看護師のリアルな給料事情。年収600万円越えの世界とは?

【この記事を書いた人】
クリニックで働くK子
山田K子(28歳)
総合病院に勤務後、現在は都内のクリニックで働きながら、人事担当も兼任

看護師の皆さん!ご無沙汰しております!
ポンコツ女子のK子です。

イキナリですが、皆さん給料おいくらですか?
手取り40万!
年収500万!
夜勤手当込みで45万!

景気の良い病院は、お給料も凄いですよね。。。

しかしその一方!
手取り22万円・・
年収300万円・・
夜勤手当込みで25万円・・

看護師であるにもかかわらず、一般職以下の給料しかもらえないケースがあるのも事実です。

「どうしてこんなに違うの?」

私は仕事柄、友達からこんな質問をよく受けます。

結論から言えば「病院による給料格差」です。
儲かっている病院は給料が高くなりますし、貧乏な病院は・・・。

そこで今回は「看護師が給料を上げる方法」をテーマに、「給料が高い病院ってどこ?」「実際の給料はどんな感じ?」「給料を上げるには?」など色んな疑問にお答えいたします。
ネットによくある「ナース平均給料とは・・」といった薄い内容ではなく、看護師の給料に詳しい立場をフル活用して「ナースの給料の裏の裏」まで大公開しちゃいますよ!

給料が高い病院ってどこ?

クリニックの賃金表
これは私が勤めている某医療法人の賃金表です。
※怒られたら消します

ちなみに私は法人グループ内のクリニックで現場&人事担当として働いています。

順番に解説してきましょう。

まず左から3列目の基本給。
まず新卒の初任給は24万円とかなり高くなっています。
31歳で31万円ほどになり、昇給額も高めです。
40代、50代はさすがに昇給しなくなりますが、51歳で40万円ですから、かなり高めなんじゃないでしょうか。

次に地域手当。
このクリニックは東京にあるため2.4万~4万円と多めに出ています。ふつうはここまで出ないでしょう。

次に診療科手当。
このクリニックが精神科ということもあり、1万円以上支給されています。
看護師の資格手当の意味合いもあるそうです。

次に夜勤手当。
3交代、1回の手当額です。
こちらは8,600円と平均的な額なんじゃないでしょうか。
私が働くのはクリニックですが、入院もあるんですよね。夜勤が月6回~10回くらい回ってきます。

次に住宅手当。
東京という土地柄のため、3.5万円と高めになっています。

次に月間(額面)。
月間(額面)は、基本給+各種手当のことです。
税引き前のお給料額です。
新卒の22歳で31万、31歳で35万なので結構もらってますね!
税金を引いた手取りだと、22歳で26万くらい、31歳で30万くらいになります。

次にボーナス。
基本給の4.2か月分です。
夏冬の2回に分けて支給されます。

次に年収ベース。
600万を超えている看護師もいますね。
夜勤や役職手当を入れると、それ以上の人もチラホラいます。
ただここまでいくと所得税や市民税、健康保険料などがすごい額になるため、手取り的にはかなり落ちてしまいます。

その他としては扶養手当、交通費、残業代、休日手当、食事手当などが支給される診療科もあります。

また役職手当もそこそこ出ます。
ただこのクリニックには役職が師長しかなく、しかもそれを副院長が兼務しているため、役職手当が期待できないという(泣)
ちなみに副院長(看護師)は、年収で1000万を超えています(貰いすぎ!爆!)

まあそれはさておき・・・。
この医療法人は、総合病院、クリニック、人間ドック、介護施設、保育園など色々な施設を運営しています。
でも看護師であれば、どこの施設でも賃金は一律です。
クリニックでも病棟と同じ給料がもらえます。
もちろん夜勤手当、地域手当などの差はありますが、基本給や福利厚生は変わりません。

病院の創立者が「病院はスタッフのもの。全て還元する」という神様みたいな方だったそうで、それが今も守られています。
素晴らしい!

さて次は、もっと具体的な給料明細を見ていきましょう。

私のリアルな給料明細

※1000円未満は切り捨ててあります。

28歳/女/看護師7年目

支給(額面)

基本給:29.9万
地域手当:2.9万
残業手当:2.1万(約10時間の残業 1日30分くらい)
住宅手当:3.4万
夜勤手当:6.8万(8回分 3交代)
診療科:1.5万
役職手当:0.2万(人事部)
─────────────
合計:46.8万(支給)

控除(引かれる分)

生命保険料:0.5万円
共済会費:0.3万円
健康保険料:1.6万円
雇用保険料:0.3万円
所得税:2.6万円
住民税:3.1万円
─────────────
合計:8.4万円(控除)

支給:+46.8万
控除:-8.4万円
─────────────
合計:38.4万円(手取り額)

結構貰ってます(汗)
ボーナス額は年4か月分くらいでしょうか。こちらもかなりの額です(汗)
年収だと500万円を超えています。

こうやって見るとやっぱり基本給が高めです。
初任給が高く、さらにシッカリ昇給していますからね。

あと福利厚生も大きいです。
地域手当、住宅手当、診療科手当、役職手当。
これだけで合計8万円。

まったく0円の病院もあるそうなので、病院格差大きいです・・。

でも看護師は専門職ですからね。
高給取りで当然だと思います。
資格を取る苦労、仕事の専門性、日々の勉強、精神的な重圧、不規則な勤務、体への負担・・・etc。

これらを考えれば最低でも手取り30万円は欲しくないですか?
私は月収40万円でも妥当な金額じゃないかと思っています。
病院はビックリするくらい利益が出ていますので。

