看護師
総合病院急性期外科勤務
職歴:腎臓内科3年、消化器内科5年、呼吸器内科6年、循環器内科5年
~とある病院の外科病棟での会話~
- 後輩:内科に転職したいっす!
- 私:え、そうなの?いいんじゃない?
- でも、内科ってどんなとこかわからないし・・・
- じゃあ、まず内科のことが知りたいのね!
- はい、先輩!(よろぴく)
というわけで!
内科に転職したいなら3つの疑問を解決すれば大丈夫。
外科と内科、両方知り尽くした私の20年分の経験をもとにお答えしますね。
では、さっそく。
最初の疑問から解決しましょう。
疑問1:内科と外科って何が違う?
内科を知るためには、まず外科と比べてみるとわかりやすいです。
ズバリ。「メスを入れないのが内科、メスを入れるのが外科」ですね。
内科ではメスを使わない代わり、投薬中心に治療します。それに食事療法や運動療法の指導も入ってきます。
一方外科では、手術をして病変部を取り除く治療を行います。
うんうん、ここまでは知ってましたよね?
では、もうチョイ具体的に。
はい、こちらとなっております。
内科:慢性期の患者さんが多く重症度は低め
- カラダの内側を治療するため回復がわかりにくい
- 治療の期間が長いので患者さんと長くつき合う
- 仕事内容が一定(基本的な看護が多い、そのほか食事指導や生活指導)
- 患者さんに対してゆったり対応できる
- 診察介助が多いため医師との距離が近い
- 急変が少ない
- 残業が少ない
外科:急性期の患者さんが多く重症度は高め
- カラダを外側から治療するため回復がわかりやすい
- 入退院の入れ替わりが早く、患者さんとあまり長くつき合わない
- 仕事の専門性が高い(外科系の診療科ごとに手術直後の患者さん対応がある)
- 素早く対応しなければならない
- 手術以外は、医師と関わることがあまりない
- 急変が多い(とくに術後の患者さん)
- 残業が多い
イロイロ書いてみましたが・・・
まとめると、「内科はゆったり丁寧に!」「外科はすばやく的確に!」
こんな感じです。
真逆っていってもいいぐらい、大きく違いましたね~。
内科の特徴が分かったところで、続いて、内科向きな看護師、外科向きな看護師の違いについて。
今度は、自分自身にあてはめてみましょう。
疑問2:内科向きと外科向きな看護師ってどんな看護師?
内科と外科、それぞれ向いている人にはある共通点が見つかりました。
内科向きな看護師はこんな人!
- 人と深く関わるのが好きな人
- 人の感情の変化、行動の変化に気づきやすい人
- 根気強く、我慢強い人
- せっかちというより、おっとりタイプ
- なんでも許せるタイプ(包容力)
外科向きな看護師はこんな人!
- いろいろな人と関わるのが好きな人
- 達成感を日々追い求める人
- 決められたことをするよりも、変化が好きな人
- おっとりよりは、せっかちタイプ
- 白黒はっきりつけたいタイプ(判断力)
改めてみると、やっぱり私は内科が天職だって思えます(笑)
「自分はどんな性格か?」
「どちら向きなのか?」
理解していると就職や転職でどの科を選ぶか判断基準にできます。
でも、「これにあてはまらない=内科を選んではいけない」ということではありません。
極端な話、内科に転職したいけど自分は内科向きじゃない。とわかっているだけでもOK!
なぜかって?
「自分はせっかちな方。でも内科はゆったり向き。」と知っているだけで、「それじゃあ、ゆったり構えよう!」と意識できるからです。
一方採用側も、看護師の性格をみて割り振るケースがあります。
例えば、新人看護師の配属先を決めるとき、
「おとなしくてのんびり屋は内科」
「活発で体育会系は外科」
このようにどのような看護師を採用するか、判断材料の一つにします。
とくに新人は自分が内科向きかなんてわかりませんよね。
でも、面接官なら見ただけでわかってしまうこともあるようです。(さすが!)
