看護師のための退職ガイド。その流れと注意点まとめ

退職を考えている看護師の方へ
こんにちわ。メディカル調査員の川田です。

初めて退職する…
本当に辞められるかな…
準備しておくことは…

初めての退職は何かと不安になりますよね。
看護師は人手不足のため、「入職よりも退職の方が大変」と言われています。

でも事前に準備をしておけば、周りに迷惑をかけずにスムーズに退職できます。

退職の流れ全体像

退職の流れ全体図

1.就業規則の確認

退職はまず、就業規則の確認から始めましょう。
就業規則には「退職は〇〇日前までに伝えるように」と書かれているからです。

法律上は「退職日の14日前」となっていますが、さすがに14日前だとシフトも決まっていますし、迷惑がかかってしまいます。
スムーズに退職するためには、可能な限り就業規則に従うのが鉄則です。

引き止めが予想される環境

看護師不足

人手不足の職場は、一人辞めると影響が大きいため、引き止められやすいです。
ほとんどの病院に言えることですが、深刻な病院はなかなか辞めさせて貰えないことも。
退職の意志は、日程に余裕をもって伝えましょう。

同時期に辞める人がいる

さすがに2人一気に辞めるとシフトが大変なことになります。
転職時期である4月、9月、12月を予定している方は、早め早めに手を打ちましょう。

パートさんが多い

パートさんが多い職場は、看護師の配置基準がギリギリなケースが結構あります。
そこでの常勤の退職は、かなり強い引き留めも予想されます。
人数以下となれば、報酬の大幅な減額や業務停止もあり得るため、経営に大きな影響が出てしまうからです。
このような職場では、代わりの看護師が見つかるまで勤務することも想定しておきましょう。

役職者

主任や師長などの役職者は、引継ぎが大変なため、簡単には辞められません。
また役職が無くても、プリセプターやチームリーダーなど、経験豊富な看護師ほど、辞めた痛手は大きいため、引き止めも強くなります。
やはり看護師3年目くらいが一番辞めやすい時期です。

公立病院

国立、県立、市立、大学病院などは、年度末の退職が慣例となっています。
それ以外の時期は、かなり強い引き止めが予想されます。
もちろん法的には絶対ではないため、それ以外の時期も退職できますが、反発は大きいため、なるべく慣例に従うか、しっかりとした話し合いが必要となるでしょう。

2.退職を伝える

退職の意志は、直属の上司に伝えましょう。
多くの場合は、主任や師長です。

まずは口頭で伝えるのがマナーです。
イキナリ退職願を持っていくのは、さすがに反発を買ってしまいますので。
「ちょっとご相談があります」「退職を考えているのですが」と伝えましょう。

ただし「まだ悩んでいて…」と残留しそうな雰囲気があると、引き止めも強くなりがちです。
そのため「辞める意思は固く、その辞め方を相談したい」というスタンスで行きましょう。

退職を伝えるコツ

退職で問題になりやすいのは、退職を伝える時です。
引き止められたり、誤解を受けたり、トラブルになったりなど、問題は起こりやすいです。

退職を上手に伝えるコツは6つあります。
  • なるべく早めに伝える
  • 正直に理由を伝える
  • 意志の固さを伝える
  • 直属の上司に伝える
  • 繁忙期を避ける
  • 批判をしない

退職したいとはいえ自分を育ててくれお世話になった職場です。
誠意をもって、正直に、自分の決断を信じて伝えれば大丈夫です。

トラブルになるのは嘘を付いたり、無理を言ったり、誰かの悪口を言った場合です。
上司や職場にも失礼となりますし、自分自身の罪悪感として残り、苦しい思いをすることになります。

正直に誠意をもって。
人との交渉は、これが一番のコツです。

退職理由のコツ

退職理由でウソを付くのはNGです。
「結婚する予定でして(嘘だけど…)」「実家にUターンします(しないけど…)」「病気で(健康だけど…)」などなど。
マナーとしてNGですし、作った嘘は見抜かれますし、自分自身も汚れてしまいます。

でも正直に伝えたら辞めさせてもらえなさそう…

確かに正直に伝えると「改善するから」「異動したら」「良くなるよう頼んでみるから」と、引き止めに合います。

自分が一番強く思っているポジティブな理由を伝えましょう。
ポジティブな理由は、引き止めづらい効果があります。

ポジティブな理由例
  • スキルアップ
  • 家族
  • 健康
  • お金
  • 時間
  • 趣味

家族が転職理由の方は、それを正直に伝えましょう。
結婚、出産、子育て、親の介護、Uターンなどなど。

健康が理由の方も、それを正直に伝えましょう。

転職にスキルアップの気持ちがある方は、これを伝えるのがベストです。
特に若い看護師の方は、少しでも多くの職場を見た方が、経験値は上がりやすいですからね。

お金も大事です。
留学のため、進学のため、結婚のため、新居のため、借金のため、将来のため。
「お金は汚い」というイメージを持ちがちですが、ポジティブな理由も沢山あるのです。