夜勤ありなら手取り40万円。
夜勤なしでも手取り32万円。

このくらいは欲しいですよね?
これでも病院は全然利益が出る金額です。

逆にこれくらい貰えなきゃ損だと思います。

世の中、本当に不公平なルールばかりです。
けどそれはどうしようもないです。
有利なルールのある場所で働くしかないです。

私の前の職場は、手取り25万円くらいでした。
転職しただけで1.5倍です。
私は転職して良かったなと・・。

さて次は、看護師の出費事情を見ていきましょう。

28歳独身ナースのリアルな家計簿

かなりザックリな毎月の出費です・・・。

家賃:7万(管理費込)
食費:6万(ほぼ外食!)
光熱費:1万(電気ガス水道)
携帯代:1万(docomo)
ファッション:3万(服、美容院)
生命保険:0万(病院で加入。給料天引き)
雑費:3万(消耗品、家具家電など)
飲み代:2万(月3回~5回)
旅行積立:4万(年1回海外旅行分)
スポーツジム代:1万
エステ:2万円(月2回固定)
─────────────
出費合計:28万円

こうやって見ると浪費が激しいですね・・(汗)

ジム、外食、エステ、飲み代、旅行を無くせば10万円近く削れそうです。
ただジムは貴重な出会いの場なのです・・。
それに伴い外食も外せないですし、エステも外せないし、飲みも断れないし、旅行は唯一の楽しみですので・・。

でも手取りが約38万円あるので、月10万円近く貯金できています。
ボーナスは年120万円ほどで全て貯金に回してますね。
年間250万円ほど貯金が貯まっていきます。

今の職場に転職して通帳が500万円くらい増えました(汗)
8桁目前です。

さて次は、肝心な給料アップ方法を見ていきましょう。

給料を上げる方法

正直、給料は上がりません。
入職した病院によって、年収ベースは決まってしまいますからね。

給料に不満がある方は、こんな感じの病院じゃないでしょうか。
・初任給が低い
・昇給率が低い
・福利厚生が少ない

逆に給料が良い病院は、こんな感じです。
・初任給が高い
・昇給率が高い
・福利厚生が手厚い

例えば、私が勤める病院はこれを全部満たしています。

この病院格差はかなり大きいです。

例えば、初任給18万の病院で働いているとしましょう(夜勤なしの例)
毎年5000円昇給するとします。
10年後。月収23万円になりますよね。
頑張って昇給しました。

でも私の病院だと、新人以下です。
うちの病院だと新人で24万円ですからね。
10年目なら30万円貰っています。
月収で7万円もの差。

病院選びを間違えただけで、これは酷いと思いませんか?
生涯賃金にしたら数千万円。一軒家を買う以上の損です!!!

でも悲しいことに、これって個人の力じゃどうしようもないんですよね。頑張って働いても給料なんて変わりませんから。
病院側の問題です。

ただ・・・
本当にこれでいいんでしょうか!?
格差が大きすぎませんか!?
不公平だと思いませんか!?

私はそうした現状を許せず転職したんですよね。

転職をすると給料が下がる現実

給料を上げるには、転職が良いと思います。

でも実は、転職した看護師の7割が給料ダウンしています。

上がるのはたったの3割しかいません。
これは一般業種も同じ傾向があります。しかも転職するごとに給料が減っていくという・・・。

理由はいくつかありますが、経歴リセットが一番大きいでしょう。
経験があっても、それが給料に反映されないというよくある話です。

これが結構酷いんですよね!

例えば、看護師5年目のAさん。
外科3年、転属して内科2年。
この人が内科に転職したとします。

するとどうなるのか?

2年目の給料しかもらえません!
5年も経験があるのに!
なぜ!?

そうなんです。内科の2年しか経験として認められないからなんですよね。

これはまだ良いほうの例で「全員1年目からだ!」という横暴な病院も多いです。
雇う側は、都合よくルールを変えられますので。

看護歴をしっかり評価してくれる病院も一部にありますが・・。かなり少ないです。

この経歴リセットは要注意です!
多くの看護師がこれで給料ダウンしています!

なぜ転職で給料が上がるのか?

給料ダウンする人がいる一方、
給料アップする人が3割もいます。

私も上がった一人ですが、他の上がった人の話を聞くと一定の傾向がありました。

ポイントは転職エージェントの利用です。

彼らは表に出ない裏の求人を持っています。
俗にいう非公開求人、条件が良い求人です。

うちの病院は以前、ハローワークと看護協会に求人を出していました。
けどそれだと色んな人が来るんですよね。
若い子が欲しいのに50代や60代の人が来たり、夜勤があるのにできない人だったり、経験必須なのに未経験だったり。

今は転職エージェントの非公開求人をメインに採用しています。
欲しい人材にマッチする看護師だけを採用できるので。
その分、非公開求人の給料ベースを高めに設定してあります。

こんな感じで、非公開求人は好条件が多いです。

さらに転職エージェントは経歴リセットにも踏み込んできます。

  • 「内科の経歴も認めて頂けないでしょうか?」
  • 「給料スタートを7年目からにして頂けませんか?」
  • 「〇〇科の経験があるので考慮して頂けないでしょうか?」

給料交渉は、個人だと難しいですよね。恥ずかしさもありますし。

でも転職エージェントはガンガン交渉してきます。
しかも彼らは、病院の内情や過去の事例も知っています。「ここまでは出せますよね?」っていうラインを熟知しているのです。
だから人事としては、要求を断りずらい(汗)

その結果として、転職エージェント経由で転職した人は、高確率で年収アップしているんだと思います。

転職エージェントは利用すべきか?

転職エージェントは利用しなきゃ損です。
そのくらい良いサービスだと思います。

しかし、転職エージェントはしっかり選ぶこと!
優秀なエージェントもいれば、粗悪なエージェントもいますからね。

え?悪いエージェント?

そうなんです。結構います。
彼らも営利目的ですからね。
まあ利益に走るのはしょうがないと思います。ただし嘘をついたり、騙したりといった行為はどうなのかなと。

うちの病院は5社に求人を出していましたが、今は2つに絞っています。

粗悪なエージェントを切りました。
病院から見ても悪質でしたが、看護師から見ても不幸な結果になる人が多かったです。

給料アップさせてくれる転職エージェント

うちの病院が求人を出しているのは「看護roo!」と「レバウェル看護」です。

看護roo!

