看護師を辞めたい辛さがほぼ消えた話

「私は看護師に向いてない」

看護師になってから5年間。
私は働くのが辛いことだと思っていた。

仕事覚えは悪いし、仕事が遅いし、人一倍ミスをするし、インシデントを起こすし、クレームも多いし、同僚からの信頼もない。
グズ、ノロマ、物覚えが悪い、理解力がない、と何度か言われたことがある。

看護師を辞めたいと思っていた。

でも試行錯誤の末、その辛さの原因が分かり、チョットした方法で改善することができた。
今では辛さのほとんどが消え、仕事も順調になった。

この経験を「こんなこともあるんだ」という意味で伝えてみたくなった。
同じように苦しんでいる看護師に読んでもらえたら。

辛さの原因

看護師になってから、いつも「体のダルさ」を感じていた。
そのダルさから頭も鈍くなり、いつも無気力で鬱なんだと思っていた。

当時の症状がこちら
・モノを覚えられない
・朝起きるのが辛い(どんなに寝ても)
・小さなことにイライラする
・無気力
・自己嫌悪
・頭が働かない
・仕事中の急激な眠気
・体のだるさ
・慢性的な肩こり
・頻発する片頭痛
・蕁麻疹
・疲れやすい
・集中できない
・本が読めない
・考えられない
・食事が美味しくない
・立ちくらみ

それでも何とか5年間耐え忍んできた。

でも28歳になった時に、無理しすぎて休職した。
ストレスで胃潰瘍になり胃に穴が開いて、痛くてご飯を食べられなくなり、色々と辛かった。

休職中は「この辛さから逃げたい!」という一心で、熱心に調べて回った。

心療内科クリニックへ行ってみたり、漢方薬を飲んだり、運動をしてみたり、趣味を作ってストレス発散してみたり。
なかなかうまくいかなかった。
それでも諦めず、色んな本を読んで、色んな人に話を聞いてみた。

その結果「これは低血糖症なんじゃ?」と思った。
低血糖は多くの症状を引き起こす。

例えば、
・判断力の低下
・思考力の低下
・集中力の低下
・感情のコントロールが不安定
・感情の欠如
・動悸
・不安
・手足の震え
・空腹感
・頭痛
・意識の錯乱
・不眠
・悪夢
・めまい
・疲労感
・焦燥感
・イライラ
・落ち込み
・自殺観念
・引きこもり
・憎しみ
・かすみ目

当てはまりすぎてビックリした。
私が仕事でミスが多いのは「もしかして低血糖の影響もあるんじゃないか?」と思った。

低血糖を治したい!

色んな文献を調べて改善方法がいくつかあった。
モノは試しで初めてみたら、すぐに効果が出てきた。
その具体策を書いてみる。

食事を変える

低血糖は、食事の影響が大きい。

食後に血糖値が急上昇し、インスリンが大量に出てしまい、血糖値が低くなってしまう。
こうなると血糖値を上げるためにアドレナリンが出て、その副作用で「集中力の低下、焦燥感、落ち込み」などの低血糖特有の症状が起こる。

改善のため、まずは「吸収が穏やか物」を中心に食べるようにした。
簡単にはこんな感じ。

×:NG
精製された炭水化物
(白いパン、白いご飯、白い砂糖、麺類など)

◎:OK
未精製の炭水化物
(玄米、ライ麦、ナッツなど)
肉や魚
野菜
果物

豆腐
ワカメ
キノコ系

玄米やライ麦は、炭水化物が多いけど、未精製のため血糖値の上昇は穏やかになる。

朝は、玄米ご飯に豆腐4分の1をのせ、カツオ節をかけて醤油を垂らし、血糖値にやさしいモノを食べた(簡単で美味しく続けやすい)
昼は、ライ麦パンに、ゆで卵、ハム、ざく切りしたキュウリやトマトを持ちこんで、即席のサンドイッチを作って食べた(手間が少なく続けやすい)
夜は、血糖値のことをあまり考えずに、食べたいものを食べるようにした(長続きのコツ)

