看護師が児童福祉施設に転職するための全知識

看護師の皆さんこんにちわ。
メディカル調査員の川田です。

最近は児童福祉施設で働く看護師が多くなりました。

「子どもたちのお世話をしたい」と、転職をする人が多いようです。
心を開いてくれた!
悩みを相談してくれた!
一緒に楽しく遊べた!

やっぱり子供の笑顔は一番のやりがいです!

でも・・・。
現実はかなり厳しいです。
想像以上に大変で毎日のように頭を悩ませます。
ハンパなく複雑な感情を持った子へのサポート、一筋縄ではいかない保護者への対応、虐待するスタッフとの関係・・・etc。
子供との関わりだけならまだしも、意外と大人との関係に消耗したりもします。

「転職やめておこうかな・・?」

不安になりますよね・・。

そこで今回は「児童福祉施設への転職」をテーマに、その実態を赤裸々にレポートしてみたいと思います。
かんたんな解説だけではなく、実際の生々しい話が中心です!

児童福祉施設とは?

児童福祉施設とは、父母が仕事・病気・行方不明など、家庭で世話ができない児の面倒を見る施設です。

利用期間については、健常児だと18歳未満までです。障害児は、児の状態により20歳未満まで利用することもあります。

施設自体は14ありますが、看護師が働いているのは、児童厚生施設と児童家庭支援センター、児童自立支援施設を除外した下記11の施設です。

助産施設・乳児院・母子生活支援施設・保育所・児童養護施設・知的障害児施設・知的障害児通園施設・盲ろうあ児施設・肢体不自由児施設・重症心身障害児施設・情緒障害児短期治療施設があります。

看護師が働く場合は、公立施設と民間施設に分けられます。(一部の独立行政法人は、公務員ではなく、民間病院と同じ非公務員となります)

児童の年齢は主に0から18歳未満までです。急変対応ができると喜ばれるので、小児科病棟経験者が好ましいです。

項目 評価 コメント
児の状態 軽度~重度まで様々 18歳未満の健常児や障害児。障害児施設では、状態により、20歳未満まで利用することもある。
給料 約17万~28万 公務員・非公務員とも、勤め先による。条例や独立行政法人の規定で決まり、昇給もある。大都市と地方で差がある。
福利厚生 公務員、独立行政法人、社会福祉法人など、様々。公務員は年金払い退職給付があり、非公務員は雇用保険に入る。
夜勤 ほぼない。 寮、ショートステイだと、24時間体制での勤務になる。
土日出勤 ほぼない。 基本的に休みだが、寮、ショートステイだとシフトによる。
求人数 × 定員は多くて2名のため、求人は非常に希少。
正社員 勤務するなら正社員。
パート・アルバイト × 稀に産休や病欠などで求人があり、県や市のホームページや広報に掲載される。転職サイトに掲載されることもある。
求人情報 県や市のホームページで募集される。転職サイトに掲載されることもある。
仕事の難易度 低い 看護や医療に関して子どもや施設職員へ指導をする。子どもと遊んだり、悩みを聞く。
スキルアップ × 看護スキルは身に付かない。
子育てママ 寮やショートステイのある施設以外なら、夜勤が無いので勤めやすい。
新卒 × 入職できることもあるが、緊急事態に1人での対応が必要になるので、小児科病棟経験者が望ましい。
ブランク 子どもが抱える家庭の事情を考慮する必要がある。
未経験 小児科病棟の経験があれば、寮やショートステイで万一の急変にも対応できるので、どこでも歓迎される。また、発達障害の知識が必要になることがあるので、心療内科で勤務経験があると喜ばれることがある。

スキルは身につきにくいですが、小児科での経験が役に立ちます♪nekonarse-shiji

児童福祉施設の仕事内容は?