レバウェル看護

この2つは、高給な求人が多いです。
マッチング精度が高く、良い看護師を紹介してくれますからね。
病院が群がり、看護師の奪い合いが起こり、その結果として条件が良くなるという訳です。

ではなぜマッチング精度が高いのか?

これにはカラクリがあります。
「看護roo!」と「レバウェル看護」は、看護師の利用者が多いのがポイントです。
看護師が多ければ、病院も集まりますよね。
看護師と病院が集まれば、マッチング精度も高くなるという訳です。

これは病院にとって非常にメリットが大きいです。
病院の希望する看護師を紹介してくれますし、実際に雇ってみると定着率が高く、長く勤めてくれます。

実はこれ、看護師側にも大きなメリットです。
自分の希望通りの職場を探してくれますから。
実は私、看護roo!から転職したんですが、ドンピシャな職場でしたね。給料だけじゃなく、仕事内容も希望通り。

この点で言えば、特に看護roo!が良かったです。
利用者数、求人数の両方が多く、マッチングがかなり高精度ですから。

さらに「看護roo!」と「レバウェル看護」は、条件交渉に強いです。
例えば給料交渉。
うちの病院は、20人以上がこの2つ経由で採用しているため、エージェントはこちらの手の内を知っています。
「前の方は、このくらい出してましたよね?」と言われたら、交渉を断りずらい訳です。
さらにいつも良い人を紹介してもらっている恩もありますから、病院側が交渉で不利なんですよね。

だからエージェント経由でうちに来るのは、前職より給料アップしたという看護師ばかりです。

逆にハローワーク経由だと、条件交渉がなく、求人票の給料額も最低額を書いてあるため、安く雇用できるメリットはあります。

ただしトータルで見ると圧倒的にコストが悪くなります。
離職率が高いですから。
慣れてきたころに「やっぱり違った」と辞める人が非常に多いです。
これがとても困ります!
大変困ります!

だから病院としては、ハローワークを利用しずらいのです。
看護師と病院、双方の希望をマッチングしてくれる、転職エージェントを頼るんですよね。

看護roo!▶

レバウェル看護▶

「看護roo!」か「レバウェル看護」か?


どちらも良いエージェントだと思います。
外れも無いでしょう。

2つに登録して求人を比較してみるべきです。
「どっちに登録したらいいの?」という問題ではありません。

自分の希望を伝え、どっちが良い条件の求人を持ってきてくれるか?

求人は転職エージェントごとに違います。
2つに登録して自分の条件ではどっちが良いのか比べてみればいいです。

転職エージェントは完全無料です。
病院側が料金を払っていますので。

まずは気軽に登録してみましょう。
自分はどんな年収の求人を紹介されるのか?
それを見てから転職するしないを判断したらいいですからね。


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コラム:金持ちからビンボーに没落した看護師

【この記事を書いた人】
クリニックで働くK子
山田K子(28歳)
総合病院に勤務後、現在は都内のクリニックで働きながら、人事担当も兼任

イキナリですが、実は私、元金持ちです(初暴露!)


この写真は私が4歳の頃、別荘があった軽井沢での1枚です。
父が工場経営で成功し、大きな家を建て、当時は珍しかった外国車に乗り、外食して美味しいものを食べ、家族が幸せだった時期でもあります。

しかしある日から、父が家にずっと居るようになりました。
それまでは朝早くに家を出て、夜遅くに帰ってきていたのに。

それから生活が変わっていきました。外食に行かなくなり、車が無くなり、大きな家から小さなアパートに引っ越しました。
私は小学校1年生くらいでしたが、自分の家が貧乏になったことを悟りました。

母はご近所から体操着や文房具、リコーダーなどを貰ってくるようになりました。
特に覚えているのは、友達が昨日まで来ていた青いブラウスを私が学校に来ていった時のことです。

「あれー、K子ちゃんの服、友達ちゃんの服じゃない?どうしてー?」

この時の出来事は、人生の黒歴史であり、私がお金に執着する原点かもしれません。

その後、父は家族のために長距離トラックの運転手として就職。
1ヵ月に2~3回帰ってきてはひたすら寝て、また仕事に出かけるような生活でした。

それでも父のおかげで何とか生活ができるようになりました。

でも私はお約束の不良少女に・・。
バリバリのヤンキーです。
高校1年の頃は、母が毎週のように学校に呼び出されていました。母は何も言わずただただ先生方に謝ってくれていました。

そんなころに父の癌が発覚。
母は病院との往復、そして泊り看病。

その一方。
相変わらず暴れまわる私・・。

そして大雪が降った高校1年の2月。

父が他界。

私は遊びほうけていて父の死に目に会えず。さらにはお通夜にも出ず。
葬式だけは親戚の方に引っ張られ、渋々出るような。

始まる葬式。
遺族席でふんぞり返る私・・。

式も終わりという頃。
母があいさつに立ちました。

・・・

父は若い頃に会社を作ったそうです。
兄が生まれ、私が生まれ。
家族のためにと一生懸命働いたそうです。
約20年。

父は会社が無くなってからも、プライドを捨て、過去を捨て、人生を捨て、自分の全てを捨てて、トラックで働き続けてくれました。

家族のために・・。

そして癌に。
闘病生活は、激痛と抗がん剤の副作用でかなり大変だったそうです。
最後は食事ができず体重が40キロで骨と皮だけに。

そんなボロボロの父でしたが亡くなる直前まで、母のこと、兄のこと、

そして会いに来ない私のことを心配していたそうです。

「K子は大丈夫やろかぁ」

それを聞いた私は大号泣。
式は一時騒然。
金髪ヤンキーが鼻水垂らして大泣きですからね。
みんなもびっくりしたでしょう。

「お父ちゃんごめん!お父ちゃんごめん!」

10年ぶりくらいに父の名を呼び、謝罪していたそうです(記憶が曖昧)

