看護師初めての病院見学ガイド。申込方法、服装、注意点まとめ

病院見学の様子

山本さん(30代・女性・主任)
看護キャリアの第一人者。転職事情に強い。
臨床現場に立ちつつも、採用業務やマネジメントの仕事もこなす。

看護師の皆さんこんにちわ!
メディカル調査員の山本です。

転職活動はいかがでしょうか?
気になる病院は、サクッと見学をして疑問をスッキリ解消したいですよね。

しかし病院見学には不安がつきものです。

  • どうやって申し込む?
  • 迷惑じゃない?
  • 注意点はある?

病院見学は、意外と心理ハードルが高めです。

そこで今回は「病院見学のベストガイド」をお届けします。
申込方法、服装、注意点だけではなく、見学の裏情報まで、全ての疑問にキッチリお答えします。

読んでいただければ病院見学の不安が解消されますよ!

病院見学とは?

病院見学とは、自分に合った病院を探す旅です。

「なんか思ってたのと違うな・・」「ちょっと嫌だな・・」「イマイチだな・・」
こんなチョットした違和感は「持っていたイメージと現実」のギャップです。このギャップを無くすことで、転職の失敗を減らせるのです。

最近はそうした考えも一般的になり、見学する人が増えています。病院見学ツアーなどもあったりするくらいです。
それに色んな病院の内部を見るのは、転職するしないに関わらず、看護師としての経験にもなります。

「でも迷惑じゃ…」
たしかに不安もありますよね。

しかし病院は見学を歓迎しています。
ホームページに「見学OK!」「見学大歓迎!」「まずは見学から!」と書く病院も増えていますよね。
病院の人事担当者によると「見学は、入職後の短期退職を減らせるし、応募数も増えるし、やる気のある人が集まりやすい」などのメリットあるそうです。

転職失敗は一目見ていれば防げるケースが多いです。失敗は自分も病院の全員が損をします。
見ないで後悔するよりも、まずは見学しておきましょう!

短時間でサクッと見られますのでオススメですよ。

申込方法

病院見学の申込方法は主に5パターンあります。

  • 電話
  • メール
  • 面接中
  • 転職サイト経由
  • 見学ツアー

一般的なのは電話です。
気になる病院に電話をかけ、名乗って、担当者に変わってもらい、用件を伝えるだけです。
「求人を見て電話をさせていただきました。ご担当者の方お見えでしょうか」「まずは病院見学をさせていただきたいのですが、可能でしょうか?」
話すことを事前にメモしておきましょう。日程を決めるため自分のスケジュール帳も用意してきます。当日誰をたずねるかもお忘れなく。

最近はメールも多くなってきました。
ホームページに「病院見学はメールでどうぞ」という案内があれば、メールでやりとりします。
記載がないのに勝手にメールを送ると、小さな病院などはメールチェックしてないこともあるので要注意です。

面接中に病院見学を申し出ることもできます。
面接中の「何か質問は?」で切り出してみましょう。
でもできれば面接前に見ておきたいですね。

最近は転職サイト経由の病院見学も多くなってきました。
特に若い人達がよく利用しているようです。
病院見学の申込は、転職サイトの担当者が代行してくれます。(もちろん無料です)
地域の求人事情も把握しているため、見たい病院を絞り込むのにも便利です。
手軽かつ、心理的な不安も少なく、見学のアドバイスもしてくれるため、不安がある人にオススメです。

見学ツアーは、数こそ少ないですがチラホラ見かけるようになりました。
ツアーには病院主催、自治体主催の2種類があります。どちらも定期開催しており、病院や自治体のホームページで確認できます。
病院主催のツアーは、大手医療法人グループが主催しており、グループ内の施設をみんなで見て回ります。
自治体主催のツアーは、地域の病院を3~5ヵ所ほどを見て回ります。
大人数なので気軽に参加できますし、勉強の意味でもジャンジャン参加したいところです。
とくに自治体主催のツアーは、1日かけて色んな病院が見られるためオススメです。
友達と一緒に参加するのも面白かったりします。

見学の服装

見学は、ある意味で面接でもあります。

「病院見学の印象が悪く、内定を出さなかった」という話はよく聞きます。
面接と同じように、マナーと礼儀が大切になるでしょう。

マナーで大事なのは服装です。
当日はスーツが無難です。スーツが無ければ「白のブラウス、紺系のスカート」「白のシャツ、グレー系のパンツ」でもOKです。なるべく清潔感のある白と、地味目の色(紺、グレー、黒)を選びましょう。
病院からは「病院見学は私服でどうぞ」と言われるかもしれませんが、カジュアルな服装ダメです!ビックリされます。過去にパーカーとサンダルで見学をした方がいましたが、さすがにスタッフ一同驚いていました。経験が申し分ない方だったためギリギリ採用となりましたが、大きなマイナス点となったようです。