あとは間食をするようにした。
食事を一度に取ると、血糖値が急激に上がりやすい。だから間食で分散させた。

間食は10時と15時。
アーモンド、カシューナッツ、クルミなどのナッツ系が良かった。
未精製の炭水化物かつ、ナースステーションでも手軽に間食しやすい。

140グラム298円のナッツ詰め合わせを買って、それを1週間かけて間食する感じ。
ナッツは値段的に高いイメージがあったけど、意外と安い。
腹持ちがいいから少量でも全然OK。
チビチビ食べればコストも安くなるし、カロリーも気にならない(結果として痩せた)

食事のコツをまとめると、
吸収の穏やかな物を食べ、空腹の時間を減らすこと。

これで血糖値を安定させられる。
(結果はもう少し後に書いてあります)

睡眠を変える

睡眠は「人生の幸福度」と言われるくらい重要 。
血糖値を調べていると、私は「睡眠の質」にも問題があるとわかった。

寝てもスッキリしていない。
8時間以上寝ても、まだ眠い。
仕事中も眠くなる。
特に午後からの睡魔が酷かった。
ほぼ毎日こんな状態。

これを改善したいと思った。

睡眠は「時間」も大切だが「質」も大事。
この質を改善するためには3つのポイントがある。

・環境
・飲み物
・食事

まず環境。
睡眠の最大の障害は、音と光。

音には耳栓がベスト。
これがかなりスゴくて、小さな雑音は全てシャットアウトしてくれる。
冷蔵庫、エアコン、扇風機、時計の秒針、などの雑音は全く聞こえなくなる。
さらに言えば、人の話声、足音、テレビの音、車の騒音などもほぼ聞こえない。
緊急時に何も聞こえないのは怖いけど、その辺りは大丈夫で、消防のサイレン、叫び声、時計のアラームなどの高音はちゃんと聞こえるようになっている。

さらに光対策にはアイマスク。
1級遮光カーテンなら光は通さないけど、どうしても隙間から漏れてしまう。
またスマホやテレビなどの家電製品の小さな光も、意外と睡眠の障害になる。
でもアイマスクがあれば、これらを防げる。
特に看護師は夜勤があるから、昼に寝る機会が多く、光対策は必須だと思った。

音と光を完全にシャットアウト。
これだけで朝まで一度も目を覚まさず、ぐっすり眠れるようになった。

さらに飲み物。
カフェイン、アルコールは避ける。
就寝の8時間前から。
23時に寝るなら、15時頃から気を付けること。
緑茶はカフェイン多めなので要注意。

最後に食事。
先ほどの血糖値の話と被ってしまうが、ここでは「睡眠の質」についてのみ言及する。

寝る前の食事はダメ。
睡眠中も肝臓が休めないから。
頭は寝ているけど、体は起きているような状態になってしまう。

寝る3時間前には食事を終えておくこと。
23時に寝るのなら、20時には食事しておく。
寝る前にお腹がすくっていう人は、夕食で食物繊維を多くとれば、腹持ちがいい。
ライ麦パンやナッツなど。

寝る前にどうしてもお腹がすいたら、フルーツをミキサーして飲むのがおすすめ。
できればバナナジュースが良い。バナナはトリプトファンというアミノ酸が多く、眠りを導くセロトニンというホルモンの原料だから。
固形物は避けること。睡眠中に消化活動が活発になってしまい、体が休めない。

睡眠に関する色んな本を読んだけど、ここまでやれば完璧だと思う。

改善した結果

効果はすぐに出た。

まず集中力が戻ってきた。
看護本がスラスラ読めるようになったし、複雑な疾患も理解できるようになったし、何よりも仕事中にボーっとすることが無くなった。
カンファのときは、資料をすぐに理解できるようになったし、話にも着いていけるし、的確な発言もできるようになった。
業務中は、ドクターからの指示を忘れなくなったし、新規患者さんの担当も何をすべきか頭の中にスラスラ思い浮かぶようになった。
点過去の断片的だった経験や知識が、まとまりだしたような感覚。

