楽な分、利用者の生活の補助的な作業がほとんどです。マンネリ化しやすく、緊張感がなくなりがちです。

しかし、いざというときには看護師の人数が少なく一人の場合もあるため、対応力や判断力が求められます。病院に比べると緊急時のプレッシャーが大きい職場でもあります。

また、医療行為が一定で介護色が濃い職場のため、最新の医療を学ぶ機会が少なくなり病院に戻りづらくなります。

人間関係

介護職のスタッフにとって看護師のイメージは正直よくありません。3K「怖い」「気が強い」「厳しい」だと思われています。

病院という厳しくハードな縦社会の環境にもまれた産物です。施設はソフトな環境であるため、こちらから順応していきましょう。

実際、介護職のスタッフとの仕事の分担でもめることが多いです。

病院では看護師 VS 看護師がつきものです。施設では、介護スタッフ VS 看護師となりがちです。お互いが尊重しあう現場はこれからの課題の一つだと思っておいてください。

また、認知症や寝たきりの利用者さんへの苛立ちからモラハラをしがちです。トラブルや暴力行為につながるケースもあるため注意が必要です。※施設症になりやすい。

逆に認知症や高齢者からのセクハラに対してある程度は寛容にならなければいけません。

その他

「施設は医療を終了した下請け」だと思われがちです。そのため病院の看護師より施設の看護師の方が立場が弱かったりします。

実際、施設の看護師長という立場にいても、病院の看護師からは見下されるという屈辱的な体験をする場合もあります。

まとめ

施設は病院と比べ医療行為も一定で、一日の流れもスローです。そのため、常に患者の対応を迫られる病院とは異なり、日常的なストレスは少ない職場です。

でも看護師の人数は少なく、急変時の判断力を求められるため、ポイントポイントのプレッシャーは高くなります。

高齢化で認知症を患い介護を必要とする人数は急速に増えています。これからさらに看護<介護になっていくでしょう。

中でも有料老人ホームは利用者が数百万以上の高額な費用を支払って入所しています。そのため、ホテルのように質が高く、「痒い所に手が届く」サービスを看護師やスタッフに期待しています。

病院との一番の違いは、「患者」ではなく、生活全般を看る「利用者」だということです。求人も多く、老健や特養、老人ホームといった種類もあり、病院と比べると働き方の選択肢が多い職場でもあります。

介護施設に関するコラム集

夜勤ないの?

介護保険制度上夜勤は介護士が担当します。老健や一部の施設では看護師も行いますが特養や有料老人ホームは基本夜勤がありません。夜勤がない場合でも、オンコールありのケースもあります。

介護施設にも種類があるの?

施設には「特別養護老人ホーム」「老人保健施設」「有料老人ホーム」「ケアハウス」「グループホーム」の5種類があります。

特養はどんな施設?

特養は65歳以上、要介護4や5の寝たきりや認知症の患者さんなど、24時間常に介護を必要とする高齢者が入る公共の老人ホームです。利用者にとっては民間の老人ホームにくらべ費用が低いため3年待ちのケースもあるほど人気が高いです。末期状態の利用者も多いため、「終の棲家」にもなります。

介護スタッフも常駐しているため、夜勤はほとんどありませんが、オンコール待機が全施設の80~90%の割合でおこなわれています。

老健はどんな施設?

老健は病院での治療が終わった後に自宅に戻るためのリハビリが必要な人が利用する施設です。利用者にとっては病院と家との中間的な意味合いの場所になります。

仕事内容は、リハビリの手伝いがメインですが、リハビリが進まない利用者のメンタルケアもあります。病院でもリハビリは行われますが、老健では2時間なら2時間みっちりとPTが付き添いハードなリハビリを行います。

それだけではなく「生活リハビリ」といって、一日を通してPT、介護士、看護師によるスローなリハビリが続きます。それだけ続くと、「リハビリがきつい・・・」と弱気になる利用者さんも出てきます。そんなときに看護師は精神的に寄り添える存在にならなければいけません。

特徴としては利用者さんを受け持つ期間が短いことが言えます。利用者はリハビリ目的のため3カ月程度で出所します。

また、他の施設と違い医師が常駐しているため一人で判断するプレッシャーはありません。24時間看護が必要になるため夜勤もあります。

有料老人ホームはどんな施設?

