腎臓内科への転職を考えているみなさん、こんにちは。
腎臓内科は、透析技術が身に付くというのが良いところですよね。
糖尿病の患者さんが増えており、腎臓内科のニーズは高いです。
透析クリニックも増えていて仕事に困ることはありません。
腎臓内科で透析に慣れれば、残業が少なかったり、夜勤なしの職場を選べたり、転職しやすかったりとメリットがたくさんあります。
でも、腎臓内科ならではの悩みもあるんです。
この悩みに耐えきれず、透析技術を身につける前に辞めてしまう看護師もいます。
特に多いのは、患者さんに長期入院・通院の方が多く、人間関係が難しいということです。
他にも、知識が偏る、ルーティンワークが辛い、機械が苦手……などなど。
メリットだけを見て腎臓内科に転職するのは危険です。
では、腎臓内科への転職を成功させるにはどうしたらいいの?
それには、循環器内科のリアルな部分もしっかり調べておくことです。
今回は、腎臓内科で働いてみないとわからない内情をお話します。
腎臓内科の基本的な知識や仕事内容、メリット・デメリットの全てをお伝えしましょう!
この記事を読めば、腎臓内科のことが丸わかり。
自信をもって腎臓内科に転職できますよ。
必要な知識は?
腎臓内科は、その名の通り腎臓のみを対象に治療する科です。
よって腎臓全般の知識が必要です。
他の科の場合、扱う臓器は沢山あるので臓器ごとに疾患名が変わります。
でも、腎臓内科は扱う臓器が腎臓だけなので、腎臓の状態によって疾患名が変わります。
それだけ腎臓の奥深い知識も必要です。
では、具体的にどんな疾患があるのか。
押さえておきましょう。
腎臓内科の疾患
疾患は主に以下の通りです。
- 高血圧
- 糖尿病
- 慢性腎臓病(CKD)
- 慢性腎炎
- 慢性腎不全
- 急性腎不全
- ネフローゼ症候群
- 膠原病
- 尿管結石
- 水・電解質異常
- 尿細管間質性腎炎
- 血管炎
など…
うーん。
腎臓だけでもこれだけあるんですね。
よく耳にする、糖尿病や高血圧といった生活習慣病。
ほかにCKDも聞いたことありますよね。
中には、腎不全といった重度なものまである!
腎臓内科の奥深さがうかがえます。
今度は、少し視野を広げて。
腎臓内科全体の特徴をつかんでみましょう。
腎臓内科の特徴は?
特徴は3つあります。
1.患者さんの年齢層が幅広い
腎臓内科の患者さんは年齢層がさまざまです。
検尿異常の5~6歳の子供もいれば、会社の健康診断でひっかかる30代~50代の方、さらに、透析を続ける高齢者までいらっしゃいます。
それに、男女比の差もそれほどありません。
腎臓は、もともと糖尿病や高血圧などの生活習慣病が進むことで悪化するため、男性女性問わず患っています。
中には妊婦さんもいます。
つまり、妊娠中の高血圧「妊娠高血圧」が原因で腎臓を悪くするケースですね。
性別も年齢層も色々な科だということです。
2.患者さんとの付き合いが長くなる
腎臓は1度機能が低下すると残念ながら元に戻りません。
よって看護師は、長期にわたり腎機能障害をかかえた患者さんを看ます。
とくに透析患者さんとは、一生涯付き合っていくことになります。
3.業務が固定化される
腎臓内科では、検尿や透析業務でほとんどを占めています。
検尿は主に蛋白尿の出る患者さんに対して行われます。
患者さんに、1日分の(24時間)おしっこを容器にとっていただく検査(畜尿)です。
また、透析にもいくつか種類があり、血液透析、腹膜透析、CHDF(持続的血液ろ過透析)やPE(血漿交換)といった血液浄化療法があります。
それぞれの透析方法や、管理方法を熟知しなければなりません。
ここまでで、腎臓内科の特徴をザックリつかんでいただければOKです。
次はいよいよ、腎臓内科で働く看護師の仕事について。
じっくり、みてみましょう。
仕事内容は?
腎臓内科の通常業務は、一般的な診療科と違いはありません。
バイタルチェック、内服薬の与薬、点滴、食事の介助、清潔ケア。
これに、観察、検査の介助が入ってきます。
ただし!