・・・

その後、母は働き詰めで3つの仕事を掛け持ちし、兄と私を育ててくれました。
私は某大学の看護学科に奇跡的に合格。看護師になり、猛烈に働いたり、挫折したり、国際ボランティアに行ったり、転職したり、色々ありましたが、今も「家族のため、そしてお金のため」に頑張っています。

日本には「お金への執着」が恥ずかしいという風習があります。

でも父は生前、よくこんなことを言っていました。

「K子、家族を大事にしーや」
「・・・」
「でもお金も大事やで」

私は「お金が大事」だと思っていますし、そう教えられてきました。

みなさんも「家族」そして「お金」を大事にしてくださいね・・・。

番外編:看護師の給料をさらに深堀

さてさて。
ココからはナースの給料事情をさらに深堀してみます。

給料が高い病院には、3つの特徴がありましたね。
・初任給が高い
・昇給率が高い
・福利厚生が手厚い

この内「昇給率」についてフォーカスしてみます。
しっかり昇給する病院は、国立病院の医療職俸給表をベースに賃金表を作っています。

「でも私の病院、賃金表あったかな・・?」
「賃金表なんて見たことない・・」

ちょっと不安になりますよね。
ではまず「賃金表の事情」について見ていきましょう!

賃金表がない病院はどうなるの?

tingin-hyo
このグラフは賃金表の有無を表したものです。

約8割の病院には賃金表がありますよね。
しかしその一方、約2割の病院には賃金表がありません。

これは何を意味するのでしょうか?
では次にこちらのグラフをご覧ください。
tingin-hyo
これは「病院規模による賃金表の有無」をグラフにしたものです。
どうでしょうか。
大きな病院ほど賃金表があり、小さな病院ほど賃金表がありません。

カンの良い方ならお気づきかもしれませんがその通りです!
「賃金表がない=昇給が無い」という意味なのです。

看護師の給料は、ほとんどの病院が年功序列です。
というのも看護師の能力によって診療報酬が変わるわけでもなく、さらにはその能力値を数値化するのが難しいため、勤続年数に応じて給料を払う方式が一般的だからです。
しかし、そのベースとなる賃金表がないということは、看護師の給料を決める基準が無いに等しく、給料を上げることができません。

実際に小さなクリニックには賃金表がないケースが多々あり、そのほとんどで昇給がありません。

もしあなたの病院に賃金表がないのであれば、「昇給しない病院」と言えるでしょう。
転職をするときも「賃金表のあるなし」をシッカリ確かめることが大切です。

さて。チョット話を変えて「看護師の給料は高いって言われるけど本当なの?」って思ったことありませんか?
分かりました!
次は看護師の給料を、他の業種と比べてみましょう。

看護師の給料は高い?低い?

業種別の平均月収ランキング(TOP25)
職種 月収
1位 医者 83.3万
2位 弁護士 73.0万
3位 公認会計士 54.6万
4位 一級建築士 42.8万
5位 獣医師 39.6万
6位 薬剤師 37.0万
7位 看護師 32.8万
8位 デザイナー 29.6万
9位 保険外交員 28.0万
10位 理学療法士 27.7万
11位 塾講師 27.0万
12位 ケアマネ 25.8万
13位 歯科衛生士 25.2万
14位 オペレーター 25.2万
15位 調理師 24.8万
16位 栄養士 23.4万
17位 タクシー運転手 23.3万
18位 百貨店店員 23.0万
19位 美容師 22.8万
20位 幼稚園教諭 22.5万
21位 警備員 22.0万
22位 介護ヘルパー 21.8万
23位 保育士 21.3万
24位 清掃員 18.9万
25位 スーパー店員 18.6万

さてまずは業種別の平均月収ランキングです。

ざっと医療系を見ていきましょう。
まず1位は、医者の83万円です!
毎年1位の定番ですね。

つぎは6位の薬剤師を見てみましょう。
37万円ですか。結構もらってますねー。薬学部が激増したとはいえ、まだまだ人材不足のため給料額の高騰が続いているようです。

つぎは7位の「我らが看護師」の32.8万円!!!ビバ!
こうやって他の業種と比べてると結構もらってますね。
10位の理学療法士よりも5万円多くもらっています。
さらに12位のケアマネよりも約7万円も多くもらっており、22位の介護ヘルパーと比べれば11万円も多くもらっています。
資格取得の難易度や、専門性、精神的な負担を考えれば、当然の結果とも言えるでしょう。

このように看護師の給料は、そこそこ高く、それなりに恵まれているのが分かります。

でもこの数字にはちょっとした罠があるのです・・。

看護師の昇給率は高い?低い?

Image
このグラフは、病院系職業の給料を、年齢ごとに比較したものです。

まずグラフ左端の初任給を見てくさい。
看護師の初任給は、薬剤師や放射線技師、理学療法士を押さえて堂々のトップです!
看護師の初任給は、結構多いことが分かります。

ですが注目していただきたいのは、30代からです。
薬剤師との差は大きく広がっていき、理学療法士や作業療法士にも抜かれてしまいます!
定年する50代後半は、10万円近くもの差になっています。
しまいには栄養士にも迫られて・・・。

薬剤師に負けるのはしょうがないでしょう!

しかしです。
なぜ理学療法士や作業療法士に負けるのか!?
だって業種別の給料ランキングでは「7位:看護師:32.8万 」「10位:理学療法士:27.7万 」だったはずじゃないか!

