看護師の呼吸器内科への転職ポイント。先輩6人の体験まとめ

看護師の皆さん、こんにちは。

呼吸器内科って、比較的新しい診療科ですよね。
最近は対象となる疾患が増加していることもあって、呼吸器内科が増えています。

呼吸器内科は、
・患者さんは子どもからお年寄りまで幅広く、コミュニケーションスキルが身に付く!
・慢性期の患者さんが多く、生活指導など寄り添った看護ができる!
というのが魅力です。

ただ、急変が多くピリピリしがちだったり、呼吸が苦しい患者さんを見るのが辛かったり、感染のリスクが高かったりと呼吸器内科ならではの大変さもあります。
仕事の忙しさ、精神的な辛さ、患者さんとのコミュニケーションなど、辞めていく看護師の理由は様々です。

では、呼吸器内科への転職を成功させるにはどうしたら良いのでしょうか?

まずは、呼吸器内科の仕事内容を具体的に調べましょう。
「こんなはずじゃなかった」を無くすことが、転職成功への秘訣です!

ここでは、呼吸器内科で働く先輩看護師のリアルな声を紹介します。
実際に先輩が経験した仕事から、自分の将来を具体的に想像してみましょう!

呼吸器内科のメリットは?

同期にも教えてあげたい。呼吸器内科はいいことばかり!

E.Iさん(29)
看護歴:6年
転職先:呼吸器内科

私は、循環器で4年、ICUで1年働いて来ました。
もっと楽なところで働きたいと思い、呼吸器内科に異動して1年経過したところです。

やっぱり、内科っていいですね。
ICUの元同期は、いつも「辞めたい。辞めたい」ばかり。
そのたびに私は、「内科はいいよ~。」と言っているのですが・・
呼吸器内科に入ってわかったのは、メリットがいっぱいてことかな。
その中でも3つありました。

メリット1.当たり前ですが、呼吸器に関するスキルが身に付くことです。
患者さんの呼吸をスムーズにするために酸素療法を行います。
酸素マスク、ナザール、ベンチュリーマスクや人工呼吸器を必要に応じて使い分けつつ行います。
最初は使い分けるだけでも大変。その上、サイズの違いも気を付けなければいけません。
ナザール一つをとっても、患者さんごとにサイズの違いがあるため細かい部分まで覚える必要もあります。
そうやって覚えた酸素療法は、他の診療科でも行うため、呼吸器内科での知識はそのまま応用できます。

メリット2.患者さん一人ひとりに対する臨機応変力がつきます。
呼吸器の疾患は、患者さんの生活習慣が原因になることが多いです。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)がその一つ。喫煙や受動喫煙が原因と言われています。
看護師が患者さんに対して、生活習慣を見直すように働きかけることで改善できたりもします。
対応した分、患者さんの症状が目に見えて良くなっていくと、「アドバイスして良かった!」と思えたりします。

以前勤めていたICUや他の循環器外科では、医師のサポート役がほとんどでした。
でも呼吸器なら、患者さんの禁煙プログラムを提案したりと、直接患者さんに働きかけることができます。
それがやりがいになったりするので、呼吸器にいて今のところ充実感を感じています。

メリット3.病室が明るいってことですね。
内科って高齢者のイメージが強いと思われがちですが(少なくとも私はそう思っていました)、呼吸器は若い患者さんもいます。
喘息は高齢者に限らず、お子さんも含め若い人もなる病気。その分病棟の雰囲気は明るく感じられます。
高齢者には申し訳ないですが、患者さんの年齢層が幅広い分、メリハリがあって明るいのも呼吸器内科の良いところです。

呼吸器なら患者さんとも関われるし、身に付いた知識は内科系ならどこでも応用がきくと実感しています。
最初は不安でしたが、今では本当に異動して良かったと思っています。

呼吸器内科のデメリットは?

転職してわかった呼吸器内科のデメリット!

