看護師が訪問看護ステーションに転職するための全知識

訪問看護はとてもニーズの高い仕事です。

高齢者の数は増え続けているのに、看護師は人手不足。就職に困ることはなく、いろいろな面で1番自分に合っている職場を選べる仕事です。

病院とは違い1人で自由に動きまわるイメージが強いですが、実際もほぼその通り。病院の経験を生かしつつ独身ライフも充実させたい若い女性から、家事や育児を両立したいママさん世代まで、幅広い方におススメです。

項目 評価 コメント
看護師資格 必要 医療行為があるため看護師の資格は必須
その他資格 必要 訪問するため普通自動車免許が必要なケースあり。
臨床経験 未経験でも可能だが2~3年以上経験必須のケースあり。訪問看護師の約80%以上が病院経験あり。
平均給料 21万~40万 病院に比べると夜勤がない分、年収で100万前後少なくなる場合もある
福利厚生 託児施設や有給休暇は、医療法人や社会福祉法人母体のステーションの場合○、個人運営のステーションの場合△
教育制度 ブランク可が多いため教育制度が充実。1~2カ月間OJT制度あり。
シフト体制 1交代制 9:00~18:00 日勤メイン。
夜勤 × 基本的に夜勤は無い。
残業 なし。ありのケースは少々。
土日出勤 土日休みのところが多い。
オンコール オンコール対応ケースあり。患者さんによってオンコールあり/なしがある。電話対応のみのオンコールもあり。
求人数 求人数は全国的に多い。今後も増える見込み。
正社員 パートが多い。医療法人母体のステーションの場合正社員もあり。
医療行為 バイタルサイン測定、適便、清拭 医師の指示による注射、点滴、血糖値測定、人工呼吸器などの医療機器操作
仕事の難易度 疾病に対する知識、ケア方法の習得必要。介護の知識も必要。
スキルアップ 病院での経験を生かせる。一人で患者を担当するため判断力が身につく。疾病や介護の知識やケア方法が幅広く身につく
将来性 "訪問看護ステーションは不足している。2025年団塊世代が後期高齢者となるため更に増える見込み。看護師が独立してステーションを開業するケースもあり。
病院への復職 患者さんとの関わりが深く、対応スキルがUP。幅広い知識を習得できるため復帰しやすい。
子育てママ 休日や勤務時間を選べる。夜勤なし。定時帰宅しやすい。子育てママにも人気。
新卒 × 新卒採用はない。最近では病院母体のステーションが看護師育成のため看護学校卒業後の採用が積極的になりつつある。

夜勤・残業がないので、子育てママのパートにもピッタリ♪nekonarse-shiji

訪問看護の仕事内容

訪問看護は、看護師一人で患者さんの自宅におじゃまして看護をする仕事です。

看護師が働く場所は沢山ありますが、「一人で看護をする、できる」という点ではオンリーワンの職場です。

対象の患者さんは自宅療養中の方で8割が高齢者です。

症例としては、大きく4つに分けられます。

  1. 寝たきりの高齢者
    (脳梗塞や心筋梗塞、糖尿病の悪化など、病気や後遺症、障害をかかえて寝たきりの状態になった方々)
  2. 末期がんの患者さん
  3. 小児も含めた難治性疾患や精神病の患者さん
  4. 認知症の患者さん

上記の通り、患者さんの状態はさまざまです。

また、終末期の患者さんを中心に「看取り対応」もあります。

補足になりますが、最近では「末期がんの患者さん対象のターミナルケア専門」「透析専門」「精神障害者専門」といったように、特定の疾患のみを専門とするステーションが増えています。もしあなたが特定の疾患の知識を持っているなら、扱っている疾患をたよりにステーションを選ぶという方法もあります。

仕事内容は、バイタルサインチェックが主になります。

その他、床ずれの処置、食事、洗髪、入浴、清拭、適便や排泄の補助や介助、栄養指導や認知症予防の指導も入ってきます。病院と違い、訪問するときは医療器具や衛生材料を持参します。

患者さんによって、人工呼吸器の装着や、ストーマ、インシュリンの注射や血糖値の測定、胃瘻の管理や吸引、認知症介護、嚥下機能訓練、リハビリ介助も行います。症例は患者さんごとに異なるため、症例に関する知識と判断力が必要とされます。

その他、患者さんに対して医療の提供だけでなく、会話を含めたコミュニケーションを十分にとり不安な点や悩みに気づき、生活そのものに寄り添うことも大切な仕事です。そのため、訪問看護師の仕事は「救命」や「治療」ではなく、「生きることすべてに対する支援」だと頭を切り替えてケアすることが大切です。孤独になりがちな高齢者にとって、よき相談役としても期待されていることを覚えておいてください。