そうなんです。
看護師の給料は、初任給が高いからこそ、全体的な平均が押し上げられているのです。
しかしキャリアを積んでも給料が上がらず、30代で他業種に次々に抜かれてしまうのです。

このように看護師の昇給率は、他の職業と比べて、かなり低いのが現状なのです。
若いうちはお得だけど、年を取るごとに損をするとも言えますね・・・。

なぜ看護師は昇給しないのか?

看護師が昇給しづらい理由は3つあります。

まず1つは、役職が少ない点です。
一般企業の役職は「平社員、主任、係長、課長補佐、副長、課長、部長補佐、部長、監査役、次長、副部長、部長、事業部長、本部長」と沢山あります。
対する看護師の役職は「平、主任、師長、看護部長」しかありません。
看護師の役職は圧倒的に少ないのです。
それゆえに経験を積んでも役職手当が付かず、給料額も低くなりがちなのです。

2つ目は、転職です。
まず前提として看護師の給料は、ガチガチの年功序列です。
年齢を重ねるごとに一定額昇給していきますよね。

でもこの昇給率は、たいていの病院が公立病院のマネをして賃金表を作ってるので、そこそこの額が保証されているはずです。
それゆえに1つの病院に勤め続ければ、40代や50代になっても、ある程度の給料がもらえるはずです。

しかし転職すると話は違ってきます。
転職した場合、今までのキャリアの一部しか評価しなかったり、全く評価しないという病院が多いからです。
例えば「今までのキャリアを全く評価しない」といった病院に転職した場合、その給料額は新卒看護師と同額になります。

42歳でキャリアが20年もあるのに、22歳のペーペーと同じ給料しかもらえないのです。
大変な屈辱ですよね。
こんな看護師を舐めている病院は許せない!
ぶっ潰したいです!
でもこれが現実です・・。
看護協会の調査によれば、転職した看護師のおよそ7割が給料ダウンしているというデータもあるくらいです。
(みなさん転職の際は、病院選びを慎重に)

看護師はその激務ゆえに「転職が多い業種」と言われていますが、給料ダウンするのは痛いですよね・・。

3つ目は、夜勤手当です。
まず前提として看護師の給料は、かなりの額を夜勤手当が占めています。

カンの良い方はお気づきかもしれませんが、そうです。
看護師の給料が高いのは、夜勤手当のおかげなのです。
しかし夜勤手当は、年齢とともに体力的にも、家庭的にも夜勤が難しくなり、徐々に無くなっていきますよね。
夜勤手当で盛っていた給料は、年齢とともにそぎ落とされ、徐々に他業種に追いつかれ、しまいには負けてしまうのです。

このように看護師の昇給が少ないのは「役職が少ない、転職によるキャリアダウン、高い夜勤手当」の3つが主な原因なのです。

とは言うものの「夜勤手当」は、看護師給料の花形的な存在ですよね。
ということで次は、夜勤手当を見ていきましょう。

看護師の夜勤手当相場は?

Image
これは夜勤1回当たりの手当額です。
2交代制の夜勤手当は、1万円を超えていて流石といった所でしょうか。
しかし個人的には、2交代制の夜勤なんて拘束時間が長すぎて、とてもじゃないですが40歳を超えたらできたもんじゃありません。

余談ですが私が以前勤めていた国立の大学病院は、看護師の8割以上が20代でした。
というのも30歳を超えると「次から次へと出てくる薬品や医療機器」「新しい疾患の患者さん」の勉強がハードすぎてついていけなんですよね・・。
20代後半くらいから、みんなポツリポツリと辞めていき、残るのは化け物(良い意味で)のような看護師のみという凄まじい環境でした。

みなさんの夜勤手当は平均より高いでしょうか?低いでしょうか?
夜勤手当は、病院によって幅があり給料額に響いてくるため、シッカリチェックしておきましょう。

さて。次は専門看護師の手当てを見ていきましょう。

専門・認定看護師の手当はどのくらい?

まず専門看護師や認定看護師の資格をとっても、手当を出している病院はかなり少ないです。
Image
なんと6割以上もの病院は、手当を出していません!
看護軽視は今に始まったことではありませんが、看護師のスキルアップを推奨しておきながらのこの仕打ちは悲しくなりますね・・。
手当が出たとしても月5,000円ほどなので割に合わないというのが本音でしょうか。

専門看護師を取る方は、志が高い方ばかりなので、給料が全てではないと思いますが・・・。
それでもがんばっている看護師の待遇は、もう少し改善していただきたいものです。

さて。ここまで夜勤手当と専門看護師の手当てを見てきました。
では他にはどんな手当てがあるのでしょうか?
気になりますよね。

看護師の手当はどのくらいあるの?

看護師の手当ては病院によって様々ですが、沢山あるので一気に紹介しちゃいます!

資格手当

看護師、准看護師:10,000~30,000円
認定、専門:4,000円前後
看護師、准看護師の資格に対して支給されます。その他、認定看護師や専門看護師に対しても支給される病院があります。

役職手当

部長: 6,000~80,000円
師長: 30,000~50,000円
主任: 7,000~15,000円
他の職員よりも、業務において責任や役割が重い立場の人に支給されます。手当の額は、基本給の○%という病院もあります。

住宅手当

5,000~15,000円
世帯主か非世帯主か、賃貸か持ち家かによっても支給の有無や金額が異なる場合があります。

家族手当

5,000~15,000円
扶養家族がいる人に対し支給されます。配偶者、または父母、子のように扶養人数によって金額も異なります。
ただこれはカラクリがあって、なかなかもらえない手当の1つです。
というのも「扶養家族がいる人=世帯主」だからです。
世帯主は、たいてい旦那ですよね。
旦那がいたら、この手当はもらえません。
独身の人は、扶養する家族がいないからもらえないですし。
貰えるのは既婚の男性看護師か、シングルの看護師くらいです。

育児手当

10,000円前後
扶養する子供が保育園や託児施設を利用している場合に支給されます。
これも「世帯主」しかもらえないという謎の手当です。
病院経営者によっては、確信犯もいるので腹立たしいですよね。