R.Kさん(27)
看護歴:5年
転職先:呼吸器内科

私は、総合病院の呼吸器内科に転職して3年が経ちます。
病院は3号館に分かれていて、私のいる1号館は最近リニューアルされたばかり。
新しくて気持ちの良い職場で働かせてもらっています。

建物は気持ちよくても、仕事はそうはいかないものですね。
実は、いくつか悩みがあります。
悩みながら気づいたデメリットについてまとめてみました。

まず、急変が多いことです。
呼吸器は酸素を送り込むところです。ちょっとしたことがすぐに命に関わってしまいます。
急変が起きると、もう現場はピリピリモード。
とにかく素早く!正確に!
これができない日は本当に落ち込みます。
酸素不足で苦しむ患者さんの顔が夢に出てきたりします。
呼吸ができないってどれだけ苦しいか・・想像できますよね。

あと、残業が多いことですね。
急変が多いこととも関係しているのですが、急変が起きるとその分残業もあるということです。
喘息の発作は時間に関係なく起きるので、そのときにいた看護師がそのまま対応します。
脳に酸素が行かなくなると数分で障害が残ることもあるため、1分でも早く対応しなけばなりません。

「定時だから、はい、交代!」なんてありえません。

それと、スキルがあまり身に付かないことです。
呼吸器の専門的な知識を身につけたくて、総合病院を選んで転職したわけですが。
実際、高度な治療を行っている病院はごく一部だけだと入ってから知りました。
もっと調べてから転職すべきでした。
でも、ここで経験を積めば、今度転職するときは即戦力で採用されるのかな?と思ったりしています。

急変や残業は多少しかたないかもしれませんが、やっぱりスキルは身につけたいです。
次は、もっと最先端の治療をしている大学病院を狙っています。

仕事内容は?

呼吸器内科ってどんなところ?

B.Tさん(28)
看護歴:5年
転職先:呼吸器内科

私は都内呼吸器内科専門クリニックに勤めて5年になります。
呼吸器専門ということもあって、肺の細かな変化も見逃さない3Dの最新の16列マルチスライスCTなんかも置いてあります。

最初は、呼吸器内科ってどんな仕事があるのか・・
全くわからずにスタートしました。
でも、今ならわかることも沢山あります。

呼吸器って肺だけじゃないんです。
入職当初の私は、ぶっちゃけ「呼吸器」の知識が曖昧でした。
(私以外のナースはみな知ってるかもしれませんが)
鼻、喉、気道、肺、胸郭これだけあります。
これだけの器官で起きる疾患をみるのが、私の勤める呼吸器内科なんですよね。

正直、呼吸器内科と呼吸器外科の違いも、わかっていませんでした。
もう恥ずかしい限りです。
外科は、肺がん、自然気胸、胸部外傷、転移性肺腫瘍といった外科処置を伴う疾患。
内科は、風邪や上気道炎、急性気管支炎、肺炎や気管支炎。
さらに、COPD、肺がん、間質性肺炎まで呼吸器の外科的処置を伴わない疾患を扱います。
また、病院によって、外科と内科がMIXした「呼吸器科」というのもあることも初耳でした。

ちょっと驚いたのが、呼吸器内科は歴史の浅い科という院長のお話でした。
元々は、内科で扱っていたけど、呼吸器の病気、その中でも内科処置だけを切り離して呼吸器内科ができたらしいです。
院長の話は長いけど、歴史まで聞けたりするのでホント勉強になります。

呼吸器内科にくる患者さんの疾患はアレルギー疾患(喘息など)と、COPDが多いです。
もちろん風邪や気管支炎の方もいますが、それ以外はこの2タイプがほとんどです。
COPDは、ここにきてから詳しくなりました。
慢性期気管支炎や肺気腫とよばれてきた病気の総称ですが、タバコの煙みたいな有害物質を長く吸い込むと起きる疾患です。
喫煙習慣が多い中高年の患者さんが多いですね。
院長の話だと、喫煙者の10人に1人か2人がなる病気らしいです。
病院の階段上がってきただけでゼーゼーしている人を見ると、「COPDかな?」と思ってしまいます。

