看護師が避けて通れない急変対応。後悔した体験談

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「どうか急変に当たりませんように・・・」
こんな風に急変に怯えている看護師さん、いませんか?

こんにちは、私はメディカル調査員の前田です。
看護師にとって、患者さんが元気になっていく姿が見られたら本望ですね。
しかしそんな患者さんばかりではありません。

患者さんの状態の悪化。
悪化からの死。
看護師を続ける上で、このような場面に何度も遭遇します。

その時に自分は正しい判断ができるのか?
患者を助けられるのか?
看護師の多くは、急変に対してこのような恐怖や不安を感じています。

そこで今回は、急変に怯えている看護師さんのために、急変に関する体験をまとめました。
看護師が経験した急変や、後悔したことをはじめ、
経験を通して学んだ急変の気づきポイントもまとめています。

これを読み終えた時、急変に対する気持ちが少し前向きになっていればうれしいです。

急変対応で後悔した体験談

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見逃し

仮名M・K
所属:内科

看護師2年目です。
急変には何かしらの予兆があると言われていました。
私はその予兆を感じることができず、急変を発生させてしまいました。

夜勤中、認知症の患者さんがいつもと違ってナースコールが多いな思いました。
なので、何回もナースコールのたびに伺ったのですが、認知症なので会話が通じず。
相手が何か言い立てて、こちらが受け流すという「作業」になっていました。

ですが、その2時間後、心停止していました。
原因は酸素が十分行き渡ってないことでした。
認知症だから仕方が無い、と思ってしまったことによる見逃しです。

ナースコールの多さときちんとアセスメントをしていれば気づけたかもしれません。
何かしら騒ぎ立てている患者さんでしたので、認知症だし仕方ないで片付けていました。
ですが、ナースコールの多さと応答から疑問を感じ、周囲に相談していればと未だに後悔しています。

指示内容を理解できませんでした

仮名:K・Fさん
所属:呼吸器科

看護師2年目で、初めて急変に遭遇しました。
日勤中だったので周囲に先輩看護師がおり、即座に報告しました。
その後、先輩の指示の元で急変に対応することになりました。

しかし、私も急変が初めてで、とっさの指示内容を理解できませんでした。
人工呼吸装置を装着していた患者さんの換気量低下アラームが鳴ったときです。
「チューブ確認!」と言われたのですが、チューブの数量を確認するものと思いました。

とっさに病室の外に走り出そうとすると、「何やってるの!」と怒られました。
DOEPでは、まず最初にチューブが抜けているかどうかを観察するとやっていたのに。
焦っていたのか、医療用のチューブを探しに外に出てしまいそうになりました。

結果的に先輩にしかられ、師長にも怒られました。
急変に落ち着いて対応することはできなくても、言われた手順くらい守りたい。
なので、振り返りを行い、再度DOEPの流れを確認しメモにして持ち歩いています。

周囲に迷惑をかけた

仮名:S・Wさん
所属:呼吸器科

看護師2年目です。
この前、急変に当たったとき自己嫌悪に陥りました。
それは、自分のせいで周囲に迷惑をかけたからです。

リザーバーの当て方が悪く、酸素化できず。
チームリーダーにものすごく怒られたうえに、先輩に取って代わられました。

焦ってきちんと状態を把握することもできず、悔やむことばかりです。
現在、師長と振り返り学習をし、振り返りの実行項目を作っています。

リザーバーもそうですが、器具の確認と使い方はしっかりと演習して確認をすべきだと考えました。
同じ道具を使うことは絶対にあると思うので、同じミスをしないように覚えたいです。

頭の中が真っ白に

仮名:A・Nさん
所属:産婦人科

助産師2年目です。
先日、初めての緊急帝王切開を経験しました。
その時、パニックになって怒られてしまいました。

日勤時に先輩と巡回中、部屋にいる患者さんが痛みを訴えてきました。
よく見てみると、顔面蒼白で貧血のような症状がありました。

それを見て「あ!」となってしまいました。
頭の中が真っ白になり、どうしようと困ってうろうろしてしまったのです。
先輩に「何してるの! ナースコール!」と怒鳴られ、はっと正気に戻りました。

