辞めたい看護師に問う!逃げの転職は許されるのか?


友達から転職の相談を受けた。
事前に聞いていた以上に深刻で、久しぶりに会った楽しい気分なんて吹っ飛んでしまった。

彼女は「主任との相性が絶望的に悪い」と言っていた。
でも話を聞き進めると病棟の雰囲気自体が彼女に会っていないように感じた。
上司と合わないだけであれば、チームを変えてもらうなり、転属するなり策はあるだろう。
しかし病院と相性が悪ければ、転職するのが手っとり早く確実だ。

でも多くの人は「逃げちゃダメだ」と、頑張り無理をする。
その結果として目の前のことしか見えなくなり、潰れてく。

でも彼女は今転職活動をしているそうだ。
悩んでいるときは、外の環境に目を向けると良い結果になることが多い。

そういう意味で「彼女は正しい行動をしている」と思った。

逃げない人達

ところがだ。
半年後に話を聞いて驚愕した。
彼女はいまだに転職を決断できずにいるらしい。
理由は「人間関係を理由に転職するのは逃げているみたいだから」と。
転職するなら前向きな理由が欲しいらしい。
スキルアップだったり、やってみたい仕事だったり、夢だったり、実力を試したいだったり。
人間関係が問題だったり、仕事内容が嫌だったり、プレッシャーに負けたり、そういう理由は気が引けると。

気持ちはわかる。
「逃げてもまた同じことになる」
「逃げ癖がつく」
「逃げても解決しない」
日本にはネガティブな転職がダメだという雰囲気があるし、私たちはそう教えられてきた。

しかしこれは大間違い。
ネガティブな理由だろうが、逃げの理由だろうが、カッコ悪かろうが、辞めたいという気持ちが強いのであれば辞めたほうがいい。

危険な兆候がある人

転職したい・・・
でも逃げちゃダメだし・・・
辞めたい・・・
でも迷惑が・・・
嫌・・・
でも・・
無理・・
でも・・
でも・・
でも・・

このように「でもでも」言っている人は要注意。
高確率で病んでいる。



画像元:http://imgur.com/a/G9zd1

「逃げちゃダメ」なんていう間違った思考は、早く捨てたほうがいい。
そのために「今すぐ病院を逃げてもいい理由」を9つに絞って書いていく。

1.自力で解決できない

辞めたいと思う要因は、自分の力で解決できるのか?
もし主任と合わないなら、転属願を出したり、チームを移動させてもらったりすればいい。
状況は自分の行動で変えられる。

けど病院と合わない時、あなたはそれを変える力を持っているのか?
病院の雰囲気を変えられるのは経営者くらいだ。
病院や会社なんて、良くも悪くも経営者の色に染まる。
それをその組織の一人が変えるはずもなく、それを変えようなんてそれこそ傲慢である。
今の環境に問題があり、それを自分の力で変えられないなら、そこから離れるのは当然でありとても合理的な行動である。

病院の体質を変えるなんて個人ではどうしようもない。
離れてみるのが正解なのである。
耐え続けても、体や心を病んだり、貴重な若い時間を無駄にしたリ、仕事の能率が下がったり、誰も得をしない。

自力で解決できないような問題なら、逃げるしかない。

2.辞めちゃダメには裏がある

職場で「逃げちゃダメ」「辞めちゃダメ」なんて言う人は、「私も逃げたいのをガマンしてるんだから!」「あなたも一緒に我慢しなさいよ!」という意味かもしれないので注意したほうがいい。

3.ポジティブな転職はウソ

そもそも転職なんてほとんどが逃げである。
例えば「スキルアップしたい」っていうポジティブな理由の裏には「スキルアップできる仕事をさせてもらえない」っていうネガティブな意味がある。
ポジティブな理由のように装っている人だって結局は今の職場に不満があって、それから逃げるために転職する。

まあ理由が何であれ、辞めたいと思うほどの不満があり、合わないと感じるような職場なら、転職はとても合理的で自然な行動であり、別に負い目を感じる必要は全くない。

4.本当の退職理由を言わない

そもそも本当の転職理由を言う人は少ない。
言ったら言ったで問題になったり、辞めさせてもらえなかったり、嫌な思いをするから。
だからみんなポジティブな理由を作っている。

日本は建前社会。
馬鹿正直に退職理由を言う必要はまったくない。
正直に言って円満退社できるのは、結婚、出産、親の介護、体調不良、夫の転勤、家業を継ぐ、スキルアップ、やりたい仕事、夢くらい。
その中でも嘘だとバレにくい「スキルアップ、やりたい仕事、夢」といったポジティブな理由がよく使われるだけの話。

5.期待を裏切ったのは誰なのか

退職は「期待を裏切ってしまう」と責任を感じる人もいる。
けどそれはお門違い。

そもそも期待を裏切ったのはどっちだ?
病院や上司じゃないのか?