呼吸器内科に来る患者さんは子供から高齢者までさまざまです。
小児喘息のお子さんも多いし、今いったようなCOPDの中高年、肺がんを患う高齢者まで幅広いです。
特に高齢者は、他にも疾患を患っていたり、認知症の方もいらっしゃいます。
呼吸器だけでなく、常に全身の状態を気にしておかなければなりません。

「薬をきちんと飲んでる?」
「医師の話、理解できてる?」

といった感じで、いつもよりちょっと気にしてみたりしますね。
理解できていなさそうなときは、待合でもう1度わかりやすく説明しなおすことも大切だと感じています。

呼吸器内科にいればいるほど、「奥深いな~」とかみしめています。
患者さんもイロイロ。その分、看護師の役割は意外と大きいなとも思っています。
よし、もっと自分の腕を磨くぞ!

呼吸器内科の仕事は沢山あった!

R.Eさん(26)
看護歴:3年
転職先:呼吸器内科

私は、外科から呼吸器内科に転職してきました。
患者さんと深く関わりたいという気持ちが強くなり、念願かなっての転職です。
350床ぐらいの、アレルギー疾患を専門にみる総合病院です。

呼吸器内科って酸素療法ぐらいかな?なんて甘く見ていましたが、意外と仕事は沢山あります。

その1つが、COPD患者さん対応です。
COPDはタバコが大きな原因なので、禁煙指導や、生活指導が看護師の仕事になります。
正直、喫煙愛好家が多いので、なかなかハードな仕事です。
一人ひとりの患者さんの信頼を得るために、長い時間かかります。
患者さんが本気にならないと、正直私自身もスイッチが入らなくて。
だからお互いに本気モードになるまで、じっくりとお付き合いする気持ちが大切だと思ってます。
慣れてくると、本当にタバコをやめているか、こっそり吸っているか患者さんの様子だけでわかってしまうようにもなります。
たとえ禁煙できていないとわかっても、すぐに結果を求めてはいけません。
看護師の過度なプレッシャーは、患者さんを追い込んでしまうだけ。
少しずつ、本数を減らし、禁煙の習慣作りをサポートすることでようやく病状は回復の兆しを見せてくれます。

あとは、酸素療法も大切な仕事です。
酸素マスク、人工呼吸器を使うため、器械の使い方や種類を把握しなければいけません。
呼吸器内科の患者さんは、慢性期の患者さんが多く、劇的に回復することはなかなかありません。
その分、長くお付き合いすることになります。
投薬、採血や検査、注射や点滴といった基本的な仕事をこなしつつ、患者さんと会話をしたり、生活習慣の把握をすることが大切だと感じています。

呼吸器内科の仕事は、一般的な仕事のほかに、喫煙指導や、酸素療法など特殊な仕事も入ってきます。
今の私は、1人でも多くの喫煙愛好家を説得して、ちょっとでも改善できたらと思っています。

特に大変な仕事は?

呼吸器内科で大変なこと

T.Gさん(28)
看護歴:6年
転職先:呼吸器内科

私は、総合病院の呼吸器内科につとめて6年になります。
毎日、COPDや喘息の患者さんの対応しています。

6年間はあっという間だったけど、大変なことばかりでした。
何が大変かって?