靴は低めのヒールが無難です。音が出る靴はNG。スニーカーもNGです。
香水、ピアス、派手なネイルもNGです。
髪もまとめておきましょう。

つまり服装は「いつもの仕事着をスーツに変えただけ」です。
余計なものは身に着けず、シンプルかつ地味目が無難でしょう。
おかしな格好で行って「もしかしてこの格好で仕事する気じゃ・・」と病院側も不安になりますからね。
見学は仕事モードの服装で行きましょう。

当日の流れ

病院見学の当日は、一般的に以下の流れとなります。

  • 受付
  • 事前説明
  • 見学
  • 意見交換
  • 終了

まず受付に行き、見学に来た旨を伝えましょう。
用件、自分の名前、担当者の名前を伝えます。
「本日、病院見学をお願いしておりました看護師の◯◯と申します。ご担当の◯◯様お見えでしょうか」

その後、担当者から事前説明があります。
別室でパンフレットなどを見ながら説明を受けます。

次に見学です。
まず院内全体を軽く見回ります。
その後に希望の診療科の見学です。
ここで案内役は、担当者から師長さんに変わるケースも多いです。
見学中に質問があればその場でOKです。
ちなみに希望の診療科は、第二希望の診療科も伝えておくと良いです。見学場所が増えより病院が分かります。

見学が終われば、別室に戻り、担当者や師長さんと意見交換です。
見学中に聞けなかったことをまとめて聞きましょう。また担当者から見学の感想などの逆質問もあるでしょう。

全体の所要時間は、45分~90分ほどです。

見学中のチェックポイント


見学中は見るべきポイントが多くあります。

ただその前に「重要な前提」があることを知っておきましょう。

それは「見学はプレゼンテーション」ということです。
病院側はおかしな所を見せない、良いことしか伝えない、本音も言わないでしょう。

そのため働くスタッフの本当の姿は見えづらいです。
見学者が来ることは伝わっていますので、怒鳴ったり、叱ったり、不機嫌だったりは抑えているでしょう。

「病院見学では楽しそうだったのに、いざ働いてみるとギスギスした職場だった」というのはよくある話ですよね。

だからこそ小さな違和感を見逃さないようにしてください。
それには見るべきポイントを絞っておくことです。

・病棟全体
スタッフの人数をチェックしましょう。
看護師が少ないと離職率が高いのかもしれませんし、入職後に忙しいことも予想されます。
また看護師だけではなく、看護助手、医療クラーク、清掃員がいるかも確認しましょう。いてくれるとやっぱり助かりますからね。

・ナースステーション
ここは情報の宝庫です。
待機看護師の数、ナースコールに対応できているか、電話を取れているかなどの人員をチェックしましょう。誰もいないとギリギリの人数で回している可能性がありますからね・・。時間帯にもよりますが。
シフト表(休みが取れているか)、当番表(日勤に余裕があるか)。
備品や消耗品、廃棄物の片づけ具合。
経管数から重症患者数を推測。
カルテのフォーマット、ホワイトボードの受待ち患者数、検査数、薬の管理方法(薬の仕分けが薬剤師担当なら楽)、使用している器具などの業務。
もし定時後(18時~)の見学であれば残業者数もチェックできます。シフト表の夜勤人数から推測できるかと思います。
小さな違和感を見逃さないように!

ただし最近は、個人情報保護のため「ナースステーション内の見学NG」という病院も増えています。
(そういった病院でも、転職サイト経由なら担当者同士の付き合いで、見せてもらえるケースもあるようです)

・廊下
廊下も色んな事が分かります。
バタバタ走り回る看護師がいないか、部外者に挨拶する余裕があるか。
車いす、回診車、配膳車、廃棄物でごちゃごちゃしていないか。
廊下に排せつ臭が漂う病棟は、汚物管理がいい加減なことが多いです。

また建物の動線もチェックしておきましょう。
動線がシッカリしていると時間短縮、働きやすさ、体の負担軽減などメリットが大きいです。ナースステーションから病室までの距離をチェックしておきましょう。古い建物だと異常に離れた病室があったりするので要注意です。
ストレッチャーの使用も頭の中でシミュレーションしてみます。廊下の広さ、エレベーター、病室からオペ室・ICU・検査室までの距離などもチェックしてみましょう。

・病室、処置室
病室は看護観がよくわかる場所です。
患者さんへの挨拶、笑顔、処置の声かけ、雑談、相談、身の回り清潔具合、高齢者への抑制、不穏患者さんへの対応、ご家族への対応。
手洗い、マスク、手袋、ゴーグル、リネン器材などの衛生対策。
寝たきり、人工呼吸器、経管栄養など重症患者さんの割合。