病院はあなたの期待を裏切り、その結果としてあなたは期待に応えられなかった。
ただそれだけのことである。

6.上司の責任

上司の仕事は、部下のモチベーションを上げ、成果を上げられるようにすることである。
それができない上司は無能である。

無能なだけであればまだ良いが、病院のためだと「あなたの個性を殺そうとする」上司もいる。
看護の仕事は、個性がない機械にもできる仕事なのか?
頭を使い、体を使い、学習し、自分で考え成長していく。
そういう看護師が重宝される。
それを殺してはいけない。

7.皆逃げている

そういえば私自身も新卒2ヶ月目で人間関係が合わなさすぎて転職していた(もう10年前の話だが・・)
それでも今、そこそこ大きな病院の急性期で主任をしている。
辞めてよかったと思っている。

今の病棟の師長も、若い頃に何度も転職を繰り返している。
師長は人格的にも看護スキル的にもリーダーとしての素質的にも尊敬できる先輩である。
私はともかくとして、そんなすごい人達でも逃げの転職をしている。

8.逃げを許さない日本の悪習

日本人は「逃げは悪」だと教えられてきた。
けど80年前の戦争で日本軍は「逃げずに玉砕が美しい」と教え、その結果として大敗北している。

現代においては、働く多くの人が逃げずに耐えて苦しみ、その結果として体がボロボロになるまで働き寿命を縮め、若いときの貴重な時間を無駄に捨て、鬱になり、死を選ぶ人すらいる。

なぜ間違いを繰り返すのか?
「撤退」という選択肢を無くすのは、歴史的に見ても悪手でしかない。

9.逃げ癖なんて無い

「一度逃げると、逃げ癖が付く」と言われる。

けどそれはお門違い。
逃げ癖ではなく、「逃げる基準を持った」だけである。
逃げたことがある人は「そろそろ身を引かないとヤバいな」という基準を知っている人のことである。
逃げたことが無い人は、撤退の基準を知らず、逃げちゃダメだという教えに忠実な人のことである。
耐えることしか頭にない。

それが幸せかどうかは人それぞれかもしれない。
でも私は「逃げが許されない世界」が幸せだと思えないし、非合理的で異常な世界だと思っている。

まとめ

あなたは逃げてもいいのか?

逃げてもいい。
辞めたいと思うのなら、辞めればいい。

病院を辞め、外から客観的に眺めてみると、そこがいかに異常な場所だったのかが分かる。

そのためには足し算だけじゃダメ。
あとちょっと頑張ろう
あとちょっと耐えてみよう
あとちょっと期待してみよう

なぜ引き算をしないのか?
やめる。
手放す。
断る。
離す。
捨てる。
絶つ。

逃げる勇気を持つことで無駄なモノを捨て「ありのままの自分」を知ることができる。

それでも辞めるのが怖い時

「けど転職は怖い・・」
「また同じ目に合いそう・・」

人は先が見えないことに恐怖を感じる。
ならば先を見ればいい。
正確には先を見通す情報を手に入れ、未来を予測する。

自分が転職して、
1か月後どうなっているのか?
6か月後どうなっているのか?
1年後どうなっているのか?
3年後どうなっているのか?

転職で失敗するのは、事前の情報不足が大きい。
入職してみて「何か違う・・」じゃ誰も幸せにならない。

まずは小さくスタートをしてみたらいい。
自分の価値を知り、地域の相場はどうなっているのか、そのうえで自分はどんな待遇が妥当なのか、どんな病院に応募できるのか。
情報を集めることから始めてみる。

その結果、今より良くなりそうなら思い切って転職したらいい。
もし「転職したら悪くなりそう」でも、今の病院でやって行く踏ん切りがつく。

そのための情報収集は、まずは求人を見ること。
次に「正しい自分の市場価値」を知る。
けどこの市場価値は、自分じゃできないから転職サイトなりに登録してプロに聞くしかない。
登録したついでに自分の応募できる求人を紹介してもらうこと。
これで自分が転職できる範囲も見えてくる。

この辺りの具体的な手法は「看護師が転職で失敗しないための準備マニュアル」に書いてあった。
確実な方法でもあるので参考にしてみてほしい。

本気で変えたいなら意識を変えるだけじゃダメ。
具体的な行動を変えなきゃ何も変わらない。

小さなスタートを切ってみる。
まずはそこから。

こんな記事も参考にどうぞ。

看護師が転職で失敗しないための準備マニュアル
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