寒冷地手当

10,000円前後
北海道や青森の病院に勤める人が対象で、特に寒い時期の約半年間支給されます。これは光熱費などの生活コストを補助する意味があります。

地域手当

10,000円前後
都市部などの物価が高い地域で支給されます。

特殊業務手当・危険手当

10,000~30,000円 /月
専門性が高い、危険を伴う、ストレスが多い部署などで働く看護師に支給されます。重症心身障がい者病棟、結核、精神科、救命救急、オペ室など。

食事手当

金額: 3,000~5,000円/月
院内での食事割引など、病院によってもさまざまです。

通勤手当

金額: 500~30,000円/月
通勤手当には、所得税や市民税がかからないのでもらえるだけもらいましょう。
通勤手当をもらいつつ、自転車通勤してる人もいるくらいですから(爆)
ただその場合は、事故があっても労災が下りないので要注意ですよ。

残業代(時間外勤務手当)

金額: 20,000~30,000円 /月
労働組合があるような総合病院は、残業代をシッカリもらえますよね。
ただ小さなクリニックは、ブラックな話をよく聞きます。

休日手当

金額: 1,000~3,000円/日

オンコール手当

金額: 1,500~5,000円/回
オンコールがあるのは、手術室や特養、訪問看護など限られてきます。
オンコールって「電話無ければ楽じゃん!」というイメージですが、実際は結構ハードなようです。
外出制限はあるし、行動が制約されるし、気が休まらないし、何よりも実際に電話がかかってきたら大変だとか。
特養では、1か月平均9回当番があり、そのうち3回ほど電話がかかってきて、月に1回は夜中に出勤するそうです(汗)

皆勤手当て、精勤手当

金額: 5,000~15,000円/月
余談ですが、私は皆勤手当てと聞くと、以前勤めていた大学病院で30年皆勤賞という看護助手の方が表彰され、泣いていたのを思い出します。ちなみに皆勤手当ては出ず、表彰だけだったそうですが(泣)

年末年始勤務手当

金額: 2,000~6,000円/日
出来れば一番もらいたくない手当です!
病棟では、クリスマスから正月にかけて、シフトバトルが激しくなりますよね。
クリニックは、休みになるので穏やかなものです。

手当ってこんなにも沢山あるんですね。
さて。次はこの手当達をまとめると、実際にどのくらいの額になるかを見ていきましょう。

手当は全部でどのくらい?

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さてこちらのグラフ、年代ごとの手当額を表したものです。
手当の総額は、どの年代も10万円前後です。
20代も10万円、40代や50代も10万円。

これはなぜでしょうか?

若い頃は、夜勤手当が10万円のほとんどを占めるでしょう。
ただし夜勤回数は、年代が上がると徐々に減っていきます。
しかし役職手当が丁度良いバランスでそれを補填するため、どの年代も10万円くらいになっているのです。

ちなみに基本給は、50歳になっても30万に届かないという寂しさです・・。
やはり看護師の給料は、各種手当が大きいようです。

さて。話は変わって「うちの主任はどのくらい貰っているんだろう?」「うちの師長は月収100万って聞いたけど本当かな?」って思ったことありませんか?
分かりました。
ではつぎに、とても気になる「上司の給料事情」を見ていきましょう!

気になる上司のお給料

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はい!いかがでしょうか。
まず「非管理職」があなただとしましょう。
月32万円ですか。
結構もらってますね。

では次に「主任」を見てみましょう。
なんと月32万円!?
あの病棟のエースであり、誰よりも頑張り、誰よりも熱いあの主任があなたと同じ32万円!
夢も希望もない!

師長にまで出世できても37万円・・・。
部長にまで上り詰めても42万円・・・。

うーん。正直微妙です。

たしかにそれなりの給料だとは思いますが、師長や部長の大変さを見ていたら、とてもなりたいとは思えませんよね。
特に主任はその手当てがたったの4,000円です・・・。

看護師の上司は、師長と部長はそこそこだけど、主任が悲惨すぎて夢が無いという結果になりました。

さてここで「出世はしたくないけど、どうやったら昇進できるんだろう?」という疑問が思い浮かばないでしょうか。
わかりました。
それでは次に昇進の条件を見ていきましょう。

昇進の条件

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昇進条件の1位は、やはり上司たるべき能力ですね!
ただ曲者なのが2位の「上司の推薦」です。
そうコネです。
もっと言えば「上司へのゴマすり」です。

例えば、病院の派閥は、ドラマや映画の医者の争いで有名かもしれませんが、公立病院や大学病院だと看護師にもありました。
出身大学によっては、派閥に入れなかったり、出世できなかったり、希望の診療科に転属できないなんてこともありました。
大きな病院であればあるほど、上下関係が厳しく、体育会系の傾向がありますからね。

女性は出世したくない派が多いですが、もし出世したいなら上司にゴマをすっておきましょう!

さて。昇給しなかったり、給料が夜勤に支えられていたり、出世するために上司にゴマをすったり、看護師がお金を稼ぐのは大変ですね。
それでは次は、「看護師のみんなは給料に不満が無いの?」というテーマを見ていきましょう。

看護師は給料に不満が無いの?

