看護師の退職理由まとめ。円満退職できる本音と建前の伝え方

看護師の円満退職

退職は有終の美を飾るイベントです。
「寂しくなる」「次も頑張って」「また遊びに来てね」
皆に惜しまれながらの退職・・。憧れますよね!

しかしちょっと間違えば……。

「そんな身勝手な理由で辞めるの!?」
「退職なんて認めない!」
「世の中そんなに甘くない!」

こうなると退職までが、辛い日々となります。
円満退職には「退職理由」が重要なポイントになります。

そこで今回は「スムーズに退職できる退職理由」をレクチャーいたします!

看護師の退職理由(本音)

円満退職するには、退職理由が重要です。
これを間違えると「調子に乗るな!」「そんな理由で!?」「こっちの身にもなれ!」などとモメる退職となりやすいです。

そこでまずは退職理由を考えてみましょう。
一般的な退職理由は以下のような感じです。

  1. 人間関係
  2. 労働環境が悪い
  3. 上司への不満
  4. 給料が低い
  5. 仕事内容への不満
  6. 病院の方針に合わない
  7. スキルアップ
  8. 評価への不満
  9. 体調不良
  10. 結婚・出産
  11. その他
看護roo!調査

これは看護師の本音の退職理由です。

退職理由は人それぞれですが、本音をそのまま上司に伝えると、高確率で引き留めにあうか、攻撃の的にされてしまいます。
そこで次は「実際みんなは、どんな退職理由を伝えているのか?」を見ていきましょう。

看護師の退職理由(建前)

上司に伝えた退職理由
  1. 結婚・出産
  2. スキルアップ
  3. 体調不良
  4. 引っ越し
  5. その他(職場への不満など)
看護roo!調査

ほとんどの方は、ネガティブな理由を隠しているのが分かります。
逆に上司に伝える理由には、3つの特徴があります。

  • ポジティブな理由
  • 個人的な事情
  • 家庭の事情

これらは病院側が干渉しづらく、引き止められにくいため、退職理由としてよく使われる傾向があります。
ではこれらの退職理由を事例と共に詳しく見ていきましょう。

結婚、出産

結婚系は、円満退職の王道と言えるでしょう。

  • 結婚する
  • 婚約する
  • 出産する
  • 相手の実家に入る
  • 子育てとの両立が難しい

結婚系は、スムーズに退職できるばかりか、皆から祝福され、将来復職できる可能性までも残しておけるため「最も理想的な退職」と言われています。

該当する方は「結婚することになりまして…」とシンプルに伝えるのがベストです。

ただし結婚系は、独身者が使いづらいという最大の難点があります。

結婚する予定もないのに「結婚するので・・」と嘘をつくと、「誰と結婚するの?」「結婚式は?」「苗字はどうなるの?」などと聞かれ、バレる確率が非常に高いです。しかもバレた時はリカバリが難しいばかりか、大きな汚名を残すことにもなり、評判が悪くなりがちです。

「結婚、出産、育児」は円満退職しやすい理由ですが、嘘はやめておきましょう。

スキルアップ

スキルアップは、退職理由としてよく使われています。

  • 看護師としてもっと成長したい
  • 他の病院を見てみたい
  • 憧れの診療科がある
  • 最先端の医療を学びたい

もちろん「異動したらいい」「経験が積める仕事に変えるから」「勉強会やセミナーに参加したら」などと、引き止めに合うケースもあります。
ただ「今の職場では学べないスキルを身に付けたい」「やりたい仕事がある」「夢だった診療科で働きたい」と切り返しやすいです。

「でもキャリアアップは興味がない…」という方もいるでしょう。

しかし「自分の成長」は、人間ならだれもが持っている欲求です。
「こんなスキルを身に付けたい」「将来はこうなりたい」「こんな勉強をしてみたい」という思いが少しでもあれば、それは嘘ではありません。

正直にその気持ちを伝えれば大丈夫です。
キャリアアップは若い方ほど有効な退職理由となってくれます。

健康

健康問題は、退職理由としてよく使われます。

  • 持病の悪化
  • 腰痛
  • 不眠
  • 慢性疲労
  • 精神的な問題
  • 生理不順

健康問題は、病院の努力で解決しづらい問題のため、引き止めを受けづらいです。

ただし嘘は辞めておきましょう。
相手は医療のプロです。
生半可なウソは通用しません。

できれば診断書を用意しておきましょう。
診断書は「退職の本気度を伝える」意味でも効果がありますのでオススメです。

引っ越し

引っ越しは、意外と使われている退職理由です。

  • 実家にUターン
  • 恋人との同居
  • 進学のため
  • 上京
  • 田舎暮らし

家族の都合だったり、個人的な夢だったり、将来の為だったり、病院側としては引き止めづらい理由です。

「恋人…」「上京…」「進学…」と軽蔑されると思われがちですが、人生で何が重要なのかは人それぞれです。
実際、看護師は40代や50代で大学院に通う人が多くいる職業です。