その患者さんは常位胎盤早期剥離と診断され、緊急帝王切開が開始。
手術はうまくいき、母子共に健康でした。

しかし、先輩と状況を聞いた師長にかなり怒られました。
これからはパニックにならないように、あらかじめ研修へ参加するように言われました。

小まとめ

急変はみんな怖いものです。
新人や経験が少ないなら、なおさら怖いでしょう。
そして、遭遇したときに自分の未熟さで後悔してしまう人が多いです。

しかし、経験数が少ないうちがチャンスとも考えられます。
教えてもらえるうちに、スキルを身に着けるしかありません。

といっても、十分にスキルを身につけた先輩でも急変は怖いものです。
次は、先輩たちの後悔を紹介します。

何度経験しても急変は怖い

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異動したばかりで判断ミス

仮名:E・Kさん
所属:循環器科

看護師7年目、整形外科から循環器科に異動しました。
異動したてだったのもあり、判断ミスをしました。

異動してすぐの夜勤の時の話です。
患者さんが突然苦しみはじめたので、応援を呼びすぐモニターを準備し確認しました。
その時心電図モニターは、一見正常に動いているように見えました。

というのも、私は慣れない心電図の読み方を覚えている最中でした。
整形外科ではモニターはほぼ使いませんでしたし、異常波形も見たことがありませんでした。
なので、正常値を示していると判断しました。

なので、心電図モニターは異常なしと報告しました。
血圧も問題なし、機械は正常値を示しました。

しかし、応援で駆けつけた別のナースが対応を始めると仰天しました。
「PEA! ちゃんと触知したの!?」
すぐに胸骨圧迫が始まり、患者さんは救われました。

本来であれば、すぐに胸骨圧迫が必要な状況でした。
ですが、自分の報告によって遅れが生じ、死亡リスクが高まりました。

結果的には患者さんは助かりましたが、間違った報告が間違った対応を引き起こします。
また、慣れてないなら、7年目なりの行動のやり方があった。
間違いやすい症例を頭に入れて置くことはすべきでした。

久しぶりの急変対応

仮名:S・Oさん
所属:内科

看護師9年目です。
恥ずかしながら、久しぶりの急変対応で焦ってしまいました。

病棟を見て回っていたとき、全身けいれんの患者さんを発見。
とっさに、ナースコールを押したものの、救急カート持ってくることを言われるまで気づけなかった。

回復期なので、急変はあまり想定していなかった。
油断していたので、研修に行き再度流れを確認する。
今後は気を引き締めていきたい。
この一件は、かなりショックだったのでずっと覚えていると思う。

やってしまった

仮名:I・Fさん
所属:外科

看護師7年目です。
患者さんの急変時、つい新人さんを怒ってしまった・・・・・・。
かなり後悔しています。

というのも、急変の時はベテランでも焦ってしまいがちです。
夜勤の時、心電図モニターが鳴っていて、急変を確認したときのことです。
Spo2も低く、患者さんの元へいって対応を開始しました。

しかし、いつまで経っても新人が来ない。
ようやく来てもおろおろするばかりでモニターの準備も、声かけもできない。
思わず「いいよもう、代わって!」と怒鳴りつけてしまいました。

結局、一段落して新人を探すとナースセンターで泣いていました。
焦っていたとはいえ、やってしまったと後悔しました。
うまく新人を使えなかった自分が悪いので自分も反省し、今度はやらないと誓いました。

慣れることもある

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看護師の中には、急変に慣れてきてしまう人もいます。
慣れというのは怖いもので、人間自然と楽な方へと流れていきます。

最初は緊張感を持って、手順を確認します。
だが、慣れというのは次第にそういった手順を怠るようになります。

急変が起きたときも、「あ、はいはい急変ね」といつも通りに準備する。
そうすると、対応が流れ作業になり、手順をすっ飛ばしたりすることもあるでしょう。
その結果リスク管理が甘くなり、ミスをして焦って対応を間違えることもあります。

