消化器内科へ転職した看護師だけど質問ある?


看護師の皆さんはじめまして!
消化器内科に転職して5年目のミムラです。

ここ最近は消化器内科への転職希望者が増えているそうです。
急患が少なく残業があまりない、病棟にのんびりした雰囲気があり人間関係が温和、患者さんと長い付き合いになるためジックリ看護できるなどなど。これらの特徴は消化器内科の良さですよね。

ただし「消化器」とはいっても、職場によってかなり違いがあります。
消化器内科と外科、単科と混合病棟、病棟とクリニックなどなど。

この「消化器科の違い」を知らずに転職すると、痛い目を見てしまいます・・。
(私や・・)

そこで今回は「消化器内科で働く人間」の目線で、「転職を予定している看護師」の方々に向けて、ご質問にお答えしたいと思います。
巷にあふれる「消化器内科の基本」のような浅い内容ではなく、看護師から見た消化器内科の実情をお伝えいたします!

消化器内科ってどんなところですか?

消化器科は内科と外科に分かれており、主に手術が必要な患者さんは消化器外科、手術適応でない、または手術後の患者さんは消化器内科となります。

消化器内科はその名の通り、消化器に関するすべての疾患を扱います。
食道から胃、十二指腸、小腸、大腸、直腸のほか、膵臓、胆嚢、肝臓といった、人体の臓器の多くが消化器系に属しています。

そして、消化器内科に多い疾患は消化器に発生する「がん」です。その中でも、手術以外の、化学療法や放射線療法が主な治療となります。
その他、炎症や潰瘍など、消化器系のあらゆる疾患を扱います。

消化器内科は人気がありますか?

基礎を固めたいと考える看護師に人気です。
多くの消化器系臓器について学べるので、看護師としてのスキルアップに繋がります。

仕事内容はどんなものですか?

特徴的なのは、基本的な看護師スキルで求められる仕事に加えて、化学療法や放射線療法の看護を行う頻度が高いことです。
この化学療法というのは、抗ガン剤を用いてがん細胞の分裂・増殖を抑え、がん細胞を消滅または減少させる治療法で、
放射線療法というのは、放射線を照射することにより、がん細胞を消滅または減少させる治療法です。
どちらも副作用の出やすい治療ですので、幅広く深い知識が必要です。
また、消化器内科では消化管内視鏡検査の頻度が高く、看護師が上部・下部消化管内視鏡検査の介助を行うことも多いです。

化学療法や放射線療法の看護について教えてください

化学療法の看護で大切なのは、まずレジメンと呼ばれる投薬に関する計画書の内容を覚えることです。
消化器内科は様々ながんを扱うため、レジメンの数もとても多いですが、頑張ってください。

そして、化学療法では副作用への対応が必ず求められます。
作用と副作用が使用する薬品ごとに違うため、副作用の出現しやすい時期を把握したうえでの観察や、迅速な対応が必要です。

放射線療法もまた、副作用の出やすい治療です。
なぜなら、正常な細胞にも照射しなくてはならないので、放射線の通過する部位にある臓器にも副作用が出現する可能性があるからです。
その中には、早期に起こる副作用と後期に起こる副作用があり、吐き気や下痢などが高確率で表れます。
特に皮膚や口腔・咽頭粘膜への副作用はグレードも決められており、重症の場合は壊死することもあるため注意して観察します。

加療期間は、長ければ5~6週間かかることもあり、外来に通院するか、入院して治療をします。
通院が難しい患者さんは入院したまま治療を行うため、長期入院が必要になるケースがありますので、
化学療法や放射線療法で苦しむ患者さんのメンタルケアも必要です。

吐き気や下痢が多いということは、食事の指導もするのですか?

はい。
絶飲食や制限食が必要なことが多いです。
その理由は、炎症を起こしている消化器を休ませるためや、疾患による消化液やホルモン分泌の異常があるためなど様々です。
ですから、食事指導をはじめとした生活指導を行うことも消化器内科の大切な看護業務です。分かりやすい指導を行うために、しっかりとした知識を身につけましょう。

また、胃瘻やストーマなどの知識も必要になってきます。

消化器内科は未経験で覚えられるか不安ですが、転職できますか?

できますし、比較的転職しやすいです。
知識を身につけるには、まず自分が進んで勉強することです。消化器系の基礎となるのが解剖生理学なので、解剖生理学を勉強し直しておけば、転職後の知識の定着も早いです。
ただし、転職前に、プリセプター制度の有無や勉強会の頻度などを確認して、未経験でも勉強しながら働ける環境かどうかを確認することも大切です。

キャリアアップはできますか?

できます。
消化器内科は他科に比べて取得できる認定看護師の分野が多く、主に、がん性疼痛看護、緩和ケア、がん化学療法看護、がん放射線療法看護と、4分野もあります。
そして、ストーマの患者さんが多いところなど、環境によっては皮膚・排泄ケア認定看護師も目指せます。
入職後、経験を積めば認定看護師教育機関を受講する資格を得ることができます。自らの積極的な行動で、認定看護師を目指せることは大きなモチベーションになるでしょう。

残業は多いですか?

環境によります。
なぜなら救急車を受け入れる件数の多い病院では緊急入院や緊急の内視鏡検査などが入り、残業することも多いからです。

ただし、外来の場合は、診療や検査などもほぼ時間通りに終わるため、残業は少ないです。

給与はどのくらいですか?

消化器内科に特有の手当てはありませんので、他科とあまり変わりません。
たとえば、夜勤ありの常勤で月25~30万程度です。

消化器内科の魅力はどんなところですか?

消化器系すべての臓器を対象としている科であるため、幅広い知識を身に付けることができます。

また、消化器症状は痛みや吐き気、下痢や吐血など辛いものが多く精神的サポートも大切な看護になりますが、
外科に比べるとゆったりしているので、患者さん一人ひとりとじっくり関わることができるのも魅力です。
そして、化学療法や放射線療法など、がんに関わる様々な看護を経験できるので、将来、他科へ異動になっても重宝されます。
患者さんと接することやスキルアップをしていくうえで、人間的な豊かさを学んでゆける科です。

こんな記事も参考にどうぞ。

看護師が転職で失敗しないための準備マニュアル
大損してた!看護師が知っておきたい残業代のこと
看護師を辞めるのはちょっと待ってください!