実際に、面接担当者が考える内科向き、外科向きな人について、一例がありましたので紹介します。
面接担当者が考える内科向きの看護師
私は、とある大きめの病院の人事をやった経験があります。
面接にきた看護師を数多く見てきたわけですが、今では5~6分話せば、内科向きか外科向きかわかります。「意見をはっきり言う」「話の運び方がテキパキしている」「白黒はっきりつけてる」方は外科向きです。
「こちらの表情をじっくりと見る」「言葉を慎重に選んでゆっくり話す」方は内科向きです。内科は継続的な看護が多いので、患者さんとじっくり関わることを求められます。
だから性格はゆったりしている人のほうが合います。
一方外科は、その場その場できっちり仕事を終わらせていかなければなりません。つまり、その場での判断が多い科なので、性格的にはっきりしている人が合います。
つまり、内科か外科か?向いているタイプと、面接に来た看護師のタイプをマッチングしていると言えばわかりやすいでしょう。また、面接するときは、私のような人事担当だけでなく、現場の業務や看護師を知りつくした看護部長にも入ってもらっています。
実際、看護部長も今いったような基準で判断しているとおっしゃっていました。
引用元:看護師お悩み相談室
ここまでで、内科と外科の特徴には大きな違いがあることがわかりました。
仕事内容だけでなく、働く看護師のタイプにも傾向がありましたね。
さて、内科のイメージがつかめたところで、さらにもう一歩進めます。
「内科の役割」について考えてみましょう。
疑問3:内科の役割ってなに?
内科の役割と、そこで働く看護師の役割を順にみていきましょう。
内科の役割ってなに?
まず、内科自体の役割から。
内科の役割は2つあります。
その1:患者さんの窓口としての役割
「風邪ひいた」「こけてケガした」「よくわからないけど○○が痛い・・」
さまざまな症状の患者さんは、「とにかくすぐに看て欲しい!」
そう思っています。
そこで内科が窓口となり、患者さんの状態を最初に診察します。(プライマリケア)
擦り傷、咳、鼻水といったありふれたものから、膝が痛む、胸が痛い、などの原因がすぐにわからない病気まで。
とにかく幅広く診察します。
患者さんの症状をヒアリングし、診断するのが内科の役割です。
たいていの場合、内科で対応は完結します。
その2:症状の切り分けをする役割
患者さんの症状を切り分けた結果、さらに専門的にみる必要がある場合、かかるべき科に誘導するのも内科の役割です。
例えば、「胸が痛い・・」と言う患者さんがいたとします。
原因はイロイロ考えられます。
風邪、気管支炎、心臓の疾患から心的な要因まで。
内科の医師は、あらゆる可能性を考えます。
さまざまな角度から診察した結果、ある程度の目処をつけ、患者さんに必要な科を紹介します。
このように内科では、まず医師が診断し、患者さんが受けるべき治療や方針を決めます。
管轄外の疾患だと判断した場合、他の診療科や外科を紹介するといったところまでが内科の役目です。
ここまでいかがですか?
内科は、患者さんにとっての窓口的な存在でしたね。
では、内科の看護師にはどんな役割があるのでしょうか。
さらにもう一歩踏み込みましょう。
内科で働く看護師の役割はなに?
看護師の役割は主に3つあります。
その1:医師のサポート役
診察する医師のそばで、患者さんを介助する役割です。
具体的には、診察、検査の介助があります。
とくに男性医師の場合、看護師が女性患者さんに配慮し、診察をスムーズに進める役目も背負ってます。
内科にいる医師のほとんどは、おしゃべり上手できさくなタイプが多いです。
しか~し!