児童福祉施設での仕事は、父母に代わって子どもたちの面倒を見ることです。

子どもたちは、父母の都合により、家庭で面倒を見てもらえません。児童の年齢は主に0から18歳未満までですが、施設によって年齢の幅は様々です。児童の状態も、施設によってまったく異なります。健常児だけのところから、障害児のいるところまで多様です。

主な仕事は病児の看護や、疾病の予防です。風邪や感染症の予防に努め、施設内の衛生管理、感染症の対応マニュアルや保健だよりを発行します。急病やケガの応急処置や受診判断から予防接種や健康診断の準備や介助、健康管理や健康状態も把握し、保護者から児童の健康相談があれば、アドバイスをします。

施設によりますが、看護師は基本的に自分1人しかいないため、受診判断は単独で行う必要があります。受診で通院の際、複数の児を連れていくことがあるので、運転免許があると便利です

看護内容は、病院やクリニックとは全く違い、看護師というよりは保育士に近いです。保育士と看護師業務を兼業し、施設によっては、病院や児童相談所、保育園、学校、家庭などと連携して児童を見守ります。施設によって仕事内容が異なるので、児童に合った対応が必要です。

    【主な例】
  • 乳児がいる施設では、食事やおむつなど、日常の介助のほか、検温や記録への対応
  • 児童養護施設では、メンタルケアや思春期の児童を対象にした性教育への対応。
  • 障害児施設では、身だしなみ・入浴といった清潔に関することをはじめとして、バランスの良い食事をすることや、社会のルール、障害に応じたセルフケアまで、施設を出ても自立できるように社会生活スキルを教える対応。

児童が宿泊する施設では、夜勤の際、急変があっても落ち着いて対処します。児童福祉施設のスタッフは、保育士や児童指導員の資格保持者が多いです。PT、ST、OTやが配置されていることもあります。

児童福祉施設ではどんな看護師が働いている?

児童福祉施では、子どもの日常生活を助けたい看護師が働いています。

看護師は、他のスタッフや保護者と連携して児童を見守っていきます。そのため、人間関係で落ち込んだり、意見が食い違っても、上手に付き合っていく必要があります。

また、看護師は「子どもの気持ちを理解したい」と思っています。施設によっては意思表示が苦手な子どもと接しますが、行動や表情、言動を観察することから気持ちを汲み取る努力をします。

そして、児童だけでなくスタッフや保護者の健康にも気を配ります。季節の流行性の病気に気を付けてもらうように「インフルエンザの予防接種しましたか?」と声掛けしたり、「今日顔色悪いけど、大丈夫ですか。」と積極的にコミュニケーションをとることで、信頼関係を築いていきます。

信頼関係ができてくると、「この子、あまり口に出して喜ばないですけど、こういう表情のときは楽しんでるんです」「元気そうですけど、ちょっと風邪気味なので、何かあったらすぐ連絡ください」など、児童の気持ちや調子についても保護者から聞くことができるようになっていきます。

その結果として、「施設の子どもたちを守る」意思が強くなり、仲良くなった児童が出る地域のイベントへ関わっていく看護師もいます。

しかし、頻繁に病児を看るわけではないので、「看護師としての意味を感じられない」と、イメージとのギャップを感じたり、人間関係に溶け込めず去っていく看護師もいます。

    【主な例】
  • 施設長が看護師の設置アピールのために、重症児を大勢受け入れ、「自分がいると、重症児がますます増える…」と精神的に参ってしまっての退職。
  • 処置やアセスメントと言える行為が滅多になく、「何のために看護師としてここにいるかわからない」と、やりがいを見失っての退職。
  • 看護師は他のスタッフより給料が高いため、ひがまれてイジメにあってしまい、人間関係に疲れての退職。

このように児童福祉施設では、「地域社会とともに施設の子どもたちを見守りたい看護師」が勤めています。そのため、児童やスタッフ、地域住民とも仲良くなり、子どもたちの日常生活を助けます。

その一方で、施設の考え方に馴染めずに去っていく看護師もいます。

児童福祉施設で働くメリット

児童福祉施設には、子供の笑顔を守りたい看護師が入職します。

病院勤務と違い、いろいろな専門職や一般職のスタッフと共に働く環境なので、コミュニケーション能力が磨かれ、専門職としての看護を客観視できるようになります。

地域や施設がどのように連携して児童を支援しているのかを内部から見られるので、児童がおかれている状況に一層の理解が深まります。

障害児のいる職場では、児童の気持ちを読み取るのに困難を極めることもあるため、表情を読み取る観察能力も求められます。コミュニケーション方法を模索していくことで得る学びも多いです。

