消化器外科ってどんなところですか?
消化器科は内科と外科に分かれており、主に手術が必要な患者さんは消化器外科、手術適応でない、または手術後の患者さんは消化器内科となります。
消化器外科はその名の通り、消化器に関する疾患を扱います。
食道から胃、十二指腸、小腸、大腸、直腸のほか、膵臓、胆嚢、肝臓といった、人体の臓器の多くが消化器系に属しています。
そして、消化器外科に多い疾患は消化器に発生する「がん」で、その中でも、手術適応のがんを扱うことが多いです。
日本人に発生するがんの多くは消化器系なので、急性期から終末期まで様々な病態のがん患者が集まる科になります。
消化器外科は人気ですか?
人気のある科です。
まず、外科では手術に関わることで看護師としてのやりがいを見いだせます。
なかでも消化器外科は消化器系の幅広い知識を身につけられるほか、キャリアアップを視野に入れることもできるからです。
仕事内容はどんなものですか?
消化器外科では基本的な看護スキルに加えて、術前・術後の看護がメインになります。
具体的には、術前準備として患者さんへの分かりやすい説明や、自分ががんであることと、手術に対する不安をもつ患者さんへの精神的なケアが求められます。
さらに、術後は合併症を含めた創部の処置や疼痛コントロールなどの全身管理と観察を行い、異常の早期発見に努めます。
例えば、手術でストーマや胃瘻を造設した場合の管理や自己管理に向けた指導をします。
また、術前・術後に化学療法や放射線療法を行う患者さんの看護も必要になります。
手術が多くて忙しいイメージですが、実際はどうですか?
忙しい科です。
イメージされているように手術や処置が多いため、必然的に看護業務量も多くなるのです。
なぜなら、術前・術後の患者さんだけでなく、家族への指導や説明、メンタルサポートに時間をかける必要があります。
そして、吐き気や痛みと戦う患者さんと常に接していること、回復できずに終末期を迎える患者さんもいらっしゃることから、精神的にもハードな科といえます。
患者さんに寄り添う看護ができるのですね。外科の知識はありませんが転職できますか?
できます。
消化器外科へ転職するための第一歩は、消化器系の解剖生理学を勉強することから始まります。
まずは、勉強したことが頭に入っているだけで、働きはじめてからの理解が格段に違いますので、看護学校で学ぶような基本的な周手術期看護とともに、転職する前に勉強し直しておくと良いでしょう。
外科一般の知識は働きはじめてから覚えても遅くありません。
また、転職後に学べる環境があるかどうか、転職時に確認しておきましょう。
医師や認定看護師などが勉強会を開催してくれる病院であれば、より理解が深まりますし、
勉強会の頻度や研修支援があるか、プリセプター制度の有無などを確認しておくと安心です。
転職後、キャリアアップするうえで、何か条件はありますか?
あります。
まず、消化器外科では、緩和ケア、がん性疼痛看護、皮膚・排泄ケア、がん化学療法看護の認定看護師を目指すことができます。
認定看護師資格は、5年以上の実務経験のうち、専門分野で3年以上を経験し、指定の講習を受講して認定試験に合格すれば取得することができます。
そうしてキャリアアップを目指すことは、看護師として働くうえで大きなエネルギーになるでしょう。
給与はどのくらいですか?
消化器外科特有の手当てはありませんので、他科と変わりません。
ですから、夜勤ありの常勤で、月25~30万程度です。
ただし、残業が多い分、残業手当てが付けばもう少し多くなるでしょう。
転職する際は、しっかり残業手当てが支払われるかどうか、確認しておくことが大切です。
残業は多いですか?
比較的多い科です。
なぜなら、手術件数が多いうえに、緊急を要する手術や入院も頻繁にある中で、
化学療法の副作用で苦しむ患者さんなどに寄り添って精神的サポートを行う必要もあるからです。
もともと看護業務量の多い科ですので、自然と残業時間も増えます。
しかし、忙しい科だからこそ、テキパキと仕事をこなすスキルが身につくという看護師もいますので、まずは仕事に慣れることから始めてください。
忙しい環境の中で的確に仕事をこなすことができれば、自ずと残業時間も減らせるでしょう。
良い求人を見つけるにはどうしたらいいですか?
各病院で手術実績の情報が公開されていますので、自分の興味のある分野が学べるかどうか確認しておくと良いでしょう。
特に、消化器は多くの臓器を扱うため、医師によって専門または得意とする臓器や術式があります。
ただし、肝移植などの大きな手術を行う病院は少なく、そのような先端医療を学びたいのであれば転職先は限られてきます。
自分でしっかり調べてから、納得のいく転職活動をしてください。
消化器外科の魅力はどんなところですか?
大きな魅力は急性期から終末期まで様々な病態のがん看護をステージごとに学べるところです。
さらに、がん看護を身につけ、周手術期や化学療法を経験していれば将来どんな科に異動しても重宝されます。
そして、緊急の処置や手術準備、急変などを経験していくうちに、どんなことが起こっても冷静に対処できる対応力が身に付きます。
特に大きな病院では、常に最先端の医療を目の当たりにすることができます。
それに、消化器外科は看護師としてのスキルアップに向いている科です。
多くのことを経験し、自分の能力を高めたいと思っている看護師が集まる傾向にあるからです。
ですから、向上心をもった仲間と高めあいながら仕事ができるこの上ない環境といえます。
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