少しでも当てはまる要素があれば、胸を張って正直に伝えましょう。

退職のNG理由

さて。
ここまで円満退職しやすい退職理由を見てきました。
ここからは、利用が難しいNG理由を見ていきましょう。

人間関係

人間関係は、本音ナンバー1の退職理由です。

  • 上司と合わない
  • 先輩からの不仲
  • 後輩との関係
  • ドクターからのパワハラ
  • 雰囲気に馴染めない

ただし人間関係は、引き止められる可能性が高くなるため、あまりお勧めできません。
「相手は誰?」「注意しておくから」「ペアにならないようにするから」と病院の努力で改善できるため、引き止めも強くなりがちです。

また本人に話が伝わることも多く、退職までの期間が辛いものになる可能性もあります。
スムーズな円満退職の為には、グッとこらえて、他の理由を伝えるのが無難です。

労働環境

労働環境は、本音ナンバー2の退職理由です。

  • 残業が多い
  • 休みが少ない
  • 連休が取れない
  • 夜勤が多すぎる
  • 仮眠が取れない

ただしこれは、病院の努力によって改善できる問題です。
「残業を減らす」「夜勤を減らす」「休みを増やす」と、引き止められやすいです。
しかも他のスタッフから「あなただけじゃない」「みんな我慢しているのに」と不評を買い、円満退職できないこともあります。

そういった意味でも労働環境を退職理由にするのは、避けた方がよいでしょう。

上司への不満

上司への不満は、本音ナンバー3の退職理由です。

  • 師長からのパワハラ
  • モラハラ
  • いじめ
  • 看護観が合わない
  • 気が合わない
  • 不当な評価
  • 嫌い

ただし上司への不満を退職理由にするのは、避けた方が無難です。
感情的に攻撃されたり、冷遇されるケースもあるからです。
また上司の管理能力の問題にもなるため「そんな理由で辞められると不味い…」と、保身のために引き止めが強くなるかもしれません。

最後に本音を伝えてスッキリ辞めたい所ですが、多くの方がグッと堪えて、他の理由を伝えています。

給料が低い

看護師は、経験と共に不満を感じるようになるものです。

  • 昇給が少ない
  • 残業代が出ない
  • 仕事の割に給料が少ない
  • スキルが給料に反映されない

看護師は経験を積むと、仕事量と給料のギャップが大きくなります。
特に3年目ごろは、こなせる仕事が増え、責任の重い仕事をするようになり、後輩の指導を行い、リーダー業務もしているのに、給料はさほど変わらず、不満が大きくなる時期です。

どうせ給料が低いのなら、もう少し楽な仕事がいい…。
20代~30代の方は、給料に関する転職が多くなるものです。

ただし給料の不満を伝えるのは、避けた方がよいでしょう。
「給料を上げるから」と引き止められるケースが多いからです。

例え給料が上がっても、それは将来の昇給を先取りしたにすぎません。
病院は良くも悪くも年功序列の世界です。
今後の昇給が減額されたり、見送られたりと「結局変わらない」となるケースがほとんどです。

仕事内容の不満

退職する時は、少なからず業務への不満があるものです。

  • 仕事が辛い
  • 今の仕事が合わない
  • 仕事が好きになれない
  • やりたくない仕事がある
  • 面白くない
  • 飽きた

ただし仕事内容の不満は、引き止めが強くなる典型です。
「あなただけじゃない」「経験を積めば面白くなってくる」「異動したらいい」と、引き止めの材料は多くあります。
仕事への不満よりも、「これがやりたい」と視点を変えて、ポジティブな理由を伝えましょう。

責任が重すぎる

看護の仕事は、責任の重さも大きな負担になります。

  • 医療ミスへのプレッシャー
  • インシデント
  • 緊急対応

ベテランの方々には、この気持ちを理解してくれず、軽い問題とされがちなのも辛いところです。

ただし責任の重さを理由にするのは、あまりお勧めできません。
改善できる理由であり「担当患者を変える」「業務を変える」「異動したら」などと引き止められるでしょう。

引き止められた時に、返す言葉が難しく「退職できなかった」というケースはよく聞きます。
仮に改善されても、同じ職場にいる限り、また悩む可能性が高いです。師長や主任が変われば、口約束は消えてしまい、また問題が起こってしまうからです。

退職理由は責任の重さではなく、「自分に合った他の仕事がしたい」とポジティブ理由に変えて伝えてみましょう。

通勤に時間がかかる

通勤時間は、軽視されがちですが立派な退職理由です。

  • 片道1時間
  • 満員電車
  • 朝5時起き

日本の通勤時間は、平均1時間20分(往復)とかなり長いです。
1年で300時間近く通勤に使っていることになります。約2か月分の労働時間です…。
そのため本音の退職理由としては、よくある話です。

ただし通勤時間は、軽く見られがちなので注意が必要です。
「みんな同じ」「もっと遠くから来ている人もいる」「入職前に分かっていたでしょ?」と突っ込まれやすいです。

通勤時間だけでは、引き止められた時、逃げ道がなくなります。
他の事情をセットにしましょう。引き止めに対応しやすくなります。

「家族の介護があり、もっと近い職場に」
「持病の通院があり、もっと近い職場に」
「進学を考えていて、もっと近い職場に」

退職の伝え方

いつ伝えるか?