また感情の不安定さがかなり改善された。
先輩たちから嫌味を言われても、へこたれないようになった(さほど気にならなくなった)
「先輩の非効率な指示、言動」に対しての、小さなイライラも少なくなり、性格も落ち着いた。
家に帰ってからの「死にたい・・」「私なんて・・」「あのヤロー!」という感情の落ち込みや、爆発もほぼなくなった。

体のだるさもほぼ解消された。
昼食後に眠くて眠くて、2~3時間くらいはボーっとする現象もピタリとやんだ。
以前は午後から仕事にならなかったが、業務をテキパキとこなせるようになり、結果として残業をほぼしなくてもよくなった(緊急入院、急変、委員会以外)

周りからは「休職してリフレッシュしたら全然変わったね!」なんて言われた。
リフレッシュしたからじゃ・・。
とも思ったが、あの休職が転機だったのは間違いない。

私は慣れすぎていた。
低血糖の状態が日常になっていて、できないのが当たり前だと思っていた。

けど実際には、
自分の能力を出し切れていないだけだった。

職場を変える

私は新卒で入職してずっと同じ病院で働いてきた。

「私は看護師に向いてない」

この原因は自分自身にあると思っていた。
確かにその面は大きい。
実際に、仕事覚えは悪いし、仕事が遅いし、人一倍ミスをするし、インシデントを起こすし、クレームも多いし、同僚からの信頼もなかった。

でも集中力が戻り、職場が見渡せるようになってから、その考えは変わった。

病院の環境自体が悪かった。
教育体制があって無いようなものだったし、仕事が煩雑でミスしやすい環境だったし、インシデントを防ぐ対策もされていなかった。
そもそも先輩たちは、ミスをしてもそれを隠しているようだった。
インシデントレポートを書くこともなかった。
難しい患者は、自分たちが担当しないよう、新人に押し付けてもいた。

私だけがバカ真面目にやって病んでいた。

新人看護師が来ても、誰も面倒を見ず、育てず、結果としてみんな辞めていく。
良くも悪くも従順な看護師だけが優遇される。

病院は不公平な場所。

もちろん先輩たちが悪いわけじゃないのは分かっている。
病院自体の体質自体がそうだから。

でも私が休職するときに師長からこんなことを言われた。

「ゆっくり旅行にでも行って来たら?」

うーん・・。
今すぐ入院するような状態なのに旅行は無いんじゃ・・。
「他人事なんだ」という感覚だけが残った。

よく考えてみれば私は「看護師を辞めたい」わけではなかった。
看護師ではなく「職場を辞めたい」んだなと。

だから私は、転職した。

職場を変えてみて

職場が変われば、全然違う。
これが同じ看護師なのかと(良い意味で)

自分を活かせる病院で働くのが、自分も、自分の周りの人たちも幸せになれる方法だと思う。
逆に自分を活かせない職場は、自分も、自分の周りの人たちも不幸にしてしまう。

これって当たり前のことなんだけど、意外とみんな不幸な場所で頑張り続けている。

看護師を必要としている病院は、とても多い。
今の病院を辞めても、自分を必要としてくれる人は一杯いる。

努力が報われる場所で働けばいいと思う。

終わりに

誰にでも、仕事が辛い時期は来る。

ただし、そこから抜け出せるかどうかは、自分次第でもある。
師長や先輩、病院のせいにしていも何も変わらない。
そもそも他人は変えられない。

だから自分を変えるしかない。
自分の生活だったり、働く環境だったり。

私は食事と睡眠を変え、自分の体質を変えてうまくいった。
さらに働く環境も変え、今はとてもうまくいっている。

食事、睡眠、職場。
看護師を辞めたいほど悩んでいるなら、どれかを変えてみたらいい。

特に職場は最重要。

看護師を辞めたいと思うなら、まずは職場を辞めてみればいい。
看護師を辞めるのは、それからでも遅くない。

こんな記事も参考にどうぞ。

看護師が転職で失敗しないための準備マニュアル
大損してた!看護師が知っておきたい残業代のこと
看護師を辞めるのはちょっと待ってください!