基本的に、急変が心配になるような児童はいないので、生死に関する心理負担は重くないですし、休みはしっかりとれますから、プライベートの確保がしやすいです。

施設内では居室だけでなく、遊戯室や浴室など、様々な場所で児童の遊びや学習といった日常生活の相手をします。七夕やクリスマスの飾りつけをしたり、季節のイベントも一緒に楽しみますから変化に富み、飽きないです。

障害児は、障害のために不便なだけで、生き生きしており、とてもかわいいです。児童がいてくれるだけで元気がもらえるので、楽しいです。

児童が「里親への引き取られる」「家庭への帰宅」「18歳になり巣立っていく」ときはうれしくて、胸が詰まります。

児童福祉施設で働くデメリット

児童福祉施設では、子供の笑顔を守れないことがあります。看護師が、スタッフの考え方について行けなくなることがあるからです。

いろいろな専門職や一般職のスタッフと共に働く環境の中で、「看護師は給料いいからいいね」「看護師だからって大きな顔しないでね」と心無いことを言われることがあります。

まれに、前職の看護師が突然退職してしおり、引継ぎができないことがあります。その場合は、前職の看護師の記録を頼りに業務を行うことになりますが、記録がなかった場合のことも考慮しておく必要があります。

家庭環境が複雑な子どもは、自分へ愛情が注がれているのかを試すために、施設から脱走することがあります。それ以外にも、看護師の想定外の行動に走ることもあり、悩みが付きません。

病院に比べて給料が安く、手技のスキルアップはできません。そして、看護師仲間もいないため、悩みを分かち合う人がおらず、メンタル面でのセルフケアが必要になります。さらに、季節行事や遠足の付き添いもあるので、肉体面でも体力勝負です。

また、施設によっては特有のにおいがあったり、移動や介助で体を傷めることもあります。ところにより、閉鎖的な雰囲気で、スタッフとの人間関係が複雑なこともあります。

保護者の認識不足で飲ませるはずの薬を持参していないことや、睡眠中なのに「うちの子だけおやつをもらってないんじゃないか」とクレームが来ることもあり、適切な対応が必要です。

病院やクリニックへ転職したくなっても、手技や知識のスキルがないので、困難を極めます。

まとめ

児童福祉施設は、地域と施設、児童の実態を学びたい看護師にオススメの職場です。児童と親や地域の関わり方を見ることができます。

手技より、メンタルや日常生活の面で子どもたちを支えることになります。児童の家族を含めて見守ってください。急変がほぼなく、季節行事を子どもたちと楽しめる、生き生きした職場です。

給料は、病院やクリニックより安いため、意外と求人に空きがあります。入職には、准看護師より正看護師のほうが有利です。

ただ、ところによっては、何もかも仕事を看護師に押し付けてくるようなひどい扱いを受けることもあるかもしれませんので、入職前に雰囲気を確認することは忘れないでください。

元気な子も障害がある子も、未来を創っていく人たちです。私たちが仕事からリタイアした後、確実にお世話になるでしょう。

是非、児童福祉施設の子どもたちをアナタの力でサポートしてください。

児童福祉施設に関するコラム集

スキルアップできる職場もあるの?

  • 訪問看護や重度障碍児の胃婁をするような勤務先だと、スキルアップが望めます。キャリアを磨きたい人は、是非チャレンジしてください。
  • 病院と併設している個人経営の施設でも、手技やスキルを磨けるかもしれません。施設に問い合わせてみましょう。

入所する児童はどのように決まるの?

乳児院・児童養護施設・障害児入所施設へは、児童相談所で検討し、ベストな施設へ入所することになります。場合によっては里親に引き取られ、新しい家庭で生活を始めることもあります。

補助金目当てで看護師を設置する??

児童福祉施設の中には、補助金目当てで看護師を配置する場合があるので、入職前にボランティアをしてみて、本当に自分に勤まる環境なのか、施設の実態を見極めることが大切です。

アナタの周りに異変はありませんか?

児童相談所の全国共通ダイヤル 189(いちはやく)
お隣から激しい鳴き声が聞こえる・虐待を疑うようなことがあったなど、子どもの様子に異変を感じたら、上記の番号へご連絡ください。子育ての悩みでも構いません。匿名で結構です。

こんな記事も参考にどうぞ。

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