病室は見るべきポイントが無数にあるため、可能な限りたくさん見ておきたいです。
ただし、見学者は病室に入れないと思っておきましょう(基本的にね)
廊下から見るだけというケースも多いです。

・水回り
汚物室、ゴミ庫、リネン室、トイレ、洗面所もできれば見ておきたい所です。
病院としてはあまり見せたくない場所かもしれませんが、職場のカラーが出るポイントです。「汚物室はどんな感じですか?」とやんわり聞いてみましょう。

・託児所
子持ちの方だけではなく、将来結婚を考えている方もチェックしておきましょう。
安心して預けられる環境かどうかは重要です。
子供の笑顔、スタッフの数、衛生面など。

・休憩場所
休憩室や更衣室、食堂、仮眠室などを見せてもらいましょう。
とくに仮眠室は夜勤の質を左右するため重要です。専用の仮眠室があればベストでしょう。ナースステーション内の隅に簡易ベッドという病棟も多いですが、これから何年も働くことを考えると厳しいものがあります。

・全体的な設備
設備は、病院によって様々です。

注意してチェックしたいのは「今の病院との違い」です。
設備の変化が大きいと、イライラやモヤモヤとなり不満となるケースが意外と多いからです。

例えば、総合病院から小規模病院に転職するときにありがちな「電子カルテから紙カルテになった」という問題です。
「自分は大丈夫」と思っていても、いざ使ってみるとその非効率さにイライラする、といった話はよく聞きます。

設備をチェックして、自分が使用しているイメージをしてみてください。
今の職場より、新しい物も、古い物もあるでしょう。
それを自分が許容できるかどうかです。

質問例リスト

見学中は質問をする機会も多いでしょう。

聞きたいこと沢山あるかと思いますが、時間に限りがあるため、最低限の聞くべきことを考えておきましょう。

・質問例

  • 入職後のスケジュール。教育体制
  • 電子カルテ、看護方針
  • 研修、勉強会、研究発表
  • 認定看護師の取得サポート。スキル面、金銭面
  • 委員会、病棟会、看護研
  • ベッド数、ベッドの稼働率
  • 看護師の平均年齢、勤続年数
  • 育休後の復職率
  • 夜勤体制、シフト、回数、仮眠、ラウンド
  • 急変対応をしてくれるICUがあるか
  • 急患の受入れ頻度
  • 残業の平均な頻度。正直に言わない可能性も。サ―ビス残業、超過は違法性があるため。
  • 未婚率、既婚率。自分と似た人が多い方が働きやすい。
  • 中途率。中途者が多い方が、グループが固定化しておらず溶け込みやすい。
  • バイトと常勤の比率。常勤が少ないと看護配置がギリギリなことも。重宝されるがもしもの時に辞めづらい。シフトも大変。夜勤も多くなる。

注意点として「お金、残業、休み」の質問は控えめにしましょう。もちろん一番聞きたいポイントですが、どうしてもガツガツした印象を与えてしまいます。
また患者さんの個人の質問もNGです。見学中にカルテなんかも見えてしまいますが、なるべく見ないようにしましょう。

さらに気を付けたいのは、「病院側の話はあくまでも建前」だと言うことです。
見学は病院のプレゼンテーションであり、売り込みです。
100%信じてしまうのは、転職失敗につながると考えておきましょう。

もちろん病院側が嘘を言っているわけではありません。
良い面しか見せないようにしており、本来の姿とは多少なりともギャップがあるということです。

そのギャップを埋めるには、実際に働いている看護師の方に話を聞くのがベストです。
できれば見学中に話をできればよいのですが、実際には難しいでしょう。
話せたとしても、周りに同僚や上司がいる中では、本音を話してくれるとも限りません。

病院の詳しい内情は、実際に働いている友人や知人に聞くのがベストでしょう。
そういった人がいない場合は、転職サイト経由で調べてもらうのがベストでしょう(過去に転職サポートした看護師から聞いてくれるようです)

見学その後

「見学が無事に終わった」
「その後はどうしたらいい?」

例えば「お礼状を書く」という話もありますよね。
たしかに看護師には「病院見学後にお礼状を書く」という風習があります。

でもお礼状を出すのは、新卒時です。
出す理由は「病院との関係を長く続けていきたい」という、学校側の都合によるものと言われています。

転職時はそういったしがらみもないため、お礼状は不要です。
もちろんメールでやり取りしていたなら、お礼のメールを送信するくらいはしたほうがよいでしょう。

しかし手紙までは不要です。
貰った側としては「マメな人だな」という印象くらいで、内定に影響が出ることはありません。
また一般企業でも職場見学を行っていますが、お礼状が送られてくることはかなり稀です(新卒であっても)