有料老人ホームは民間が経営しているいわゆる「老人ホーム」です。比較的健康な高齢者が暮らしています。

仕事内容は身の回りのケアや健康管理が主です。施設自体も設備やサービスが整っており、一人の看護師が受け持つ患者さんの数が他の施設に比べると少ないため行き届いたサービスがしやすいです。

利用者は高額な費用を出して入居するため、看護師も含めて施設のスタッフに対する期待度が一番高いです。利用者や家族は「高いお金払ってるんだから・・・」とスタッフに対する評価が厳しめになります。

他の施設は利用者に均一のサービスを提供していますが、ここでは個人に合ったサービスを提供しなければなりません。一部で夜勤やオンコール対応もあります。

ケアハウスは?

ケアハウスは「低価格型の老人ホーム」です。国や自治体から所得に応じて助成金が出る仕組みになっているため民間の老人ホームに比べると安く利用できます。利用者は、他の施設と比べて要介護度は1や2と比較的低い傾向があります。

仕事内容は、他の施設と同様に健康管理や予防がメインになります。機能訓練士と相談しながら、機能訓練も兼ねた「生活リハビリ」も入ってきます。利用者の生活に立ち会う度合いも高く、外出やレクなどの補助もあります。求人数は少ないです。

グループホームは?

グループホームは、介護が必要になった患者さんが利用する施設です。戸建て住宅を借り上げて、アットホームなサービスを展開しています。

利用者は比較的健康ですが、認知症の患者さんが多く、長期にわたって利用するケースが多くなります。医療行為は他の施設と同等のレベルですが介護業務の度合いが高いのも特徴です。求人数は少ないです。

利用者の病状はみな安定して軽いの?

一般的には安定した利用者が多いといわれてきました。実は最近、利用者の割合が変わってきています。

病院としてはベッド数不足や長期入院患者は報酬が低いため、退院を促すケースが増えているからです。医療依存度の高い人か重症者が多くなり、看護の割合が増えつつあるのです。一人に対する医療提供の占める割合が高くなるため、病院と施設の線引きも曖昧です。

どうせ夜勤で重症者を看るなら、給料が高くて、設備が整い、医師も常勤している病院に戻りたいという看護師も出てきています。

施設症ってなに?

一言で言うと、利用者に対する度を超えたモラハラです。

施設のスタッフは、高齢者や認知症患者に対して、最初は手厚いケアと気持ちのこもったケアをこころがけます。次第に利用者に対しての疲労感や苛立ちが怒りとなりマヒしていきます。やがてそのイライラを利用者にぶつけるようになり、一人の人間として尊厳を持たずに対応してしまうことを「施設症」と呼びます。

「○○さん」という固有の名前で把握せず、「おむつを付けている人」「徘徊する人」「困った人」などあだ名までつけるようになるのです。最終的には、時間がないからという理由で食事を十分にとらせなかったり、面倒くさいからという理由で着替えや入浴回数を減らしたりといった環境にすらなってしまうことを言います。

利用者は高齢者や認知症ばかり。ケガさせて大丈夫?

ケガが大きい場合は裁判になる事例もあります。病院でも医療事故は発生しますがよっぽどの過失がない限り病院側が勝ちます。原告が勝つ確率は約20%しかありません。

施設でも高齢者や認知症の利用者の割合が高いため、転倒による打撲や誤えんなどの事故率は高いです。しかし施設では利用者側の勝訴率が70%を超えています。「もう少し注意してくれたら・・・」という利用者の家族の思いが受け入れられがちだと言えるでしょう。

施設で働くなら、利用者のケガや事故に注意して働く必要があります。高齢者のためちょっとした転倒でも大けがにつながります。

どんな看護師が好かれる?

施設は高齢者や認知症の利用者の多いところです。変化も少なくペースもスローです。その分、「小さな変化」に気が付ける人が重宝されます。

「○○さんは、施設で出したら食べないけど、お孫さんが持ってきたゼリーはすごく食べてくれる。お孫さんが大好きでハリになっている」
「一人でいるとムスッとしているけど、皆でいるとニコニコしている。集団が好きなんだ」
「昨日は数歩歩けていたのに今日は疲れているのか車いすでしか移動できていない」
「○○さんは、寝る前にお茶を飲みたい。でも●●さんは、朝起きて一番」

といった些細な変化に気づいて分析できる人は好かれます。一つの医療行為だけにとどまらず、利用者そのものを全体的にとらえられて対応できる人が活躍する場所です。