まず、ウィルスや細菌の感染率が高いことです。
呼吸器内科特有なのかもしれませんが、疾患の中には感染性のものが多いというのが理由です。
ウィルス性の風邪や肺炎もそうですが、中にはマイコプラズマ肺炎や肺結核まで常に感染のリスクにさらされています。
咳やくしゃみみ1つで、飛沫感染や空気感染をします。
なので、神経質なぐらい院内感染予防を徹底しなければなりません。

すべての患者さんにマスク着用を義務付けるのは当たり前。
自分もマスクをし、うがいを日に10回ぐらい行います。
手洗いや消毒は患者さんごとに行い、とにかく感染=自分の責任です。

あとは、呼吸に苦しむ患者さんの対応が大変でした。
喘息もそうですが、呼吸ができない=死につながるため、苦しがる患者さんを前に、呼吸介助をしても収まらず、どうしようもできないことがあります。
常に緊迫した中にいながら何もできず、苦しむ患者さんの前に立っているときが、一番ツライですね。
私と一緒に働いていた先輩看護師のSさんは、「患者さんが苦しむ顔を見たくない」と言いながら辞めてしまいました。
それぐらい、苦しむ姿を見るのはツライですね。

そして、食事ですね。
食事ぐらい!とお思いになるかもしれませんが、もともと呼吸がスムーズにできない患者さんにとって、食事をとることがリスク。
NPPVで換気しなかったらSPO2は酸素が何リットルあれば維持できる?
カニューレで流量が足りないのなら、ベンチュリーマスクをかませる?
食事中のバイタル変動、食事時間はどれぐらいかけられるか。
酸素療法を行いつつ食事をとってもらうという行為はとても大変なことです。

リスクがある。大変だから。という理由だけで、患者さんの行動を制限することはあってはならないと思っています。
呼吸の安定と生活のバランスを保ってあげることが看護師の役割だと感じています。

呼吸器内科は荷が重い

T.Nさん(26)
看護歴:3年
転職先:呼吸器内科

私は昨年1年間、大学病院の整形外科で働いていたのですが、このたび欠員が出て呼吸器内科に異動してきました。
現在は、呼吸器内科に勤める看護師2年目です。

呼吸器内科は初めての経験ばかりでした。
その中でも大変だったことが3つありました。

1つ目は、急変や緊急が多いことですね。
日常的に、人工呼吸器の患者さんを看ていることもあり、頻繁に急変します。
そのかたわらで、緊急入院の対応も入ったり、やることが山積みになる日々でした。

2つ目は、夜勤です。
まだ入って数カ月でしたが、部屋の担当を任され、夜勤もありました。
喘息は夜中に発作が起きることが多く、私はといえば、てんぱってばかり。
隣の部屋の看護師に助けてもらうことしかできませんでした。
それにラウンドが遅くて、同じぐらいの年の看護師と比べられる始末。
そのたびに先輩の指導も入ったりするので「情けない。」と凹んでましたね。
今思えば、自分の精神的なキャパを超えていました。

それに、呼吸器の夜勤は、結構な頻度で急変があります。
ペーペーの私が部屋を任せられているだけでも気が遠くなりそうでしたが、先輩に叱られ呆れられてるのを知るとさらに落ち込むばかり。
それでもなんとか、乗り越えてきたつもりです。

最後に、インシデントや事故対策が異常に細かいことですね。
カニューレの事故抜去による窒息事故は、全国で年に数例起きています。
だからうちの病院でも事故対策なのか、厳しいルールがあります。
去痰目的じゃない気管カニューレの留置は抜けたら命に関わります。
だからカニューレの紐の結び方が重要!
ちょうちょむすびはNG。かた結びが必須です。
カニューレが外れないことが大前提です。

「細かいな~。」

最初はそう思っていましたが、今では患者さんの命を守るなら当然だと思っています。

大変なことは沢山あるけど、ある意味自分が試されているような気がしています。
とにかく、ルールを守って、やり続けることで自信になるとそう思いながら働いています。

まとめ

呼吸器内科ってどんなところでしたか?
呼吸器内科は特有の疾患も多く、生活習慣の指導もあるため、幅広い知識が身につく場所でしたね。
苦しむ患者さんのケア。健康維持のサポート。
突き詰めていくことで、やりがいを感じれる場所だということもわかりました。
そして、呼吸器内科で身に付けた知識は別の内科でも生かすことができます。
スキルをUPの場所として選んでみてはいかがでしょうか。

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