見学の最後に「ありがとうございました」とシッカリお礼を言うだけで大丈夫です。

また「面接をしたくないときは、断りの電話をするの?」という疑問もあります。
これも不要です。
見学はあくまでも見学です。面接に進むかどうかは別の話です。

もちろん見学の終わり方にもよります。
「じゃあ面接日どうしようか?」「予定が空いたら連絡ください」など、次のステップに進む前提の話になっているなら、断りの連絡をする必要があるでしょう。
でもそういった約束をしていなかったり、「ぜひ来てほしいな」くらいで終わったなら、断りの電話は不要です。

病院見学Q&A集

・交通費は出る?
基本出ないと思いましょう。
出ることもありますが、期待してはいけませんし、聞いてもいけません。

見学はあくまでも自分のためです。
交通費は自分への投資だと思いましょう。

・見学に「履歴書を持ってきて」と言われたら?
病院側は面接をする気満々です。
大きな病院は「見学と面接は別物」としっかり分けていますが、クリニックや古い病院などでは「見学の流れで面接も」というケースは結構あります。

ちなみに病院から見れば「見学時に面接もやれば、ナースの獲得率が上がる」傾向があるそうです。
看護師不足に悩む病院ほど「見学時には履歴書を」となりやすいようです。

しかし面接に進むかどうかは、見学してから決めましょう。
そもそもそのための見学です。

面接を前提とした見学には、ハッキリと自分の意思を示しましょう。
もちろん「この病院で働きたい!」という思いがあるなら、面接もやってしまうのが効率的です。
しかしまだ検討段階であれば「面接はまた日を改めて」と伝えましょう。転職は人生を変えるイベントですから、交渉に負けない覚悟も必要です。

・こっそり見学に行くのはあり?
もちろんありです。
申し込まずに行けば、普段の病院が見られるでしょう。

ただし注意したいのが不審者扱いです。
最近では盗難、個人情報保護、安全管理などで部外者を警戒している病院も多いです。

こっそり見学中に警備員に呼び止められた、というのはよくある話です。

もちろん「転職のための見学」ですから、悪い行為ではありません。
でもそれは見学者側の言い分であり、病院側から見れば気持ちが良いものではありません。

それでもこっそり行くなら、共有スペースを中心に見学しましょう。
玄関ロビー、受付、売店、食堂、エレベータホール、休憩室などでも、病院の雰囲気は感じられるものです。

病棟内を見たいときは、通り過ぎる程度にしておきましょう。
時間帯は昼食前がオススメです。面会者が比較的多い時間帯であり、食事の準備でバタバタしている時間帯でもあるため、不審に思われづらいです。
ただしマナーだけはしっかり守りましょう。病棟は患者さんたちの生活の場ですからね。病室の中に入るなどは絶対にNGです。

・転職サイト経由の見学もあり?
はい。もちろんありです。
最近は若い看護師を中心に、転職サイト経由の見学が増えているそうです。

理由はいくつかありますが、「気軽さ、見学の内容、情報提供」という3点にあるようです。
転職サイトは「見学の申込、日程調整、お礼、面接に進むかどうか」までを全て代行してくれます。
また病院とのコネクションがあるため、普段は見学できないナースステーション内や病室、処置室、リネン室、オペ室など、より詳細に見学できるケースもあります。
さらに病院の内情を調べてくれるため、見学だけではわからない情報も知ることができます(働いている看護師から話を聞いてくれる)

このように転職サイト経由は「「気軽さ、見学の内容、情報提供」という3点に魅力があるようです。

まとめ

病院見学は、自分に合った病院を探す旅です。
職場とのミスマッチを防ぎ、転職の失敗を無くす旅とも言えるでしょう。

転職するなら、ぜひ一度は見学へ行きましょう!

「働きたい病院がある」という方は、直接申し込んでみましょう。
「色んな病院が見たい」という方は、自治体主催の見学ツアーがオススメです。色んな病院を見て回れれるのはかなり良い勉強になります。
「気軽に見て回りたい」という方は、転職サイトに登録してみましょう。担当者の方が全部手配してくれます。働いている方々からも話を聞いてくれるため病院の内情も詳しくわかり、転職の失敗もかなり減らせます。

2018.07.31(追記)
※サポート力に定評のある転職サイトを最後に追記しておきました

何はともあれ行動あるのみ!
より良い看護人生のためにも見学に行きましょう!

皆さまが良い病院に巡り合えるのを願っております(^o^)

サポート力に定評のある転職サイト

こんな記事も参考にどうぞ。

看護師が転職で失敗しないための準備マニュアル
大損してた!看護師が知っておきたい残業代のこと
看護師を辞めるのはちょっと待ってください!