先日、上司とのイザコザについて、面白い結末を迎えたので、書きたくなった。
以前、派遣で務めていた病棟でのこと。
その急性期病棟は、ちょっと横柄な師長が取り仕切っていた。
師長は昔ながらのタイプで、非論理的なことをよく言っていた。
「インシデントが多いのは、看護への情熱が足りないから!」
その当時はインシデントが大きな問題になっており、師長は事あるごとにムチャな精神論を振りかざす。
でも実情は違っていた。
仕事がとても忙しく、誰もが疲れ果てており、それがミスを誘発しているのは、誰が見ても明らかだった。
「昔はもっと大変だった」
「今は恵まれている」
「インシデントはやる気の問題」
朝礼では師長がよく怒鳴る。
こうなると自分に火の粉が飛ばないよう、全員が下を向き、終わるのをじっと耐え忍ばなければいけない。
ただその日はいつもと違った。
「師長!問題はやる気ではありません!ふつうに働ける職場を作ってください!」
とある5年目の看護師が発言した。
誰もが息をのんだ…。
次の瞬間。
激怒した師長がいた。
「問題を他人に転嫁するな!そういった甘えがダメだと言っているの!」
その場は主任の仲裁もあり、何とか収まった。
しかしその後、5年目の看護師は師長から冷遇されだした。
師長は明らかに彼女のことを嫌っていた。
「他人に頼りすぎ」
これが彼女への評価だった。
彼女は誰の目から見ても優秀な看護師だったが。
その後、彼女は病院を辞めた。
彼女の何が間違っていたのか?
正論を伝えるのは、相手の無知を知らしめることでもあり、怒りを買うことが多い。
「それは筋が通っていません」
「先ほどの話と矛盾しています」
「ルール違反です」
こういった正しさは、敵対行為だと誤解されやすい。
相手から敵対心は、人間関係を急激に悪化させる。
かの有名なソクラテス(古代ギリシアの哲学者)は、腐った政治を良くするという使命感を持って、政治家や権力者の無知を次々に指摘していった。
しかしその結果、数多くの敵を作り、無実の罪で裁判にかけられ死刑となった。
正論にはある種の攻撃性がある。
ソクラテスは、正論を振りかざしたがために不利益を被った。
人間とは「自分は間違っていない」と思いたい生き物なのである。
では間違った上司には、どのように対処したらいいのだろうか?
理不尽な上司への対処法
答えは色々あるが、その一つが「相手の自尊心を傷つけないこと」である。
例え上司が間違っていても、「師長の言うことは正しいと思います」と答えるのである。
その上で「さらに環境も問題なのでは?と思うのですが、どうでしょうか」と、上司に意見を求めるようにする。
嫌いな上司であっても、上司である。
目上の人として尊重する態度を示すのが礼儀といえる。
作家のDカーネギーは、人を動かすには原則があるとしている。
- 誤りを指摘しない
- 顔を潰さない
- 盗人にも五分の理を認める
- あら探しをしない
- 人の立場に身を置く
- 命令をしない
- 褒める
- 長所を認める
- 重要感を持たせる
- 期待をかける
- 思いつかせる
つまり要約するとこうである。
- 相手の過ちは、指摘してはいけない。
- 逆に、相手の良さを見つけ、褒めて、自ら行動させよう。
これが人を動かす原則だ。
とはいえ、嫌いな上司に対しての敬意は、精神的な苦痛を伴う。
礼儀のない人間に対して、礼儀をもって接するのは、相当にきつい。
ではどうしたらいいのか?
嫌いな上司への合理的な対処法
運悪く横暴な上司に当たってしまったら、どうするか?
色んな手はあるが、一番確実なのは「逃げる」ことである。
他人を変えるのは、自分を変える以上に難しい。
それならば、自分に合った環境に移動したらいい。
これほど合理的なことはない。
例の彼女にバッタリ
ところで先日、新しい派遣先で例の5年目の彼女にバッタリ会った。
彼女は退職後、今の病院に転職し、主任として楽しくやっているそうだ。
「気に食わない師長をギャフンと言わせてスッキリした」
「あんな上司から逃げられて良かった」
「付き合うのは時間の無駄」
「理不尽な上司は全員くたばれ」
彼女の言うことはいつも正論だ。
敵を作りそうな性格ではあるが、後輩からとても慕われており、こういった看護師が上司になれば職場も良くなるのであろう。
見ているコチラも気持ちが良くなる、あっぱれな女性だ。
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