円満退職を目指すには、病院のルールに従うのがベストです。

退職を伝えるタイミングは、まず「就業規則」を確認しましょう。
就業規則には「◯ヵ月前には退職を申し出ること」と書かれています。

一般的には、1か月~2か月が多いようです。

3か月以上と書かれていた…

病院によっては「3か月前に」「年度末のみ」など、無茶な条件を書いている所もあります。
もちろんそのルールに合わせられれば、スムーズな退職に繋がります。

ただし2か月を超えるのは、常識の範囲外です。
少し強硬に辞めるのもアリです。
「次の職場が決まっています。1か月後に退職させてください」と凛として伝えましょう。

でも法律上は2週間前に伝えればOK?

確かに法律上は「退職の14日前までに申し出る」とされています。
たださすがに2週間は、シフト調整や引継ぎなど、スケジュール的に厳しいです。
「今すぐ転職したい!」という場合でも、1か月以上の余裕をもっておくのが社会人としてのマナーです。

就業規則が手元にない…。
就業規則は、個人に配布されず、職場に置かれているケースもあります。
どうしても見つからない場合は、過去の退職者や同僚の意見を参考に伝えるタイミングを探しましょう。

内定が先か?伝えるのが先か?

一般的には、内定が先です。
転職先を確保してから、退職を伝えます。

転職先の面接では、2か月ほど先の入職日を希望しておきましょう。
内定が出たタイミングで、退職の意志を伝えます。
そこで退職日と入職日を合わせます。

もしズレが出てしまう場合は、転職先と調整をしましょう。
内定が出た直後であれば、入職日も確定していないため、多少の調整なら応じてくれるはずです。

強い引き止めが予想される人

病院にとって不可欠な方ほど、引き止めが強くなります。
例えば、以下のような方です。

  • 3年以上勤務している
  • プリセプターを担当している
  • リーダー業務をしている
  • 夜勤に入っている

また職場環境によっては「時期を調整して欲しい!」と言われるでしょう。

他の退職者とタイミングが重なる
就業規則で時期が決められている
3月退職の慣例がある(国公立・大学病院など)
看護配置を下回る

こういったケースに当てはまる場合は特に強い引き留めに合います。
退職理由をしっかりと考えておきましょう。

退職を認めてくれない場合の対処法

どうしても退職を認めてもらえない場合、こちらもある程度強硬に出る必要があります。

まず退職は労働者の権利です。
法律的には「退職したい」と言えば、上司が何と言おうと、辞めることが認められています。
それを「辞めさせない!」と言うのは、違法行為となります。

しかし現状は、辞められない看護師が多いのも事実です。

辞められない場合どうしたいいのでしょうか?

退職届を上司に提出し「2週間後に辞めます!」と押し通すのも1つの手です。
法律には「2週間後に退職OK」のため、病院側も阻止する手立てがありません。

でも就業規則に「3ヶ月前までに退職願を」と書かれている・・。

確かに就業規則には、退職時の取り決めが書かれています。
でもこれはあくまでも「それが望ましい」というだけであり、法的な拘束力は一切ありません。
もちろん基本的は礼儀正しく守るもりたいものですが、病院側が強硬な手段に出るのであれば、こちらも退職を強行するしかないのも実情です。

できればモメたくないな・・。
お世話になった病院だし・・。

こんな心優しい方は、最寄りの労働監督署に電話相談してみましょう。
辞めるための具体的なアドバイスをしてくれるはずです。
そのアドバイスを実行し、さらには「労働監督署に相談してみたのですが」と上司に軽く打ち明けてみましょう。
退職の意志の強さが伝わり、上司も認めざるを得なくなるはずです。

退職届の書き方は?

退職届は、一般的なフォーマットに沿っておけばOKです(所定の書類がある病院も)

退職届は、手書きが基本です。
ただし形式的な書類でもある為、プリンターがある方はパソコンでもOKです。

注意点は4つです。

  • 印鑑
  • 宛先
  • 申請日
  • 退職日

印鑑は、忘れやすいのでシッカリ押しておきましょう。
宛先は、病院で「一番偉い人」です。医院長や理事長などです。
申請日は、退職届を出す日でOKです。
退職日は、上司と相談して決めた退職日を書きましょう。

「理由はどうしたら?」という疑問もありますが、どんな理由であっても「一身上の都合」と書くのが一般的です。
「定型文だと失礼じゃ?」と思われるかもしれませんが、退職届自体が形式的なものなので大丈夫です。

退職届に感情は不要です。
サラサラッと書いて、パッと提出しましょう。

まとめ

スムーズな退職は、その理由がポイントです。
正直に本音を伝えたい所ですが、モメる原因にもなってしまいます。

お互いが気持ちよく退職できる理由を伝えましょう。

もちろん嘘はNGです。
バレやすいですし、「嘘をついてしまった」と心の負担にもなりますので。

退職はいろんな理由が重なるものです。
その中から3つのポイントを選んで伝えましょう。

ポジティブな理由
個人的な事情
家族の事情

皆に祝福されての退職を願っております!

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