時間や趣味も幸せな人生で大切なことです。
「そんなことで!」と怒る人もいますが(特に年配の方)、「私はこれがやりたいんです」と正直に伝えましょう。
仕事重視なのか、幸せ重視なのか。価値観は人それぞれですから。

3.退職日の決定

直属の上司に相談し、ある程度話が付けば、次は看護部長や事務局長に話が進みます。
ここでOKを貰えれば、具体的な退職日の決定になるでしょう。

次の転職先との調整もあるため、交渉が必要になるかもしれません。
就業規則を守りつつも、こちらの要望も伝えていきましょう。

4.退職願の提出

退職日が決まったら、退職願を提出します。
退職願の書き方は、一般的なベースがあるため、そのままコピペで大丈夫です。

退職願は、最初に相談した直属の上司に、直接手渡しするのがマナーです。

周りが冷たくなった

退職が決まると、イジメや冷たくされるなどの嫌がらせを受けることもあります。
病院は人手不足ですし、シフトのしわ寄せは同僚スタッフに行きますので無理もありません。

ただこれは、自分自身の行動の結果でもあります。
誠意をもって退職を伝え、真面目に働いていれば、嫌がらせを受けることも少ないはずです。

もちろんそれでも攻撃をされることもあるでしょう。
ただそれは自分の問題ではなく、相手の問題です。

看護師なら一度は転職を経験するものです。
「最後は綺麗に見送ってあげたい」「明日は我が身」「お疲れさまでした。次も頑張って!」

退職者を前にしてどう思うかは人それぞれです。
自分ならこうしてあげたい、と思っておくのが大切です。

5.引継ぎ

退職日の調整と並行して、引継ぎも考えていきましょう。

まずは業務の洗い出しです。
担当患者さん、任されている業務、委員会などをチェックします。

これらは書類にまとめておくとスムーズです。
引継ぎは、その場で口頭での説明となりますが、書類を見ながらなら理解も早いですし、伝え漏れも防げますし、後任者が後から確認することもできます。
辞めた後に「あの業務のことだけど…」と電話がかかってくることも減らせます。

6.荷物の整理

退職に向けて荷物を整理していきましょう。

私物は少しずつ持ち帰ります。
バタバタと片付けるのはNGです。他のスタッフへの心証もあるため、ひっそりと行いましょう。
退職当日に持ち帰るものが少なくなるよう、あくまでもスマートに。

7.退職当日

返却物、受取物

返却物と、受取物をチェックしましょう。

返却物
  • 健康保険証
  • 社員証
  • 名札
  • 定期券
  • ロッカールームの鍵
  • 制服
  • 資料
  • その他、病院の経費で購入した物
受取物
  • 雇用保険被保険者証
  • 年金手帳
  • 離職票
  • 源泉徴収票(年末に郵送というケースが多い)

お礼の品

最終日は、お世話になった方々への挨拶回りをしておきましょう。
所属の部署には、菓子折りがあると良い印象となります。
1つ1つ配れるようなチョコやクッキーの詰め合わせが喜ばれます。
予算は2000円前後。
夜勤中に食べられるような、日持ちする物が良いでしょう。

挨拶

朝礼などで挨拶もあるでしょう。
でも特別なことを言う必要はありません。
学んだこと、楽しかったこと、辛かったこと、上司や同僚たちから助けられた感謝を素直に伝えましょう。

帰宅前には、お世話になった方々へ個別の挨拶もしましょう。
真っすぐに目を見て「ありがとうございました!」と伝えるだけで、相手の方も気持ちが良いものです。
終わりよければ全てよしです!

最後の帰り道

最後の勤務、お疲れさまでした。

最後の帰り道は、いつもの風景が違って見えるかもしれません。
次の職場への不安と期待が入り混じりつつも、新しい人生への清々しい帰り道です。

Q&A

退職確定と内定はどちらが先か?

これは難しい問題ですよね。
先に内定が出ても困りますし、退職確定しないと次に進めないのは時間の無駄にもなります。

ベストなのは、まず転職活動を先行させるパターンです。

色んな求人を見て、次の職場を絞り込み、面接の約束まで取り付けてく。
このタイミングで退職の意志を伝えましょう。

OKが出れば、面接中に入職日を決められますし、引き止めに合えば、その旨を面接で伝えられます。

一番困るのは、面接だけどその後の進退が不透明というパターンです。
予測しづらいため、入職日の調整もできず、後々大変な思いをします。

まずは転職活動をし、ある程度めどが立てば退職を伝え、面接に挑む。
これが一番スムーズな退職と言えるでしょう。

まとめ

スムーズな退職には、事前準備が大切です。
一般的な流れを知り、その流れに乗れるよう準備しておきましょう。

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