慣れてきたなと思ったとき。
改めて研修に参加したり、受け持ちの患者さんが急変を起こした場合のシミュレートも大事です。
何事も、多少不安がある方がチェックに力がはいりますね。

急変は急には起こらない

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急変が起こる前に前兆があると言われています。
みんなが感じた急変前の異変をまとめてみました。

呼吸が速い

仮名:K・Rさん
所属病棟:呼吸器科

日勤の時のことです。
受け持ちの患者さんのところへ行くと、呼吸が浅く早くなっていました。

しかし、バイタルなどは異常なしという結果で気道は開存しています。
だけど、おかしいなと思っていたら、確実な呼吸が成立してないのではと思いました。
急変の判断をし、応援を呼ぶのと、利尿薬とドブタミンを使用しつつケアを行いました。

その患者さんは、受け持ちだったので違和感があり、判断できました。
こういったことがあると、自分の中の違和感に対して正直になろうと思います。
何かあってから動く、よりか何かある前に、動きたいです。

いつもと違う姿勢

仮名:K・Rさん
所属病棟:外科

申し送り時に、気になることを言った子がいました。
「なんだか患者さんが、いつもと違う姿勢でテレビを見ていました」
些細なことだけど、気になって見に行ってみると急変の前兆でした。

というのも、患者さんによればいつもと違う姿勢だったのは呼吸が苦しいからだったらしい。
アセスメントの結果、努力呼吸をしていると判断し報告しました。

結果的に、患者さんは助かりました。
この件を受けて、どんなに小さなことでも見逃さないようにしようと思いました。

あまりにも小さい変化

仮名:M・Fさん
所属病棟:内科

患者さんにSp02値の低下がありました。
あまりに小さくて、規定範囲内に収まっていました。
でも、一緒にいた看護師と嫌な感じだねと話すなど、なんとなく予感がしました。

念のため、師長に相談したがその場は観察になってしまいました。
あまりにも小さな低下なので、師長は気にかけなかったようです。
しかし、日勤が終わる直前に、血圧アラームが鳴り急変が発生しました。

気をつけていたので、急変自体はすぐに落ち着いて対応できたと思います。
だけど、事前に手を打てば急変が起こらなかったんじゃと感じました。
今後は、どんな小さな疑問も、複数の人に相談してみようと考えています。

その他にもこんな異変がありました

  • 普段の様子との差異。皮膚がチョット白いとか青いとかの違いに気づいた
  • 検査で正常値を示さない
  • 立つとき、立ちくらみのような症状が出ていた
  • 顔色が悪い
  • 話しているとつっかえるような感じがした
  • ブランチテストの結果、赤みに戻るまでの時間に違和感
  • 脈拍が弱い、もしくは早い
  • 苦しそうに呼吸をしている
  • 発汗していた
  • 呼びかけに返事がない、もしくは返事をするときの状態が不穏
  • 嘔吐感があると訴えてきた

まとめ

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急変が起きたとき、看護師のプレッシャーが最大になります。
どんなに気をつけていても、予兆を感じ取れても突然起こってしまうからです。

急変に初めて遭遇したとき、誰もがうまく動けるわけではありません。
先輩たちは、不安や怖さがあるから、努力でおぎなおうとしてきました。
表では何でも無い顔をしていても、裏では必死に勉強している方が多いです。

けど、ピンチは自分が成長する最大のチャンスです。
新人看護師にとっては、ここが看護師を続ける上での山場の1つとも言えましょう。

だからといって、いきなり新人を急変対応に放り出すのは危険なことです。
日ごろ、チームでの急変ショミレーションを行ったり、急変後の反省会や、先輩のフォローがある。
その結果、1つ山を越えたときの達成感は大きいでしょう。

また、急変が起これば、病院の善し悪しも見えてきます。
ある意味、新人にとっては自分のいる病院を見極めるチャンスかもしれませんね。

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