腎臓内科特有の仕事もあります。
腎機能障害レベルを初期、中期、末期の3段階に分けて説明します。
※仕事内容は、すべてのレベルに共通する場合もあります。
1.生活指導(腎機能障害レベル=初期)
看護師は患者さんに、食事制限(タンパク質や塩分)、喫煙の制限、アルコール制限の他、軽い運動を指導します。
初期の症状としては、タンパク尿、むくみ、高血圧があります。
初期の段階で大切なのは、とにかく悪化させないことです。
もともと腎臓疾患は自覚症状がなく、十年以上の時を経てゆっくりと悪化し、やがて腎不全になる恐ろしい病気です。
早めに対応すればするだけ、進行させずにすみます。
一方、放置したまま症状が進行していくと、CKD(慢性腎臓病)になります。
CKDは特定の疾患名ではなく、将来腎不全になるかどうか?その可能性を診断する基準となるものです。
中でも可能性が高いのが、糖尿病、高血圧や加齢による腎硬化症、慢性腎炎です。
生活習慣の改善が患者さんのこれからを左右します。
何度も言いますが、悪化させないことが肝心です。
看護師は患者さんに自宅での食事制限もきちんとしていただくよう促します。
2.薬物療法の管理(腎機能障害レベル=中期)
中期の患者さんに対しては、食事制限(カリウム、塩分)や薬物療法を行います。
看護師は患者さんを管理して、透析導入をできる限り遅らせるように促します。
上記のCKD(慢性腎臓病)が進行すると、生活習慣だけでは改善できなくなります。
このころから患者さん自身、むくみがひどくなったり、疲れやすい、といった自覚症状が出始めます。
薬物療法をすることで、改善までは難しくても、 現状維持を目指します。
具体的には、血圧や脂質管理の薬、糖尿病管理の薬を患者さんに服薬してもらいます。
そのほか、糸球体腎炎やネフローゼ症候群の患者さんにはステロイド治療が行われることもあります。
ステロイドには副作用があるため、看護師は、患者さんごとにステロイドの適量を管理しなければなりません。
3.透析業務(腎機能障害レベル=末期)
とはいえ、慢性腎臓病がさらに進行すると腎不全になります。
腎不全になると腎臓が全く機能しないため、代わりに人工透析か腎移植のいずれかで対処するしかありません。
引用:はまだクリニックより
看護師は、人工透析(血液透析、腹膜透析)業務を行います。
①シャントの管理
看護師は、消毒や観察を通してシャントを管理します。
シャント分部は清潔に保っておかないと、感染や合併症を起こしかねないからです。
とくに穿刺した部分から感染することが多いため、発疹、かゆみ、かぶれがないか注視します。
通常はシャント作成から2週間前後で人工透析ができるようになります。
人工透析を導入する際、看護師は患者さんにシャントの扱いや注意点を指導します。
・スリル(振動の有無)を毎日確認して、シャントが機能しているかどうか、患者さんにチェックしてもらいます。
・シャントが埋め込まれている付近に耳をあてて、低い音(「ゴーゴー」)が鳴っているか、患者さんや看護師が確認します。
とくに透析時はシャントが閉塞しないように、看護師は患者さんに対して、シャントの入っている腕を折り曲げないように指導することもあります。
今さら聞けない・・・シャントとは?
シャントとは、患者さんの動脈と静脈を体外か体内でつなぎあわせた血管のことを言います。
シャントは人工透析で使うため、透析を初めて行う患者さんは医師の手術(シャント作成)が必要です。
シャントには、外シャントと内シャントの2種類ありますが、現在は感染率の低い内シャントが主流です。内シャントは血管が細過ぎると直接作れないこともあります。その場合、人工血管を使ってシャントを造設するケースもあります。
②透析導入介助
看護師は透析前の患者さんの体重を測り、体重の増減や体内の水分量を確認しておきます。
透析は4~5時間かかるため、透析モニターを定期的にチェックし、シャントの状態や血圧、血液の排出量や返血量を確認します。
透析患者さんは、尿を自分で体外に排出できないので、体内にある水分を人工的に排出しなければなりません。
ということもあって、透析前後の体重の増減できちんと水分が排出できてるかチェックします。
透析中は、「異変がないか?」必ず看護師が部屋全体を監視します。
同時に、患者さんの状態も観察して、不安や不満の相談相手にもなります。
いかがでしたか?
腎臓に疾患をかかえた患者さんを、看護師は検査や指導、薬やシャントの管理をしながら支えていることがわかりましたね。
では続いて、どんな看護師たちが働いているのか?
みてみましょう。
どんな看護師が働いているの?
腎臓内科は、外来患者さんの指導や透析業務が占める割合が高く、日勤がほとんどです。
よってプライベートとの両立をはかりたい看護師が多く働いています。
また、透析の知識は全国で通用するため、引っ越し後やブランク明けの職場として選ぶ人もいます。
一方、入院設備のある病院では夜勤もあります。
腎臓内科の病棟は、慢性期の患者さんや検査入院の患者さんが多いです。夜勤もありますが急性期に比べて患者さんの様態が安定しているので、夜勤回数や残業時間は少なめです。
夜勤はしたいけど抑え気味にしたい看護師も働いていますね。
ほほー。
たしかに腎臓内科って全国どこでもあるから、働き口には困らないんですよね。
しかも、1度身についた知識やスキルは、他の腎臓内科でそのまま生かせるのはかなりポイント高い!
やっぱり腎臓内科はいいですね~
と、ここで、働く前に必ずおさえておきたいポイントにも触れておきましょう。
メリットは?
腎臓内科で働くメリットは3つあります。
- 腎臓疾患全般、とくに透析のスキルが身につく。
- 透析患者さんは長い時間病院にいるため、じっくりと関われる。
- 生活指導や食事指導の細かい知識が身につく。
デメリットは?
腎臓内科で働くデメリットは4つあります。
- 腎臓疾患(特に透析)の知識以外、あまり身につかない(汗)
- 患者さんとの関わりが深く長い分、距離感が近くなってしまい、きつい言葉を投げかけられたりと人間関係のトラブルが起きがちである。
- 業務が一定すぎてマンネリを感じやすい(汗)
- 透析は長時間固定されるため、感情的になる患者さんもいる。
いよいよ、これで最後になります。
わたしからのメッセージ。
聞いてください(笑)
まとめ
腎臓内科には、腎臓の状態によって初期や中期そして末期までと、さまざまな疾患をかかえた患者さんがいました。
腎臓は進行すればするほど深刻な場所です。
だからこそ、看護師は患者さんの指導や管理を通して命を守る存在です。
とくに透析患者さんは、肉体的だけでなく、精神的なケアも求めています。
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