なかには「30年、僕はこれでやってきました。」みたいなお堅いタイプもいるんですよね。
そういうタイプは、患者さんとコミュ不足でギクシャクした空気になることが多くて(汗)
そんなとき、看護師が医師と患者さんの間に入ってフォローします。
その2:患者さんの指導役
とくに多いのが、「服薬」「食事」「生活」の指導です。
まず、服薬指導から。
「患者さんが内服薬を自己管理できているか?」
できていない場合はご家族にも伝え、周囲の協力を仰いだりします。
さらに、薬の効き目をヒアリングし、副作用や効果に問題があれば、医師や薬剤師に相談して対応してもらいます。
次に、食事と生活指導。
医師が診察時に患者さんに説明したことを、看護師が診察後や待合室で繰り返し患者さんにおさらいします。
一部の医師は、多忙が原因で、どの患者さんに対しても一定の説明しかしない人もいます。
そこで看護師が医師の代わりに、患者さん一人ひとりがきちんと理解できるまで、患者さんの理解レベルに合わせて丁寧に説明しなければなりません。
そうすることで、医師と患者さんの間で起きがちな食い違いをなくしておきます。
その3:医師と患者さんの調整役
看護師は、医師と患者さんの調整役でもあります。
患者さんの診察が終わったら「はい、また今度!」ではありません。
待合で待つ患者さんや診察後の患者さんに対して、看護師が声をかけることも大切な仕事。
患者さんがかかえこんでいる診察に対する不安や疑問をなくして、前向きな治療を促してあげます。
医師は診察にかかりっきりで、とにかく忙しい!
とうぜん、1人の患者さんに割り当てられる時間に限りがあります。
その分看護師が、患者さんと医師の間に起きがちな誤解を防いでおきます。
これまで、内科ってどんなところ?
という疑問についてお答えしてきました。
内科のだいたいのイメージはつかめましたね。
実は、内科といっても、一般内科から循環器内科まで、細かく科が枝分かれしています。
それなら、どんな科があるのか。
押さえておきましょう。
内科系の診療科はどれぐらいある?
ざっと内科の診療科を挙げると・・・なんと30近い科が!
なぜ、こんなに科があるのでしょうか?
実は、平成20年4月に診療科名の改正があったからです。
厚生労働省によると、ざっくりですが、「外科や内科は単独で名乗ってOK!」「臓器ごと、性別、疾患ごとに科の名称を名乗ってもOK!」と医療法が改正されました。
ということもあり、内科が臓器単位で細分化したわけです。
内科系の診療科(例)
内科、呼吸器内科、消化器内科、循環器内科、心臓内科、血液内科、気管食道内科、胃腸内科、腫瘍内科、糖尿病内科、代謝内科、内分泌内科、脂質代謝内科、腎臓内科、神経内科、心療内科、感染症内科、漢方内科、老年内科、女性内科、新生児内科、性感染症内科科、内視鏡内科、人工透析内科、疼痛緩和内科、ペインクリニック内科、アレルギー疾患内科など。
たくさん分かれていますね~。
そもそも、臓器ごとに分かれた理由の1つは、患者さんが自分の症状にあった科が選びやすいからです。
でも、看護師にとってはどうでしょう?
中身がわからないから、どの科に転職したらいいかわからない!
まるで今のあなたと同じように、どの課に転職したらいいのか。すぐに決められなくなってしまいました。
もっと診療科を詳しく知りたい・・・
ですよね。
ここまでくると、どの科がどんなことをしているのか?
もう1つ深く知りたくなってきちゃいますよね。
でも、大丈夫!
内科の中でも特に人気の4つの科について記事の最後でご案内しています。
科ごとの特色がガッチリとつかめるので、よかったら読んでみてください。
最後に、内科に転職したいあなたへ
いかがでしたか?
内科の看護師は、医師や患者さんのサポート役だということがわかりましたね。
内科と外科の違いから、そこで働く看護師の役割まで。
頭の中でモヤッとしていたイメージが、ハッキリしたのではないでしょうか。
内科で働くと、基本となるスキルはもちろん、患者さんとの向き合い方も学べます。
転職したいと悩むなら、1度やってみる価値はあります!
こんな記事も参考にどうぞ。
看護師が転職で失敗しないための準備マニュアル大損してた!看護師が知っておきたい残業代のこと
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