看護師の待遇アンケート調査
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さあどうですか!
待遇の不満、堂々の第1位が「賃金が低い」です!
看護師の半数以上が「自分の給料が低い!」「仕事に見合っていない!」「ハードな割に給料がもらえていない!」と思っているのです。
まあそうですよね。
「こんなに貰ってもいいのかしら?」なんて言っている看護師は見たことも聞いたこともありませんから。

さらには不満5位の「夜勤手当が少ない」も見逃せません。
看護師の給料が夜勤手当によって支えられているとはいえ、その拘束時間の長さと、夜勤スタッフの少なさからくる膨大な仕事量、夜勤回数の偏り、体調管理の難しさなどを考えれば、夜勤手当は少なすぎますよね。

このように看護師の多くは給料に不満を持っています。

では次に待遇ではなく「職場に関する不満」を見ていきましょう。

看護師の職場環境への不満

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はい。いかがでしょうか。
第1位は「医療事故への不安」です。
これは新人看護師ならまず真っ先に来る不安ですが、キャリアを積んでも怖いものです。
私はキャリア20年かつ、今はクリニックという楽な環境にいますが、それでもヒヤっとすることが稀にあります。
病棟ではそれが命取りになることもあるので、いつになってもプレッシャーは付きものですよね。

そして第2位は「業務量が多い」です。
電子カルテや医療機器の進化で便利になっているはずなんですが、看護師の仕事は全く減らないどころか、増える一方ですよね。
それもこれもすべては「医療事故への過剰な対策」が原因です。
「医療事故が不安」がゆえに「業務量が多くなる」この現状・・・。

そして第3位は「看護業務以外の雑務が多い」です。
ベットメイキング、洗髪、掃除、洗濯、物品の在庫管理などなど・・・。
看護助手をもっと入れてくれれば楽になるのですが・・・。

そして4位は「新人指導、委員会参加」です。
新人指導はしょうがないにしても、委員会は本当に面倒ですよね・・(コラ!)

そして5位は「給料が低い!」です。
職場環境の不満に関するアンケートにもかかわらず、待遇の不満が入っていますね。
「ナースの給料安すぎ問題」の深刻さが現れているのかもしれません。
日本国政府には、なんとかしていただきたいものです。

看護師が給料を上げるには?

「ナースの給料アップは転職が良い!」と言われています。

でも本当でしょうか?

実は、転職すると給料ダウンするケースのほうが多いです。
それを表しているのがこちらのグラフです。

これは「20代看護師が転職して収入がどうなったのか?」をグラフにしたものです。

なんと半分以上の看護師が転職して給料ダウンでしているのです。
給料アップしているのは、たったの16%・・・。

ではなぜ転職すると給料ダウンするのでしょうか?

そのカラクリは中途採用のキャリア評価にあります。
多くの病院では、これまでのキャリアを一部しか評価しなかったり、全く評価しないという病院もあるくらいです。
だから「経験10年のベテラン看護師が転職すると、新卒看護と同じ給料!」なんてことも起こるのです。

そんなバカな!
いえいえ。これが現実です。

多くの病院が看護師のキャリアを正当に評価してくれないのです。

しかしその一方、一部の看護師は転職して給料アップしています。

この違いは何なんでしょうか?

カンの良い方ならお気づきかもしれませんが、そうです。

看護師が給料を上げるには「今までのキャリアを正当に評価してくれる病院に転職する」のが重要なのです。

さらに言えば「自分の価値」を知ることです。
自分の「キャリア、経験、知識」にいくらの価値があるのか?
そしてその自分を欲しいと思ってくれる病院はどのくらいあるのか?
その病院は正しく自分を評価してくれるのか?

給料に不満がある方は、この3つをシッカリと事前調査しましょう。
そのための具体的な手法は、「転職準備マニュアル」に詳しく書かれていました。参考にしてみてください。

少し調査するだけで、給料ダウンの悲劇がほとんど無くなるのでオススメです。


特集:看護師の給料に詳しいけど質問ある?


神奈川県在住 38歳
現職:大手医療法人グループ 人事担当

わたしは以前、某転職サイトでエージェントをやってました。
エージェント時代は、看護師、医師、薬剤師、IT、コンサル、会計、広告、通信、ゲームなど幅広い分野の転職をマネジメントしてました。

その中でも特に力を入れていたのが看護師の転職マネジメントです。
今でも看護師は9割以上の病院で不足していて、まさに転職バブルのような時代です。
給料を目的に転職をすれば、ほとんどの人が給料アップできます。
でも看護師の方って仕事のやりがいを求める人が多く、給料事情には詳しくない方がほとんどだと思います。

そこで今回は、転職エージェント目線で、看護師の給料について書いてみます。

ほんとうに看護師って給料が高いの?

看護師の給料袋
若いうちは高いです。
新人の頃は、新卒で年収300万円台後半、5年目で400万円台と他業種に比べ高くなっています。
同年代の女性に比べても圧倒的に高いですし、男性に比べても高いです。

でも6年目あたりから、どんどん他業種に追い抜かれていきます。
看護師ならよく分かると思いますが、「看護師はほとんど昇給しない」からです。

そのため看護師が給料を上げたいなら転職が一番手っ取り早くて確実です。月収40万円以上貰っている看護師は、転職して給料アップしている人がほとんどです。
参考記事:看護師の給料アップ方法

また新卒の給料が高いと言っても、夜勤が必須であったり、過酷すぎる労働環境を考えると微妙なところもあります。
例えば夜勤が無ければ、介護ヘルパーに毛が生えた程度の年収です。
それに労働環境も劣悪です。人の生命を左右し取り返しがつかない責任重大な仕事なのに、10時間以上の長時間勤務やシフトがバラバラの不規則勤務が当たり前だからです。
看護師は女性にとって憧れの職業かもしれませんが、現実は肉体的にも精神的にも過酷すぎる現場ですよね。

ちなみに看護師の転職理由は、「やりがい」「仕事内容」が上位に来ます。
けどジックリ話を聞いてみると、一番多く出てくるのが給料面の不満です。
やりがいを重視する人でも「仕事内容と、給料が釣り合わない!」って感じるのが病院という職場です。

やっぱり看護師も田舎だと給料が安いの?