将来的には高齢化社会が加速するため、更にニーズも高まっていく仕事です。

訪問看護で働いている人

経験を積んだベテラン看護師が多いです。

年齢層は30代~50代が中心ですが、60歳以上の看護師もいます。

逆に新卒は採用しているステーションが少ないためほとんどいません。

訪問看護は、患者さんを一人で看護するからです。細かく診療科目が分かれている病院とは違い、色んな症状に合わせた看護が必要になります。

また誰にも頼らず、一人だけで臨機応変に対応しなければいけません。このレベルになるには看護師経験がおおよそ3年以上必要だと言われています。

多くのステーションは、長期間戦力にならない新卒看護師を雇う余裕がないため、即戦力であるベテラン看護師しか採用しないという訳です。

ただ経験があれば誰でもいいわけではなく、患者さんや家族のプライベートに踏み込んだ看護が必要になるため、人物重視で採用される傾向もあります。

訪問看護で働くメリット

時間

訪問看護は自分が担当した訪問数をこなせば業務終了です。病棟のように他の看護師の仕事のフォローはルーティンワークには入っていません。

そのため、勤務時間の自由度は高いです。訪問時間も1時間など決まっているため、プライベートな予定が立てやすく残業も発生しにくいです。

訪問数を調整することも可能なため、時短勤務やフレックス制を導入しているステーションも多いです。

残業になりそう・・・次の訪問までの時間が迫ってる・・・そんな場合でも、患者さんと仲良くなってくるとこっそり相談して訪問時間をずらしたりすることもできます。

時間に関してはかなり柔軟性の高い職場だと言えます。これだけで転職の理由となるぐらい訪問看護の魅力の一つです。

通勤

病院勤務だと終日院内で他の看護師や上司と顔を会わせながら過ごさなければなりません。

でも訪問看護は、訪問先ごとに1人で移動があるためその間に気分転換できます。ここだけの話、次の訪問先への移動途中にコンビニに寄って買い物したり、銀行で振り込みしたり、昼寝ができたりもします。

また、ステーションから訪問先に行く日もあれば、訪問宅から直行、直帰できる場合もあるため通勤においても自由度は高いと言えます。

仕事内容

患者さんごとにケアのアレンジが可能で、自分⇔患者さん間で直球の質問を投げかけてもOKなのが訪問看護です。

病院ではルーティン業務を決められた範囲で行うことが鉄則なため、範囲を逸脱したくてもできません。

また他の看護師の目も気になるため、意外と自分の言葉で患者さんの気持ちを聞いたり細やかなケアをすることができないことにもどかしさを感じている看護師も多いはずです。

更に病棟の入院患者は入れ替わりが激しく、複数の患者さんを同時に受け持っているため一人の患者さんに十分な時間をかけることができません。

でも訪問看護では一人の患者さんを長く受け持つことができます。

周囲の目を気にせずに直接自分の言葉で患者さんに「どう生きたい?」「どうしてほしい?」と問いかけた上で、それぞれの患者さんが求める手厚いケアを行うことが可能です。

例えば、肝がんの患者さんを看護する場合、病棟ではルール重視のためアルコールや喫煙は厳禁です。

でも訪問看護では、患者さんの気持ちを第一に考え臨機応変に対応します。

実際、患者さんと相談しながら自分のさじかげんでお酒を適量楽しんでもらうこともあります。そうすることで患者さんは最後まで自分らしい人生を送ることができるのです。

このように看護師と患者さんはマンツーマンでじっくりと向き合え、看護もできます。決められたケアだけでなく、患者さん一人一人がのぞむケアを自分で考えて提供できる場だということです。

その他、こういった経験はいざというときに自分の両親に対してもマンツーマン看護ができます。将来的に病棟に戻っても訪問看護での経験は必ず役に立ちます。

人間関係

訪問看護は基本一人で仕事を行います。そのため、病院という縦社会特有の「こうしなさい!」という押さえつけがありません。

上司や同僚からのイジメや陰口をたたかれる被害にも遭いにくいです。お昼や休憩も一人で気兼ねなくとれるので、自分のペースで精神的に楽に仕事が出来ます。

医師との関係性も病院とは若干異なります。病院では医師は指示をする人、看護師はされる人です。

でも訪問看護では、医師は患者さんのかかりつけの病院に所属し、看護師はステーション所属になります。独立した関係のため病院に比べ対等に近い立場でしゃべれたりします。

患者さんとの関係性も病院とは違ってきます。訪問看護では患者さんや家族にとっての看護師は一人です。病院のように、他の看護師と比較をされ交替をせまられることはありません。存在感も圧倒的で、信頼関係を築きやすいのも特徴です。

関係性もより近く、病院では「看護師さん!」ですが、訪問看護では「○○さん!」と名前で呼んでもらえたりします。

「あなたが来てくれて良かった。」
「あなたに最期看てもらえて幸せだった。」
「ありがとう。」
と直接感謝してもらえるのも訪問看護の特権です。

看護師として長期にわたり患者さんを一人で担当するため気持ちを込めた看護ができます。

逆に患者さんとの相性が悪い場合、担当外にしてもらえば病院のように院内で鉢合わせて嫌な思いをするようなことも訪問看護ではありません。

訪問看護で働くデメリット

お金

病院では患者さんの数が減っても直接給料に影響はありません。多くのステーションも同様に影響は受けません。

ただし、一部の小規模なステーションでは例外もあります。

小規模なステーションは患者の全体数がもともと少ない上に、看取りや入院のため担当している患者数が減るとステーションへの影響も大きくなります。ステーション経営を優先するため、減った患者さん分の売り上げを、担当していた看護師の給料から減らす仕組みになっているケースもあります。

また、一人で訪問するため評価基準が時間ではなく訪問件数の場合があります。ブラックなステーションでは訪問数一日6件以上などノルマまであったりします。もともと夜勤もないため病院と比べ年収100万以上減る場合もあります。

時間

一人で患者さんを担当しているため病気や急用時に休みづらいです。

またステーションによってはオンコールがあります。専属で担当しているため、自分が担当している患者さんの場合対応しなければいけないケースもあります。

通勤

訪問宅間の移動は自分で行います。

訪問看護師の悩みの中で意外に多いのが「道に迷う」です。特に初回訪問時、地図アプリを駆使してもなかなかたどり着けず、遅刻したり別の日に振り替えてもらうなんてこともあるぐらいです。

訪問看護師の8割が車で移動しています。自損事故や当て逃げ、貰い事故に遭いやすく、特に運転が苦手な人は要注意です。

訪問先によっては駐車場がないため、訪問看護用のプレートを車につけて路肩に停車させたまま訪問することもあります。決められた場所に停めていても、近所の方からクレームが入ったりといったトラブルにも対応しなければなりません。

他の移動手段として徒歩や自転車がありますが、暑さ、寒さ、日焼け対策も必要になります。その他、大雪や大雨だと車や徒歩でも移動自体が困難なため覚悟が必要です。

福利厚生

訪問宅によって衛生レベルに格差があります。

中には便や尿の悪臭がきつい、ダニやノミの被害、ごみ屋敷のケースもあります。他の看護師と協力や相談もできないため、一人で片づけを行うこともあります。

また、病院のように医療機器が整っていません。点滴台がない場合など自分でハンガーを駆使して代用したりすることもあります。

仕事内容

一人で患者さんを看るため、疾病の知識やケア方法、機器の扱い方など幅広いスキルが必要です。

最初はとっさの判断に迷うケースも多く、すぐに聞ける人がいないため一人立ちするのに1~2カ月かかります。

単独での訪問は想像以上に不安やプレッシャーをかかえやすくなります。ちょっとしたミスが重大な医療事故につながりやすいため、その分緊張と隣り合わせです。

患者さんが認知症や寝たきりの方の場合、一人で患者さんを介助するため肩や腰を痛めることもあります。腰痛持ちが多い職場でもあります。

人間関係

マンツーマン看護のため、まず患者さんや家族との相性があうかが重要です。

患者さんにとっては「どんな人が自分を看てくれるのか?」に対してナイーブになりがちです。患者さんや家族に気に入られないと実際にチェンジを希望されることもあります。

よくあるトラブルの原因としては「言葉遣い」です。言葉遣いで一度不快な印象を与えてしまうと、取り返しがつかないこともあります。

新規の患者さんが訪問先の場合、トイレや台所の使い方など患者さんのルールに従わずにやってしまうとクレームにつながるため要注意です。

訪問看護は良くも悪くも患者さんとの距離感がとても近いです。密室という環境も合わさるため、患者さんや家族からの暴言、暴力被害に遭いやすいです。

実は、訪問看護経験者の5割が何らかの被害にあっています。暴力以外に、患者さんから体を触られたりHなビデオを訪問中に観ていたりとセクハラ被害もあります。

ステーションの所長と連絡を取りながら距離感に十分配慮する必要があります。

他の介護スタッフとの関係においても注意が必要です。

看護と介護の線引きがあいまいなため、介護職のスタッフともめる要因になりがちです。介護職のスタッフのレベルが低いとやり残した介護を看護師が負担するというケースもあります。