はい。安いです。
例えば外来外科で同じような仕事をしても、
青森だと手取り18万円、
東京だと手取り26万円、
という大きな差があります。

都市部の病院は、看護師が極端に不足しており、看護師の取り合いが熾烈を極めているからです。
逆に地方の場合は、そこまで看護師不足が深刻化していません。

そのため都会では、看護師を1人紹介したら100万、多い時には200万円を超える金額がエージェントに支払われるくらいですからね。
地方では、50万~100万円くらいが相場です。そもそも地方は、病院の数が少なく、ハローワークや求人雑誌、新聞の広告などの求人が主流であり、知り合いつながりで転職する傾向があるため、人材紹介会社がなかなか手を出せないエリアでもあります。

つまり地方の給料が低いのは、看護師がそこまで不足していないため、低待遇でも人が集まるからです。
逆に都市の給料が高いのは、看護師が不足しており、高待遇じゃないと人が集まらないからです。

大きな病院は、給料が良いの?

大学病院の給料袋
はい。大きな病院の方が給料は良いです。
とくに市立病院や県立病院の看護師は、公務員になるためかなり高給です。
しかも福利厚生も好待遇で、退職金や年金も別格です。

ほかにも私立の大病院は給料が高めでした。
逆に個人クリニックは給料が低めです。
平均すると2~5万円くらい違います。

ただ小さなクリニックは、給料が低くても、転職した看護師さんの満足度は高かったです。
大きな病院では「夜勤」「人間関係」「最新医療の学習」「毎週開かれる勉強会」「転属のたびに一から出直し」などが負担になっており、それらから解放されたのが大きいようです。

儲かっている病院は看護師の給料が良いってほんとう?

はい。本当です。
経営状態の良い病院ほど高給になる傾向がありました。

例えば一昔前までは、7対1看護を積極的に進めていた病院です。
7対1は、診療報酬がハネ上がるので、2013年時点で全国約48%もの病院が申請しています。
それによって極端な看護師不足が起こり、構わず人を集めた結果、看護師の給料がグングン上がりました。

しかし危険なのは「なんちゃって7対1」と呼ばれる病院です。
「なんちゃって7対1」とは、「救急NG・手術しない・軽度患者ばかり」という実態の、金儲けのために無理やり7対1にした病院です。

2016年の診療報酬改定で、この「なんちゃって7対1」が狙い撃ちされています。
7対1がかなり厳格化され、事実上「なんちゃって7対1」ができなくなりました。

今後、約半数以上の病院が7対1から、10対1に戻っていくでしょう。
そうなった病院では、看護師がかなりの数余ってきます。
もちろん診療報酬も下がっているため、高い給料を払い続けられず、減給もしくは、全く昇給しない、ボーナス額の低下などにつながります。

「なんちゃって7対1」の病院は要注意です。
転職サイトを利用している人は、この辺りをキッチリと転職エージェントに調査してもらいましょう。
転職エージェントとはそういった仕事ですから遠慮なく。

保養所がある病院はお得?

保養所は、社員が格安で利用できる施設です。
例えば、ホテル、旅館、スパ、温泉、スポーツ施設、カラオケ、エステなど

ただし立派な保養施設を立てている病院は要注意です。
保養施設の建設や維持に何十億というお金がかかり、維持費にも毎年億単位のお金がかかるるからです。

ではその財源はどこから出ているのか?
本来ならスタッフの給料となるべきお金が、一部で使わているのです。

ただ保養施設が格安で使えるなら元は取れそうです。

しかし保養施設は、意外と使い勝手が悪かったりします。
不便な場所にあったり、土日に予約が取れなかったり、そもそも設備が古かったり(カラオケは昭和の曲ばかりとか…)

そもそもですが保養施設には病院の関係者が集まります。
上司に会う可能性もありますし、余計な気を遣うこともあるでしょう。

そのため病院が運営する保養施設は、利用者がかなり少ないです。
それなのに保養施設を作る理由は、理事長の見栄のためだったりします。
ご注意ください。

7対1以外で給料の良い病院は?

美容外科クリックは、高給な部類でした。

例えばCMで有名な某美容クリニックの看護師は、40万円近くの高い給料をもらっています。
詳しくはこちらの記事をご参考に:看護師が美容外科クリニックに転職して知った真実

とくに准看護師の人は、美容外科クリニックなら、給料額で正看と差別されないためオススメです。

美容外科って給料が良いの?

美容外科の給料事情
美容外科は、夜勤無しでも月収30万~45万円ほどの高収入になります。
ボーナスもシッカリもらえるクリニックが多いため、年収にすると500万円を超える看護師が半数以上います。美容外科は成長産業かつ、高額な保険外診療が多く医療制度の影響を受けずに経営でき、安定して儲かっているクリニックが多く、看護師の給料も高くなっています。

しかも美容外科は、病院ほどの激務がなく、命に関わる医療もなく、給料や福利厚生も良いため、看護師の転職先として人気があります。
ただしデメリットとしては、看護スキルが身につかないことと、ある程度の容姿が必要になることです。
参考記事:美容外科の転職事情

そもそも転職したら必ず給料アップできるの?

いいえ。必ずではありません。

転職して給料アップするのは、統計的に10人中3人ほどしかいません。
残りの7人は、現状維持、もしくは給料ダウンしているくらいです。

転職して給料ダウンするケースの大半は「これまでの経験が評価されない」場合です。
多くの病院は、年功序列の賃金です。
経験が長ければ、長いほど給料が高くなります。

しかし病院によっては、転職者の経歴を「一部しか評価しない」「全く評価しない」という病院があります。
例えば、経歴を全く評価されない場合は、年功序列の最下位からスタートするため、大きな給料ダウンとなります。

特に「未経験の診療科を希望したとき」または「20代後半から50代にかけての中堅・ベテラン看護師」が、給料ダウンになりやすい傾向があります。
そのため転職前には、「転職して給料アップするのか?」「給料ダウンするのか?」をキッチリ調べることをオススメします。
詳しくはこちらに(参考記事)→転職で失敗しないための準備マニュアル