そんなときも隣に同僚がいないため孤独に感じやすくなります。今後さらに介護の度合いが大きくなるため、看護だけではなく「介護もある」と念頭においてください。

その他

担当の患者さんが独居老人の場合、孤独死に直面し第一発見者となることもあるため覚悟が必要です。

まとめ

訪問看護は一人で患者さんのお宅を訪問し看護する仕事です。

病院のように常に最新の機器に囲まれた環境とは違い、扱う機器も古く知識も一定範囲備えておけば対応できる医療行為ばかりです。

そのため経験のある看護師さんであればすぐにでも働き始めやすい場所です。実際、ブランク明けの主婦や子育て世代のママさんといった経験を積んだ看護師に人気の職場です。

医療の提供だけではなく、患者さんの生活に入り込んだケアをするため、患者さんだけでなく、家族、医師や、介護職のスタッフとのコミュニケーション能力やマネージメント能力の他、モラルの高さなどといった人物像も重視されます。

仕事内容は、決められた人数の患者さんを一人で担当し、スケジュールに従って患者さん宅を巡回します。バイタルサインのチェックや、点滴、服薬の管理などルーティンワークがあります。

患者さんによっては糖尿病や認知症の疾病に対するケアも必要になるため、幅広い知識が必要になります。

その他、患者さんとの会話も重要です。患者さんの不安や悩みにも耳を傾け、じっくりと深く関われる仕事でもあります。

最大のメリットとして、一日のうちに数回患者さん宅の移動が発生するため、移動時間も休憩になり気分転換がしやすいという点です。訪問看護はスケジュールの範囲であれば、一人で自由に行動できる職場と言えるでしょう。

ただし、一人で患者さんや家族と関わるため、患者さんの性格に依存する部分が高いです。その上、患者さんとの距離感が難しく、言葉も含めた暴力やセクハラの被害にも遭いやすいため気を付けなければいけません。

訪問看護に関するコラム集

ステーションに種類はあるの?

ステーションには大きく分けて2つ種類があります。

1つ目は”医療法人や社会福祉法人が母体の大規模ステーション”です。患者さんも母体の病院から紹介されます。基本的に母体の病院と提携しているため、「24時間体制」「常勤看護師の数5人以上」「患者数100人以上」といった特徴があり、運営体制も安定しています。

2つ目は”個人で開業しているステーション”です。個人経営で病院との提携がないため、「日勤のみの業務が多い」「看護師の数も3名と少ない」「全員が常勤ではない」といった特徴があります。緊急時の対応はオンコールが多く、手が回らないため、個人ステーション同士で連携を取って成り立っているステーションもあります。

求人を選ぶポイントは?

ステーションの母体によって変わってきます。

医療法人や社会福祉法人が母体の大規模なステーションは看護師の数も多く、待機用の看護師もいるため休みがとりやすいです。ただし、母体開催の研修や勉強会など看護師同士の関わり合いも出てくるため一人できままにとはいきません。

もう一つは個人のステーションですが、前にも述べたとおり、看護師の数がカツカツなため休みがとりにくいです。そのかわり、1人で訪問先をメインに動き回っているため気は楽です。

ただし、ステーションによっては赤字経営の場合があるので経営状況をチェックしておきましょう。サービス残業のブラックも中にはあります。

訪問数こなしたら終わり?

訪問看護は一般的には一人何人と担当制になっています。その日の訪問数をこなせば終わりです。けれども個人でやっているステーションの中には看護師の人数がギリギリでまわしているケースもあります。一人休むとその助っ人として急に訪問先に行かされたり、担当の訪問数を追加される可能性が大規模なステーションより高く、残業が多くなるケースもあります。

最初から一人で訪問するの?

ステーションの母体によって変わってきます。医療法人や社会福祉法人が母体のステーションは人材も多くOJT研修があります。同行用の看護師もいるため十分な期間同行して業務を経験できます。

個人ステーションの場合、同行専任の看護師はいないため先輩看護師にしばらくの間同行してもらいます。その上、早めの自立を望む傾向もあり同行期間も十分とは言えません。

全部一人でやらないといけないの?

基本的には自分で行います。しかし実際は、担当の患者さんの症状から判断に迷った時や、訪問後の報告書作成でわからないことがあったときに、ステーションの所長や先輩に電話したり、ラインで患者さんの画像を送ってアドバイスをもらえたりします。ステーションは病院でいうナースステーションだと思ってください。不安に思ったときはステーションに行けば仲間がいます。「決して一人じゃない」と思いながら仕事をしましょう。

患者さんが急変したら自分で判断しないといけないの?

原則自分で判断します。一人で訪問している以上、意識障害や骨折、窒息や激痛、呼吸困難など緊急性の高い事態に遭遇しやすいです。このような場合は救急車を呼んだりと判断が簡単ですが、命の危険がない場合でも受診すべきかどうか判断にせまられます。一人で判断できない場合はステーションのスタッフやかかりつけの医師に相談することも可能です。

自分が休んだら患者さんはどうなるの?

ステーションによります。看護師の人数に余裕がある医療法人や社会福祉法人が母体のステーションの場合、ステーション待機の看護師が助っ人で直行します。しかし個人でやっている小規模なステーションは人数もカツカツなため所長が代理で直行したり、別の看護師が訪問の合間や休憩時間をさいて直行して対応します。

病院との違いは?

訪問看護は病院より小規模です。ゆえに医師やケアマネージャー、ヘルパーとの関わりの度合いも強く、チーム医療を大切にしていると言われています。でも実際は独立主義です。看護or介護の線引きが難しいこともあり、チームプレイどころか相性の問題もありがちでケアマネやヘルパーとのもめごとも多いのが現実です。

訪問時何をもっていけばいいの?自分で用意するの?

悪天候の場合傘をさすため基本的にリュックを背負います。中には、聴診器、血圧計、体温計、パルスオキシメーター、ペンライト、腹囲測定のためのメジャー、傷の深さを測るスケール、入浴時のタイマー、衛生材料の予備(基本患者さんが準備する)です。

その他、電子カルテを記入するタブレットなども持参します。病院のように機器が整っていないため自分で持参して対応しなければいけません。

開業できる?

現在全国に800人のナース社長がいます。訪問看護師から開業して社長になった方々です。開業は正直ハードですが、3つの条件「資金調達」「人材確保」「患者確保」をクリアできれば可能です。

「資金調達」

ステーションを一つ開業するには約500万~1000万必要と言われています。看護師をしながら開業資金を貯金をしている人はクリアですが大抵はそうはいきません。その場合は銀行や公的期間からの融資が必要になります。融資をしてもらうには「事業計画書」の作成が必須でその内容によって融資の金額も変わってくるため、かなりハードルは高くなります。

訪問介護は地域に根差したサービスであるため、地域のニーズに合った事業計画である必要があります。地域の人たち、患者さんや家族、医師やケアマネージャーなどの評価によって事業計画書の価値、つまり融資金額が変わってきます。仮に貯金があって開業できたとしても、医療報酬はサービスを提供してから2、3か月後に入ってきます。そのため、最低でも約半年分の運転資金も確保しておいたほうがいいでしょう。

「人材確保」

看護師不足の中、スタッフ集めは更に大変です。ステーションの指定を受けるためには「保健師、看護師、准看護師を常勤換算で2.5人以上配置」が必要になります。1つのステーションに看護師3名は必要になるため、自分以外の2名を確保しなければいけないということになります。ある程度の看護経験やコミュニケーション能力の高さなども問われるため、人数集めればいいという訳にもいきません。

人材確保のハードさは数字にもあらわれています。厚生省の調査によると、4人以下のステーションは全体の65%にもなり小規模なことがわかります。つまり半数以上のステーションが閉鎖寸前のギリギリの状態であることがわかります。

開業時はハローワークや求人誌に求人を出しても集まりづらいため、知り合いの看護師を誘うこともあります。でなければ人材派遣会社に100万近く払って集めてもらうかです。結果的に人材確保のハードルが高すぎて開業できないケースもあります。

「患者確保」

利用者の患者さんを集めることも大変です。ステーションの潜在利用者である患者さんは本来なら病院にいるため、こちらから働きかけなければ集まりません。それでも母体が医療法人のステーションの場合、患者さんを紹介してもらえるためそれほど困りません。ただ、個人で開業した場合は病院や地域包括センター、ケアマネージャーなどへの営業が必要になります。そういったコネが無い場合は、患者さんを集めることに失敗し、半年持たずに潰れることも珍しくありません。

このように、個人でステーションを開業して維持するには資金、人材、利用者確保どれにおいてもハードルは高くなります。実際個人で開業できているケースは全体の35%にとどまっています。多くのステーションは医療法人や社会福祉法人が運営しているのです。

訪問看護を個人で開業したいのであれば3つのハードルを飛び越える準備と覚悟が必要と言えるでしょう。

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